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(年に数回しか演奏会には行きませんが、プロオケ、アマオケ問わず簡単に感想、思い入れでも)

最新更新2024.4.21
2024年

4.20 NHKホール エッシェンバッハ指揮 NHK交響楽団

4.14 ミューザ川崎 大井剛史指揮 水星交響楽団

3.9 ミューザ川崎 橘直貴指揮 東京楽友協会交響楽団 オルガン:梅干野安未

2.17 みなとみらいホール 沼尻竜也指揮 神奈川フィル ピアノ:ニュウニュウ

2.12 東京芸術劇場 長田雅人指揮 オーケストラ・タスビダーニャ

2023年

12.17 NHKホール ファビオ・ルイージ指揮 NHK交響楽団 ソプラノ:ジャクリン・ワーグナー、ヴァレンティーナ・ファルカシュ、三宅理恵 アルト:オレシア・ペトロヴァ、カトリオーナ・モリソン テノール:ミヒャエル・シャーデ バルトン:ルーク・ストリフ バス:ダーヴィッド・シュテフェンス 新国立劇場合唱団 NHK東京児童合唱団  

12.3 府中どりーむホール 米田覚士指揮 プロースト交響楽団 語り:田中みな実 

10.31 東京文化会館 オスモ・ヴァンスカ指揮 東京都交響楽団 

10.21 NHKホール 高関健指揮 NHK交響楽団 

9.30 ミューザ川崎 海老原光指揮 ユニコーン・シンフォニー・オケ ソプラノ:坂井田真実子 

9.3 かつしかシンフォニーヒルズ 佐藤雄一指揮 サンフォニア・ドラマティーク 

7.22 すみだトリフォニーホール 西野宏指揮 赤坂ウインドオーケストラ 

6.25 すみだトリフォニーホール 冨平恭平指揮 ル スコアール管弦楽団 

6.16 NHKホール ジャナンドレア・ノセダ指揮 NHK交響楽団 

4.15 みなとみらいホール 沼尻竜典指揮 神奈川フィル 

4.9 すみだトリフォニーホール 前田淳指揮 渋谷交響楽団 

3.25 北九州ソレイユホール 和久井仁指揮 西日本医科学生オケ 

2.23 アクロス福岡シンフォニーホール 宮川彬良指揮 九州交響楽団 ヴァイオリン:篠崎史紀 ピアノ:宮川知子 ソプラノ:林美智子 

1.22 すみだトリフォニーホール 森口真司指揮 フライハイト響 

1.14 ティアラこうとう スティーブン・孝之・シャレット指揮 オーケストラ・ルゼル 

2022年

12.24 北九州ソレイユホール 小泉和裕指揮 九州交響楽団 ソプラノ:並河寿美 アルト:清水華澄 テノール:望月哲也 バリトン:山下浩司 北九州フロイデコール

12.18 ミューザ川崎シンフォニーホール 水戸博之指揮 オルケストル デ ベル ヴァイオリン:奥村愛 

11.13 NHKホール 井上道義指揮 NHK交響楽団 

10.30 千葉県文化会館 川合良一指揮 東京理科大学管弦楽団 

10.23 ミューザ川崎シンフォニーホール 海老原光指揮 TAMA21交響楽団 

10.8 ミューザ川崎シンフォニーホール 田部井剛指揮 ザッツ管弦楽団 

10.2 すみだトリフォニーホール 森口真司指揮 オーケストラハモン 

9.24 北九州芸術劇場 現田茂夫指揮 九州交響楽団 ピアノ:谷昂登 

8.27 くにたち市民芸術小ホール 横島勝人指揮 アンサンブル新百合ヶ丘 ナビゲーター:宇都宮直高 

8.7 響ホール 齋藤友香理指揮 北九州グランフィル ピアノ:新井遥斗、橋本皐 

7.24 習志野文化ホール 金子健志指揮 千葉フィルハーモニー管弦楽団 

7.23 サントリーホール 高橋敦指揮 ジャパンフレンドシップフィルハーモニック 

7.10 北九州芸術劇場 松尾葉子指揮 北九州グランフィル ピアノ:岡田将 

7.3 サントリーホール 角田鋼亮指揮 デア・フェルネ・クラング 

6.25 すみだトリフォニーホール 田部井剛指揮 ルスコアール管弦楽団 

5.21 ミューザ川崎シンフォニーホール 矢崎彦太郎指揮 フィルハーモニック・ソサィエティ・東京 ピアノ:津田祐也 

4.24 すみだトリフォニーホール 河上隆介指揮 渋谷交響楽団 

4.17 ミューザ川崎シンフォニーホール 鈴木雅明指揮 バッハ・コレギウム・ジャパン ソプラノ:ブラシコヴァ、中江早希 アルト:シャハトナー テノール:ホッブス バス:加来徹 

3.26 東京オペラシティ 高関健指揮 東京シティフィル 

2.26 川口総合文化センター リリア 喜古恵理香指揮 オーケストラ ミモザ 

1.29 習志野文化ホール 中島章博指揮 オーケストラ ハモン 

1.15 すみだトリフォニーホール 冨平恭平指揮 ルスコアール管弦楽団 

2021年

12.25 北九州ソレイユホール 秋山和慶指揮 九州交響楽団 ソプラノ:高橋絵里 アルト:手嶋真佐子 テノール:村上公太 バリトン:与那城敬 東京混声合唱団 北九州フロイデコール

12.11 北九州ソレイユホール 中井章徳指揮 北九州グランフィルハーモニー チェロ:宮田大 オルガン:高橋孝子

11.7 ミューザ川崎シンフォニーホール 田部井剛指揮 ザッツ管弦楽団 オルガン:大木麻理 

7.10 ティアラこうとう 村本寛太郎指揮 オーケストラ・フォルチェ 

6.19 サントリーホール 下野竜也指揮 東京都交響楽団 ヴァイオリン:大関万結 

6.12 大田区民ホール アプリコ大ホール 山上紘生指揮 ボヘミアンフィル 

4.18 ミューザ川崎シンフォニーホール 金山隆夫指揮 みなとみらい21交響楽団 

3.27 習志野文化ホール 高橋利幸指揮 ちば室内管弦楽団 

2020年

8.10 北九州芸術劇場 山下一史指揮 北九州グランフィルハーモニー ピアノ:梅崎秀

2.2 文京シビックホールホール 直井大輔指揮 オーケストラ・ミュズニック

1.19 習志野文化ホール 黒岩英臣指揮 習志野フィル 

2019年

12.15  大田区民ホール アプリコ大ホール 若宮裕指揮 ノイフィルハーモニー チェロ ドミトリー・フェイギン 

9.16 すみだトリフォニーホール 和田一樹指揮 豊島区管弦楽団

9.1 すみだトリフォニーホール 金山隆夫指揮 オーケストラ・ディマンシュ

7.27 北九州芸術劇場 山下一史指揮 北九州グランフィルハーモニー ヴァイオリン:岩倉万希子 ピアノ:吉田恵美

7.7 習志野文化ホール 江原功指揮 習志野フィルハーモニー

6.23 ティアラこうとう 新通英洋指揮 ブルーメン・フィルハーモニー

5.19 すみだトリフォニーホール 新田ユリ指揮 水星交響楽団

4.14 新宿文化センター 藤本宏行指揮 シンフォニア・ズブロッカ

3.21 アクロス福岡シンフォニーホール 水戸博之指揮 福岡教育大学管弦楽団 ピアノ:武内俊之

3.2 練馬文化センター 永原裕哉指揮 トニカウインドオーケストラ

2.17 オーチャードホール チョン・ミョンフン指揮 東京フィル 

1.27 カルッツかわさき 児玉章裕指揮 横浜みなととなみ管弦楽団

2018年

12.23 ザ・シンフォニーホール 藤岡幸夫指揮 関西フィルハーモニー管弦楽団 ソプラノ:四方典子 オルガン:片桐聖子

12.16 ティアラこうとう 土田政昭指揮 江東フィルハーモニー管弦楽団 江東区民合唱団 ソプラノ:鳥海仁子 バスバリトン:狩野賢一

11.18 すみだトリフォニーホール 曽我大介指揮 日本IBM管弦楽団

9.1 東京芸術劇場 冨平恭平指揮 オーケストラ ハモン

8.25  ミューザ川崎シンフォニーホール 大友直人指揮 東京交響楽団 ピアノ:横山幸雄 ヴァイオリン:大谷康子 ヴォカリーズ:小林沙羅

7.29  ミューザ川崎シンフォニーホール 高関健指揮 東京シティ・フィル ピアノ:シュテファン・ヴラダー

7.8  千葉市民会館 土田政昭指揮 千葉市管弦楽団

6.30  千葉県文化会館 石ア真弥奈指揮 千葉大学管弦楽団

5.19 みなとみらいホール 沼尻竜典指揮 神奈川フィル 

2.24  練馬文化センター 高橋隆元指揮 霞ヶ関フィルハーモニー管弦楽団

1.13  習志野文化ホール 金子建志指揮 千葉フィルハーモニー管弦楽団

2017年

12.10 杉並公会堂 寺岡清高指揮 ブルーメンフィル

10.7 北九州ソレイユホール ペトル・アルトリヒテル指揮 チェコフィルハーモニー管弦楽団 チェロ:ジャン=ギアン・ケラス 

10.1 ティアラこうとう 松川智哉指揮 ウィンクルムフィル

9.23 京葉銀行文化プラザ 佐々木新平指揮 千葉大学OBOGオケ ピアノ 寿名義和

9.9 紀尾井ホール 今井治人指揮 NSシンフォニー・オーケストラ

9.3 すみだトリフォニーホール 金山隆夫指揮 オーケストラ・ディマンシュ

8.19  かつしかシンフォニーヒルズ 佐々木新平指揮 伊達管弦楽団

7.23  ミューザ川崎シンフォニーホール ノット指揮 東京交響楽団 

7.17  大田区民ホール アプリコ大ホール 川合良一指揮 交響楽団 魁 

6.25 オーチャードホール 山田和樹指揮 日本フィル 

5.28  東京文化会館 川合良一指揮 東京理科大管弦楽団 

5.26  みなとみらいホール 新イタリア合奏団

5.14 すみだトリフォニーホール 大島博指揮 宗研合唱団 東京バッハ・カンタータ・アンサンブル

4.23  ミューザ川崎シンフォニーホール 児玉章裕指揮 みなとみらい21交響楽団 

4.9 すみだトリフォニーホール 金山隆夫指揮 オーケストラ・ディマンシュ

3.26  習志野文化ホール 小室昌広指揮 習志野シティフィルハーモニック

2.26  千葉市民会館 土田正昭指揮 千葉市管弦楽団 ヴァイオリン 瀬ア明日香

2.11  渋谷区さくらホール 奥村伸樹指揮 伊達管弦楽団

1.15  習志野文化ホール 金子建志指揮 千葉フィルハーモニー管弦楽団

1.8  みなとみらいホール 久世武志指揮 TBSK管弦楽団 ピアノ 山田剛史

2016年

12.17 杉並公会堂 西脇秀治指揮 獨協大学管弦楽団

12.10 ミューザ川崎シンフォニーホール 冨平恭平指揮 オーケストラ ハモン

10.2 すみだトリフォニーホール 冨平恭平指揮 オーケストラ・ダヴィンチ

9.24 すみだトリフォニーホール 金山隆夫指揮 オーケストラ・ディマンシュ

8.28 ミューザ川崎シンフォニーホール 松元宏康指揮 かわさき市民オーケストラ2016 チェロ 水谷川優子、オルガン 新山恵理

7.31 東京芸術劇場 長田雅人指揮 オーケストラ ハモン 

7.24  すみだトリフォニーホール 金子建志指揮 千葉フィルハーモニー管弦楽団 ソプラノ:日比野 幸、 アルト:中島 郁子、東京オラトリオ研究会、新星合唱団、立川コーラス・アカデミー、オーケストラとうたう杜の歌・こども合唱団、大沢台小学校合唱団

7.10  ミューザ川崎シンフォニーホール 井上道義指揮 東京交響楽団 マリンバ:高田みどり、 ヴァイオリン:山根一仁、二十五弦筝:野坂操壽、ピアノ:山田令子

7.2  すみだトリフォニーホール ハーディング指揮 新日本フィル ソプラノ:エミリー・マギー、ユリアーネ・バンゼ、 市原 愛、アルト:加納 悦子、中島 郁子、テノール:サイモン・オニール、バリトン:マイケル・ナギー、バス:シェン・ヤン 栗友会合唱団、東京少年少女合唱隊

6.12  すみだトリフォニーホール 田部井剛指揮 ル スコアール管弦楽団 オンドマルトノ:原田節、ピアノ:安田正昭

5.29  ミューザ川崎シンフォニーホール 角田鋼亮指揮 プロースト交響楽団

5.22  第一生命ホール 野津如弘指揮 中央区交響楽団 チェロ 辻本 玲

4.10  杉並公会堂 新田ユリ指揮 アイノラ交響楽団 

3.12  神奈川県立音楽堂 児玉章裕指揮 横浜シティ・シンフォニエッタ ピアノ:寺田まり 

2.21  大田区民ホール アプリコ大ホール 藤崎凡指揮 コンセール21管弦楽団 

1.17  習志野文化ホール 上野正博指揮 習志野フィルハーモニー管弦楽団 

2015年

12.26 すみだトリフォニーホール 新田ユリ指揮 オーケストラ ハモン 

9.30 ミューザ川崎シンフォニーホール ハイティンク指揮 ロンドン響 ピアノ:マレイ・ペライア

9.13 すみだトリフォニーホール 金山隆夫指揮 オーケストラ・ディマンシュ 

8.29 ミューザ川崎シンフォニーホール 冨平恭平指揮 オーケストラ ハモン 

8.2 習志野文化ホール 金子建志指揮 千葉フィルハーモニー管弦楽団 

6.20 ティアラこうとう 高関健指揮 東京シティフィル 

3.15 みなとみらいホール 征矢健之介指揮 早稲田大学フィル 

2.21  ミューザ川崎シンフォニーホール 児玉章裕指揮 みなとみらい21交響楽団 

1.10  すみだトリフォニーホール 田部井剛指揮 アウローラ管弦楽団 

2014年

11.16  紀尾井ホール 横島勝人指揮 千代田フィルハーモニー管弦楽団

11.8  大田区民ホール アプリコ大ホール 小泉和裕指揮 東京都交響楽団 ヴァイオリン:南 紫音 

8.31  ミューザ川崎シンフォニーホール 栗田博文指揮 川崎市民オーケストラ2014 合唱 宗声会 

8.23  ミューザ川崎シンフォニーホール 高橋敦指揮 ジャパンフレンドシップフィルハーモニック 

7.27  みなとみらいホール 井崎正浩指揮 リコーフィル 

6.14  北九州芸術劇場 下野竜也指揮 九州交響楽団 ヴァイオリン:米元 響子 

5.18  下関市民会館 時任康文指揮 下関市民オーケストラ ヴァイオリン:藤原 望 

1.12  響ホール 中田延亮指揮 北九州伯林的管弦楽団 

2013年

11.23  北九州ソレイユホール アンドリス・ネルソンス指揮 バーミンガム市交響楽団 ピアノ:エレーヌ・グリモー 

9.28  北九州芸術劇場 ゴロー・ベルク指揮 九州交響楽団 クラリネット:タラス・デムチシン 

6.16 響ホール 飯森範親指揮 九州交響楽団 独唱:ソプラノ 高橋薫子 

2012年

1.8 戸畑市民会館(ウェルとばた) 中西哲郎指揮 北九州伯林的管弦楽団 

2011年

11.10 アクロス福岡シンフォニーホール 秋山和慶指揮 九州交響楽団 

4.17 北九州ソレイユホール 長野力哉指揮 北九州交響楽団

2010年

12.22 北九州ソレイユホール ゴロー・ベルク指揮 九州交響楽団 独唱:ソプラノ 澤畑恵美、アルト 八木寿子、 テノール 福井敬、 バリトン 岩本貴文、 合唱 北九州市民フロイデコール

12.12 アクロス福岡シンフォニーホール 井崎正浩指揮 福岡大学交響楽団

11.27 北九州ソレイユホール ロッセン・ゲルゴフ指揮 九州交響楽団 ヴァイオリン:矢野玲子

11.7 北九州ソレイユホール マリオ・コシック指揮 スロヴァキア放送交響楽団

5.23 下関市民会館 寺岡清高指揮 下関市民オーケストラ ソプラノ:江崎桃子

2.20 田川文化センター ラザレフ指揮 日本フィルハーモニー交響楽団 ピアノ:小山実稚恵

2009年

12.13 アクロス福岡シンフォニーホール 福田隆指揮 福岡大学交響楽団

12.5 響ホール 栗田哲海指揮 産業医科大学管弦楽団

11.23 アクロス福岡シンフォニーホール 荒谷俊治指揮、堤俊作指揮 九大フィル ヴァイオリン:篠崎史紀

11.15 北九州芸術劇場 田中一嘉指揮 北九州交響楽団

10.29 ウェルシティ小倉(九州厚生年金会館) リッカルド・シャイー指揮 ライプチィッヒ・ゲバントハウス管弦楽団 ヴァイオリン:アラベラ・美歩・シュタインバッハー

6.28 北九州芸術劇場 矢崎彦太郎指揮 九州交響楽団 ピアノ:田村響

5.24 下関市民会館 寺岡清高指揮 下関市民オーケストラ ギター:中野義久

2008年

8.5 ミューザ川崎シンフォニーホール 尾高忠明指揮 東京フィルハーモニー交響楽団 ピアノ:小山実稚恵

6.8 君津市民文化ホール 山下一史指揮 ニューフィルハーモニーオーケストラ千葉 ピアノ:見崎清水、藤田尚、類家唯 

6.1 ミューザ川崎シンフォニーホール 井上喜惟指揮 ジャパン・グスタフ・マーラー・オーケストラ 独唱:ソプラノ 三谷結子、 アルト 蔵野蘭子、 合唱 栗友会合唱団

5.17 NHKホール 尾高忠明指揮 NHK交響楽団 ピアノ:ブルーノ・レオナルド・ゲルバー

4.29 ミューザ川崎シンフォニーホール インバル指揮 東京都交響楽団 独唱:ソプラノ 澤畑恵美、大倉由紀枝、半田美和子、 メゾソプラノ 竹本節子、手嶋真佐子、 テノール 福井敬、 バリトン 河野克典、 バス 成田真、 合唱 晋友会合唱団、NHK東京児童合唱団

2007年

12.22 すみだトリフォニーホール 新田ユリ指揮 アイノラ交響楽団 独唱:メゾソプラノ 駒ヶ嶺ゆかり、バリトン 大久保光哉、合唱 樹の会

11.17 サントリーホール 沼尻竜典指揮 日本フィルハーモニー交響楽団 

10.8 東京芸術劇場 高関健指揮 新交響楽団 

8.25 習志野文化ホール 金子建志指揮 千葉フィルハーモニー管弦楽団 

7.1 大田区民ホール アプリコ大ホール 山元富雄指揮 ヴィルトーゾ・フィルハーモニー管弦楽団

5.6 東京国際フォーラム ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2007

3.11 すみだトリフォニーホール 高関健指揮 群馬交響楽団 

2.25 サントリーホール ペーター・フロール指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団 

1.13 習志野文化ホール 金子建志指揮 千葉フィルハーモニー管弦楽団 

2006年

12.3 君津市民文化ホール 渡邉一正指揮 ニューフィルハーモニーオーケストラ千葉 独唱:ソプラノ 半田美和子、メゾソプラノ 林美智子、テノール 小原啓楼、バリトン 岡本俊久、合唱 きみぶん第九合唱団 

11.23 すみだトリフォニーホール 橘直貴指揮 ル スコアール管弦楽団 

9.9 NHKホール 若杉弘指揮 NHK交響楽団 

6.11 君津市民文化ホール 渡邉一正指揮 ニューフィルハーモニーオーケストラ千葉 ピアノ:平松悠歩、松尾建瑠、加藤露弥 

5.21 大田区民ホール アプリコ大ホール 秋山俊樹指揮 ラスベート交響楽団 

4.27 サントリーホール ルドルフ・バルシャイ指揮 読売日本交響楽団 

4.2 大田区民ホール アプリコ大ホール 新田ユリ指揮 アイノラ交響楽団 

2.19 鎌倉芸術館 チョン・ミョンフン指揮 東京フィルハーモニー交響楽団 

1.14 習志野文化ホール 金子建志指揮 千葉フィルハーモニー管弦楽団 

2005年

11.20 サントリーホール ズデニェク・マーツァル指揮 チェコフィルハーモニー管弦楽団 

10.15 みなとみらいホール オッコ・カム指揮 日本フィルハーモニー交響楽団 

8.20 習志野文化ホール 金子建志指揮 千葉フィルハーモニー管弦楽団 

7.9 サントリーホール 飯森範親指揮 東京交響楽団 ピアノ:小山実稚恵 

7.3 ミューザ川崎シンフォニーホール 齊藤一郎指揮 東京交響楽団 ピアノ:広瀬悦子 

4.29 サントリーホール 鈴木雅明によるパイプオルガンレクチャー・コンサート 

3.20 サントリーホール 大植英次指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団 

1.8 文京シビックホール チョン・ミョンフン指揮 東京フィルハーモニー交響楽団 

2004年

7.28 スターピアくだまつ 尾高忠明指揮 読売日本交響楽団 ピアノ:中野翔太

7.25 サンビームやない マーク・ストリンガー指揮 NHK交響楽団

5.30 みなとみらいホール ガリー・ベルティーニ指揮 東京都交響楽団

1.18 シンフォニア岩国 金洪才指揮 広島交響楽団 フルート:萩原貴子 ヴァイオリン:奥村愛 ピアノ:近藤嘉宏

2003年

10.11 広島厚生年金会館 秋山和慶指揮 広島交響楽団 和太鼓:林英哲

2002年

10.01 周南市文化会館 ユーリ・テミルカーノフ指揮 ボルティモア交響楽団 ヴァイオリン:ステファン・ジャッキウ

6.16 シンフォニア岩国 ガリー・ベルティーニ指揮 東京都交響楽団 ヴァイオリン:二村英仁

5.24 サンビームやない ジャナンドレア・ノセダ指揮 キーロフ歌劇場フィルハーモニー管弦楽団(マリインスキー・ヤング・フィル) ピアノ:清水和音

5.18 スターピアくだまつ ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス指揮 読売日本交響楽団 ピアノ:小山実稚恵

2001年

12.12 光市民ホール ヘルムート・ブラニー指揮 ドレスデン国立歌劇場室内管弦楽団 ピアノ:梯剛之

6.16 光市民ホール 円光寺雅彦指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団 ヴァイオリン:加藤知子

2000年

11.28 周南市文化会館 アレクサンドル・ドミトリエフ指揮 サンクトペテルブルク交響楽団 ヴァイオリン:加藤知子

11.3 シンフォニア岩国 茂木大輔指揮 バッハ・メモリアル・アンサンブル 合唱:東京オラトリオ研究会 ソリスト:川瀬幹比虎、河野克典、田島茂代、押見朋子

3.12 ユメニティーのおがた ハインツ・ワルベルク指揮 NHK交響楽団 ピアノ:園田高弘

1999年

10.9 周南市文化会館 オスモ・ヴァンスカ指揮 ラハティ交響楽団 ヴァイオリン:ペッカ・クーシスト

6.30 光市民ホール マルク・ドレヴノフスキ&ショパン・ソロイスツ

1998年

9.19 周南市文化会館 大植英次指揮 ミネソタ管弦楽団

1.29 周南市文化会館 ジュゼッペ・シノーポリ指揮 ドレスデン国立歌劇場管弦楽団

1997年以前

1991.2.11 神戸国際会館 サイモン・ラトル指揮 バーミンガム市響 ピアノ:ピーター・ドノホー

1990.7.21 いずみホール 小泉ひろし指揮 大阪シンフォニカー

1990.6.23 NHKホール ジャン・フルネ指揮 NHK交響楽団

1988.10.24 フェスティバルホール テンシュテット指揮 ロンドンフィル

その他



2024年

2024.4.20

エッシェンバッハ指揮 NHK交響楽団

曲目

ブルックナー:交響曲第7番

[感想記]

今年はブルックナー生誕200周年ということでプロオケ、アマオケかかわらず今年は多くのブルックナーの曲が取り上げられそうです。 この日もみなとみらいホールにて神奈川フィルによるブルックナー交響曲第5番、NHKホールではN響の7番ということで本当にどちらの演奏会に行くのか 迷ったのですが、渋谷のタワーレコードのクラシックフロアががリニューアルされたということでついでに渋谷もということでN響演奏会を選択しました。

しかし、渋谷もインバウンドの影響もあり、外国の方も含めて人人人。どの通りを歩いても人だらけ・・・。歩くだけで疲れました。 タワーレコードですが、クラシックフロアは8Fとなり、そこそこの品揃えではありましたが、欲しいCDはなく、NHKホールへ向かいました。

今年初のNHKホールとN響。昨年末の2000回定期演奏会でのマーラー8番以来。今日は第2008回定期演奏会。コンサートマスターは川崎氏。 C定期ということで2時開演で13:15にはプレ演奏会。オーボエ奏者3名による演奏が行われました。 ブルックナー交響曲第7番。ブル7と言えば、ミューザ川崎でのハイティンク&ロンドン響以来ということ2015年9月以来と思います。 指揮のエッシェンバッハ氏は当方は初です。

もう冒頭の「ブルックナー開始」の繊細な弦の刻み。さすがでした。もうこれからブルックナーの世界へ引き込まれました。 基本ゆったりとした流れで進んでいきます。当方はゆったりとしたブルックナーが好みなので(チェリビダッケのような)、大変満足です。 (先日のN響のブラームス交響曲1番が演奏されていましたが、まあ焦ったテンポでゲンナリでした)

2楽章終盤のワーグナーチューバとホルンの響きは素晴らしかった。意識が飛びそうになりました。 この曲は1楽章と2楽章は名楽章過ぎて、3、4楽章は残り・・というイメージですが、3、4楽章もしっかり主張した演奏でした。

金管の方々の調子はイマイチなところも散見されましたが、総じて満足の行く演奏でした。 それよりも久しぶりに客席上部からオケの演奏をじっくり見て、いやーブルックナーという作曲家は独特だなあと再認識しました。

@打楽器の出番、種類が少ない(ティンパニーがメロディーっぱい動きをしない。ティンパニー、シンバル、トライアングルのみ、それもシンバル、トライアングルの活躍は 極々わずか)A木管の役割も小さい(他の作曲家のように木管に重要なメロディーの役割があまりない。そして例のファゴット冷遇問題) B弦楽器と金管の共生(この独特の響きがブルックナーの特徴、長所でもある。そして弦楽器ではチェロが非常に重要ということ) 以上の点がはっきり分かって面白かった。このことから各パートの完成度は非常に重要。 正直、マーラーやショスタコーヴィチなどは派手に勢いよく演奏すればそれなりの形にはなるのですが(難曲ではあるのですが・・・)、 ブルックナーはそうもいかないの難しいところで正直、演奏者もどこまで楽しんで演奏できているのかも・・・。

当方も15年から20年前にブルックナーオンリーの日々があり、ブルックナー沼にはまりました。 改めて他の曲もじっくりオケの編成、各楽器の使い方も含めて検証してみたくなりました!


2024.4.14

大井剛史指揮 水星交響楽団

曲目

レブエルタス:センセマヤ

レブエルタス:組曲「マヤ族の夜」

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」

[感想記]

水星交響楽団 第67回定期演奏会へ行ってきました。水星交響楽団は一橋大学のOB,OGを中心に1984年結成のオケです。 そして当方にとって水星交響楽団の演奏会は2019年以来の2回目。この2019年の演奏会が凄かった。 オール交響曲第6番プログラムということで「シベリウス」「吉松隆」「チャイコフスキー」とこれでもかああ〜のお腹いっぱいの演奏会でした。 さらにレベルも非常に高かったことを思い出します。

今回のプログラムのテーマは「供犠」といのこと「生贄を捧げる儀式」ということでストラヴィンスキーの「春の祭典」とメキシコ人作曲家 レブエルタスの作品2曲。まあかなりマニアック?な選曲ということでミューザが埋まるほどではありませんでしたが、そこそこの観客はいましたね!

最初の曲「センセマヤ」1937年作曲とのこと、次の曲組曲「マヤ族の夜」は1939年作曲でともに第二次世界対戦前の曲なんですねえ。 てっきり戦後の曲だと思っていました。まあ「春の祭典」の作曲初演が1913年なのでこのようなリズム中心の曲も珍しくはない時代になっていたと思います。 まずは「センセマヤ」、まあ旋律(メロディー)の感じられないリズムオンリーの曲で一瞬、伊福部先生の曲か?と思うところも!

次の曲、組曲「マヤ族の夜」 正直凄かった。この曲初めて聞くのでyoutubeで予習してはいたのですが、心にしみるメロディーあり、興奮のルツボのリズムあり・・・。 まあ打楽器奏者がステージ後方にずらりと並びもう圧巻でした。あまりの興奮で途中から涙が止まらず! この曲に出会えたことに感謝ですなあ。ブラボー! 当然、オケの技量は文句無しでした。さあ、後半プログラム 超難曲「春の祭典」も楽しみになってきました。

ストラヴィンスキー「春の祭典」を初めて聴いたのが当方が高校の時、「これ?クラシック音楽か?なんじゃこれ?」という印象。 その後、大学でこれが凄い曲だと認識させられたのですが、当時、プロオケでも超難曲でなかなか演奏をこなすのは難しい状況だったと思います。 しかし、令和の時代、アマオケがさらりとプログラムに載せ、演奏してしまうと恐ろしい時代です。

1部はほぼ完璧に近かったのではないでしょうか?2部ではやや怪しいところもありましたが、もう十分な演奏でした。素晴らしかった! 今回の演奏会、とにかく打楽器がブッ飛んでましたねえ。大音響!大音響!体に振動がくるくる!最高でした。 アンコールにメキシコで超有名な曲とのことでモンカーヨ作曲ウアパンゴで演奏を締めくくりました。 とにかく良かったです!

次回はエルガー交響曲1番を演奏するとのことで楽しみしかありませんね!


2024.3.9

橘直貴指揮 東京楽友協会交響楽団 オルガン:梅干野安未

曲目

ヴェルディ:歌劇「ナブッコ」序曲

エルガー:独創主題による変奏曲

サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」

[感想記]

今年初のミューザ川崎、オケは東京楽友協会交響楽団といかにも歴史と伝統がありそうな名前。 実際に1961年創立のアマオケでこれは凄いとしかいいようがありせん。 楽員も年齢層が高そうに思えます。

今回で第116回定期演奏会とのこと。指揮はもうおなじみの橘直貴氏(観客の隅々まで礼をし、まあ何と腰の低い方でしょうか!) この歴史でしょうか、観客もかなり来ておりました。

前半プログラムはヴェルディ:歌劇「ナブッコ」序曲とエルガー:独創主題による変奏曲です。 まあ知っている曲ではありますが、お気楽に聴ける曲です。 前半を聴いた感想ですが、弦楽器パートがやや不安定で音が前面に出てこない印象を持ちました。 後半プロの「オルガン付き」が弦楽器の美しさが重要な曲ですのでどうなることでしょうか?

さて後半プロ サン=サーンス交響曲第3番「オルガン付き」もう大好きな曲で! オルガンの重低音を体感するにはホールに直接来て聴くしかない曲。 冒頭の澄んだ弦楽器、良かったです(安心しました)。しかし、その後のオーボエの音がカスカスで参った(その後、修正し良くなりましたが・・) やはり箇所箇所では弦楽器パートが不安定でこれはバイオリン、ビオラという感じでは無く全体的にという印象。 そして弦楽器の音の主張が足りない!金管に負けている。 しかし、2楽章後半は完璧でしたなあ。感動しましたよ。

アンコールはエルガーの「愛の挨拶」で穏やかな気持ちで会場をあとにすることが出来ました。


2024.2.17

沼尻竜也指揮 神奈川フィル ピアノ:ニュウニュウ

曲目

グリーグ:ピアノ協奏曲

マーラー:交響曲第7番「夜の歌」

[感想記]

今年も沼尻さんと神奈川フィルとのコンビの演奏を聴くことが出来ました。 このコンビと言えば、マーラー9番、ショスタコーヴィチ7番と感動の名演を聴かせてくれました。 今回の曲目はマーラー交響曲7番「夜の歌」。もう期待しかありません。 そして何とニュウニュウ氏のピアノによるグリーグのピアコン。大体、マラ7の場合はこの1曲のみの演奏会が多いと思うのですが、 お得な演奏会になりました。

1年ぶりのみなとみらいホールですが、初めてのステージ裏席(P席)を入手。 どんな感じの音になるのか? 沼尻さんの指揮をじっくり見ながらの演奏会になりそうです。

演奏会前はお馴染みの沼尻さんによるプレトーク。やはり先日、お亡くなりになられた「世界のオザワ」小澤征爾さんとの思い出から。 沼尻さんは小澤さんのアシスタントを務められたこともあったそうで、その時の思い出話。 指揮についての思い出というよりも「このホールのこの席の音響はどんな感じ?」とか。 小澤さんのお母さんがリハーサルにいらっしゃった時は「お母さんを探してきて!」とか。 あと小澤さんは「インプット」と「アウトプット」が早かったとのこと。 曲をすぐ暗譜することが出来たと思ったら、1ヶ月前の演奏のことがあまり覚えてないなど・・・。 とにかく沼尻さんからの小澤さんの思い出話聴くことができて良かった!

前半プログラム グリーグのピアノ協奏曲。私にとって2度目に聴きます (前回は2005年10月オッコ・カム指揮日本フィル、ピアノは児玉桃さん この時もみなとみらいホール)。 しかし、忘れてましたわ。今回のピアニスト ニュウニュウ(牛牛)氏は1997年上海生まれ。神童と言われたそうで、 確かに名前は聞いたことがあるような。 なかなかダイナミックな演奏でした。オケも上手くサポートしておりました。 ニュウニュウ氏 ピアノの演奏の無い時はオケの方に目をやり、タイミングなど計っていましたねえ。 良いピアニストだと思いました。最近では珍しいのかな?アンコールはありませんでした。

後半プログラム、マーラー「夜の歌」何回目聴いたのか忘れましたが、かなりの頻度で聴いていると思いますが、 アマオケばかりでプロオケは2007年3月の高関指揮群馬交響楽団との演奏以来の2回目。 演奏時間は約80分。素晴らしい演奏でしたが、ソロパートでちょっと上手くいかなかったところもあったりしました。 やはりこの曲は生演奏で聴けば2、4楽章の良さが染みますねえ。 あとステージ裏席だったのでマーラーお得意の様々な打楽器を駆使するのですが、打楽器の音が目立ってしまって、 弦楽器の音があやふやになってしまって、ちょっとマーラーに関してはステージ裏席は良くないのかもしれませんねえ。 (勉強になりました)価格の安い席ならばステージ裏席より3階後方席の方がよいかもしれません。 しかし、5楽章は凄かった。特に最後のパワーには圧倒されました。さすがのプロですなあ。

演奏後は昨年も感じたのですが、沼尻さんと神奈川フィル楽員との関係、楽員同士の関係が ホント、アットホームな雰囲気を感じられてこれが良い演奏を生み出すコツでもあるんだなあと実感。 神奈川フィルは応援したいオケですねえ。


2024.2.12

長田雅人指揮 オーケストラ・ダスビダーニャ

曲目

ショスタコーヴィチ:祝典序曲

ショスタコーヴィチ:喜歌劇<モスクワ・チェリョームシキ>による組曲

ショスタコーヴィチ:交響曲第7番「レニングラード」

[感想記]

以前からとっても気になっていたアマオケ。「オーケストラ・ダスビダーニャ」 「ダスビダーニャ」とはロシア後で「また会いましょう」という意味なんですねえ。 かなりショスタコーヴィチに特化して演奏しているオケのようで。 今回が記念すべき第30回定期演奏会とのこと。 オケ発足のきっかけというのがショスタコーヴィチ交響曲7番「レニングラード」を演奏したいという熱い思いというもの(いいですねえ)。

演奏会プログラムも大変充実した冊子になっていてビックリなのですが、そこに過去のショスタコーヴィチの演奏曲目一覧が載っているのですが、 ショスタコーヴィチの交響曲は計15曲あるのですが、大体3回ずつは演奏している感じ(合唱付きの演奏が容易では無い曲は2回というものもありますが)。 そして今回の「レニングラード」は4回目の演奏。もう凄いとしか言い様がありません。 指揮者も長田雅人氏がほぼ演奏しているというもの。長年、オケの指揮者の関係の良いということなんでしょうねえ。

久しぶりの池袋の東京芸術劇場です。2018年9月以来となります。いいホールですよね。今回も芸術劇場名物?パイプオルガンを拝見することができなかったなあ。 指揮者の長田さんは2016年7月のオーケストラ・ハモン以来、この時の曲目もムソルグスキー「禿山の一夜」とショスタコーヴィチ交響曲5番でした。 オール・ロシアプログラム!まあその時のショスタコ5番の超快速の演奏だったこと!だったこと! とっとと演奏して終了!という感じだったのでこっちとしては残念な演奏会の部類入るものではあったのだが・・・。

ホールに入ると過去の演奏CDが販売されておりました。一枚3000円程度でした。これも凄いですよねえ。 なかなかの客入りで人気のあるアマオケということも分かりますねえ。 前半曲目はショスタコーヴィチとしては非常に分かり易い聴いていて楽しい曲でもあります (一方、交響曲はクラシック音楽初心者を寄せ付けないほど重たいこと重たいこと)。 オケのレベルはやはり高いものでした。驚いたのがコントラバスが14名、チェロが11名だったので初めてコントラバスがチェロより大きいオケは!

さてお待ちかねの「レニングラード」。昨年の沼尻指揮神奈川フィル以来で計5回目です。ホントはまってしまった曲ですねえ。 素晴らしい演奏でした。まとめてみると
・1楽章ゆったりとしたテンポで進み、スネアもはっきり聴こえました。練習番号45の転調、転移する箇所から一気にアップテンポで駆け抜ける。
ビックリしました。この快速に良くぞオケ着いていったなあと感心と感動の放心状態で感涙してしまいました。
・2、3、4楽章は実にゆったり丁寧に演奏。4楽章最後は良くここまでパワーを残していたなあと拍手!
・休止の箇所でも一呼吸おいていた点は着目でしたねえ。
・まあところどころのソロパートで不安定なところもありましたが、これも愛嬌ということで!
アマオケでは高水準レベルの演奏を聴くことが出来て満足でした。

来年2月は8番を演奏とのことで都合が付けば行きたいですねえ。


2023年

2023.12.17

ファビオ・ルイージ指揮 NHK交響楽団 ソプラノ:ジャクリン・ワーグナー、ヴァレンティーナ・ファルカシュ、三宅理恵 アルト:オレシア・ペトロヴァ、カトリオーナ・モリソン テノール:ミヒャエル・シャーデ バルトン:ルーク・ストリフ バス:ダーヴィッド・シュテフェンス 新国立劇場合唱団 NHK東京児童合唱団

曲目

マーラー:交響曲第8番「千人の交響曲」

[感想記]

今年最後の演奏会です。ここ数年は九響の第九が年末最後の演奏会だったのですが、 今年北九州への帰省が九響の第九に間に合わないのでこのN響の演奏会が今年最後の演奏会となりました。

今年3回目のN響定期演奏会。今までほとんど来なかったN響ですが、今年は3回も!やっぱりN響はいい! そしてこの演奏会は記念すべき2000回定期演奏会 曲目もマーラー交響曲第8番「千人の交響曲」 まあ基本この曲はマーラー全曲演奏の一貫かこのような区切りの良い演奏会で取り上げられる曲目です。 かなりの大編成なので気楽に招集し演奏出来るものでもない曲。

私もこの曲は今回を含め生での演奏会は3回目
2008年4月 インバル指揮 都響 ミューザ川崎
2016年7月 ハーディング指揮 新日フィル すみだトリフォニーホール
そして2023年12月 ルイージ指揮 N響 NHKホール

会場も完売のほぼ満員。祝祭的な雰囲気が漂い熱気も感じられます。 会場では2000回記念のグッズも販売されておりました。 ホールに入って初めに目に付いたのがオルガンに照明が・・。そうです、この曲はオルガンが必須で重要。 ステージの奥まで合唱団の席が。オケの後ろに独唱ソリストの席が・・・。(そうかステージ最前列ではないのですねえ)

まず合唱団の入場、そして楽員の入場。コンマスは篠崎さんです。 そしてソリストと指揮のルイージ氏の入場。 冒頭のオルガンの響きですが、3階席後方ということもあって、直接響いてはきませんでしたが、その後の合唱とオケの音圧に圧倒。 おもわず涙腺が緩んでしまいました。1楽章はずーっと涙腺が崩壊しておりました。 2楽章後半は涙腺崩壊。とにかく児童合唱の澄んだ声色にやられましたわ(おじさんとしては)。 ハープも4台で存在感十分でした。 栄光の聖母の三宅さんはオルガン席から登場。最後のバンダはどこだったのか分かりません? 結構、テンポを揺らしていたと思います。早いなあと思った箇所もあれば、ゆっくり間を取るなあと思った箇所も。 良い演奏でした。指揮のルイージ氏、かなり熱い指揮振りでした。

ソリストの歌う位置がステージ中央ということで声の迫力が欠けていたように思えます。ステージ前列でも良かったのではと。 声色も可もなく不可も無くですかねえ。まあ後日、ラジオやTVでも放送してくれると思いますので、その時に再確認をしたいと思います。

まあ曲が大好きなので大感動しましたが、冷静に考えると今まで生で聴いた中では ハーディング&新日フィルの演奏はソリストの声質がかなり好みだったこともあり、パイプオルガンの音も堪能できたし、 良かったと思いますね。

しかし、改めて考えると2000回定期演奏会ってとんでも無いよなあと。さすがN響の歴史としか言い様が無いですねえ。 日本のクラシック界を引っ張ってくれている存在に感謝!


2023.12.3

米田覚士指揮 プロースト交響楽団 語り:田中みな実

曲目

シベリウス:交響曲第5番

チャイコフスキー:バレエ音楽「白鳥の湖」より抜粋

[感想記]

初めて府中どりーむホールへ来ました。京王線東府中駅から徒歩。府中と言えば「東京競馬場」 この日もまずは東京競馬場へ行って、先日のジャパンカップの馬券を換金し、どりーむホールへ。

オケはプロースト交響楽団。第38回定期演奏会。もう7年ぶりなんですねえ。7年前はミューザ川崎でブルックナー交響曲4番の演奏で かなりのレベルの高い演奏だった記憶があります。この時は第23回定期演奏会でした。 何と今回の演奏会は語り付きの「白鳥の湖」。そして語りがあの!田中みな実さん! 私も演奏はもちろんのこと田中みな実さんを見てみたいということで座席も前から数列目のところを指定。 通常ならこれだけ前では音が頭を通過するので絶対に座らないのですが・・(笑) やはり客層も日頃クラシック音楽をあまり聞かなさそうな層も。しかしきっかけはなんでもよし! クラシック音楽、生のオーケストラの音を堪能して欲しいものです。

前半のプログラムはシベリウス交響曲5番(先日、ヴァンスカ&都響で聴いたばかり)。 プロースト響、やっぱり7年たっても変わらず上手かった!技術的には文句のつけよう無し。 弦、木管、金管、打楽器 すべてのレベルが高い。満足、満足!

後半プログラムはお待ちかね! 何と田中みな実さんが私の5m先くらいにいる! 素晴らしいナレーション。そして演奏が素晴らしかった。チャイコフスキーはいいね。 演奏終了後の拍手の対応など田中みな実さんの人柄が垣間見れておじさん「メロメロ」になってしまったわ。

アンコールはチャイコフスキーくるみ割り人形の「花のワルツ」もうハープ最高!! 大拍手で終演しました。

隣のおじさん、前半プロは爆睡で後半はずーっと田中さんばかり視線が・・。おいおいって感じですが。 しかし、何故、多忙の田中さんがアマオケの語りに??と不思議に思っていたのですが、 何と!お姉さまがこのオケでフルートを演奏されていたと終演後、知りまして・・・。 やはり身内のお願いは強いね。また語りをお願いしますね。


2023.10.30

オスモ・ヴァンスカ指揮 東京都交響楽団

曲目

シベリウス:交響曲第5番

シベリウス:交響曲第6番

シベリウス:交響曲第7番

[感想記]

ついについに!東京都交響楽団2023ー2024シーズンプログラムを見たときにまず先にこの演奏会だけは行かねば・・と思ったプログラム! オスモ・ヴァンス指揮東京都交響楽団 東京文化会館

オスモ・ヴァンスカ氏と言えばラハティ響とのシベリウス交響曲のCD、ここ10-20年ではミネソタ響とのシベリウス及びマーラー。 ヴァンスカ氏のマーラーも9番、10番(全曲版)を持っているが、素晴らしい演奏です。

オスモ・ヴァンスカ氏は1999年ラハティ響との来日公演にて周南市文化会館で聴いたシベリウス交響曲2番とヴァイオリン協奏曲は 忘れられず繊細、緻密な演奏でした。その時から常々、ヴァンスカ氏のシベリウス後期交響曲も聴いてみたいと思っておりました。 今回、24年ぶり、約四半世紀ぶりなんですねえ。

特に後期の5番、6番、7番はどの指揮、どのオケでもいいので続けて生で聴いてみたいと・・・。 本当は2008年すみだトリフォニーホールでのペトリ・サカリ指揮アイスランド交響楽団のシベリウス交響曲全曲演奏会の 5番、6番、7番演奏のチケットを入手しておりまして、楽しみにしていたのですが、経済的な問題で来日できず。 それ以来、チャンスを伺っていたのですがねえ・・・。やっと今回、聴くことが出来ました。

会場は東京文化会館 2017年5月以来の2回目。本当に歴史と伝統のホール。いいですよねえ。 しかし、座席は狭く、トイレも混む、音響はドライ気味というところもあるのですが。 観客は満員。シベリウス後期交響曲というマニアックなプログラムでも待ってましたと大勢の客。 はやり首都圏のクラシックファンは凄い!

5番の後休憩が入り6番、7番と演奏。この順番でシベリウスの考え、意図も幾ばかりか理解できるのでは・・と。 コンマスは矢部さんです。 さて5番!冒頭のホルンの柔らかさからシベリウスの世界へ。しかし、金管が不安定なところも散見されました。 さらにヴァンスカ氏の特徴「超・弱音」も健在。これを無ければヴァンスカじゃない! 低弦重視の音作り。そして圧巻は3楽章。もう渾然一体となった音で完璧で鳥肌もの。 そして極めつけは最後の6音。一つ一つの間を十分にとり、「これだこれ!」と。(当然、フライング拍手もありません) 演奏後の休憩時は放心状態。

さーて当方大好きな6番。冒頭のヴァイオリンの透明感、清涼感を期待していましたが、 やや物足りず(都響ならもっとやれたはず)。全体的には良い演奏ではありました。 私の好み的には4楽章はもっともっとゆったり演奏して欲しかった。 (当方の理想はベルグルンド&ヘルシンキフィル) また演奏後の静寂が良かった。

そして、一呼吸おいて7番。シベリウスの集大成。 CDも含めて今まで聴いた7番の中で最高、秀逸の演奏となりました。 前半の音の「優しいこと、温かいこと」。こんな優しさ溢れるシベリウスは初めて聴き、味わった感覚でした。 トロンボーンも音が会場に響き渡り神々しくものでした。 このまま、この演奏が永遠に続いてくれーと。最後のフルートソロのところでマジでこう思いました。 最後の音が会場に染み込むように消えていき、長めの静寂!最高でした。 大拍手。拍手は続き、楽員がステージから去ったあともつづき、ヴァンスカ氏のみが出て来て 解散となりました。

5番、6番、7番とヴァンスカ指揮で聴くことが出来てホント良かった。 これは思い出に残る演奏会となりました。


2023.10.21

高関健指揮 NHK交響楽団

曲目

ニルセン:アラジン組曲 「祝祭行進曲」「ヒンドューの踊り」「イスファハンの市場」「黒人の踊り」

シベリウス:交響曲第2番

[感想記]

NHK交響楽団1993回定期演奏会は当初、指揮者にヘルベルト・ブロムシュテット氏にて演奏される予定でした。 ブロムシュテット氏はご存知の通り御年96歳 現役最高齢指揮者です。 ですので、私も本チケットを購入した時にはブロムシュテット氏のCDは多く持っているものの一度も生演奏を聴いたことが無いので もう年齢のこともあり、チャンスはそう多くないだろうと購入しました。 そして無事、来日されればいいなあと

しかし、ドクターストップにより来日はかなわず、先週のAプログラムは中止に! さて、残されたCプログラム、Bプログラムはどうなるのだろうかと思っておりましたが、Aプロと違って時間の余裕もあり、 代役指揮者を立ててくるのではと思っておりました。

結果、Cプログラムは高関健氏、Bプログラムは尾高忠明氏と・・。 日本人の一流指揮者を上手く代役をお願い出来たとは凄いことと感心です。 そして、今回のCプロは私の尊敬する日本人指揮者高関健氏と願ってもない代役で満足です。 高関氏のシベリウス2番どのような演奏か?

Cプロは休憩無しの演奏会。 コンサートマスターは篠崎氏(マロ)です。 最初の曲はニルセンのアラジン組曲。まあ中東風?オリエンタル風?の曲で 第一印象はレスピーギの「シバの女王ベルギス」に似ているなあと。 親しみやすい曲で北欧の作曲家ニルセンにこのような曲があったとはまだまだ私も知らないことが多いなあと思います。 そして、引き続き、シベリウス交響曲第2番、どのような解釈で演奏されるのか?楽しみにしておりました。 ややゆったりの着実なテンポ、音も重厚感があり、充実した曲作りで満足しました。 (北欧っぽく寒々しさはありませんでしたが) 各楽器のフレーズ、特に金管の素晴らしいこと。やっぱりN響は上手い!感心しきりでした。

終演後、楽員も高関氏へ感謝の念がヒシヒシと伝わってきました。急な代役を引き受けてくれたことのお礼でしょう。 高関氏のN響との共演は数十年ぶりとのことでもっともっとN響との共演が見たいものです!!


2023.9.30

海老原光指揮 ユニコーン・シンフォニー・オケ ソプラノ:坂井田真実子

曲目

バッハ(エルガー編):幻想曲とフーガ ハ短調

R.シュトラウス:4つの最後の歌

エルガー:交響曲第1番

[感想記]

久しぶりのミューザ川崎シンフォニーホール。9月末にもなって今年初めて! エルガーの交響曲第1番が無性に聴きたくなって・・・・。

ユニコーン・シンフォニー・オーケストラ 第15回定期演奏会 このオーケストラは慶應義塾中等部の卒業生が中心となり2010年に結成されたとのこと。 指揮の海老原氏は当方にとって昨年10月のTAMA21オケ以来(あの時はシベリウス7番にブルックナー8番という大曲の演奏で素晴らしかった)。

総じて楽員が若い(最近の傾向で楽員が若いほどオケのレベルが高い)。 前半の最初の曲、エルガー編曲のバッハ:幻想曲とフーガ。なかなか素晴らしい曲だったということとこのオケのレベルが高い。 弦楽器は不安定なところもなく、ノンストレスで聴けました。 次の曲はR.シュトラウスの4つの最後の曲。有名な曲ではあるのですが、聴いたことがなくyoutubeで予習 (ルチア・ポップ ショルティー&シカゴ響 ソプラノではポップが一番好きなので最高でしたね) ソプラノの坂井田さん、2016年に難病の「視神経脊髄炎」を発症され、一時は下半身不随になるも今では自分の足で歩くことが出来、ステージに復帰。 (もう素晴らしい、感動です) ステージに歩いて登場され、歌うときは座られておりましたが、何とも透き通るような美しい声色。 アンコールも歌って頂き、R.シュトラウスの「4つの歌曲」Morgen 爽やかな曲でした。 今後のさらなるご活躍を!

さて後半はお待ちかねのエルガー交響曲第1番。 当方にとって大好きなこの曲。2007年千葉フィル、2008年尾高忠明指揮&N響、2017年ブルーメンフィル、そして今回4回目となります。 毎回、感動しているんだよねえ。このオケのレベルからすれば感動の演奏に間違い無しと確信しました。

演奏の方は予想通りの文句無しの演奏。素晴らしい完璧の一言! 1楽章の高貴溢れる主題、3楽章の優しさに満ちた演奏、そして4楽章、もうねえ、4楽章は涙が止まりませんでした。 ここぞというところでテンポを落とすんだもの・・・、これは泣けるわ!

そして、この曲では注目点、<Last desk only>の箇所、バッチリ確認出来ました!! いやーこのオケ凄いわ。今後の注目のアマオケですね。 次回演奏会は来年2月みなとみらいホールでブルックナー8番ですよ。このオケなら感動間違い無し!


2023.9.3

佐藤雄一指揮 サンフォニア・ドラマティーク

曲目

マーラー:交響曲第9番

[感想記]

今年3度目のマーラー交響曲第9番、多くのアマオケがこの曲と採り上げてくれて本当に感謝しかない! サンフォニア・ドラマティーク 第14回演奏会。 久しぶり(6年ぶり)のかつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール。 シンフォニーヒルズの玄関にはデカデカとモーツァルトの像。圧倒されます。

演奏曲目はマーラー9番のみ。しかし、プログラムを見て驚いた! 2楽章と3楽章の間に20分の休憩が・・・。当方、十数回このマーラー9番を演奏会で聴いているが、曲の途中に休憩とは初めてである。 (さすがに2楽章が終わって拍手はないよなあ・・)・、どうするんだろうと。 よくある大曲の前のウォーミングアップの曲の演奏もないので、このオケのレベル感がわからないまま1楽章となる。

冒頭からテンポが合わないというか、不安定なところもあり、正直、大丈夫なのか?と最初はヒヤヒヤしましたが、 うーむ、悪くないというか面白い演奏に・・。 というのも「とにかく遅い、遅い」、そして各パートが鮮明に聞こえる! (えっ!ここの箇所、ホルンが低音出してたの?とか、この部分、バックにファゴットがいたんだ・・・とか) そして、打楽器の存在感が半端無かった。

1楽章;32分
2楽章:20分30秒
3楽章:16分30秒
4楽章:26分30秒

バーンスタイン&コンセルトヘボウでも1楽章:29分57秒、2楽章:17分26秒なので、さずがに2楽章の20分超えはビックリ! 4楽章のテンポが一番あるあるのテンポだったかもしれん。 ということでこの遅さは面白かった、新発見ありという「目からウロコのマラ9演奏であった」

正直、チェリビダッケがマラ9を演奏していたら、こんな感じだったかも・・・。

ちなみに懸念の2楽章後ですが、演奏後、ステージが暗転し、その後解散という「うまくやったものだ」と感心。 演奏技量の方ですが、総じてレベルは中の上といったところか、しかし、ソロパートでは緊張からくるのかミスが多かったのは残念。 おそらく練習では上手くいっていたんだろうなあと思いながら、素人ですから緊張するよね! 以上、新発見連続の演奏でした。


2023.7.22

西野宏指揮 赤坂ウインドオ

曲目

スミス:華麗なる舞曲

ヴォーン=ウイリアムズ:グリーンスリーブスによる幻想曲

すぎやまこういち:ドラゴンクエストIII そして伝説へ

バーンズ:交響曲第3番

[感想記]

久しぶりのウインドオーケストラ演奏会。 赤坂ウインドオケ 創立10周年記念演奏会。 当方にとってはもちろんバーンズの交響曲第3番がお目当て!

指揮者の西野氏がステージ上で曲の解説をしながら、演奏会が進みます。 前半の曲、スミス作曲「華麗なる舞曲」を聴いたのですが、「すみだトリフォニーホール」を吹奏楽で使用するのは 残響が多めであまり適さないのかなあとも思いました。 しかし、ソロパートや小編成の演奏の時はやっぱり良い感じでした。 ウインドオケとしてもレベルは高く感じました。

前半プログラムで少し楽しみにしていたのが、「ドラゴンクエストIII」の音楽演奏。 当方にとってドラクエ3は学生時分にやりこんだ記憶があり、マップが世界地図だったということもあり、 大変親しんだゲームです。 演奏される曲がもう懐かしいやら・・・・。冒頭の「ロトのテーマ」でウルウル・・・。 「おおぞらをとぶ」生ハープ、生フルート、生オーボエ 感動も大感動でした。 本当にゲーム音楽というジャンルでは無く純粋に素晴らしい音楽です。 すぎやま先生に感謝です。 あまりにも感動して休憩時間は放心状態でした。

後半はお目当てのバーンズ3番。 バーンズ3番は2019年にトニアウインドオケで聴いて以来の4年ぶりになります。 何度聴いても良い曲です。 本当に素晴らしい演奏でした。やっぱり3楽章、4楽章は感動ですね。

素晴らしい演奏ありがとうございました。 たまたま座った場所が悪かったのか、ご高齢や子供連れがまわりに多い席になり、 特にご高齢は演奏中にガサガサゴソゴソバリバリ・・・と、まあ音楽に集中出来なかったですねえ。 残念でした!


2023.6.25

冨平恭平指揮 ル スコアール管弦楽団

曲目

マルティーヌ:リディツェ追悼

マーラー:交響曲第9番

[感想記]

「ル スコアール管弦楽団」第53回演奏会。当方にとってはお馴染みのアマオケです。 昨年の6月以来(マーラー交響曲7番「夜の歌」)の1年ぶり。 そして今回はマーラー交響曲第9番を演奏するとのことで楽しみにしておりました。 「ル スコアール管弦楽団」のマラ9は今回で2回目とのことですが、この1回目の2006年の演奏会(もう17年前になりますか)ですが、 当方は聴いておりますよ!!

アマオケとは思えないレベルで感心した覚えがあります。第53回演奏会ということで27年も活動が続いているとは素晴らしいことです。 会場はすみだトリフォニーホールです。梅雨の合間の晴天で暑かった!

前半プログラムはマルティーヌの「リディツェの追悼」と約8分あまりの曲。 この作曲者のはマルティーヌを存じ上げず。初めてこのマルティーヌの曲を聴かせてもらいました。 1943年作曲とのこと。響きはかなり当方の好み! 佐村河内氏交響曲1番や伊福部昭氏のような響きが聞かれました。 はやりレベルの高いアマオケと再認識。

後半はご存知のマーラー交響曲第9番。 「ル スコアール管弦楽団」らしくないミスが散見されました。 3楽章、4楽章とかなりのスローテンポ。4楽章は27分くらいあったのでは? このスローテンポは確実に演奏するためにテンポを落としたのではと考えてしまうくらい・・・。 ということでオケからは主張を感じることが出来なかったのは残念。 これだけ厳しくなってしまうのは今までの「ル スコアール管弦楽団」の演奏を聴いて、 もっとやれるはずと思っているからです。

感想としては2楽章は良かった。 3楽章のトランペットソロは最初は完璧でしたが、その後惜しかった。 4楽章の後半の集中力は素晴らしかった。その時の観客の静寂と集中も凄かった!!

今後の演奏会の案内を見ますとかなりのマイナー曲を演奏するみたいです。 このようなプログラムを組めるのも「ル スコアール管弦楽団」ならではでしょうね。


2023.6.16

ジャナンドレア・ノセダ指揮 NHK交響楽団

曲目

ショスタコーヴィチ:交響曲第8番

[感想記]

初めて平日夜のN響演奏会へ。 (正直言うと土曜日のチケットを買うつもりが間違って金曜日の演奏会の方を買ってしまったという・・・。 まあ会社帰りで千葉からのNHKホールまでの交通費が浮いたのは良かったが・・・。) まあコロナ明けで日常に戻っているのか。 原宿までの地下鉄が激混みで辟易してしまった・・・。

平日夜のN響演奏会ということでご存知のとおりNHK-FMで生中継、さらにカメラも多数配置。 (私が思うに中継やカメラは二日目の演奏会の方が演奏精度が上がっていいのでは?といつも思っているのだがねえ)

N響1987回定期演奏会Cプログラム、Cプログラムは60−80分で休憩無しの演奏会形式で 今回は「ショスタコーヴィチ交響曲第8番」の1曲のみである。 最近、ショスタコーヴィチ交響曲三昧となっております。 昨年今年と7番(4回)、10番、11番、そして今回の8番と基本当方が聴きたかった曲はこれで制覇したことになるかなあ。 特に8番、以前は5番の次にショスタコの交響曲でして、まあその影響はアニメ「銀河英雄伝説」によるところが大きいのですが・・・。 直近は7番レニングラード推しとなってしまいましたが。 初8番ということで本当にこの演奏会を楽しみにしておりました。

指揮のジャナンドレア・ノセダ氏。2002年キーロフ歌劇場フィルハーモニー管弦楽団来日演奏会以来の21年ぶりの久しぶりです。 (お互い円熟しましたかなあ) あの時はステージ近くでノセダ氏の唸り、指揮台の音が気になって・・・。 ということで今回のNHKホールでは3階席に陣取りました(笑)。

本公演前に室内楽演奏が弦楽四重奏によるショスタコーヴィチの小品(「エレジー」と「ポルカ」)を聴く。 演奏後、チャロの藤森氏が近々還暦とのことで少々のお祝いを!

コンサートマスターは川崎洋介氏。すみません、全く存じ上げなくて・・・。 マジで凄かったです。大満足の演奏でした。益々、8番が好きになりましたよ。 弦楽器の集中力、金管の音が飛ぶ飛ぶ・・・。3階席でも体に突き刺さりましたよ! 各ソロパートも良かったですねえ。ピッコロ、コーラングレ、トランペット。 当方の大注目の3楽章のトランペットソロ、音が艷やかで感動でした。

感想としてはもっと低弦ゴリゴリかなと思ったら、3階席の影響ですかね。 (NHK-FMで聴くと低弦の重低音の存在感はありました) 3楽章はもうすこし遅いほうが好みかな。しかし、3楽章は興奮で汗が出るわ、息をすることも忘れて聞き入ってしまいました。 恥ずかしながら、この曲は1、2、3楽章で9割は終わった感じで聴いていたのですが、 4、5楽章の魅力も分かった気がします。 5楽章も静かに終わり、この静寂が本当に良かった(やっぱり首都圏の観客はレベルが高い・・) ノセダ氏も大満足のようでした。カーテンコールもあり。これはもう必ずの行事ですかねえ・・・。

2002年の演奏ではチャイコフスキー「悲愴」を演奏したのですが、4楽章後、指揮棒を下ろす前に拍手がなって、 ノセダ氏の残念そうな顔が思い出され、今回はかなりの静寂は当方感動しました。 大満足でNHKホールを後にしました。 ショスタコーヴィチは生演奏に限りますね。

今回は1987回定期演奏会ということでもう少しで2000回。 2000回に何を演奏するのかなあとプログラムを見ると何とやっぱそうだよなあと マーラー交響曲第8番「千人の交響曲」でした。12月かあ。行けたら行きたいなあ。


2023.4.15

沼尻竜典指揮 神奈川フィル

曲目

ショスタコーヴィチ:交響曲第7番「レニングラード」

[感想記]

とにかく素晴らしかった!!

昨年アマオケで3度聴いたこのショスタコーヴィチ「レニングラード」 初めてのプロオケ。先月の高関指揮東京シティフィルのこの演奏会に行けなかったことを悔やんでいた矢先、 神奈川フィルでこの曲を演奏するとのこと!! 嬉しかったなあ。そして沼尻さんと神奈川フィルでは5年前、2018年5月のマーラー交響曲第9番の涙が止まらなかった超名演のコンビとあれば、 期待が膨らむばかり。

みなとみらいホールは昨年改修され、いつかは行きたいなあと思っていました。奇しくも上記のマラ9の演奏会の5年ぶりという。 めちゃくちゃ綺麗でした。(その前は忘れましたが)椅子も床も綺麗綺麗!

指揮の沼尻さんは神奈川フィルの音楽監督なんですね。 今回はプレトークがありました。戦争との関わりやあのアリナミンのCMの話、スネア3つ、バンダの場所なども。 そして弦楽器の編成もフル編成でストバイ16名、セコバイ14名、ビオラ12名、チェロ10名、コントラバス8名とのこと。 これがフル弦楽器編成なんですねえ。 この演奏はショスタコーヴィチが指揮し演奏したものも無く、 自由な解釈で演奏するとのこと(一方、リヒャルト=シュトラウスの場合は指揮の自作自演もあり、それに影響されてしまうと)。

楽員の登場後、コンサートマスターの石田組長(石田泰尚さん)登場で一層の大きな拍手。 石田組長は5年前のマラ9の時もコンマスでしたので、演奏を聴くのは当方は2回目になりますかね。

冒頭の響きからやられました。 もうこれぞ、プロオケだなあと調和された渾然一体の心を打つ響き。もう冒頭からウルウルでした。 スネアのリズム、ハッキリと主張されグー!もう感涙と興奮で手に汗握ったのか、もう汗が・・・。 興奮と疲れた1楽章でした。

2、3楽章の弦楽器の素晴らしいこと。この曲の真髄を肌で感じた気がします。 終楽章もパワー溢れる演奏でこの超大曲の最後まで緊張を切らさず、演奏されたと感心しました。 感動しっぱなしと堪能した「レニングラード」でした。 やっぱりこの曲はいいなあ。昨年ドハマりした甲斐があったってもんです。 ここまで完成度の高い演奏を聴けて最高です。

演奏後は「ブラボーと大拍手」。コロナ前に戻った感じがまたいいね! 木管、金管、打楽器と一人一人を称え、拍手。楽員同士の仲の良さが垣間見られます。 いい雰囲気だなあ神奈川フィル。これが良い演奏の源かもね。 そして、楽員も指揮の沼尻さんに拍手。終始、コンマスの石田さんも拍手されていたのが、本当にオケと指揮者で良い関係を築かれているのだなあと!

楽員がステージからいなくなっても拍手は続き、ついに指揮の沼尻さんとコンマスの石田さんが登場。 ホント、ずーっと拍手し続けたい演奏でした。ブラボー!! 大満足の演奏会でした。神奈川フィル追っかけてみようかなあ・・・・。


2023.4.9

前田淳指揮 渋谷交響楽団

曲目

サン=サーンス:歌劇「サムソンとデリラ」よりバッカナール

リヒャルト・シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」

チャイコフスキー:交響曲第4番

[感想記]

渋谷区在住を中心としたメンバーで構成される渋谷交響楽団第74回定期演奏会へ行ってきました。 東京23区全てかどうかわかりませんが、多くの地元密着のオーケストラがあるというのは素晴らしいことです。

会場は多くの観客が来られていました。 楽員の年齢層も幅広く感じられました。 前半の演奏曲目は派手めの華やかな曲目ですが、本当にレベルの高い演奏を聴かせてくれました。

そして後半はメイン曲 チャイコフスキー交響曲第4番。 この曲、たまに妙に聴きたくなる曲ですよねえ。 素晴らしい演奏でした。特に金管のレベルの高いこと高いこと。 弦楽器はやや濁るところもありましたが、基本的には問題無い良い演奏でした。 しかし、いつ聴いてもチャイコフスキーのファゴットの使い方が上手いなあと感心させられますねえ。 このチャイ4、特に3楽章は生演奏に限ります。ピチカートの音の弾みが体感出来ます。

アンコールではマスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲。 あかんでしょう、この曲をアンコールに持ってきては・・・。 やられました、やはり落涙・・・・。美しさに感動! 余韻に浸りながら開場をあとにすることが出来ました。


2023.3.25

和久井仁指揮 西日本医科学生オケ

曲目

ドボルザーク:序曲「謝肉祭」

チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」

ラフマニノフ:交響曲第2番

[感想記]

このコンサートの感想の前に3月17日北九州ソレイユホールにて行われた「パイプオルガンコンサート」について。 このコンサートはワンコイン500円で平日のランチタイムの開催されております。 ソレイユホールと言えば、パイプオルガン。3200本ものパイプがあるとのこと。 オルガニストの稲穂美奈子さんよりいろいろレクチャーがあり、楽しかった。 パイプオルガンの中心にソレイユホールのエンブレムがあるのですが、これは単なる飾りかと思いきやこれは回りベルが鳴るのは面白かった。 演奏会ではパイプオルガンの演奏があったり、パイプオルガンを伴奏に声楽家の方が歌ったりと良い演奏会でした。 なかなか平日の昼間ということで行けませんが、何とか都合をつけて行きたいものです。

アマオケのスケジュールのサイトを見ていると3月27日ソレイユホールにて演奏会が開かれるとのこと。 なかなか北九州市でアマオケの演奏会というのは頻繁にあるわけもなく、非常に楽しみにしておりました。 演奏曲目も! しかし、観客も多いものではなく、もう少し宣伝があればなあと思いました。

この西日本医科学生オケは西日本の大学の医学系学部に所属する学生たちによって構成されたオーケストラで 年1回で演奏会を開いているようです。 今回は北九州での開催ということで北九州市の産業医科大学の学生が中心となっているようです。

演奏会の初めに指揮者の変更のお知らせが当初の中田延亮氏に代わり、前半プログラムは川島秀夫氏、後半プログラムは和久井仁氏とのこと。 最初の曲、ドボルザーク「謝肉祭」を聴くにかなりレベルが高いオケだというのがわかる。 あるときはプロオケかと思わせるほどの演奏でした。 二曲目のチャイコフスキー「ロメオとジュリエット」これは練習不足ですかねえ。不安定なところも散見されました。

後半プログラムはお待ちかねのラフマニノフ交響曲第2番。 素晴らしい演奏でしたねえ。まあソロパートでは厳しいところもありましたが、全体的に良い演奏で感動しました。 まあ例のごとく3楽章は泣きっぱなしでした。12分くらいで結構、速いテンポでしたねえ。 4楽章はホント素晴らしかった。 特に弦楽器の音色が良かった。 アンコールでは仮装やパフォーマンス有りでビゼーのアルルの女から「ファランドール」で大盛り上がりでした。 大満足の演奏会でした。 学生の皆さんの演奏で元気をもらいました。そして、勉学に頑張ってください。


2023.2.23

宮川彬良指揮 九州交響楽団 ヴァイオリン:篠崎史紀 ピアノ:宮川知子 ソプラノ:林美智子

曲目

宮川泰:組曲「宇宙戦艦ヤマト」

羽田健太郎:交響曲「宇宙戦艦ヤマト」

[感想記]

ついに念願が叶いました。九州交響楽団の演奏会プログラムが発表されてから、この2月23日の演奏会は必ず行かねばなるまいと思っておりました。

<宮川泰×羽田健太郎 二人の宇宙戦艦ヤマト>と銘打たれ今回の演奏会。 そして指揮が宇宙戦艦ヤマト2199、2202など新シリーズの作曲もされている宮川泰さんのご子息宮川彬良さんという絶対に聴き逃せないプログラムです。 ソリストとしてバイオリン:マロこと篠崎史紀氏、ピアノ:宮川彬良さんの娘さん宮川知子、スキャットにソプラノの林美智子さんという豪華なメンバーです。

私にとって久しぶりのアクロス福岡。2019年3月の福教大管弦楽団以来となります。そのあいだにアクロス福岡シンフォニーホールはリニューアルしたとのこと。 いつ来てもいいホールですなあ・・・。確かに本演奏会、福岡シンフォニーホールリニューアル記念とありますなあ。

会場はクラシックファンのみならず宇宙戦艦ヤマトを愛する方々で熱気ムンムン!! ロビーでは組曲「宇宙戦艦ヤマト」、交響曲「宇宙戦艦ヤマト」のスコアが販売。凄い列で諦めました。 その他、「宇宙戦艦ヤマト」の数々のCDが販売。これは当方も見ましたが、旧シリーズ、新シリーズのCDが並んでおりましたが、 ほとんど当方は所有しておりました!

前半最初のプログラムは「宮川彬良&篠崎史紀トーク・ショー」と楽しそうな企画。 しかし、最初の話題は先日、お亡くなりになられた松本零士先生の話題。 マロさんは松本先生ゆかりの北九州市出身ですから・・・。あと宮川さんも松本先生とトークショーを行ったとのこと。 その後は子供のころ見たテレビについて、ウルトラマン、ウルトラセブンと話題とともにその音楽をピアノとバイオリンで・・。 いやー楽しい楽しい。その後、サンダーバードの音楽も! 最後に「美しい大海を渡る」を演奏。ここで当方はすでに涙腺崩壊です・・・。

そして、組曲「宇宙戦艦ヤマト」 1:序曲、2:宇宙戦艦ヤマト、3:イスカンダル、4:出撃、5:大きなる愛。 もうねえ素晴らしいの一言ですよ。プロオケで宮川彬良さんの指揮で・・・。 感動しかない。夢叶う!!特に<イスカンダル>これは小学校の時に初めて好きになったオーケストラ曲かもしれません。 最高でした。

後半プログラムは羽田健太郎作曲の交響曲「宇宙戦艦ヤマト」 この曲も壮大な曲です。良かったです。 当方的には2018年8月のCD発売されているミューザ川崎 大友直人指揮 東京交響楽団 ピアノ:横山幸雄 ヴァイオリン:大谷康子の演奏の方が 素晴らしかったです。

アンコールがねえ。もう泣かせますよ!<真っ赤なスカーフ>を演奏。 みんな大感動でしたねえ。 演奏が終わっても拍手はなり止まず、楽員がステージからいなくなっても拍手は続き、宮川彬良さん、マロさんなどがカーテンコールに応えて終演となりました。

この宇宙戦艦ヤマト演奏会。九州交響楽団の名物演奏会にしてもらいたいものです。 次は「白色彗星」を聴きたいので是非ともパイプオルガンのある北九州ソレイユホールでお願い致します!!


2023.1.22

森口真司指揮 フライハイト響

曲目

バッハ(シェーンベルク編曲):前奏曲とフーガ変ホ長調「聖アン」

マーラー:交響曲第9番

[感想記]

今週もまたまた「錦糸町」へやってまいりました。 今回は“すみだトリフォニーホール”へ。

指揮森口真司氏 フライハイト交響楽団 第50回記念演奏会。 フライハイト響は1996年、東京都内及び近郊の大学オーケストラの学生、卒業生によって結成されたとのこと。 27年もの歴史と今回、第50回の記念演奏会。おめでとうございます!

このフライハイト響の1996年7月の第1回定期演奏会の演奏曲目がマーラー交響曲第9番という最高としか言い様のないオケです。 当時から技術レベルは高かったのだと思います。 そして今回、50回演奏会ということで再びマーラー交響曲第9番を取り上げたとのこと。

前半の曲、バッハ(シェーンベルク編曲)前奏曲とフーガ変ホ長調「聖アン」 バッハの曲と思いきや!シェーンベルクの編曲ということ色彩豊かな曲でした。

さてお待ちかねのマーラー交響曲第9番 昨年3月の高関健指揮東京シティフィル以来となります。 しかし、この曲の前は何故か聴く方も緊張してしまいます。

オケの配置が対向配置となっております。 演奏時間は1楽章:27分、2楽章:17分:3楽章:13分、4楽章:23分でした。 アマオケでありながら技術的に素晴らしい演奏でした。 各パートの演奏表現も一音一音丁寧に演奏しており、感銘を受けました。

まあところどころソロパートでは不安定なところもありましたが、 極度の緊張を考えれば合格レベルと思います。

特に3楽章は素晴らしかったですねえ。特に弦楽器! 完璧だったのではないでしょうか。 最後のアップテンポも問題なく演奏してました。

終楽章の前半、やや速めのテンポでこれは21分くらいかなあと思っていたのですが、 後半テンポを落とし、23分の演奏時間でした。 やはり落涙してしまいました。(今年の初落涙!) 少しの静寂の後、大拍手。 アマオケでここまでのマラ9を聴ければ言うことはありません。 ありがとうございます!

大満足でトリフォニーホールを後にしました!


2023.1.14

スティーブン・孝之・シャレット指揮 オーケストラ・ルゼル

曲目

シベリウス:交響曲第6番

ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」

[感想記]

今年2023年が始まりました。今年も素晴らしい、感動的な、落涙、号泣、放心状態演奏に出会えますように!!

早速、今年一発目の演奏会へ行ってきました。 場所は「ティアラこうとう」公園に面した大好きなホールです。

昨年の一発目の演奏会曲目は「シベ7」と「ブル6」と渋い曲がらスタートしましたが、 今年は「シベ6」と「ブル4”ロマンティック”」と当方にとっては大好きな慣れしたんだ曲でスタート。

オーケストラ・ルゼル第27回定期演奏会へ行ってきました。 オーケストラ・ルゼルは電気通信大学管弦楽団OB、OGを中心に結成されたとのこと。

「シベ6」と「ブル4”ロマンティック”」 アマオケにとっては難曲ですが、なかなか健闘した演奏を聴くことが出来ました。

まあ金管や弦楽器など完璧とは行きませんでしたが、アマオケのレベルとしては中程度の技量をもったオケと思いました。 年2回演奏会を行っているとのこと。引き続き応援したいオケですね。


2022年

2022.12.24

小泉和裕指揮  九州交響楽団 ソプラノ:並河寿美 アルト:清水華澄 テノール:望月哲也 バリトン:山下浩司 北九州フロイデコール

曲目

ベートーベン:交響曲第9番「合唱付き」

[感想記]

今年も締めのコンサートはソレイユホールでの九響の第九。 無事に年末にこの曲を聴けるとは幸せなことです。

今年の指揮は九響音楽監督小泉和裕氏。 ソレイユホールの開演5分前のパイプオルガンの音色、いつ聴いてもいいものですねえ。

九響の弦楽器、音が真綿に包まれたように柔らかくていいですね。 やはり4楽章で号泣。 今年も良い演奏を聴き締めくくることが出来ました!

来年も良い演奏会に恵まれますように!


2022.12.18

水戸博之指揮 オルケストル デ ベル

曲目

チャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」よりポロネーズ

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲

チャイコフスキー:交響曲第5番

[感想記]

今年も終わりに近づいてきましたなあ。 おそらく今年の首都圏でのコンサート鑑賞もこれが最後になりそうです。

最後は大好きな曲を聴きたい。 それもマーラー、ブルックナー、シベリウス、ショスタコーヴィチではなく、 「初心に還って心から音楽って本当にいいもんだなあ」と思える曲を!!

ということでミューザ川崎へ“オルケストル デ ベル”第6回定期演奏会へ。 “オルケストル デ ベル”は指揮者の水戸博之氏に指揮していただけるオケを作りたいということで2017年に結成とのこと。

オール・チャイコフスキー・プログラムです。 最初はウォーミングアップ曲ということで歌劇「エフゲニー・オネーギン」よりポロネーズ。 先日、九響で聴いたばかりではないか・・・。 大体、最初の曲でオケのレベルがわかるものだが、「マジでこのオケは上手い!」

次はヴァイオリン協奏曲、ソリストはあの奥村愛さん! 奥村愛さんは2004年1月の広島交響楽団 新春コンサート シンフォニア岩国でお聴きして以来の何と約19年ぶり。 いやーー、私は老けた中年おやじになってしまいましたが、奥村さんはホントお変わりなくお美しい! 演奏の方はややミスもありましたが、大人しいの演奏でオケ側も抑制した感じでした。 しかし、久しぶりにお会い出来て嬉しかったなあ・・・。

さてお待ちかねの交響曲第5番 (高校時分はナンバー1交響曲と思っていました。マーラー交響曲9番には抜かれましたが、本当に大切な曲です)。 本当にこの曲は素晴らしい曲です。もうチャイコフスキーには作曲してくれてありがとうですわ! 冒頭のクラリネットからもう引き込まれる引き込まれる。 このチャイ5の音に体が包まれているというだけでも幸せです。 オケの上手さもあって、幸せなひとときをおくれました。 すべてのパート(弦、木管、金管、打楽器)で水準以上のレベルでした。 ただし、やはり2楽章のホルンは難しいよねえ。プレッシャーも相当なものだと思います。 4楽章では涙腺崩壊してしまいましたわ。 いやー、またまた素晴らしいアマオケに出会ってしまった。 “オルケストル デ ベル”注目です。


2022.11.13

井上道義指揮 NHK交響楽団

曲目

伊福部昭:シンフォニア・タプカーラ

ショスタコーヴィチ:交響曲第10番

[感想記]

いやー超・久しぶりだなあ。NHKホール! 2021年3月から今年7月まで改修工事を実施しており、改修後のNHKホールへ。 とは言っても正直14年ぶりです(2008年の尾高忠明指揮N響でエルガー交響曲1番以来)。 まさか、ここまで間隔が空くとは夢にも思わず(笑)。

紅白歌合戦で有名なNHKホール、座席数は3601名。(ちなみに東京国際フォーラムホールA:5012名) 久しぶりなのでホール内を1階から3階といろいろ探訪。3階の奥でもステージからそんなに離れている感じはしません。 相変わらずトイレは少ないなあ。休憩中、列が出来ておりました。

そして指揮は井上道義(ミッキー)氏。今日のプログラムはミッキーの十八番、伊福部昭とショスタコーヴィチ。 ミッキーの指揮は2016年7月ミューザ川崎での東京交響楽団との伝説のオール伊福部昭プログラム「協奏四題」以来。 CD化されており、当然、当方も所有しております。 あの時の興奮は今でも覚えております。 そして、ついに井上氏の「シンフォニア・タプカーラ」を聴くことが出来る。 ショスタコーヴィチは交響曲第10番。最近、演奏会で7番や11番を聴くことが出来ましたが、 まさか10番もとは!まだまだ10番は当方の手中に収めていませんねえ。 しかし、楽しみです。

N響は2日間公演でNHK-FMでも生中継されるので初日土曜日の演奏の模様はFMで聴いておりました。 何と解説は吉松隆氏。嬉しいかったなあ。 正直、このチケットを購入してよかったなあと。当方の選択に間違いは無かったと。 唯一、「シンフォニア・タプカーラ」3楽章の途中でややズレが見られたことか・・。 しかし、必ず修正してくるだろうと!

前半のプログラム「シンフォニア・タプカーラ」 冒頭から存在感満載の弦楽器。もうねえ、すべてが完璧。 2楽章はやや速めのテンポで流れていきますが、伊福部昭の緩楽章はホント染みます。 そして3楽章、ここもアップテンポで推進していきますが、 全く崩れていない。さすが、昨日の修正をしてきました。 後半は放心状態でついには涙腺崩壊! そして、驚きは最後の音がなったあと、N響楽員が総立ち!!! ミッキーが事前に指示したようですが、こんな熱いN響、はじめて観ました。 感動でした。

後半のプログラムはショスタコーヴィチ交響曲第10番。 もうねえ、素晴らしいの一言。 真摯に向き合うN響メンバー、全くて抜くことのない演奏。 1音1音に感心しきりでした。 1楽章はやや抑制した感じでしたが、2楽章ではいきなりの大音量。 4楽章の最後もノリノリでしたなあ。

今回で6回目のN響の演奏会なんですが、 正直言うとあまりN響に良いイメージが無くて・・・。 地方に住んでいた時に来た地方公演での演奏がとりあえず上手くまとめました、最後に盛り上げてという演奏が多く、 手抜きとは思わないのですが、イマイチ感があって・・。 一方、地方公演での都響や読響は本当にベストを尽くした感動の演奏があって、 それで都響が大好きになった要因でもあるのですが。 しかし、今回はやっと?本気のN響の演奏を堪能出来た感じがします。 本当にN響は凄いとしか言い様が無かった。

今回の演奏は是非、CD化して欲しいなあ。 もともとショスタコーヴィチの方は予定があるそうなのですが(ステージ上にマイクも立っていましたし)、 「シンフォニア・タプカーラ」の方もお願い致します。 このような本気のN響が聴けるならNHKホール通いの頻度を増やそうかなあと


2022.10.30

川合良一指揮 東京理科大学管弦楽団

曲目

ワーグナー:「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第一幕の前奏曲

チャイコフスキー:バレエ組曲「眠れる森の美女」

ブラームス:交響曲第4番

[感想記]

4年ぶりの千葉県文化会館へ。 本当に大好きなホールでして、エントランス、広いロビー、落ち着いた雰囲気のホール、残響もあり良いホールです。 開場まで時間もあったので隣の千葉市立郷土博物館(千葉城)へ行き、千葉常胤について勉強。 まさにNHK大河ドラマ”鎌倉殿の13人”にも登場する人物。前にも来たことがあったのですが、すべてが興味深く資料を拝見しておりました。

東京理科大学管弦楽団は2017年の東京文化会館での記念演奏会以来となります。 大学オケの演奏会も久しぶりになります。第63回定期演奏会です。

前半プログラムで最初はワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第一幕の前奏曲。 この曲はホント、時折聴きたくなる曲ですね。素晴らしい演奏でした。思わずウルウルしてしまいました。 続いてチャイコフスキー:バレエ組曲「眠れる森の美女」 若干、練習不足かなあというところが見受けられました。音を出すので精一杯という感じでしたが、 後半は良くなってきました。

後半はメインプログラムのブラームス交響曲4番。 この曲、アマオケでは結構難しいのかなあというイメージがあります。 各パートが重要かつ音のバランスも大事な曲。 木管パートで不安定なところもありましたが、頑張りました。 弦楽器は良かったです。 私的にはファゴット奏者にあっぱれ!でした。 やはり大学オケは代替わりもあり、レベルを保つのも大変だろうなあと思いながら、聴いておりました。 しかし、学生がひたむきに音楽に取り組む姿には応援しかありませんね。


2022.10.23

海老原光指揮 TAMA21交響楽団

曲目

シベリウス:交響曲第7番

ブルックナー:交響曲第8番

[感想記]

またまたミューザ川崎シンフォニーホールへ。 TAMA21交響楽団 第28回定期演奏会。このTAMA21オケ、多摩地区の東京移管100週年記念イベントに結成されたオーケストラを 前身とするとのこと。普段は多摩地区を中心に活動されていると思われますが、今回はミューザ川崎での定期演奏会とのことで 私もなかなか多摩地区までは足を運ぶことが容易では無かったので、今回はラッキーでした。

そして、採り上げる曲目が凄い。前半がシベリウス交響曲第7番、後半がブルックナー交響曲第8番と これはかなりのレベルがあるオケじゃないと厳しいものがあると思います。

特にアマオケでのブルックナーというのが、今まで多くを聴いてきましたが、 アマオケにとってはかなりの鬼門だなあという印象があります。 音をシンプルに重ねていく曲が多いので各パートの完成度が試されます。

まずは前半のシベ7でのオケの実力を・・・。 いやーー素晴らしい。弦楽器、木管、金管、打楽器、各々のパートのレベルの高さが伺えました。 解釈としては暖色系のシベリウスでした。 さらに指揮の海老原氏の強弱、緩急の指示に応え、表現もされており、これはなかなかの実力のアマオケだなあと。

後半の超大曲、ブルックナー交響曲第8番。 80分を超える大曲。緊張感を持って演奏が続けられるのか。 聴衆側も気合を入れて心して聴かなければ・・・。

十二分の合格点の演奏でした。アマオケでは最高峰の演奏ではなかったでしょうか。 各パートのバランスも良く、特に3楽章ではウルウルきてしまいました。 終楽章も最後までやりきりました。 久しぶりのブル8を堪能することが出来ました。

マーラーやショスタコーヴィチはこっちがじっとしてても音が勝手に体に入ってくる感じですが、 ブルックナーはこちらから音を取りにいく感じじゃないと ボケーっと聴いていては音が右から左に抜けていくと感じており、 私も80分超、音に集中し疲れました。 しかし、良い演奏で、疲れたのか終演後、久しぶりの放心状態でしたわ!


2022.10.8

田部井剛指揮 ザッツ管弦楽団

曲目

チャイコフスキー:幻想序曲「ロミオとジュリエット」

ショスタコーヴィチ:交響曲第7番「レニングラード」

[感想記]

さーて、今週もショスタコーヴィチ交響曲第7番「レニングラード」に浸ってきました。 2週連続、演奏会で生レニングラードを聴くことが出来ました。 アマオケで積極的に取り上げられいるようで「レニングラード」ブームですか? 当方もすっかりブームですが・・・。

ザッツ管弦楽団第20回定期演奏会。 ザッツ管弦楽団は年一での演奏会ですので、今回は晴れて20周年記念! このオケは昨年、聴かせて頂きました。前半プロがサン=サーンス「オルガン付き」、後半プロがマーラー「巨人」と とんでも無い組み合わせで魅了されました。 ということで今回の「レニングラード」も大期待といったところ。

前半プログラムはチャイコフスキーの幻想序曲「ロミオとジュリエット」 この曲の何とも言えない響きにハマったことが大学時代あったなあと思い出した次第! 単なる甘ったるさとも違い、チャイコフスキーの交響曲のテーストとも違う。 この曲でのチャイコフスキー自身、次元がワンランク上がったような感じを持っております。 演奏の方ですが、実にテンポを刻んだ着実な演奏でした。 まあ技量は申し分無しです。

後半はお待ちかねの「レニングラード」 冒頭から良い感じで進み、ややところどころソロパートで不安定さが露呈。 そして、スネアが演奏開始。なかなか良い出だしであったが、ここで何故か音量を落とす。 これでスネアの音が他の楽器に埋もれ、全く聴こえない状況に。 さすがにこれは・・・・??。 途中からスネア2名体制になるのだが、ここできちんと音が届くようになった。 いやーー、誠に残念であった。

3、4楽章は完璧だったなあ。 やはりこのオケは弦楽器が上手すぎる。安定しているし、音も綺麗。 木管のソロは各々表情豊かな演奏で感服致しました。 金管も安定してきたことが良かった。 大音量に終了。拍手喝采でした。

20周年ということでアンコールがあり、 ムソルグスキーの「展覧会の絵」よりバーバ・ヤガー後半部とキーウ(キエフ)の大門を演奏。 良かったです。

昨年の時も書いたが、このオケの弦楽器の良さを表現するために是非、マーラー交響曲第9番をお願いしたいねえ。 あと指揮の田部井氏、飛び跳ね系指揮なので結構、指揮台から音がしておりましたねえ(苦笑い)


2022.10.2

森口真司指揮 オーケストラハモン

曲目

ショスタコーヴィチ:祝典序曲

ショスタコーヴィチ:劇付随音楽「ハムレット」組曲抜粋

ショスタコーヴィチ:交響曲第7番「レニングラード」

[感想記]

オーケストラハモン第45回定期演奏会へ行ってきました。 これでオーケストラハモンは7回目になりました。 安定した技量のあるアマオケですので安心して音楽に浸ることが出来ます。

今回の演奏会はオール・ショスタコーヴィチ・プログラムであり、 交響曲は第7番「レニングラード」を採り上げるという・・・。(5番では無いというのもいいね)

今年はショスタコーヴィチ交響曲7番「レニングラード」にハマっており、 ハモンが演奏してくれるということで嬉しい限り!

前半のプログラムは「祝典序曲」と「ハムレット」組曲という本当に聴きやすいポピュラー仕立ての曲です。 ショスタコーヴィチもこういう曲も作曲できるということをもっと演奏会で採り上げてくれればと思います。

さーて。お待ちかねの「レニングラード」 冒頭からアンサンブルが素晴らしい。各パートが突出することもなく、お互いのバランスを取りながらの演奏。 響きの良さ。一見、抑え気味かなあと思いましたが、例の有名な「戦争の主題」からは徐々に徐々に音量を高め、 最後は大爆音!!圧倒、興奮しました。おもわず落涙! このオケの凄いところは2−4楽章も緩むことなく精度高い演奏を聴かせてくれました。 (2楽章の良さを認識させられました)一切の不安点も無し。 素晴らしかったとしか言うしかありません。ブラボー!!

ますます充実著しい「オーケストラハモン」さらに大注目ですよ。 次回の演奏会はブルックナー交響曲第9番とのことです!!


2022.9.24

現田茂夫指揮 九州交響楽団 ピアノ 谷昂登

曲目

チャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」よりポロネーズ

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番

ムソルグスキー:交響詩「禿山の一夜」

チャイコフスキー:イタリア奇想曲

[感想記]

北九州芸術劇場での九響の第73回北九州定期演奏会へ。 昨年の第九以来の九響演奏会。

指揮は現田茂夫氏。 なかなか現田さんの指揮を聴くタイミングが無かったのが不思議なくらいですが、 やっと聴く機会がきました。

今回のゲストコンマス(コンミス)は塩貝みつるさん。 ドイツと日本で演奏活動されているんですね。

前回の北九州芸術劇場での北九州グランフィル演奏会では1階で聴いたのですが、 かなり音がドライでイマイチ感があったのですが、 今回は全く期待せずに3階で聴いた。 これがこれが3階になるとうまい具合に音が調和し、なおかつダイレクトに響くものもあり、 良かったですよ!北九州芸術劇場の3階!

演奏の方ですが、やはり今回の大注目は 地元北九州出身のピアニスト谷昂登君。 何と言っても昨年の日本音楽コンクール 第1位&聴衆賞と今一番の注目若手ピアニスト!! ホント、北九州というところは昔は「芸術の不毛地帯」という言葉を聴いたこともあるが、 今は全くそんなことはありませんねえ。

チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番 谷君の技術、パワー、表現力・・・、すべてをとってもモノが違うと感心しきりでした。 本当に素晴らしいピアノでした。ここまで感動したのは「エレーヌ・グリモーの演奏」以来か・・という感じでした。 いい演奏を聴かせて頂きました。 アンコールではストラヴィンスキー「火の鳥」を演奏。これも圧巻でした。

後半の曲では「禿山の一夜」がかなりのスロー演奏で じっくりと聴かせる演奏で当方の好みだったなあ。 木管陣の響きも良かった。 「イタリア奇想曲」も金管が充実していました。 アンコールではチャイコフスキーの「アンダンテ・カンタービレ」で弦楽器を堪能し、 お開きとなりました。


2022.8.27

横島勝人指揮 アンサンブル新百合ヶ丘 ナビゲーター:宇都宮直高 合唱:ヨハネパッション・コーア

曲目

バッハ:ヨハネ受難曲

[感想記]

ついに念願の「ヨハネ受難曲」を聴くことができた。 場所はくにたち市民芸術小ホールとJR国立駅から徒歩20分。 初めて国立駅で降りたが、本当に学園文教の街である。 特に一橋大学が大通りの両側にあり、圧巻であった。 建物も歴史的な趣きで素晴らしいものであった。 (当方も国立大学に通ったのだが、同じ国立大学とは思えないかんじであった。 当方は高校の校舎に毛が生えたような味も素っ気も無い建物だったので・・)

初めて聴く「ヨハネ受難曲」ではあったが、かなり変則的な構成の「ヨハネ受難曲」ではあった。

合唱団による<コラール>と声楽ソロによる<アリア>は演奏し、 福音史家とイエスの箇所はナビゲーターの宇都宮さんに日本語で語ってもらうというもの。 このため初めてヨハネを聴いた方でも内容は理解出来るものとなっていた。 これはこれでかなり面白い試みと思った。

はくにたち市民芸術小ホールは収容数百人のこじんまりとしたホール。 小編成のオーケストラはオーケストラピットから演奏するものであった。 ナビゲーターの宇都宮さんだが、ステージ右に位置していた。 この宇都宮さんは劇団四季のメンバーとのことで素晴らしい声であった。

合唱団もオーケストラもアマチュアということであったが、「ヨハネ受難曲」の良さを堪能することは出来た。 要所要所の<アリア>はプロ声楽家でレベルは申し分ないものであった。

今年は「マタイ受難曲」に「ヨハネ受難曲」と堪能することが出来た年となった。 次回はフルバージョンの「ヨハネ受難曲」を聴いてみたいものである。


2022.8.7

斎藤友香理指揮 北九州グランフィル

曲目

モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番(第3楽章) 

シューマン:ピアノ協奏曲 

モーツァルト:交響曲第25番 

モーツァルト:交響曲第40番 

[感想記]

北九州の誇るクラシック音楽専用ホール「北九州市立響ホール」 2014年以来の約8年ぶりになります。収容人数720名の中規模ホールです。 やはり音響が素晴らしいですね。 先日の北九州芸術劇場はかなりドライな音響でしたので、 本音を言えば、1500名程度のクラシック専用ホールが北九州にあれば本当に嬉しいのですが、 クラシック音楽の演奏会の稼働率を考えればこの中規模のホールの方がいいのでしょう。

オケは北九州グランフィル。 指揮は斎藤友香理さん。最近は日本での女性指揮者の活躍はめざましいものです。 斉藤さんは2015年にブザンソン国際指揮者コンクールにて聴衆賞とオーケストラ賞を同時受賞とのこと。 現在、ドレスデン在住とのこと。これから注目の指揮者ですね。

本日はモーツァルトとシューマンとかなり小編成のオーケストラとなっております。 ピアニストの新井君と橋本さんと初々しい演奏でした。 今後の活躍に期待です。

後半はモーツァルトの交響曲を2曲。25番と40番、モーツァルト交響曲41曲中の短調の曲2曲というプログラム。 モーツァルトをほとんど聴かない当方ですが、特に25番のオーケストラ編成を見てビックリ。 フルート、クラリネットがいない、さらに25番、40番ともティンパニーがいない。 いやー考えられない編成ですね。

たまにはモーツァルトもいいものです。


2022.7.24

金子健志指揮 千葉フィル

曲目

ムソルグスキー:交響詩「禿山の一夜」(原典版) 

ボロディン:歌劇イーゴリ公「ダッタン人の踊り」 

ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(コーストヴェット版) 

[感想記]

昨日に続き、演奏会に行ってきました。 基本的には土日のうち1日は演奏会、残りの1日は体力作りとしているのですが、 今回は千葉フィルということで演奏会に行ってきました。 それでも千葉フィルの演奏会は4年半ぶり。 第67回演奏会。 習志野文化ホールでは席を1つずつ空けた形で開催されました。会場の半分ですが、チケットはほぼ完売でした。 流石は千葉フィル!

前半はムソルグスキー「禿山の一夜」(原典版)とボロディンの「ダッタン人の踊り」 「ダッタン人の踊り」は素晴らしかったが、「禿山の一夜」ではやや縦の線がずれている箇所もありました。 目立った不安定なところなかったように思います。

後半のメイン曲 ブルックナーの交響曲4番「ロマンティック」 当方はこの曲を生演奏で聴くのは2回目なのですが、前回は如何せん「初稿版」を聴いたもので 耳慣れている「ノヴァーク版」や「ハース版」を聴きたいと思っていたら、 今回は「コーストヴェット版・第2稿」とまたまた聴きなれない稿が出てきた。 2018年に出版された新版とのことだが、「ノヴァーク版」と「ハース版」の中間でやや「ハース版」寄りとのこと。 これは安心して聴けそうだ。 うーむ、全体的には良いのだが、金管や弦楽器の不安定さが気になる演奏であった。木管はいつもGOOD! 17年前に初めて千葉フィルを聴いたのだが、その後、様々なアマオケを聴いて、近年特にアマオケのレベルが上がっているのか。 今回、久しぶりに千葉フィルを聴いて特に粗が目立ってしまったような感じであった。 そして、ブルックナーというのが、特にアマオケ泣かせの曲でもあるので・・・。マーラーなら勢いで何とかなる曲でもあるので・・・。 千葉フィルは当方にとっても大切なオケなので頑張っていただきたいものです。

気になったことが1つ。 客層の高齢化が著しいなあと。まあ当方も千葉フィルを初めて聴いて20年弱。 私も年を取りました(一度、死にかけてもいるし・・・)

指揮の金子先生がお元気そうでなによりでした。


2022.7.23

高橋敦指揮 ジャパンフレンドシップフィル

曲目

シューマン:交響曲第4番 

ショスタコーヴィチ:交響曲第7番「レニングラード」 

シルヴェストリ:「バック・トゥ・ザ・フューチャー」組曲 

[感想記]

8年前、ミューザ川崎にてチャイコフスキー交響曲5番、ショスタコーヴィチ交響曲5番、伊福部昭SF交響ファンタジー第1番と 盛りだくさんのプログラムで会場もほぼ満席で人気があるアマオケ “ジャパンフレンドシップフィルハーモニック” 伊福部昭SF交響ファンタジー第1番では効果音、照明を駆使した楽しい演奏を見せてくれた。 観客も指揮者も楽員も気軽に手を振るアットホームなオケだなあと思った印象があります。

あれ以降、タイミング合えば行こうと思っていた気にかけていたアマオケでした。 今回は今一番、当方が気になっている曲 ショスタコーヴィチ交響曲第7番「レニングラード」を取り上げるということで8年ぶりに “ジャパンフレンドシップフィルハーモニック”を聴いてきました。

第33回音樂會(このオケは定期演奏会とは言わず、音楽会という)いつもはミューザ川崎にて行っているのですが、 今回はサントリーホール!! あいからわず大盛況、大人気のアマオケですねえ。客席を見ればアイドル並にうちわを持った観客も見られ、本当にクラシック音楽の演奏会なのか?と 思うばかり。

楽員の入場、そして指揮者の高橋氏が指揮台で手を振る。おー8年前と変わってないぜ! 前半の曲はシューマン交響曲第4番。いかにもシューマンらしい響きの曲。あまり詳しくないが、オケのレベルはやはり高い。

後半は当方お待ちかねのショスタコーヴィチ交響曲第7番「レニングラード」 「レニングラード」はここ3、4ヶ月良く聴いている曲で特に1楽章ですね。ボレロの要素が入った興奮せずにはおれない曲。 正直、演奏中に興奮し過ぎて失神するんじゃないかと思うほど。 冒頭から気合の入った演奏。スネアドラムが極々超弱音から入るのですが、会場に微かに微かに響く演奏でこっちは鳥肌! それからは徐々に音が重なり大音量に・・・。興奮し過ぎていつの間にか目から涙が・・・。感動です! 2楽章以降も集中力を切らさ無い演奏でした。途中僅かに弦楽器が不安になりましたが。 最後まで素晴らしい演奏でした。さすがに周りの観客は寝ている方も多かったですが。

最後は「バックトゥザフューチャー」組曲。エンターテインメントの寸劇があり、楽しい演奏でした。 照明を駆使した演出で子供たちも喜んだのではないでしょうか?

このジャパンフレンドシップフィルは来年8月再びミューザ川崎にてブラームス交響曲3番、シベリウス交響曲7番、ニールセン交響曲4番と 次回も盛りだくさんなプログラムですね。 珍しく3週間ぶりの短い間隔での再びのサントリーホールでしたが、やっぱり音響のすばらしさを実感ですね。


2022.7.10

松尾葉子指揮 北九州グランフィル ピアノ:岡田将

曲目

ラヴェル:ボレロ 

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 

リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェヘラザード」 

[感想記]

現代日本女性指揮者の第一人者 松尾葉子さんの指揮をいつかはと思っておりました。 まさか地元 北九州グランフィルの第3回定期演奏会にてお聴きできるとは。 北九州芸術劇場大ホール そこまで大きなホールではありませんが、8割程度の客の入りで北九州でのクラシック音楽文化も根付いているようです。

今回の演奏会の曲目も有名曲ばかり。 ラヴェルのボレロ、ラフマニノフのピアコン2番、リムスキー=コルサコフの「シェヘラザード」。 ボレロは本当に久しぶりの生演奏。思いのほか高揚感が感じられなかったなあ。 そして、ラフマニノフのピアコン2番。もうCDでも幾度となく聴いておりますが、 やはり生オケの響きは最高です。ピアニストの岡田氏。福岡県出身。なかなか重厚な演奏でした。 一番良かったのが「シェヘラザード」素晴らしかった。

残念だったのが、会場の北九州芸術劇場の音響。 先週サントリーホールでの音を堪能した影響もあるのだが、「かなりのデッドな残響」 音の混ざり、溶け込みが無かったですねえ。

北九州ですと、ソレイユホールか響ホールで聞きたいですねえ。 (当日、ソレイユホールでは吹奏楽コンクールの大学・一般が行われていたので使用出来ず。)


2022.7.3

角田鋼亮指揮 デア・フェルネ・クラング

曲目

リヒャルト・シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」 

ショスタコーヴィチ:交響曲第11番「1905年」 

[感想記]

1年ぶりのサントリーホール! 「何度来ても何か特別感のある場所だよなあ」場所柄、土地柄の高級感もあるのか?

デア・フェルネ・クラングという楽団。全く知らなかったのですが、 2011年名古屋マーラー音楽祭への出演を機に設立とのこと。 今まで名古屋、京都において演奏会を行っており、今回初めて東京での演奏会とのこと。 メンバーはプロ、アマ混成とのことですが、聖地・サントリーホールで演奏出来るとはレベルは確かなのでしょう。

さらに演奏曲目がリヒャルト・シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」とショスタコーヴィチ:交響曲第11番「1905年」と まあヘビー級の曲目が並びそんじゃそこらのアマオケでも難しい曲を2曲も!

前半の「英雄の生涯」舞台狭しと楽員が並び本当に大編成曲だなあと実感。 そして、「英雄の生涯」は初めて生で聴きます。 冒頭から「このオケ、上手い、上手すぎる」 そして、サントリーホールの音響が心地よい。やはり残響が最高だ! 席は2階席の後方だったのでしが、大音量がくるくる!音圧が凄い。 改めてサントリーホールの音響に感激・感動! 本当にアマオケなのか?と思うほどの完璧な演奏でした。

後半はショスタコーヴィチ交響曲第11番「1905年」 この曲は題名のとおり1905年のロシアでの「血の日曜日事件」を描いた作品であり、生々しい音楽描写の曲です。 そして、何を隠そうこの交響曲11番。 当方が初めてショスタコーヴィチの曲で聴いた曲です。 というのも中学生のこと放送されていた天文・天体のドキュメンタリー番組 カール・セーガン博士解説での「COSMOS」の挿入曲として 使用されていたのが、このショスタコーヴィチ交響曲11番でした。 思い入れのある曲です。

冒頭の弦楽器とハープとの神秘的な音色がまさに宇宙の広がりをイメージさせるのが、「COSMOS」の挿入曲として採用されたのでしょう。 実際は宮殿前の広場の静けさを表しているかもしれません。 金管が一部不安定となるところもありましたが、逆にアマオケだったと安心したところでもあります。 ここまで完璧にされるとプロオケはどうした?ということにもなりますので。

圧巻は何と言っても2楽章。特に民衆への銃撃を示しているであろう大音響のシーン(スネアドラムの音が生々しい)が 突然静寂へ。この時の大音響の残響がスーッと消えていく中、 1楽章冒頭の旋律(弦楽器とチェレスタでの)が浮かび上がってくるところはマジ鳥肌ものでした。 サントリーホールの残響の効果ですねえ。 これだけで大満足です。 その後も素晴らしい演奏が続き、終曲。 指揮が棒を下ろしてもなかなか拍手がおきない。そして1人パチパチとその後も拍手が続かない。 さすがにこれはということで当方が大きな拍手をし、会場が拍手の渦へ。 (みんな感動して拍手出来なかったのか? 曲も終わりが把握できていなかったのか?は不明ですが。初めて聴く人も多かったのでは)

マジで素晴らしいオケでした。良かった、良かった。 演奏後、サントリーホールから徒歩3分くらいにある忠臣蔵で有名な南部坂を見て帰ってきました。 詳細は「南部坂の別れ(南部坂雪の別れ)」を調べてみてください。


2022.6.25

田部井剛指揮 ルスコアール管弦楽団

曲目

ラヴェル/コンスタン編曲:夜のガスパール(管弦楽版) 

マーラー:交響曲第7番 

[感想記]

東京の気温は35℃超え、暑い日でした。真夏のよう風が熱風。 その中、すみだトリフォニーホールへ

ルスコアール管弦楽団 第51回演奏会。ルスコアール管弦楽団は今年の1月に第50回定期演奏会に行き、 次の演奏会ではマーラー7番を演奏することのことでこの日を待っておりました。

これでルスコアール管弦楽団は2006年のマーラー9番から4回目の演奏会。 そしてマーラー7番は生演奏では5回目。もう「夜の歌」5回も聴いているという・・・。

前半の曲目はラヴェル作曲コンスタン編曲による「夜のガスパール(管弦楽版)」。 今回の演奏会のテーマは「夜」なのでしょうかねえ。 これはラヴェルが1908年に作曲したピアノ曲独奏曲を1990年にコンスタンがオーケストラ版に編曲したものです。 正直。このピアノ独奏曲も聴いたことが無かったのですが、まさにラヴェル・サウンドでしたねえ。 面白かったのは様々な打楽器を駆使した音色でそれだけでも楽しめました。 ウインドマシーン、サンダーシート、オーシャンドラムなどなど、これだけ体感出来たのも満足でした。 まあオケのレベル、技量は言う事も無く、素晴らしいものです。

さーて、後半はお待ちかねのマーラー交響曲第7番。 まあね、安心して曲を聴くことが出来るアマオケですので、そのような解釈で演奏してくれるのかに注目しておりました。

1楽章から「うん?速い・・・」まあ速く演奏可能なのもこのオケの実力とは思いますが、 私的にはゆったり、じっくり聴きたかったなあと。 1楽章、20分ちょっとくらいじゃなかったですか?イメージ的には23−24分程度の曲と思っているのですが。 マラ7番の1楽章といえば「テノールホルン」ぱっと遠くから見ると「ワーグナーチューバ」か「ユーフォニアム」かと思うような楽器。 しかし、よく見ると違う! そしてホルンという名前からホルン奏者が演奏すると思いきやトローンボーン奏者が演奏するとのこと。 これはマウスピースがトロンボーンのものを使いということ。確かに納得。

「夜の歌」といえば4楽章の<ギター>と<マンドリン>。 今までの演奏では<ギター>と<マンドリン>はセコバイとチェロの後ろに位置していたとなかなかじっくり演奏を見ることができないのだが、 今回は舞台の下手(ストバイの一番うしろ)に陣取り全てを見ることが出来ました。満足、満足! そして最後のはっちゃけの終楽章ですが、出だしはやや大人しめと思いましたが、最後は大音量で良かったです。 満足の「夜の歌」でした。

次回の演奏会ではホルスト「惑星」、次々会ではマーラー交響曲第9番とのこと。 ルスコアール管では2006年以来のマラ9なんですかね。 目が離せませんね。


2022.5.21

矢崎彦太郎指揮 フィルハーモニック・ソサィエティ・東京 ピアノ:津田祐也 

曲目

ベルリオーズ:幻想交響曲 

ラヴェル:ピアノ協奏曲 

ラヴェル:バレエ組曲「ダフニスとクロエ」第2組曲 

[感想記]

今日もミューザ川崎シンフォニーホールへ

フィルハーモニック・ソサィエティ・東京 第9回定期演奏会 このアマオケは東京都内の学生オーケストラ出身者が中心となって2016年に活動を開始したとのこと。 今年で第9回の定期演奏会とのことですが、今までの指揮者が寺岡清高氏、下野竜也氏、そして本日の指揮者でもある矢崎彦太郎氏、 さらに共演したソリストも長原幸太氏、宮田大氏などなど、一流の方々ばかり。 これは高レベルのアマオケじゃないとこれらの指揮者、ソリストを呼べません。 ということでかなりのレベルの高い演奏が聴けるのではと期待を持ち、ミューザ川崎に来ました。

演奏曲目がベルリオーズ「幻想交響曲」、ラヴェルのピアコン、ラヴェルのダフクロ第2組曲と 豪華なラインナップ、現在、パリ在住の矢崎さんならではの指揮でフランスを感じられるはず。

当方にとって矢崎さん2回目になりまして、2009年6月北九州芸術劇場での九響の演奏会以来。あれから13年っすか! あの演奏会が当方にとっての初九響の演奏会でした。

プログラムを見て、2つビックリしたことが・・・・・。 1つは前半プログラムに「幻想交響曲」が後半にラヴェルの2曲。 普通なら? ダフクロ、ピアコンー幻想交響曲の順かなあと思ったら、いきなり幻想交響曲から始まるとは。 そしてもう1つがハープが2台なのですが、その演奏者が篠崎史子、和子の親子が・・・。 あのハープ演奏者で有名すぎる篠崎親子がわざわざアマオケの演奏会に参加しているとはビックリでした。

正直、「フィルハーモニック・ソサィエティ・東京」 恐るべきアマオケだ!

幻想交響曲、冒頭から実に素晴らしい音色で感動しました。 矢崎さんの細かい指示にも着実に応え、完璧な演奏でした。 正直、この演奏会の当方のお目当てはラヴェルのピアノ協奏曲で幻想交響曲も聴けてラッキーくらいだったのですが、 この演奏を聴いて、素晴らしいと感じるだけではなく、 ベルリオーズの才能、天才ぶりもまざまざを実感させてくれる演奏でした。 コントラバス10名、ファゴット4名の編成で低音バリバリで体感とのはこのこと。 この曲はファゴットが重要なんだな・・・・と。 中学、高校と幻想交響曲を聴きまくっていた頃(アバド&シカゴ響のLP)の感動よりも この実演奏を聴いた感動の方が凄かった。オケの各パートも申し分無い技量と表現力で・・・。 休憩も放心状態でした。

正直、放心状態が続き、後半のプログラムをフワフワした感じで聴いていたようですねえ。 良い演奏ではあったと思うのですが、ガッツリとした記憶がありません。 逆にこれらの曲も好きすぎて夢ごこちで聴いていたような・・・・。

またまた素晴らしいアマオケに出会うことが出来ました。 何と!次回の定期演奏会にマーラー交響曲第3番を演奏するとのこと。 これは期待しかありませんねえ。


2022.4.24

河上隆介指揮 渋谷交響楽団 

曲目

ブラームス:悲劇的序曲 

グリーグ:「ペールギュント」第1組曲、第2組曲より抜粋 

ブラームス:交響曲第1番 

[感想記]

今日はすみだトリフォニーホールへ

直近の演奏会では東京シティフィルのマーラー交響曲第9番、バッハコレギウムジャパンのマタイ受難曲と 本当に開演前から緊張を強いられ、演奏中も気を抜けられない曲でしたので、 今日は「音を楽しむ」ことに専念したいと思います。

渋谷交響楽団 第72回定期演奏会へ行ってきました。 その名のとおり渋谷区を中心としたメンバーで構成されているアマチュアオーケストラ。 1983年創設とのことです。

メールでの申し込みで席を指定してのハガキが送られてきました。 すみだトリフォニーホールでは20回近く訪れていると思いますが、初めて?の2階席。 2階席でも音はいいですね。

今日はリラックスして音を楽しんできました。 特に「ペールギュント」の朝は最高ですね。 思わずホロリとしてしまいました。 オケの技量としては木管が素晴らしい安定感。 弦楽器や金管は頑張れ!といったところでしょうか。


2022.4.17

鈴木雅明指揮 バッハ・コレギウム・ジャパン ソプラノ:ブラシコヴァ、中江早希 アルト:シャハトナー テノール:ホッブス バス:加来徹 

曲目

バッハ:マタイ受難曲 

[感想記]

いつか、いつか!   このコンビでこの曲を聴きたいと思っていました。

“西洋音楽の至宝” バッハのマタイ受難曲

日本人指揮で日本人演奏家による最高峰の演奏 「バッハ・コレギウム・ジャパン」

当方にとって「バッハ・コレギウム・ジャパン」と言えば“ヨハネ受難曲”の緊張感溢れる快速の演奏。 最初に聴いたときは衝撃を受けました。

いつも「バッハ・コレギウム・ジャパン」の演奏スケジュールを見つつ、マタイ受難曲やヨハネ受難曲があれば聴きたいと思いつつ、 都合がなかなか合わず!! そして、今年、ミューザ川崎にて演奏会があると・・・・。 念願が叶いました!!

会場に入ると真ん中にチェンバロ、奥にステージ上のパイプオルガン(ミューザにはパイプオルガンがあるのですが、こちらの方が音量的、小回り的にも良さそう)

  指揮:鈴木雅明、エヴァンゲリスト:トマス・ホッブス、イエス:加来徹、チェンバロ:鈴木優人

正味3時間の長丁場! 日本語字幕も設置され、歌の意味を理解しながら聴くことが出来、良かった! もうねえ、素晴らしい演奏だったとしか言えません。 マタイ受難曲自体も飽きることが無い音楽構成なので楽しめました。

素晴らしかった!! 次は是非、ヨハネ受難曲を聴きたい!!


2022.3.26

高関健指揮 東京シティフィル

曲目

マーラー:交響曲第9番 

[感想記]

きたーーーー!!

マエストロ高関健によるマーラー交響曲第9番。

高関健氏の「マーラー9番愛」は2007年の東京芸術劇場での新交響楽団との演奏会や 群馬交響楽団とのリリースされたCDにも書かれているほど十分に分かっているのですが、 あれから2007年から15年を経て、高関さんのマラ9解釈の変化の有無など知りたくて・・・。

2021年シーズンの東京シティフィルの年間プログラムが発表されてから、 この3月26日を待ちに待っておりました。

そして会場が東京オペラシティコンサートホール“タケミツ・メモリアル”というのがもう何とも! 恥ずかしながら、東京オペラシティには行ったことが無くて、 何度、行こう行こうと思いながら、時が経ったことか。

東京オペラシティは2000年のギュンター・ヴァントの北ドイツ放送響との演奏会を見て、 東京にシューボックスタイプの素晴らしいホールがあるなあと知って、 それから苦節20数年、やっとやっと東京オペラシティコンサートホール“タケミツ・メモリアル”に来ることが出来た。

新宿駅から京王新線に乗って、わずか一駅、初台駅下車。 案内もバッチりで迷うことはありません。 念願のホール内へ。素晴らしいホールの一言!! 天井の空間がもう最高!! 思わず1階から3階まで見回しちゃいました。1997年開館とは思えないほど新しさがありました。

コンサートの前に高関さんのプレトーク。 会場はほぼ満席。やっぱりマーラー9番は特別だよねえ。 その曲が選ばれたものこの日の演奏会が東京シティフィルの第350回定期演奏会という記念碑的な演奏会というのもありました。 バーンスタインやカラヤンのあの超名演は練習から本番まで立ち会ったとのお話(以前もお聞きした)や 9番は死を意識した作品と言われているが、実際は作曲時、マーラーは元気で死を意識していなかったんじゃないかと・・・。 今回の演奏にあたって、バーンスタインやカラヤンの過去の超名演奏に左右されず、スコアに向き合った解釈、演奏に心がけると。 そしてマーラーに直筆譜や修正譜を入手し、高関さんなりに修正、改正したとのこと。 このため、聞きなれない響きになっている箇所もある・・・と。 (会場に来られているお客様はマラ9には十二分に聞きこなされているお客様ばかりでしょうからと! 一応、私のその一人かな?) そしてステージにはマイクが並んでおり、CDのリリースもあるとのこと。これは楽しみ。

もうねえ。演奏は素晴らしいの一言。 楽員の一音、一音の気持ちの入った演奏でした。 そして、オペラシティの音響の素晴らしいこと!!感動です。 楽員もかなり気合が入っていましたねえ。 東京シティフィルのレベルの高いこと高いこと。 もう1楽章からウルウル状態。3楽章で涙腺崩壊、4楽章でも涙が止まらず。 演奏時間は1楽章:26−27分、2楽章:15分、3楽章:13分、4楽章:23分30秒

総じて、テンポは大きく揺らさず。 1楽章はやや抑え目に入り、このため各パートが埋もれることなく細部を聴くことが出来た。 ただし、ティンパニーやハープなど存在感は十分でした。 2楽章も淡々と着実に演奏していました。 3楽章は素晴らしかった。特に重要なトランペットソロ。もう淀みない澄んだ高音で最高でした。 今まで聴いた国内オケでは一番の好きな響きでした。 そして、最後のコーダでもぶっ飛ばすことなく、やや快速な演奏でした。 4楽章は分厚い弦楽器で暖色系の音色でした。途中では大音量で強弱のメリハリはしっかりした終楽章でした。 演奏時間を見てわかるように着実に一定のテンポで演奏しておりました。 (欲を言えば25分以上は欲しかったかなあ) 最後の響きが途絶えてから15秒ほどの後の大拍手。 (とにかく観客のピーンとした緊張の雰囲気もあり、素晴らしいものでした) 熱狂的な拍手はなり止まず。これほどの大熱狂の演奏会も久しぶりでした。(コロナ禍を忘れてるようでした) 楽員が退場しても拍手はなり止まず、カーテンコールに高関さんも応えてステージにでてきてくれました。 最高の演奏でしたねえ。 東京シティフィルの実力恐るべし!!全てのパートが素晴らしかった。大きな傷も無い演奏でビックリ。 CDのリリースが待ち遠しいですわ。


2022.2.26

喜古恵理香指揮オーケストラ ミモザ

曲目

バーンスタイン:「キャンディード」序曲 

ラフマニノフ:交響的舞曲 

ラフマニノフ:交響曲第2番 

[感想記]

今回は初めてのコンサートホールと初めてのオーケストラの演奏会へ行ってきました。

川口総合文化センター リリア このリリアにはメインホールと音楽ホールがあり、 メインホールでの演奏会でした。 音楽ホール側にはパイプオルガンがあり、パイプオルガン好きの当方としてはいつかはこちらのホールにも行ってみたいと思っております。 この川口総合文化センター JR川口駅西口のそばもそば! アクセスが最高です。

オーケストラ ミモザ 2018年に首都圏の学生オーケストラ出身者を中心に発足したオケで今日は第4回演奏会。

前半最初のプログラムはバーンスタインの「キャンディード」序曲。 まあ有名な曲ではあります。聴いた感じでは最初の曲ということか、音が硬かった。 このためか音の調和感が感じられなかったなあ。 次の曲はラフマニノフの交響的舞曲。この曲はラフマニノフの遺作となった曲。 恥ずかしながら、ラフマニノフ好きでありながら、遺作を知らずに来ていたという事実。 この演奏会のために初めて予習したという・・・・。30分超えの大作品です。 今日の演奏ですが、良い演奏になってきました。 各パートのレベルの高さが垣間見られます。

さて後半のメイン曲。 当方の大好きなラフ2(ラフマニノフ交響曲第2番) とにかく素晴らしい演奏の一言でした。 1楽章の途中からウルウル・・・。 もうストバイの澄んだ美しい音色には感服しました。 そして2楽章冒頭のホルン、ここまで綺麗なホルンの音もアマオケでは珍しいほど。 その他のパートも高レベルの技量で満足としか言い様の無い演奏。 指揮の喜古さんも本当に分かり易い指揮振りでオケも表現していきます。 もう幸せの限り。 3楽章は演奏時間14分。もう私は泣きっぱなしでした。 大満足のラフ2でした。 オーケストラミモザ恐るべし!! やっぱり改めてラフ2が好きな当方でした。 次回は来年にチャイ5を演奏するとのこと、素晴らしい演奏間違い無しと思います。


2022.1.29

中島章博指揮オーケストラ ハモン

曲目

モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」より序曲 

ベートーヴェン:八重奏曲変ホ長調 

バーンスタイン:ダンス組曲 

プレヴィン:金管五重奏のための4つの野外音楽 

ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」 

[感想記]

習志野文化ホールにて「アンサンブル ハモン 2022」演奏会へ行ってきました。 オーケストラ ハモンのアンサンブルセッションの演奏会です。 オーケストラ ハモンは2018年のマーラー交響曲6番「悲劇的」以来となります。

前半がアンサンブルセッションの演奏で後半がオーケストラの演奏となります。 室内楽とほとんど聴かない当方にとっては超超久しぶりのアンサンブル演奏。 ですので知る曲も無く・・・。 前半はぼーっと聴いておりました(スミマセン)

後半のプログラム ベートーヴェンの「英雄」 ここ20年来、ベートーヴェンの交響曲では一番好きな曲です。 (以前は7番が大好きでした)

朝比奈隆氏やカラヤンの演奏が好きですねえ。重厚な演奏が・・・。 さてオーケストラハモンの解釈は?? 快速の「英雄」でした。勢いよく始まり、勢いよく終わった感じです。 金管の精度が今ひとつでした。

このコロナ禍の影響でしょうか? 観客がかなり少なかったです。 全部で70−80人といったところでしょうか。 オーケストラ ハモン演奏会では7−8割の観客を集めていたイメージあるのですが・・・。 アンサンブルということもあったのでしょう! 次回の演奏会ではチャイコフスキー交響曲1番らしいので期待!


2022.1.15

冨平恭平指揮ルスコアール管弦楽団

曲目

シベリウス:交響曲第7番 

ブルックナー:交響曲第6番 

[感想記]

2022年の初演奏会に行ってきました。すみだトリフォニーホール

今年の一発目は ル スコアール管弦楽団 第50回定期演奏会(祝!50回おめでとうございます)   ル スコアール管弦楽団は「2006年のマーラー交響曲9番」と「2016年のメシアンのトゥーランガリラ交響曲」と 超ド級の曲を演奏してくれて感動しました。 今回は3回目で曲目はシベリウス7番とブルックナー6番とやはり渋いプログラム構成でした。

指揮の冨平氏、オーケストラ ハモンの印象が強くて

会場は半分くらいの入りでしょうか。特に1つ飛ばしの座席にはしておりませんでした。 しかし、最近はネットで予約、購入し、QRコードで入場することが増えてきましたねえ。

前半のプログラム シベリウス7番。 当方お気に入りのテンポでした。早いテンポは×なので良かった。 演奏時間23分。金管が安定してました。上手かった。弦楽器も無難にこなしておりました。 全体的に音量を抑え気味で、しかし、寒々とした繊細過ぎることもない演奏でした。

後半はブルックナー6番 当方は初めて生演奏でこの曲を聴きます。 これでブルックナー交響曲1から9番で生演奏を聴いていないのは2番だけとなりました。 どうもねえ2番、6番、当方的にも日頃からあまりというかほぼ全く聴かない曲でして・・・・。 最近は4番と7番ばかり聴いておりますが。

ブル6演奏する方も難しそうです。うーむ、ところどころ弦楽器の不安定さが露見しておりましたが、 金管が素晴らしくブルックナーの世界をかんじることができたのと シベ7では抑え気味がこの曲では大音量を堪能することが出来ました。 そして、改めてブル6の魅力が分かった気がしました。感謝、感謝!

ル スコアール管 次回の定期演奏会ではマラ7を取り上げるとのこと これは行かねば!!


2021年

2021.12.25

秋山和慶指揮九州交響楽団 ソプラノ:高橋絵里 アルト:手嶋真佐子 テノール:村上公太 バリトン:与那城敬 東京混声合唱団 北九州フロイデコール

曲目

ベートーヴェン:「エグモント」序曲 

ベートーヴェン:交響曲第9番 「合唱付き」

[感想記]

超久しぶりの第九、2010年の九響以来12年ぶり。年末を第九で演奏会を終われるというのは幸せなことです。会場もほぼ埋まり。

「エグモント」序曲でスタートし、休憩なしで第九へ。 ソリストや合唱団はなしで1楽章をスタート。九響も秋山さんも慣れた第九、安心して音に委ねられました。 2楽章後、ソリスト、合唱団の入場。合計60名程度の合唱団。そのうち20名は東京からの東京混声合唱団の方々が参加。 そして、マスク着用のまま。このような少人数のマスク着用というのもコロナ禍でのこと。 やはり3楽章は生演奏に限ります。そして4楽章、泣くなあ・・・。 合唱では少人数を感じさせないパワフルな合唱でした。 第九で締めくくった年をなりました。感謝。


2021.12.11

中井章徳指揮北九州グランフィルハーモニー チェロ:宮田大 オルガン:高橋孝子

曲目

ドボルザーク:チェロ協奏曲 

サン=サーンス:交響曲第3番 「オルガン付き」

[感想記]

北九州市に誕生したプロオーケストラ“北九州グランフィルハーモニー管弦楽団”第二回定期演奏会です。 当方にとって北九州グランフィルは昨年の8月の演奏会以来。はやりプロオケということもあり、文句無しでしたわ。

楽員の中には当方の娘が高校時分に吹奏楽部でお世話になった先生など地元北九州にゆかりの演奏者の他にビックリしたのが、チェロの首席に 東京都交響楽団の首席だった田中雅弘さんもいらっしゃった(田中さんと言えばみなとみらいホールでのガリー・ベルティーニのマラ9の演奏の最後のチェロのソロが 忘れられません!)。

さて今回のプログラムは「ドボコン」に「オルガン付き」という素晴らしすぎる曲目。特に「オルガン付き」はパイプオルガンを有するホールならでは曲目なので、 北九州ソレイユホールにパイプオルガンがあることに感謝しかない!!(オルガン付き、先月、ミューザで聴いたばかりだが・・) そして今回は妻にもパイプオルガンの音色を聴かせようと夫婦で来ました(パイプオルガンを聴いたことが無いというので)。

前半の曲目、ドボルザークのチェロ協奏曲。当方が一番好きな協奏曲です(ピアノ協奏曲でもなく、ヴァイオリン協奏曲でもなく・・・)。 愛くるしいメロディーが最高なんですよね。 チェリストは宮田大氏。言わずと知れた有名チェリスト。よくぞ!北九州に来て頂いた。 演奏の方は「もう最高でした」今まで聴いたドボコンの中で群を抜いて素晴らしかった。 チェロの音色の素晴らしさもさることながら実に手丁寧でそして旋律に歌がありました。 1楽章と3楽章で号泣ですよ。号泣!!

アンコールではサン=サーンスの「白鳥」こんなにも優しい澄んだ音、心にしみたあああ。

後半はサン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」 ソレイユホールでの「オルガン付き」は2010.11.27のロッセン・ゲルゴフ指揮 九州交響楽団以来。 あの時は超念願のソレイユホールでの「オルガン付き」ということで終始号泣してましたわ!! 冒頭の澄んだ弦。やっぱり最高でした。 もうプロオケで言うこと無しでした。 そして改めて北九州ソレイユホールにパイプオルガンがあることに感謝・感謝!

以前も書いたが、終演後、勝山公園を歩きながら演奏会の余韻に浸れるところもソレイユホールの大好きなところ! やっぱり北九州ソレイユホール大好きです。当方が高校時分に初めてオーケストラの演奏会を聴いたホール(当時は九州厚生年金会館)ですから!!


2021.11.7

田部井剛指揮ザッツ管弦楽団 オルガン:大木麻理 

曲目

サン=サーンス:交響曲第3番 「オルガン付き」

マーラー:交響曲第1番「巨人」

[感想記]

コロナ禍も今のところ少しは落ち着きつつあるのでしょうか。 コンサートもスポーツイベントもかなりの人数を入れるようになってきております。

半年ちょっとぶりのミューザ川崎へやってきました。
ザッツ管弦楽団 第19回定期演奏会。初めて聴かせて頂くアマオケ。 このザッツ管弦楽団は2002年発足のオーケストラで都立駒場高校オーケストラ部卒業生や都内の大学学生や卒業生によって構成されているとのこと。 年1度の演奏会を行っているようです。

今日の演奏曲目は「オルガン付き」と「巨人」とまあ重量級の2曲。 当方にとっても楽しみで仕方ない曲が並びました。

席は1つおきのきっちりとした指定席でほぼ席は埋まっておりました。 指揮者は田部井剛氏。当方にとっては2016年6月のルスコアール管弦楽団以来の演奏となります。 その時の曲目がメシアンの「トゥーランガリラ交響曲」というまあ何とも凄いということと演奏も完璧で迫力と響きに圧倒された思い出があります。

前半の曲はサン=サーンス交響曲第3番「オルガン付き」 もうねえ!この曲はライブで聴くべき曲。オルガンの音圧を体で感じないと・・・。 冒頭の澄んだ音に当方の心は持って行かれました。素晴らしい実力を持ったアマオケです。 1楽章後半、良かったの一言。落涙ですよ落涙・・。幸せです。 テンポ的にはやや慎重に進んでおりましたが、最後半、急にテンポアップし、さらに大音量が重なり、もう放心状態になるほど素晴らしかった。 完璧な「オルガン付き」でした。

このオケの実力であればマーラー「巨人」も聴かせてくれるはず。 冒頭の何とも言えない弦の響き、完璧でした。プログラムをじっくり読んで無かったのですが、 通常の2楽章の前に「花の章」が演奏され、得した気分。 金管がやや不安定になるところもありましたが、これは仕方無し。 「オルガン付き」の最後の大迫力と比べると思いのほか抑え気味になっております。 4楽章の冒頭もそこまで大爆発せず。 しかし、最後、これでもかの渾身の音、やられました。 音の渦に巻き込まれ・・・、終了。 いやー素晴らしいオケでした。

過去の演奏曲目を見てもマーラー、ショスタコーヴィチ、チャイコフスキー、ブラームス、ベートーヴェンなど 偏らないプログラムとなっております。 是非ともマーラー7番「夜の歌」、9番は演奏して欲しいなあ。 このオケならやれる!


2021.7.10

村本寛太郎指揮オーケストラ・フォルチェ 

曲目

ドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」

ボロディン:歌劇「イーゴリ公」より「韃靼人の踊り」

ブラームス:交響曲第1番

[感想記]

2年ぶりのティアラこうとう。 錦糸町の駅からもそこまで遠くない。 まあすみだトリフォニーホールはアクセスが良すぎるが・・。

オーケストラ・フォルチェ 第16回定期演奏会。 オーケストラ・フォルチェは特定の大学のOBなどで結成したアマオケではなく、 音楽好き、演奏好きの有志が集まって結成とのこと。 楽員としては若い方が多いような気がしました。

席は1つおきのきっちりとした指定席。 かなり埋まっていた。人気があるアマオケなのでしょう。 当方は初めてですが。 なんといっても演奏プログラムが良かった。 ボロディンのダッタン人の踊りにブラームス交響曲第1番という超有名曲かつ 当方の大大大好き曲!!

最初はドヴォルザークの序曲「謝肉祭」 うん、オケのレベルとしてはなかなかのようです。 次はボロディンの韃靼人の踊り。 オーボエは良かったですね。ところどころテンポを落とし、 丁寧な演奏に。

そしてブラームス交響曲1番。 いろいろ当方のこだわり曲なので厳し目な批評になるかも! 冒頭のテンポは早くもなく遅くもなく標準的なテンポで始まる。 各パートのレベルは高い。演奏の技量としては申し分無し。 高弦としてはやや澄んだ音が欲しいところ。 低弦はもっと主張しても良いと思う。 木管パートは言うこと無し。特にフルートはGOOD! 金管は少しのミスは仕方ないところです。 このブラ1でもテンポを落とし着実な演奏もみられ、 少し流れによどみが・・・。 しかし、4楽章で一変。素晴らしい演奏と音色でした。 良かったです。

アンコールでは弦楽器パートのみで フィンジ作曲の「ロマンス」とのこと。 ここではヴァイオリンの音色は澄んでいい感じでした。 音楽の余韻を堪能しながら、 公園を歩くティアラこうとうの立地、いいですね。


2021.6.12

下野竜也指揮東京都交響楽団 ヴァイオリン:大関万結 

曲目

ヘンデル(ベインズ&マッケラス校訂):《王宮の花火の音楽》序曲

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第2番

ボロディン:交響曲第2番

[感想記]

やっと、やっと、この場所に戻ってくることが出来た。 クラシック音楽の聖地・サントリーホール!

基本的にアマオケ中心に演奏会に脚を運んでいるのでなかなか縁が無くて・・・・。 何と14年ぶりでした。2007年11月の沼尻竜典指揮 日本フィルでマーラーの「悲劇的」を聴いて以来・・・。

地下鉄の溜池山王駅からこのような道だったなあと思いながら歩いて、ついにサントリーホールへ到着。 ホールに入って嬉しくてホール内を一周してしまいました(笑)

指揮は下野竜也氏、オケは当方の国内一押しオケである東京都交響楽団。 下野さんは2014年6月の北九州芸術劇場での九響との演奏会以来。その時はメンデルスゾーンのヴァイコンとドボルザークの「新世界」と超メジャー曲だった。 都響もこれも2014年11月の大田区アプリコホール以来だった。ということはともに7年ぶりかあ。 今日のコンミスは四方恭子さん、そしてお隣には矢部達哉さん。豪華だなあ。

一曲目、ヘンデルの《王宮の花火の音楽》序曲。まあヘンデルらしい有名な華やかな曲。 あとは久しぶりのプロオケで音の響きが全然違うなあと感心しきり。 あとサントリーホールの残響がここまで心地よいものだったかなあと・・。 二曲目はブルッフのヴァイオリン協奏曲第2番。 ブルッフと言えばヴァイコン1番、当方にとってヴァイコンで一番好きな曲。 しかし、2番はあまり馴染みが無く。しかし、冒頭からの入りは好きだなあ。 さてソリストの大関さん、横浜生まれで現在ウィーン在住とのこと。 大関さん、実に自然体な演奏と丁寧な音作りで好感が持てました。 オケも上手くサポート。良かったです。 大関さんはアンコールでハイドン(クライスラー編曲)旧オーストリア国歌を演奏してくれました。

そして後半のメイン曲は当方が大好きなボロディンの交響曲第2番。 正直、素晴らしいの一言。 あれこれ言うことは全くありません。流石、プロ!都響だなあと。 低音重視の重厚な「音の渦」に浸っておりました。 感動で1楽章から涙が・・・・止まりませんでした。 下野さんも上手く強弱、緩急をドライブして解釈でも一点の曇り無し! 木管も金管も上手いしねえ。当たり前ですか? 拍手後、下野さんからお言葉が、そしてアンコール曲を演奏してくれました。 弦楽器のみのバッハ(ストコフスキー編曲)前奏曲BWV869で温かい弦の音色を聴き、 お開きとなりました。

やっぱり都響だ! そしてプログラムに桂冠指揮者にガリー・ベルティーニの文字が・・・。 当方と都響の出会いは指揮がベルティーニで2002年の岩国だった。 あれから変わらず良いオーケストラです。 また聴きに行こう!


2021.6.12

山上紘生指揮ボヘミアンフィル 

曲目

ドヴォルザーク:交響曲第5番

シベリウス:交響曲第5番

[感想記]

1年半ぶりの大田区民ホールアプリコへ。 久しぶりの京急蒲田からの歩き。商店街も変わって、マンションができるんだねえ。 あそこにあったコンビニ、よく使っていたのだが。

ボヘミアンフィルハーモニックは東京の学生オケのOBOGが集まり、ボヘミア出身のドヴォルザークスメタナなどの楽曲を中心に演奏するアマオケとのこと。 今回で第5回定期公演。確かに楽員の年齢層も若いように思えました。 5回定期の5にちなんでドヴォルザークとシベリウスの交響曲第5番を演奏。 なかなか素晴らしいプログラムです。この2曲、万人が知っている曲では無いのですが、当方は2曲とも大好きな曲です。 指揮の山上氏、東京芸大指揮科修士課程に在学中とのこと。頑張って欲しいものです。

席は1つ飛ばしの自由席で無料。もう感謝しかありません。 前半のプログラム。ドヴォルザーク交響曲5番。ドヴォルザークの交響曲と言えば9番を初め、8番、7番くらいまでですかねえ、メジャーなのは。 当方は5番はケルテス盤を聴いて好きになりまして・・・。 今回、まさか聴けるとは楽しみにしておりました。 1楽章は素晴らしい演奏。2楽章からややいくつかの箇所で流れが悪くなる。安全に合わせるためか? 4楽章も良かった。全体的には安全運転な演奏。しかし、ドヴォルザークを堪能することが出来ました。 若干、チェロがやや不安定になる箇所も。弦楽器ではヴァイオリンパートが凄く上手く。透き通った音色。金管も水準以上。 これはシベリウスが俄然期待が持てる(シベリウスは全てのパートで技量が求められる)。

後半、シベ5。冒頭のホルンから素晴らしかった。さらにドヴォルザークではやや安全に抑え気味だったのが、 音量もアップ。迫力のある演奏かる主張も良く。完璧でした。 3楽章ではついに当方の涙腺が・・・。良かった。冒頭の弦の刻みは最高でした。 最後も決まったし! 弦楽器、木管、金管、打楽器、すべてのパートが良かった。 (特にオーボエはGood)

最後にアンコールとしてドヴォルザーク スラブ舞曲14番を演奏してお開きとなりました。 また機会があれば聴きに行きたいアマオケです!


2021.4.18

金山隆夫指揮みなとみらい21交響楽団 

曲目

武満徹:オーケストラのための「波の盆」

マーラー:交響曲第9番

[感想記]

コロナ禍の中での演奏会。この状況下、対策方法が分かっているのか演奏会が普通に行われるようになってきた。 当然、観客定員を減らしたものであるが。 先日のちば室内管弦楽団に続き、今回はミューザ川崎シンフォニーホールへ。 ミューザ川崎 2年半ぶり! 2018年8月の大友指揮東響の交響曲「宇宙戦艦ヤマト」以来。 いつも来ても良いホールだなあ。

オケはみなとみらい21交響楽団、このオケは2015年2月(ミューザ川崎:ブルックナー交響曲8番)、2017年4月(ミューザ川崎:マーラー交響曲7番「夜の歌」)と 聴いており、今回で3回目。 ブル8、マラ7と超難曲を難無く演奏し、表現しており、アマオケでの高レベルであり、当方も応援しているオケである。 そして、今回取り上げる曲はマーラー交響曲第9番。 当方にとって唯一無二の絶対的曲である。 オケのレベルからして期待大である。

当日券1500円にて購入。正面のなかなか良い席。今までミューザでこのような良い席に座った記憶が?? 指揮は金山隆夫氏、当方にとってはオーケストラ・ディマンシュでの指揮のイメージが強い。 1曲目の武満徹:オーケストラのための「波の盆」 武満さんかあ、これは現代音楽っぽいかな?と思ってプログラムに目を通すとテレビドラマの音楽のために作曲とのこと。 早速聴いてみると弦楽器と中心とした音楽で「いやー良い曲」 マジで心に染みます。マラ9の終楽章の良いウォーミングアップ曲のような・・・。 コロナ禍で気持ちが落ち着きませんが、このような曲はホントいい! (思わず帰ってyoutubesで何度もこの曲を探して聴いてしまいました)

休憩へ。休憩中、ステージ裏からはトランペットの方の3楽章のソロを練習しているのが分かりました。 (やっぱりそこは気合入るようねえ)

ついに約1年ぶりのマーラー9番の生体験。聴く方の当方も緊張する。 1楽章約27分の演奏。テンポは通常でやはり上手い!全く傷が無いと言えば嘘になるがマラ9の世界を体現していた。 ホルンが上手い(しかし、弱音ゲシュトップフト奏法でのホルンは・・・) 2楽章は15分、3楽章13分、やや崩壊寸前であったが何とか耐えたところも!トランペットソロ最初は良かったけどなあ。 最後も何とか快速に演奏。 そして終楽章。最初が素晴らしいの何の!!一糸乱れぬストリングス。もう涙腺崩壊ですわ。 かなり練習したんでしょうね。この瞬間、生きてて良かったと思った(昨年、心臓病でちょっとは死を意識したので) ホールがマーラー9番の音に満たされる最高である。 最後半、会場も異様な静寂になり、ゆったり弦の音だけが響く・・・・。 そして最後の音も・・・異常なまでの無音。素晴らしかった・・・。 それからパラパラの拍手からの大拍手。 良かった、良かった! 25分(テンポも申し分無し) またマーラー交響曲9番の生演奏が聴けたことに感謝!


2021.3.27

高橋利幸指揮ちば室内管弦楽団 

曲目

モーツァルト:「後宮からの逃走」序曲

ブラームス:大学祝典序曲

ブラームス:交響曲第1番

[感想記]

コロナ禍の中での演奏会。まずは演奏会が開催され、生音に触れることが出来たことに感謝! ちば室内管弦楽団 第50回演奏会。1年ぶりに勝手知ったる習志野文化ホールへ。 まずはコンサート会場にいることに感謝でした。

コロナ対策もバッチリなされ、チケットには名前と連絡先を記入。ホール定員は約1500人に300人しか入れず。 席は1つ空けにて設置。スタッフの気遣いと苦労が分かります。

室内管弦楽団ということでしたが、そんなに編成は小さいものではないように思われました。 モーツァルトの「後宮からの逃走」序曲、全く知らない聴いたことも無い曲でした。 オケはまだ音が硬いのとやや濁り気味でした。 次のブラームス:大学祝典序曲、最初ははやり音が前に出てこない感じでしたが、途中から音が良くなってきました! すると当方の目から涙が・・・。やはりに生音に触れていることに感動したと思います。

後半はメインプログラム みんな大好きブラームス交響曲1番!! 1楽章の出だしのテンポが私の好みよりもやや速めでしたが、演奏は素晴らしいものでした。 2楽章がなぜか心に染みました(いつもは1楽章と4楽章が大好きで聴いているのですが)。 途中、ちょっと弦楽器の音程が不安定に。 3楽章、クラリネット奏者に拍手、良かったです。 4楽章、やっぱり良い曲だ。またまた落涙してしまいました。フルートが良かった! 満足の行くブラ1でした。ブラ1最高!

アンコールはロッシーニの「ウイリアム・テル」序曲と誰もが知っている超有名曲 楽しい演奏で幕を閉じました。

コロナ禍の中での演奏会なんだなあと実感したことが2つ。 1つはホール内の空調を強めに動かしているのか、空調のノイズが気になりました。 今まで習志野文化ホールで気になったことがないので、強めに空調していると思います。 もう1つは日本のクラシック演奏会では当たり前の光景であった 楽章の間の「咳」、これがほとんど無かった。正直、ビックリしました。

何度も言いますが、演奏会最高、生音最高でした。


2020年

2020.8.10

山下一史指揮北九州グランフィルハーモニー ピアノ:梅崎秀 

曲目

モーツァルト:「フィガロの結婚」序曲

モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番

ベートーヴェン:交響曲第7番

[感想記]

  コロナ禍の中での演奏会。最後に指揮の山下一史さんもお話されていましたが、この演奏会が行うことが出来たことに感謝されておりました。 感謝はこちらこそです。まさか演奏会で生音が聴けるとは感動です。

北九州グランフィルハーモニー、応援していますので、コロナ禍が収束したらどんどん北九州で演奏会をやってもらいたいものですね。


2020.2.2

直井大輔指揮 オーケストラ・ミュズニック 

曲目

ボロディン:交響曲第2番

ラフマニノフ:交響曲第2番

[感想記]

  久しぶりの文京シビックホール! いやはや2005年1月のチョン・ミョンフン指揮 東京フィルのマーラー交響曲3番以来のビックリの15年ぶり。 今年で文京シビックホール開館20周年とのこと。15年前は新しかったわけだ・・・。 15年ぶりということで、あの時より当方も15年分、老いが進んでしまいました。

オーケストラ・ミュズニック 第3回演奏会。 このオーケストラ・ミュズニックは医療系大学入学者を中心に構成されたオーケストラとのこと。 本当に医療系の大学の方々のアマオケは多いですね。素晴らしいの一言。

そして、令和2年2月2日午後2時開演、演奏曲目はボロディン交響曲2番とラフマニノフ交響曲2番。 もうねえ!これでもかの「2」尽くし。 ボロディンとラフマニノフ、当方にとっても最高の組み合わせ。幸せで御座います。

楽員の方々のお若いこと。このような20代の多いアマオケって総じて、レベルが高いんですよね。期待できます。 指揮の直井大輔氏。1971年生まれ、東京芸大指揮科にて学ぶ。ちょうどコバケンが指揮科を指導していた頃でしょうか。 今は東京芸大指揮科と言えば、高関さんが指導されていますが。

さてボロディン交響曲2番。出だしは音が硬かったですね。弦の調子も本調子では無かったようで・・。 しかし、3楽章では音が一変!まあハープとクラリネット、そしてホルンの奏者が上手すぎて(演奏後、この3名は指揮者も絶賛)。 3楽章は本当に良かった。その勢いで終楽章も素晴らしかった。後半の楽章は文句無しの出来でした。

休憩後、ラフマニノフ交響曲2番(ラフ2)、この曲、1年に1度は生演奏を絶対に聴きたいと思っている曲でして・・・。 とは言いながら、2017年2月の千葉市管弦楽団演奏会からの3年ぶりですか。 冒頭から素晴らしい響きでもうラフマニノフの世界に浸ることが出来ました。オケの音、響きが渾然一体となり、良かった。 何も言うことはありませんね。1楽章最後の「ティンパニーの一撃」はありませんでしたが。 そして、お待ちかねの3楽章。クラリネット・ソロ、ダメだって、大号泣ですわ。3楽章中、涙が止まりませんでした。 演奏時間は14分30秒、まあ良い感じですかね。もうちょっとほんのちょっとゆったりめでも私の好みですが。 4楽章では俄然、オケが鳴ります。大音量、えーーこのオケ、このような大音量が出せたんだあって。 良かったです。演奏後、大拍手!ブラボー!素晴らしいオケでした。

本当に感動的な演奏ありがとうございます。もう入場無料はダメでしょう!お金取りましょうよ!


2020.1.19

黒岩英臣指揮 習志野フィルハーモニー 

曲目

ワーグナー:ジークフリート牧歌

マーラー:交響曲第9番

[感想記]

以前から今年の1月はマーラー交響曲9番で年明けだなあと思っておりまして・・・。 というのも「1月11日にブルーメンフィルの第50回定期記念演奏会」と「1月19日の習志野フィルの創立50周年記念演奏会」でともに マーラー交響曲第9番を採り上げ2回連続マラ9三昧だなあと思っていたのですが・・・・。

年明けに当方がインフルエンザに約20年ぶりに罹ってしまいまして・・・。 ということでブルーメンフィルの演奏会には行けず(残念)。 この習志野フィルの創立50周年記念演奏会で今年のコンサートは幕開け。 年明けからマーラー9番とは何とも嬉しいやら勿体無いやら。

昨年もブルーメンフィル、習志野フィルともに聴いたのですが、 ブルーメンフィルの方は大曲ブルックナー交響曲7番を難無く素晴らしい表現と技量で聞かせてくれました。 おそらくマーラー9番も素晴らしい演奏だったのではないでしょうか! 一方、習志野フィルの方はベートーヴェン「英雄」だったのですが、弦の不安定さが目立ち、 これはマーラー9番は正直、このレベルだとかなり厳しいかなあと思った次第です。

さて、今回の指揮者は黒岩英臣氏。もうねえ、黒岩氏はとても身近な指揮者でして・・、 というのも黒岩氏は1981年から1988年まで当方の地元オケ九州交響楽団の常任指揮者ですから。 何度も福岡のテレビに出演されておりました。しかし、当方は当時、九響を聴く機会が無く・・・。 まさかこの機会に黒岩氏の指揮を見れるとは嬉しい限り。

最初の曲はワーグナーのジークフリート牧歌。何とも静かな優しさにあふれた曲です。 やや弦に不安定さはあったもの良かったと思います。

さーーて、お待ちかねのマーラー9番

うーっむ、正直、結構粗が目立ってしまいました。 かなり楽員の皆さんは頑張っていたと思うのですが、やはり弦楽器の不安定なところ。 木管でもEsクラリネットが崩壊していたり、ソロパートも音程がイマイチだったり・・・。 音楽に浸れなかったというのが本音ですかね。厳しいですが。 しかし、孤軍奮闘していたのがホルン。ホルンはホント頑張って支えてましたねえ。 3楽章のトランペットソロも良かったです。 テンポはゆったりめで当方の好きなテンポ設定で良かったのですがねえ。 この記念演奏会にマーラー9番を採り上げ、演奏出来たということは良かったのでは無いでしょうか。


2019年

2019.12.15

若宮裕指揮ノイフィルハーモニー チェロ ドミトリー・フェイギン 

曲目

スメタナ:連作交響詩「わが祖国」より「シャールカ」

ドボルザーク:チェロ協奏曲

チャイコフスキー:交響曲第5番

[感想記]

3ヶ月ぶりのクラシックコンサートとなりました。 悪い方では台風被害、大雨があったり、良い方ではサッカー ギラヴァンツ北九州がJ2昇格、J3優勝と 特に週末は3週連続ギラヴァンツ戦の応援もあって、クラシック音楽とは遠ざかっておりました。

ノイフィルハーモニー管弦楽団 第16回定期演奏会です。そして、久しぶり大田区民ホール・アプリコへ。 このノイフィルは県立千葉高校オーケストラ部のOBによって結成されたオーケストラとのこと。 今年で第16回定期演奏会ですが、今までの演奏曲目を見てもベートーヴェン、ブラームス、チャイコフスキー、メンデルスゾーン、 ラフマニノフ、シベリウス、シューマンと正統的な演奏曲目が並んでおりますね。 そして今回の曲目は前半がドボルザークのチェロコン、後半がチャイコフスキー5番。 もうねえ、超有名&名曲が並びました。当方的には嬉しいのなんの!

入場券が500円と何とも良心的!(本当はチケットを分けて頂きました。ありがとうございます!) この曲目の御蔭か?人気のあるアマオケなのか? アプリコホールは超満員。素晴らしい。

楽員の入場。かなりお若い楽員が多い。女性率も高め。 1曲目はスメタナ「我が祖国」より「シャールカ」ハープも要らないし、手頃な選曲かも。  指揮は椙山由美子さん。「我が祖国」の中でも好きな曲。 オケのレベルはストバイがたまに不安定になる以外は問題無し。 楽しく音楽に浸ることが出来ました。 その後、ドボコン。ソリストはドミトリー・フェイギン氏。何とアマオケで外人ソリストを連れてくるとは!と思っていると、 東京音楽大学教授とのこと。日本在住なのですね。 チェロのソロとしては、男性らしく重厚にいくのか?逆に繊細に叙情的に行くのか? うーむ、どちらとも言えない感じでした。さらにチェロの音がオケに隠れるのは残念でした。 しかし、オケはしっかりサポートしておりました。不安定なところも見られず。 そして1楽章のホルン・ソロからクラリネット・ソロにはじーんと来ました。

後半はチャイコフスキー交響曲5番。本当に名曲と思います。たまに無性に聴きたくなる曲でもあります。 全楽章に登場する「運命の動機」の構成は本当に最高です。 正直、ノイフィルのチャイ5。最高でした。素晴らしかった。 まずはテンポ、ややゆったりしたで説得力のある演奏。1音1音、実に丁寧に音を表現しており、 心に染みました。 そして、前半では感じなかった音の迫力、もうここまで大音量が出せたのか・・と。 相当レベルの高い満足の行く演奏でした。感謝です。(ドボコンよりも断然良かった!) 来年10月はブラームス交響曲3番とのこと。楽しみです。


2019.9.16

和田一樹指揮豊島区管弦楽団

曲目

プフィッツナー:付随音楽「ハイルブロンのケートヒェン」序曲

シュレーカー:組曲「王女の誕生日」

マーラー:交響曲第7番

[感想記]

1年に1度、聴けるのであれば、是非、聴きたい曲はマーラー交響曲9番は外せないとして、 マーラー交響曲6番「悲劇的」と7番「夜の歌」ですね(本当は8番「千人の交響曲」もなんですけど、無理は言いません)。 最近は有難いことにアマオケも当たり前のように難曲、大曲のマーラーの交響曲をプログラムに取り上げてくれるので、 助かります。

ということでマーラー7番を聴きにすみだトリフォニーホールへ。 オケは豊島区管弦楽団 第89回定期演奏会です。 マーラー7番は2017年4月のみなとみらい21交響楽団以来の約1年半ぶりです。

指揮の和田一樹氏。当方にとって初です。結構、お若い指揮者。経歴も芸能関係の仕事も多いようです。

さて前半のプログラム。2曲、その作曲家が<プフィッツナー>と<シュレーカー>の作品。 クラシック音楽ファン歴、約40年の当方も初耳の作曲家。ドイツ・オーストリアで活躍、 そしてマーラーよりも年下。ともにナチスドイツに翻弄されたというか、利用したというか。 どんな曲なのかは聴いてのお楽しみ!!

聴くと何とも耳に心地よい音楽。 プフィッツナーワーグナーのようなベートーヴェンのような・・・。 シュレーカーはドボルザークのような・・・。 当方的にはもっと聴きたい作曲家、作風であるのですが・・・、ちょっと調べてみますかね(you tubeやCDなど)。 オケの技量ですが、総じて上手い。これはマラ7でも期待できそうです。

お待ちかねのマーラー7番。 冒頭から良い感じ。聴き続けると上手い、上手い。アマオケでここまで完璧に1楽章を演奏するとは驚きです。 強弱、テンポも変え、その表現も良し!! 2、3、4楽章も上手いなあと感心しきりで聴いておりました。 (欲を言えば4楽章のマンドリンとギターの音がもっと聞こえれば良かったなあ) そして、大好き過ぎる終楽章。当方としてはノーテンキに大音量で弾けて欲しいなあと思っておりました。 冒頭のティンパニーと金管で・・・、これ!これ!この演奏だよ!と超満足。 緩急の表現ももう最高!当方、途中から興奮してしまって、放心状態になってしまいました。 これですよ、マーラー7番は! 演奏時間はほぼ80分。

終演後、ブラボーの嵐。そりゃ、そうだ。本当に素晴らしい演奏でした。 豊島区管弦楽団、ブラボー! またまた応援したいアマオケが増えた。


2019.9.1

金山隆夫指揮オーケストラ・ディマンシュ

曲目

プロコフィエフ:交響曲第7番

[感想記]

9月1日は15:30から渋谷で野暮用があり、それまで時間があるということで、当方のお気に入りのアマオケである  オーケストラ・ディマンシュ 第49回演奏会へ すみだトリフォニーホールに行ってきました。

  残念ながら前半のプログラムのみ聴きに。 本当は後半のサン=サーンスのオルガン付きも是非聴きたかった。 前半のプログラムはプロコフィエフの交響曲第7番。当方にも馴染みの無い曲でして・・・・。 プロコフィエフの交響曲といえば、1番と5番は好きなのですが。

この7番、プロコフィエフの最後の交響曲、1952年作曲ということで戦後の曲です。 一聴でプロコフィエフの曲だということはわかりますが、かなり聴きやすい曲です。

約2年ぶりのオーケストラ・ディマンシュ。 いやーー、上手いなあと感心。 レベルが上がった感じがします。

あーあー後半のオルガン付きを聴きたかったなあ。 後ろ髪を引かれながら、すみだトリフォニーホールを後にしました(泣)。


2019.7.27

山下一史指揮 北九州グランフィルハーモニー ヴァイオリン:岩倉万希子 ピアノ:吉田恵美

曲目

ウェーバー:「魔弾の射手」序曲

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」

ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」

[感想記]

当方が待ちに待った夢にも見ていた北九州に発足したプロオーケストラ
“北九州グランフィルハーモニー管弦楽団”
北九州で若手演奏家へ演奏の場を・・と設けられた<湧き上がる音楽祭>の祝祭管弦楽団が常設化されたものです。

早い時期に是非、聴いてみたいとおもっていたら、 北九州芸術劇場にて<湧き上がる音楽祭>が開催され、オケは北九州グランフィルということで喜んで行ってきました。

さらに演奏曲目がウェーバー:「魔弾の射手」序曲、チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲、ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」 、ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」と4曲の3部構成でのコンサート。なんと3時間でした。

演奏技量はプロオケということで文句無し。編成が中規模ということで金管、木管の音が良く聞こえる。さらに低弦の存在感も増します。 チャイコのヴァイコン3楽章、「英雄」の2楽章でウルウルと感動!! 若手演奏家へ演奏の機会を!ということで指揮の竹内健人氏、ヴァイオリンの岩倉万希子さん、ピアノの吉田恵美さんと 初々しい演奏を聴くことが出来ました。本当に良い企画と思いますね。

クラリネットの客演首席には田中香織さんが・・・。田中さんはうちの娘の吹奏楽演奏会にゲスト出演してくださった方。 素晴らしい存在感のあるクラリネットでした(拍手!)。

この北九州グランフィルハーモニー管弦楽団 是非とも応援し続けたいものです!


2019.7.7

江原功指揮 習志野フィルハーモニー

曲目

チャイコフスキー:バレエ音楽「白鳥の湖」より抜粋

ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」

[感想記]

昨年初めの千葉フィル以来の習志野文化ホールへ。この間、改修していたとのことで、 ホール内を見ましたが、大きく変わったところは無く。耐震工事だったのかなあと思っております。

そして、習志野フィルハーモニー管弦楽団。第95回定期演奏会へ。 習志野フィルは2016年1月のサン=サーンス「オルガン付き」以来の3年半ぶり。

曲目はチャイコフスキー「白鳥の湖」抜粋とベートーヴェン交響曲3番「英雄」とポピュラーな音楽。 楽員の入場で楽員の方々の年齢層の高いこと!!高いこと!!

ご高齢でも音楽が楽しめるとは良いことです。 演奏の方ですが、弦楽器の出来不出来があり、残念でした。 (前回のサン=サーンス「オルガン付き」は素晴らしい弦だったのですが) 超・有名な白鳥の湖“情景”でのオーボエとハープの美しいこと・・・、うっとりしてしまいました。 弦の不安定さが目立ち、イマイチに音楽にのめりこめず。 「英雄」はそれなりにまとまっていましたが。もう少し頑張れるはず!

次回の定期演奏会、何と何と、マーラー交響曲第9番を演奏するとのこと。 これはかなり練習が必要かと思いますが、期待しております。


2019.6.23

新通英洋指揮 ブルーメン・フィルハーモニー

曲目

モーツァルト:交響曲第38番「プラハ」

ブルックナー:交響曲第7番

[感想記]

ブルーメン・フィルハーモニー 第49回定期演奏会。ティアラこうとうにて。 ブルーメンフィルは1年半ぶり(杉並公会堂でのシベリウス交響曲3番、エルガー交響曲1番以来)。 その時の印象は弦楽器が上手い!ということ。この実力をもってすれば今回のメイン曲、 難曲であるブルックナー交響曲7番もそれなりに?形にはなるのでは・・・と。 しかし、ブルックナーというは独特の作風なので、どこまでブルックナーの世界に引き込められるか?

ブルックナー交響曲7番、当方にとっては2015年9月の敬愛するベルナルト・ハイティンク指揮ロンドン響以来。

前半のプログラム、モーツァルト交響曲第38番「プラハ」 あまりモーツァルトを好んで聴かない当方ですが、 なかなか分厚い演奏で良かったです。

さてお待ちかねのブル7。冒頭の弦の繊細な刻みで当方は「ブルックナーの世界」へ引き込まれてしまいました。 素晴らしいの一言。弦楽器の上手いこと!!特にヴァイオリンは本当に言うこと無しでした。 そして、木管ではフルート奏者がgood。金管も頑張っていたと思います。 この素晴らしい演奏にこっちも緊張してしまいました。 指揮の新通氏、暗譜でダイナミックな指揮振り。まあ指揮台の上で翔んでましたな! このようなアマオケを指揮すると楽しいだろうなあ。 演奏後、ブラボーがかかりまくり・・・・。凄い演奏でした。 アンコールは無し。この名演のあとでは全く必要無しです。

何と次回の第50回定期演奏会ではあのマーラー交響曲第9番を取り上げるとのこと。 弦楽器が超絶上手いこのオケ、期待大です。

演奏会後、ティアラこうとう前の猿江恩賜公園を散策しながら、余韻に浸っておりました。 このようにホール近くに公園があるのはいいね! 北九州のソレイユホールも同じく勝山公園を歩きながら余韻に浸り・・・。 その点、ミューザ川崎やすみだトリフォニーホールは会場の外はいきなり雑踏で・・・。


2019.5.19

新田ユリ指揮 水星交響楽団

曲目

シベリウス:交響曲第6番

吉松隆:交響曲第6番「鳥と天使たち」

チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」

[感想記]

以前からその名称から気になっていたアマオケ。水星交響楽団 第59回定期演奏会へすみだトリフォニーホールに行ってきました。 この水星交響楽団は1984年に一橋大学管弦楽団の出身者を中心に結成されたとのこと。 水星という名称は一橋大学のシンボルである「マーキュリー」から来ているなど説はあるとこのこと。

そして今回の定期演奏会。テーマはずばり「交響曲第6番!!」ということで、プログラムにずらっと交響曲6番が並びます。 交響曲6番といえば、チャイコフスキー、マーラー、ベートーヴェン、ブルックナー、ドボルザーク・・・・とありますが、 今回取り上げた3曲は、「チャイコフスキー」「シベリウス」そして、「吉松隆」。 当方の大好きな6番が揃いました(マーラー「悲劇的」が入れば完璧!)。 そして、吉松隆氏の6番「鳥と天使たち」を演奏とは、夢のようです。 2年前に吉松隆氏の交響曲第4番を聴きましたが、まさか最新交響曲であるこの6番がアマオケに演奏されるとは・・・。 さらにシベ6、指揮は新田ユリさん、もう完璧です。

新田ユリさんの指揮は2016年のアイノラ響(シベリウス交響曲第5番初稿版、最終版)の演奏会以来ですか。 シベリウス6番は2017年2月の伊達管弦楽団以来。チャイコフスキー「悲愴」は2007年のペーター・フロール指揮 大阪フィル以来。 「悲愴」はかなり久しぶりと思いましたが、12年前とは・・・。

会場のすみだトリフォニーホール。かなりのお客さんが入っております。 楽員の方が舞台へ。年齢層は幅広く、やや若い方が多い印象。 何と指揮者の向かいにハープが。 さて最初の曲はシベリウスです。肝心な冒頭ですが、何とも透明感で澄んでいる高弦。 もう感動モードです。ところどころ弦が不安定になるもののレベル高い演奏でした。

ピアノを弦楽器の後ろに移動、設置します。かなりピアノが重要なこの曲。 そして、ステージ上の椅子がかなり撤去され、小編成の曲ということが分かります。 この曲はメロディーを楽しむというより、響きそのものを感じるという曲です。 やはり生演奏ならでは響きの妙を堪能することが出来ました。 そして、その響きを表現出来るこのオケのレベルにも感謝しかありませんね。 さらに曲の途中に差し込まれる「シベリウス」「チャイコフスキー」「ベートーヴェン」などの断片を楽しむことも出来ました。

ということで前半のプログラムの2曲で当方の目的はほぼ達成。 しかし、しかし、この後半のチャイコフスキー「悲愴」が素晴らしかった!! 前半とは別のオケになったかのよう。音が分厚く、説得力のある表現。やや縦のラインがすれたりはありましたが、些細なこと。 ホルンや2楽章のティンパニーの表現は秀逸でした。 そして、3楽章後、結構、パラパラ拍手があるのですが、一切拍手は無し。 (何度が悲愴の演奏会に行きましたが、当方としては初めてのことではないでしょうか?) 終演後、ブラボーの嵐。良かったです。

何と次回の第60回定期演奏会ではあのマーラー交響曲第8番「千人の交響曲」を取り上げるとのこと。 スゲーーーー。アマオケが「千人」恐るべしです。行ければ行きたいです。


2019.4.14

藤本宏行指揮 シンフォニア・ズブロッカ

曲目

ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」

ブラームス:交響曲第2番

[感想記]

東京で聴きに行きたかったホールに行くことが出来ました。 「新宿文化センター 大ホール」首都東京でもパイプオルガンを設置している数少ないホールの一つ! ホール入口を入ると開館40周年の垂れ幕。1979年開館とのこと。 「昭和の古き良きホール」か?「昭和の古き悪しきホール」か? ドキドキしながら、ホール内へ。

中に入ってビックリ! もうねえ、我が北九州のソレイユホール(旧九州厚生年金会館)にそっくり。 いやーー、似てる、似てる。ソレイユホールは左手にパイプオルガンがありますが、新宿文化センターは右手にパイプオルガンが設置。 (習志野文化ホールと同じ) そして、席もゆったり、トイレも十分。本当に「昭和の古き良きホール」でしたね。この雰囲気、落ち着きます。

シンフォニア・ズブロッカ 第15回定期演奏会。まあ何とも面白い名前のアマオケ。 2005年結成でポーランド原産のウォッカ「ズブロッカ」のように、力強く独特の香りを放つオーケストラを目指して都内で活動中とのこと。 当方、てっきり東欧系を中心にした曲を演奏するアマオケかと思っておりましたが、違うようですね。 若手の多いオケでした。

さて、演奏曲目ですが、超有名曲の2つの交響曲。ベートーヴェン「田園」とブラームス2番。 「田園」は2013年の飯森範親指揮の九響以来。ブラ2は2004年の尾高忠明指揮読響以来。 ブラ2の演奏では忘れなれない超・超名演がありまして、1998年の山口県の周南文化会館での 今は亡きシノーポリ指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団の演奏が完璧すぎる演奏で度肝を抜かれたことを思い出しました。 ともに良い曲です。日頃はあまり聴きませんが・・・・。

前半の曲目、ベートーヴェン交響曲第6番「田園」弦楽器はなかなかのレベル。 やや低弦の迫力に欠けるか・・・。しかし、ホルンがややイマイチの出来でした。 穏やかな「田園」を聴くことが出来ました。

後半のブラームス交響曲第2番、「田園」と異なりソロ演奏者を交代させてきた模様。 このブラ2では低弦の威力が増し、ブラームス特有のアンサンブルを堪能することが出来ました。 4楽章は良かった。思わずウルウルしてしまいました。もう少し音を爆発させても良かったなあと。 最後はかっこよかった!! ブラボーが飛びまくり。 何とアンコールにドボルザーク交響曲第6番の4楽章を演奏するという変わったアンコールを堪能しました。

新宿文化センター、新宿駅からやや遠いですが、地下鉄新宿三丁目からはまあ近いところです。 是非、また来たいホールですね。次はパイプオルガンを聴いてみたいものです。


2019.3.21

水戸博之指揮 福岡教育大学管弦楽団 ピアノ:武内俊之

曲目

チャイコフスキー:戴冠式祝典序曲

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番

ブラームス:交響曲第4番

[感想記]

やっと、久しぶりにアクロス福岡で演奏会を聴くことが出来ました。 何と何と、2011年11月の九響のマーラー9番以来、約7年ぶり。いやーー、時間が経ってしまいました。 以前にも記載したことがありますが、当方が好きな響きの良いコンサートホールは2つ(双璧)!! この「アクロス福岡シンフォニーホール」と山口県岩国市にある「シンフォニアいわくに」 どちらもやや残響多めのホールです。

この日は福岡教育大学管弦楽団 第50回記念定期演奏会。 かなり多くの観客が入っております。 チャイコフスキーの戴冠式祝典序曲から始まります。 やはり、ややビオラが不安定、そして金管もやや・・・。 そして、久しぶりのアクロスの響き、「残響多い!!」と思ったもののこの音の混ざり合いが心地よい!!

ラフコン2番のピアノは福岡教育大学准教授でもある武内氏。 なかなか分厚い響きであったが、やや音の流れが・・・・。しかし、十二分にラフコンを楽しめました。 アンコールに応えて、ラフマニノフのヴォカリーズを演奏。ヤッター、得した気分。

そして、アマチュア泣かせのブラ4。 何度もアマオケでブラ4を聴いてきたが、本当に難しいなあと実感。 しかし、この福教大オケ、最初はやや不安定なところもあったが、この後は素晴らしい演奏を聴かせてくれました。 特に2楽章は良かったです。そしてこのオケのオーボエの上手さは最高だった。 上手すぎでしょう。金管は少し残念でした。

アンコールではアンダーソン:忘れられし夢、ヨハン・シュトラウス2世:雷鳴と電光を演奏。 福教大オケ、単科大オケですが、レベルは高い。 そして、「アクロス福岡」の素晴らしさを堪能!!


2019.3.2

永原裕哉指揮 トニカウインドオケ

曲目

マッキー:オーロラ・アウェイクス

ヘス:イーストコーストの風景

バーンズ:交響曲第3番

[感想記]

西武新宿線練馬駅前の立地の良い「練馬文化センター」 初めての吹奏楽オーケストラコンサート。

千葉県での吹奏楽コンクールで感動したバーンズの交響曲3番の全曲を聴くことが出来た。 3楽章は涙が止まりませんでした。


2019.2.17

チョン・ミョンフン指揮 東京フィル

曲目

マーラー:交響曲第9番

[感想記]

今年もマーラー交響曲第9番の生演奏を聴くことが出来ました。 1年に1度はマラ9の生音に包まれたいと思っているので、今年は2月早々に聴くことが出来て幸せです。

指揮はチョン・ミョンフン、オケは東京フィルです。 この組み合わせのマラ9は13年前になりますが、2006年2月大船にある鎌倉芸術館で聴いております。 その時はリハーサルを見学出来たというラッキーな演奏会でした。 感想はこのコンサート感想の森に記載しております。

渋谷のオーチャードホールは2017年6月以来。この時もマーラー9番でした。 指揮は山田和樹、オケは日本フィルでした。

肝心の演奏の方ですが、 1楽章、2楽章は全体的に大人しい演奏。特に弦楽器が抑え気味の演奏。 音の強弱、テンポも大きく揺らすことなく、淡々と音が進んでいく感じ。 しかし、3楽章では俄然、弦楽器が主張し、テンポもアップしていきます。 そして、当方、お気に入りのトランペットのソロ。高音の濁りのない澄んだ音色。いやーー上手い!感動しました。 その後、急にスローテンポへ。後半のアップテンポの箇所でもところどころ音を溜める珍しい解釈でした。 4楽章の前半の弦楽器のアンサンブルは素晴らしいの一言。 しかし、何故か金管が先走りの様子。ここだけは残念でした。 弱音も文句なく、演奏が終了。静寂時間は長く無く、大拍手とブラボー!!

まあマラ9の音楽に包まれ、やはり涙腺崩壊してしましたね。

演奏時間は1楽章:30分、2楽章:15分、3楽章:13分、4楽章:25分というところでしょうか。

後日、当方が所有しているチョン・ミョンフン指揮ソウルフィルの2013年のCDを聴いてみると、 演奏解釈がほぼこの演奏を同じでした。特に3楽章最後半の溜めの箇所は・・・。 この点、チョン・ミョンフンのこの曲への解釈は2013年から不変というのはこれはこれで凄いと思いますね。

当方的にはマラ9は昨年の沼尻竜典指揮神奈川フィルの演奏の方が大感動したので、 この今回の演奏は普通かな?という感じでした。 しかし、何度聴いてもいい音楽ですね。マラ9は!!


2019.1.27

児玉章裕指揮 横浜みなととなみ管

曲目

ウォルトン:「ポーツマス・ポイント」序曲

ブリテン:四つの海の間奏曲(歌劇「ピーター・グライムズ」より)

リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」

[感想記]

2019年の初コンサートでございます。やっとという感じ。 通常ならば「千葉フィル」コンサートで幕開けなのですが、今年はまあ会社の3日間ホテル缶詰の研修がありまして、 千葉フィルのコンサートへいけませんでした。

1月27日ならコンサートへ行けるということでコンサートスケジュールを見てみると行きたいコンサートが目白押し!!
・N響(グリエール:ハープ協奏曲)
・グランベーネ管弦楽団(ラフマニノフのピアコン2番、ブラムース交響曲1番)
・横浜みなととなみ管弦楽団(シェエラザード)
どれを聴きに行こうか迷いました。特にN響のグリエールのパープコンチェルトとは当方の大好きな曲でグリエールにはまったきっかけの曲。 それに多く演奏される曲でも無いし・・、しかし、価格と他の曲(ベルリオーズのイタリアのハロルド)で断念。 ということで、はやりラフマニノフのピアコン2番、ブラ1という黄金コンビに負けまして・・・鶴見のサルビアホールへ。 まあサルビアホール収容人数が500人台という小さいホールということあって、何と何とチケット完売、当日券も完売。 (アマオケでは会場へ行って入れなかったのは2度目)
ということで急いでJR鶴見駅から隣の川崎駅へ移動。そして、徒歩15分の<カルッツかわさき>へ。初めてです。 一度は早く来たいと思っていたホールです。 <カルッツかわさき>は2017年10月オープンの2000人以上収容の大ホール。 川崎には「ミューザかわさき」もあるのですが、クラシック専用なので <カルッツかわさき>という歌謡曲、ポップス、講演会に適したホールも駅チカに出来て良かったと思います。 まあその分、音響的にもクラシック音楽の演奏会にはやや向いていない感じもしました。デッドでかなり振動がくる!

<カルッツかわさき>での横浜みなととなみ管弦楽団演奏会へ。 当方としては大好きなリムスキー=コルサコフのシェエラザードで2019年のコンサート幕開けです。 横浜みなととなみ管弦楽団 第6回演奏会。“みなととなみ(港と波)”回文を意識したとのこと。 アマオケでは演奏されない幅広いレパートリーを演奏するために結成。そして演奏家ごとにメンバーを募集という。 今回は「海」「船」「港」「波」にちなんだ曲を演奏。
指揮は児玉章裕氏。当方にとっては2017年4月のみなとみらい21交響楽団のマーラー「夜の歌」以来。 その時が児玉氏にとってみなとみらい21オケとの最後の演奏でした。 他にも横浜シティ・シンフォニエッタなど横浜を中心にアマオケの指導をされているようです。

オケの楽員はご年配の方から若い方まで幅広い感じがしました。 前半はウォルトン、ブリテンの曲で初聴でしたが、オケのレベルは高く感じました。 特に弦楽器(ビオラ)がアマオケの弱点なので、ビオラのレベルも一定以上でしたね。

そして、お待ちかねのリムスキー=コルサコフのシェエラザード。 素晴らしい演奏でした。テンポ、強弱は一般的な解釈でした。特に変わった感じはありませんでした。 特筆すべきは木管ソロパートの方の上手いこと!!特にオーボエは素晴らしかったですね。 ここまで木管が上手いと<シェエラザード>の世界を堪能できますね。 他にも 金管も良かった。トロンボーン、トランペットは完璧でした。ホルンは若干かなとは思いましたが問題無し。 上述したように弦楽器もレベルが高かった。もちろんのコンマスの方も良かったですよ。 ゲストでヴァイオリン・ソロを呼んでいるのかなあとも思いましたが。素晴らしいシェエラザードを堪能することが出来ました。

次回は8月にブラ4を演奏するとのこと。これはレベルの高い演奏が聴けるのではないでしょうか。 ブラ4は結構、アマオケ泣かせの曲ですからねえ。


2018年

2018.12.23

藤岡幸夫指揮 関西フィル ソプラノ:四方典子 オルガン:片桐聖子

曲目

アンダーソン:そりすべり

レハール:ワルツ「金と銀」

シューベルト:アヴェ・マリア

バッハ:羊は安らかに草をはみ

プッチーニ:“私が街を歩くと”(歌劇「ボエーム」よりムゼッタのワルツ)

モーツァルト:“夜の女王のアリア”(歌劇「魔笛」より)

エルガー:「威風堂々」

フェラーリ:歌劇「マドンナの宝石」より間奏曲

チャイコフスキー:花のワルツ

ドビュッシー:月の光

レスピーギ:交響詩「ローマの松」

[感想記]

このお休み、娘の大学のサークルの吹奏楽演奏会ということで関西へ。 しかし、ただ関西に行くだけではつまらないということで関西で何か良いコンサートはないかと探していたところ・・・! あった! ザ・シンフォニーホールで関西フィルの演奏会が。

ザ・シンフォニーホールと言えば、日本発のクラシック音楽専用ホール。1982年開館。 大阪、関西が誇るコンサートホールで今も全く輝き、存在感を失っておりません。 当方も大学時分、ザ・シンフォニーホールでクラシック演奏会を聴いた記憶があるのですが、 オケは大阪センチュリー交響楽団ということは覚えているのですが、いつ?演奏曲目は? 全く覚えておらず。 この「コンサート鑑賞の森」にも記載できておりません。

約28,9年ぶりに訪れる<ザ・シンフォニーホール> ワクワクせずにはおれません。 JR福島駅から徒歩。途中に関西将棋会館を見ながら。そしてついに眼前にホールが。 公園を歩きながらのホール到着! ホールロビーが絢爛豪華! そしてホールへ。素晴らしい! このようなホールは「サントリーホール」「みなとみらいホール」など 出来ておりますが、このクラシックホールの先駆け。古さを全く感じさせません。 感動です。パイプオルガンもいいですね。

指揮の藤岡幸夫氏。当方としてはBBCフィルとの吉松隆氏の数々の名録音の印象が強いです。 吉松隆氏の音楽が広まったのも藤岡氏の影響も大きいので、当方にとっても感謝ですね。 そして藤岡氏と関西フィルとのは関係は長く来年2019年で20シーズン目とのこと。 これほど長い関係というのは余程オケと良好な関係が築けているのでしょう。 このコンサートは<クリスマス・ファンタジア>と命名され、かなり長いことクリスマスの演奏会として親しまれているようです。 クリスマスとの無関係な曲もかなりありますが、そこは気にせず!と藤岡氏も言っておられた。

曲の合間に藤岡氏と司会のABCアナウンサーの八塚彩美さんのトークがまた良い。関西のノリがあっていいですね。 関西のコンサートと言う感じ! 名曲をたっぷり堪能しました。ソプラノの四方さん、オルガンの片桐さんも良く。 エルガーの威風堂々ではオルガンも最後、加わり素晴らしい響きで贅沢な威風堂々でした。感動です。

チャイコフスキーの花のワルツではハープも堪能出来ましたし、何と言ってもトリを飾るレスピーギの「ローマの松」です。 ザ・シンフォニーホールで「ローマの松」が聴けたとはまさに夢のようでした。 ザ・シンフォニーホールで「ローマの松」と言えば、1984年カラヤンとベルリンフィルとで演奏され、 当方もTVでその演奏を見たことがあり、さまに絢爛豪華なクラシック音楽に感動した覚えがあります。 今日のコンサートでも大迫力でしたねえ。興奮しました。 関西フィル、上手いですね。

そしてアンコールではこのコンサート恒例のようで「きよしこの夜」を観客と合唱し、終わりました。 本当に大満足な演奏会でした。当然、ホールの雰囲気、音響も良かった。 「ザ・シンフォニーホール 最高!!」 今年の締めに素晴らしい演奏会に行くことが出来ました。


2018.12.16

土田政昭指揮 江東フィル 江東区民合唱団 ソプラノ:鳥海仁子 バスバリトン:狩野賢一

曲目

ボロディン:交響曲第2番

プーランク:グロリア

フォーレ:レクイエム

[感想記]

前回のコンサート(曽我大介指揮 日本IBM管弦楽団)の時にコンサートチラシの中に江東フィルのチラシが入っており、 「フォーレのレクイエム」と「ボロディンの交響曲2番」 何とも素晴らしい当方の大好きな好き過ぎる曲の組み合わせ。 これはどうしても行かねば!ということでティアラこうとうへ来ました。

このコンサートは“ふるさとこうとう音楽のつどい Vol.25”で江東フィルと江東区民合唱団がともに参加するようです。 ですので、過去の演奏を見ても、第九やヴェルディのレクイエムなど合唱曲がプログラムに盛り込まれており、 このフォーレのレクイエムも何度か演奏されているとのこと。来年はモーツァルトのレクイエムとのこと。 オケと合唱団、江東区としては素晴らしい取り組みと思いますね。 江東フィルは夏には定期演奏会も行われており、年2回の活動をされているようです。

指揮は土田氏。当方にとっては千葉市管弦楽団の方がなじみがありますね。 珍しく休憩を2回挟む3部構成のコンサート。 楽員の入場。オケの楽員さんたちはやや年齢層が高め。 1部はボロディンの交響曲第2番。いきなりシンフォニー! 冒頭から音を刻むようにゆったりとしたテンポ。音の表情が乏しい感じ。 やや低弦に不安定さも見られたが、無難に演奏された。 オーボエが良かったですね。 2部ではプーランクのグロリア 合唱団とソプラノの鳥海さんが登場。 初聴なもので良し悪しは分かりませんが、オケの音が良くなってきた感じが・・・。 合唱をサポートしているました。

そして、お待ちかねフォーレク。 バスバリトンの狩野氏はステージ前方へ。ソプラノの鳥海さんは合唱団の横へ。 合唱の控えめな澄んだ音、オケも合唱よりも控えめな演奏で心に染みる演奏となりました。 何よりも素晴らしかったのは声楽ソリストのお二人。 良かったなあ。感動しました。 アンコールではモーツァルのアヴェ・ヴェルム・コルプスを演奏。 良い曲ですなあ。

12月年末、慌しい中にもこのような演奏が聞けたのは幸せな限りです。 唯一、文句を言わせていただければ、席後方に家族連れがいたのですが、子供が落ち着かずしゃべっていたのは非常に残念でした。 その声が気になってしまいました。


2018.11.18

曽我大介指揮 日本IBM管弦楽団

曲目

冬木透:交響詩「ウルトラセブン」より第1楽章 “ウルトラセブン登場!”

伊福部昭:SFファンタジー第1番

宮川泰:組曲「宇宙戦艦ヤマト」

レスピーギ:交響詩「ローマの噴水」

レスピーギ:交響詩「ローマの松」

[感想記]

1年ぶりのすみだトリフォニーホール。当方的にはこの「すみだトリフォニーホール」と「ミューザ川崎シンフォニーホール」ばかり 足繁く通っているようなイメージがあるのですが、すみだトリフォニーホールは1年ぶりとは・・・・。つまり錦糸町にも1年ぶりか!

曽我大介指揮 日本IBM管弦楽団 第32回定期演奏会へ来ました。当方、あまり企業オケというのは好きな方では無く。 以前も記載したことがありますが、企業オケの演奏会に行くと彼方此方で挨拶会みたいで・・・、さらに音楽に興味無く、仕方無し・・・という 感じの方もいてねえええ。

しかし、今回は曽我大介さんの指揮を見てみたかったのと演奏曲目ですね! 曽我さんは1993年第43回ブザンソン国際指揮者コンクール1位、1998年第4回キリル・コンドラシン国際指揮者コンクール1位と輝かしい授章歴の持ち主。 そして、演奏プログラムですよ! 組曲「宇宙戦艦ヤマト」 もうねえ、宇宙戦艦ヤマトの演奏会となればどこでも馳せ参じる感じですね。 さらに伊福部昭のSF交響ファンタジー第1番 <ヤマト>と<伊福部> 当方にとっては<プリン>と<シュークリーム>みたいな大好物な組み合わせ。 一生に一度ありますかねえ・・・。さらにさらに交響詩「ウルトラセブン」 なんでしょう!  交響詩「ウルトラセブン」というものがあったこと自体知りませんでした。 ということで大変楽しみな楽しみすぎる前半のプログラム。後半のプログラムはレスピーギの「ローマの噴水」と「ローマの松」 当方にとっては後半はおまけ??みたいなものと思っていたのですが・・・。

チケット代2000円ということでアマオケではやや高め。しかし、トリフォニーホールはかなり埋まっておりました! 楽員入場、音合わせの後、指揮の曽我さんの登場! ???? 何と、ウルトラセブンのお面にウルトラセブンのTシャツで登場。 いやーー、笑っちゃいました。 楽しく冬木透作曲の交響詩「ウルトラセブン」より第1楽章を聴きました。 次はSF交響ファンタジー第1番。かなりの快速演奏。オケも良く着いてきていたが、ここまで快速だとねえ。 オケも若干パワー不足(まあここはアマオケに対し、厳しい意見ですみません。この曲が大好きで広上盤、石井盤、汐澤盤と愛聴している比較で・・・) そしてお待ちかねの組曲「宇宙戦艦ヤマト」ですが、肝心の演奏曲目ですが、 「序曲」「宇宙戦艦ヤマト」「出撃」「大きなる愛」の4曲。 おっ!パイプオルガンの横にマイクが! スキャットは野田千恵子さん。 やっぱり生の「ヤマト音楽」は最高じゃ。しかし、ドラムの音が結構大きめでオケの音に勝っていたのは残念。 あとは4曲があっという間に終わってしまい。もっと浸りたかったなあ。折角、パイプオルガンがあるのだから「白色彗星」を演奏して欲しかったな。

前半プログラムで大満足してしまって、お気楽にレスピーギを聴ければと思っていたのですが、 とんでも無い!! このレスピーギでこのIBM管の実力を再認識。前半プログラムでも金管は上手いなあと思っていたのですが、 まあ弦楽器も木管(フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットのソロ上手すぎ!)も文句の付けようの無いレベル。 素晴らしいオケ。チケット代2000円でも安いくらいかな。 正直、レスピーギのローマ三部作を初めて生で聴いたのですが、いやーー最高でした。この曲は生に限りますね。 オケとパイプオルガン、感動!特に「ローマの松」では興奮してしまいました。良かった。 演奏後、大拍手!

アンコールはマスカーニの「カヴァレリア=ルスティカーナ」間奏曲 また弦楽器が上手い。 さらにオルガン付き。まあ良いのですが、うーむ、弦楽器だけで聴きたかったなあ。 さらにアンコールで「宇宙戦艦ヤマト」主題歌。 何と何と指揮の曽我さんが歌を熱唱!! また良い声で最高でした!いやーー楽しい大満足の演奏会でした。


2018.9.1

冨平恭平指揮 オーケストラハモン

曲目

ウェーベルン:《夏風の中で》

マーラー:交響曲第6番「悲劇的」

[感想記]

東京芸術劇場にてオーケストラハモン 第39回定期演奏会へ行ってきました。 東京芸術劇場は2年前のオーケストラハモンの演奏会以来。 オーケストラハモンは当方のお気に入りアマオケですが、昨年は都合が悪く、聴きに行けず! 2016年12月のブルックナー3番以来ということになります。 今回のメイン曲目はマーラー交響曲第6番。さすがはオーケストラハモン! 数年に一度はマーラーを採り上げてくれる。私が初めてハモンで聴いたのも3年前のマーラー交響曲7番「夜の歌」。 素晴らしい演奏だったので、当然、今回の「悲劇的」も素晴らしい演奏になるだろうと確信しておりました。

昨年は1回も行けなかった当方にも有り難く招待ハガキを送っていただけたため、 無料で入場することが出来ました(感謝、感謝)。会場はほぼ満員。3階席も埋まってましたわ。

楽員の入場。オーケストハモン独特の配置で、ヴァイオリンは両翼配置ですが、 ストバイの後ろにコントラバス、木管の配置で 前列はフルート(左)−オーボエ(右)、 後列がファゴット(左)−クラリネット(右)という逆の配置です。 指揮はもうお馴染みの冨平氏です。冨平氏のマーラーは何度か聴きましたが、解釈も素晴らしいものがあります。

1曲目のウェーベルン《夏風の中で》。聴く前は何か現代音楽っぽいなあと思いましたが、 確かにシェーンベルクぽい響きですが、なかなか美しい曲でした。

さて、メインのマーラー6番です。 冒頭の「ズン・ズン・ズン・ズン・・・・」のテンポがかなりゆっくりと着実に音を刻む! 低弦が体に響く。 1楽章は一定のテンポで揺らすことなく、音の強弱もダイナミックには変えず。 演奏技量としては当然、申し分無いのですが、やや平板な感じがしました。

2楽章はアンダンテでした(一般的には3楽章で演奏が多い)。当方もアンダンテはもう数十年来の慣れでしょうかねえ。 3楽章の方がしっくりきます。出来ればアンダンテは3楽章でお願いしたかった。 しかし、演奏の方が良かったです。

ということで3楽章はスケルツォとなります。ここでもゆったりとしたテンポでした。 音の強弱も強調しつつ・・・・、この迫力で4楽章は大丈夫かなと思うほど音に気合がのってきました。

4楽章は本当に秀逸でした。前の3つの楽章とうって変わって、急にテンポ緩急を揺らしだし、音の迫力も半端無い。 もう素晴らしい、文句の付けようの無いえんそうでした。何よりも良かったのが、ハンマー、ハンマーですよ。 ステージ最後方でこれでもか!というパフォーマンス。そして、ハンマーの音が本当に良かった。 「バチャン!」と最高の音でしたね。当方の理想的な音でした。 もう途中から当方の心臓バクバクで脈拍が速くなるのがわかるほど! 最後も大音量で終わり。いやーー、頭痛が・・・・。素晴らしい演奏でした。

オーケストラハモンのマーラーは素晴らしいや!! 全体的に良かったのはもちろんですが、特に良かったのはトランペット!! 次にオーボエ、そしてハンマー奏者。 この3名はMVPでしょう。

頭がワンワンーー、頭痛とともに帰路につきました。これからもオーケストラハモンは応援していきたいですね。


2018.8.25

大友直人指揮 東京交響楽団 ピアノ:横山幸雄 ヴァイオリン:大谷康子 ヴォカリーズ:小林沙羅

曲目

萩森英明:おとづれわたる秋風を(東京交響楽団・委嘱初演)

モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」

羽田健太郎(テーマモチーフ:宮川泰):交響曲「宇宙戦艦ヤマト」

[感想記]

この演奏会、ミューザ川崎でプログラムを見た時から絶対に聴きに行かなければということで発売日直後(2月中旬) ミューザ川崎のチケット販売所にて購入。半年待ちました、この日を! まさか本当にこの曲 交響曲「宇宙戦艦ヤマト」を生で聴くことが出来るとは夢にも思っていませんでした。最高です! いやーー、どの席を購入したのか全く忘れておりまして、まさか1階席の最前列とは(笑)。

場内アナウンスでCD販売とのこと。もしかして宇宙戦艦ヤマトのCDが・・・と思っていきましたが、 それはなかったですね。しかし、CD販売所が人がたりで・・・、ヴァイオリニストの大谷康子さんの本も販売しており、 大谷さんもいらっしゃり、サインを書いていただけるとのことでサインを求めた方が大勢!!

ホールはほぼ満席。ヤマトファンもちらほら・・・(ヤマトグッズを身につけているので分かります) 楽員の入場。コンサートマスターはニキティン氏。 そして、指揮の大友直人氏が・・・・。当方にとって大友氏の指揮は考えてみれば初めてです。 聴く機会は無くはなかったと思うのですが。 いやーー、大友氏、ダンディで格好良いですね。中年おじさんの私でも惚れ惚れしてしまいましたわ。

1曲目は萩森英明作曲の東京交響楽団・委嘱初演による「おとづれわたる秋風を」 現代音楽ということで覚悟はしていたのですが。 弦楽器の響きをメインとした何とも美しい音楽でした。和歌を題材にした音楽でしたが、 イメージ的には宇宙をイメージしたのでは?と思ってしまいました。このような現代音楽ならば大歓迎です! 演奏後は作曲者の萩森英明氏がステージへ! 初演ならではですね。

2曲目はモーツァルトの「ジュピター」 まあこの曲は気楽に聴いておりました。 軽い感じというよりやや重めの解釈でした。

さーーて、後半はお待ちかねの交響曲「宇宙戦艦ヤマト」 この曲、もちろんCDではなく、DVDで持っております。1984年の演奏。大友直人指揮、NHK交響楽団、ピアノ:羽田健太郎、ヴァイオリン:徳永二男、 ヴォカリーズ:川島和子。 最初に聴いた時は「なんじゃ、こりゃ?」という印象。 宮川泰氏の交響組曲「宇宙戦艦ヤマト」や交響組曲「さらば宇宙戦艦ヤマト」が大好きで大好きで聴きまくっていた当方にとっては TVの挿入曲とは全く異なるアレンジの羽田健太郎氏の交響曲には違和感を感じてしまったというもの。 正直、1、2度DVDを見て、そのままCDラックの奥へ!!

今回の演奏会にあたり、久しぶりにじっくり聴いて見たというもの! 良く聴いてみると「宇宙戦艦ヤマト」ということを抜きにしても壮大なシンフォニーにしたものだと感心しきりです。 3楽章はヴォカリーズ有り、4楽章はピアノ、ヴァイオリンによるドッペルコンチェルトとなっており、 宮川泰氏のモチーフを散りばめ、よくまあここまでの一大交響曲に仕上げたものです。

さて、演奏の方ですが、ほぼ1984年の演奏と解釈、テンポはそのまま。 ここまで同じだと気持ちのいいこと。さすがは大友直人氏の解釈が普遍ということなのでしょう。 オケも素晴らしかった。ヴォカリーズは小林沙羅さん。まあ元祖川島和子さんと比較すると違和感が無いというと嘘になりますが、 品のある声色で良かったです。

そして4楽章ですが、ピアノとヴァイオリンの演奏場所は???と思っていると、 ここで会場設営。この時間を借りて、指揮の大友氏がこの曲に関してコメント、作曲者の羽田健太郎氏の思い出など。 羽田健太郎さんのマルチな活躍はありながらも大規模な管弦楽曲の作曲はこの一曲のみとのこと。 そしてこの曲での詳細なピアノパートは楽譜が無いとのこと。もともと作曲者の羽田氏の演奏ということが前提だったので・・・。 そこで今回のため、作曲者の萩森英明氏が耳コピーして楽譜へ落としてくれたとのこと。

大谷康子さんと横山幸雄氏の登場。ヴァイオリニストの大谷さんは東京交響楽団のコンミスの時に演奏会は行ったことがあったと思います。 そしてピアニストの横山幸雄氏。著名なピアニストでいつか演奏会で聴いてみたいと思っていたのですが、まさか「宇宙戦艦ヤマト」で 聴くことになろうとは・・・。 4楽章は「大いなる愛」がメインのモチーフなのですが、大谷さん、横山氏でこの曲を聴けるとは最高すぎる! 何と贅沢なことよ! 素晴らしいしかありません。 演奏後の大歓声、大拍手がこの演奏の素晴らしさを物語っておりますね。 当方も1楽章から「感動、鳥肌、感涙!」でした。一生忘れないですね!

マイクも多くあったのでCDリリースしてくれるんじゃないかな?(期待!) 是非、またのこの名曲 羽田健太郎作曲 交響曲「宇宙戦艦ヤマト」を演奏して欲しいですね。


2018.7.29

高関健指揮 東京シティ・フィル ピアノ:シュテファン・ヴラダー

曲目

ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」

ブラームス:交響曲第4番

[感想記]

7月29日、この日は「すみだトリフォニーホールの千葉フィル」へ行くか、「ミューザ川崎の東京シティフィル」へ行くか、迷ったのだが・・・。 東京シティフィルは指揮が日本人指揮者でも大好きな高関健氏ということとこの演奏会は公開リハーサルが見学出来るということで「ミューザ川崎」を 選択しました。

公開リハーサルというのは、何度か当方も行ったことがありますが、ステージから離れたステージ後方席からひっそりと見学するものと思っていたのですが、 何と!!自由席、どこに座っても良いという(さすがにステージ近くの数列席はダメでしたが)。 当方は迷わずステージ裏のP席へ。それは指揮の高関さんがどのようなリハーサル時に指示をするか・・・楽しみですから!

11時からリハーサル開始。実は高関指揮東京シティフィルは昨日28日にティアラこうとうにてマーラー交響曲第4番を演奏したばかり。 実はこの演奏も行きたい思いもあったのですが・・・・。ということは、おそらく今日の演奏曲目のリハーサルはこの直前リハで最初で最後かな?と。 まあ演奏曲目を見ても有名曲が並び細かく数日かけてリハする曲でもないかなあとは思いますが・・。

楽員を初め皆さん、私服でラフな格好。そこへ指揮の高関氏とピアニストのヴラダー氏が登場。 リハ順は「皇帝」、「魔弾」、休憩、「ブラ4」とのこと。リハーサルには2割程度の観客がいたでしょうか? 高関氏の一言めは「昨日はお疲れ様でした。良い演奏でした・・・」と。マラ4聴きたかったなあ。 リハーサルは基本的には全曲演奏。そして途中、演奏を止め、指示、改善し、その先へ進むというものでした。 「皇帝」ではピアニストで指揮者もされているヴラダー氏の指示を中心にリハが進みました。 シュテファン・ヴラダー氏ですが、ピアニストとしてはベートーヴェン国際ピアノコンクールで優勝。 アバド、ドホナーニ、フェドセーエフ、ハーディングなどの指揮者のもとでコンセルトヘボウ管、ウィーンフィル、シカゴ響などと共演。 指揮者としとしても活動と広げており、ウィーン響、リンツ・ブルックナー管などを指揮、そしてウィーン室内管弦楽団の首席指揮者とのこと。 CDリリースでもナクソス盤など出されているようです。 まあこれだけの実績があれば、高関氏も「皇帝」ではヴラダー氏の指示に沿おうということなのでしょう。

休憩後、「ブラ4」のリハーサル。各楽章2〜3箇所止め、指示をしておりました。 時々、笑いがおきながら・・・・。不覚にも2楽章ではあまりにも素晴らしい演奏にうるうる来てしまいました。 その箇所は小節は分かりませんが、3分半くらいから4分にかけての弦楽器にファゴットが寄り添う箇所なのですが、 このファゴットの存在感の素晴らしいこと・・・! 通常、CDでは何気なくファゴットを気にすること無く過ぎてしまうのですが。 ここは良かった!!目からウロコでしたね。配置は対向配置でしたが、高関氏はかなりセカンドヴァイオリンへ細かく指示していたようです。

リハーサルが終了したのが午後1時半。もう2時間半たっぷりでした。 正直、初のこの演奏曲目の音合わせだったとは思うのですが、まあ本番の演奏でも悪くない演奏レベルでした。流石、プロですね。 まあこれだけの有名曲ということもあるのでしょうね。 いやーー、このリハーサルで全曲聴けた訳で、演奏会1回分聴いた気になっておりました。

一旦、ホールへ出て、開場の後、再びホールへ。 「魔弾の射手」序曲はまあ普通の演奏というところでしょうか。 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」、当方にとっていつ以来でしょうか? なんとビックリ! 2000.3.12 ハインツ・ワルベルク指揮 NHK交響楽団 ピアノ:園田高弘 以来の18年ぶり。 福岡県直方市の「ユメニティのおがた」のこけら落としコンサートでした。 また指揮がワルベルク氏でピアニストが園田高弘氏という渋い組合わせでしたね。 さて、この演奏ではヴラダー氏の重厚かつテンポ良い演奏で、オケもピアノに寄り添う演奏だったと思います。 心地よく聴くことが出来ました。 ヴラダー氏はアンコールではリスト:コンソレーション第3番を演奏してくれました。

休憩後、ブラームス交響曲第4番。初めてプロオケでブラ4を聴くことになります。 今まで2回、アマオケでこの曲を聴きましたが、本当にアマオケ泣かせの曲なんですね。 アンサンブル命で1つのパートが不安定でも響きが崩れる、曲が崩壊という・・・・。 1楽章ではやや抑え気味の演奏でしたが、2楽章以降は熱のこもった演奏で素晴らしい演奏でした。 低弦もしっかり支え、リハーサルよりも音量が1.3倍になったんじゃないか?というくらい熱いブラ4でした。 体に響きました。ブラ4の真髄を垣間見た気がしますね。良かった!! アンコールのハンガリー舞曲第1番も熱かった! また近いうちに高関氏の演奏会へ行きたいものですね。


2018.7.8

土田政昭指揮 千葉市管弦楽団

曲目

今井光也:1964東京五輪ファンファーレ

古関裕而:1964東京五輪行進曲

ヨハン・シュトラウス2世:美しき青きドナウ

ボロディン:だったん人の踊り

ドボルザーク:交響曲第9番「新世界より」

[感想記]

千葉市管弦楽団第73回定期演奏会へ千葉市民会館へ。このオケは昨年2月以来、2回目。 前回も思ったが、大変人気のあるオケで千葉市民会館が満員。もっと大きなキャパのホールに方が良いのでは・・・。 オケ楽員の年齢層が高い。おそらく当方の今まで聴いたアマオケの中でも平均年齢は最高齢アマオケでは。 まあ趣味で音楽を続けられるとは良いことです。

今回はトヨタコミュニティコンサートということ。かなり宣伝しておりましたなあ。 まあ曲目は見ての通り、1964年の東京オリンピック関連及び超有名曲が並び、気楽な気持ちで聴くことが出来ました。 アンコールはドボルザークのスラブ舞曲でした。


2018.6.30

石ア真弥奈指揮 千葉大学管弦楽団

曲目

ディーリアス:春初めてカッコウの声を聴いて

エルガー:エニグマ変奏曲

ドボルザーク:交響曲第8番

[感想記]

千葉県内で以前から絶対に行ってみたいコンサートホールにやっと・やっと行くことが出来た! “千葉県文化会館” クラシックのコンサートはもちろん、歌手、演劇など様々な催しが行われ、 千葉県の吹奏楽コンクール(中学・高校の部など)も行われおり、千葉県民にとっては馴染みのホール。

昭和42年開館。座席数は約1800。昭和の良きホールの佇まい、本当に良いホールです。日本建築学会賞作品賞を授章しただけはある。 雰囲気が上野の東京文化会館と似ています。このようなホール、大好きです! 昭和建築にしては座席もゆったりと人が座っていても移動可能な余裕があります。 そして、何より1階席でも傾斜が十分に取られており、もう見やすいこと・見やすいこと! (クラシックの演奏会では演奏者を凝視することもありませんが)

千葉県文化会館、JR本千葉駅から左手に千葉県庁を見ながら徒歩10分。 少し小高い丘の上に周りには県立中央図書館、千葉市立郷土博物館(千葉城天守閣)がいい雰囲気です。

演奏会の方は 千葉大学管弦楽団 第123回定期演奏会。千葉大のオケと言えば、昨年9月千葉大学OBOGオケを聴きましたが、 なかなかレベルの高いオケで弦楽器が素晴らしかった記憶があります。 さて、千葉大の現役の皆様は?

今回の演奏会のテーマは「イギリス」とのこと。ディーリアス、エルガーはイギリス出身作曲家ですが、 メインのドボ8については、確かに当方が中学、高校の頃は<イギリス>と呼ばれていましたが、 たまたまイギリスの出版社から楽譜が出版されたというだけで・・・。最近は使われなくなったと・・。 その代わり、この曲を「自然交響曲」と表記されたものを見たときは驚きましたが、まあこっちの方がまだマシですか!

1曲目のディーリアス:春初めてカッコウの声を聴いて 弦楽器が中心の曲。 こういう曲は弦楽器に自信が無いと取り上げない。そのとおりで千葉大オケの弦楽器の実力は相当なものでした。 特にヴァイオリンパートのレベルの高さ。文句のつけようのない。さらにビオラパートも一定の水準を保っており、 心地よく音楽に浸ることが出来ました。

2曲目のエルガー:エニグマ変奏曲、金管、打楽器も加わり、素晴らしい演奏でした。 “ニムロッド”では不覚にも感涙してしまいました。

休憩後のドボルザーク:交響曲第8番 この曲、高校時分にドハマりしまして。好きですね、聴く機会が減っていまいますが。 演奏会でこの曲を聴くのは2009年11月の九大フィル以来か・・・。 千葉大オケ、上記しましたが、技術的には申し分なく、強弱、テンポもメリハリのある演奏で指揮の石アさんの指示にきちんと応えていました。 本当に良い演奏でした。まあ褒めてばかりも・・・、強いて言えば、フルートパート頑張って!

アンコールではドボルザーク:スラブ舞曲を演奏。良い演奏でした。 この暑い日に素晴らしいホールで涼しい中で素晴らしい音楽に身を包むとは幸せなことです。 素晴らしいオケなので、もっとお客さんが増えたらいいですね。千葉大の学生がもっと来れば・・・。 (そういう当方もこれだけクラシック音楽好きでも自分の大学オケの演奏会には1回も行かず終いだったという・・・。後悔!)


2018.5.19

沼尻竜典指揮 神奈川フィル

曲目

マーラー:交響曲第9番

[感想記]

5月18日、横浜みなとみらい地区に仕事で出張し、みなとみらい地区への出張時には必ずみなとみらいホールへ寄り、 ホールでの今後の演奏会情報を入手するようにしています。そして、いろいろなパンフを見ていると、 何と!9月28日みなとみらいホールにて サイモン・ラトル指揮ロンドン交響楽団 曲目は「マーラー交響曲第9番」! ラトル−ロンドン響でマラ9とは! 聴いてもいいが、どうもマラ9のこのコンビはあまり乗り気がしないなあと思いながら、 他の演奏会情報を見ているとおや? 明日、19日神奈川フィルの定期演奏会にてマーラー9番を演奏するとのこと。 指揮は沼尻竜典氏。価格も先ほどのラトル−ロンドン響に比べれば手頃、しかし、いきなり前日でチケットがあるのか? みなとみらいホールのチケット売り場で確認すると当日券が販売されるとのこと。

ということで19日早めにみなとみらいホールへ行き、当日券をGET。 神奈川フィル 定期演奏会みなとみらいシリーズ第339回。 指揮は沼尻竜典氏。 沼尻氏は2007年11月のサントリーホールでの日本フィルとのマーラー交響曲第6番「悲劇的」以来。 またまたマーラーです。しかし、その時の「悲劇的」が正直あまり印象が良くなかったもので・・・・。 そして、オケの神奈川フィルは初めて聴くことに。演奏技術レベルは全くわからなくて(都響、N響、読響・・・などとどのレベルなのか?)。 ただし、神奈川フィルのマラ9ということであれば、2011年5月、金聖響指揮のCDがリリースされ、所有していますので改めて聴いてみました。 うーん、なかなか良い感じ、レベルも高く期待出来そう!!あとは沼尻氏の解釈次第だなあ・・・と。

神奈川フィルは1970年にプロオケとしてデビューしたんですねえ。指揮の沼尻氏は昨年2017年紫綬褒章を受章。素晴らしいですね。 遅ればせながらおめでとうございます。指揮者でも朝比奈隆(1969年)、森正(1984年)、秋山和慶(2001年)、飯守泰次郎(2004年)、大野和士(2008年)と。

演奏会前に沼尻氏のプレトーク。このプレトークは大好きですね。沼尻氏の登場。今回の演奏会はマーラー9番の一曲! “一曲入魂”で演奏するとのこと。リハーサルもこの曲のみで良いものとなった (いつもは小曲が入ることがあるが、そちらにもリハの時間がとられるので・・・)。 沼尻氏は最近は大曲ばかりを指揮しているようで、4月末にリューベックでブルックナー8番、先日の読響ではアルプス交響曲、そして今日のマーラー9番。 忙しいですとのこと。昨日(5月18日)は奇しくもマーラーの命日(狙った訳では無いとのこと)。51歳、没後107年。 4楽章でほぼ対称な演奏時間。1楽章:27分、2楽章:15分、3楽章:15分切る、4楽章:27−8分。 1楽章はまさに「音の洪水」、2楽章はダサめの3拍子の音楽。テンポは3つ。3楽章は戦いを表したような楽章。 当時の私生活がうまくいっていないことが影響? 4楽章は弦楽器中心(楽器が少ない) スコアを見ても166ー182ページのわずか16ページ。 一方、演奏時間は半分位の3楽章は106−165ページもある!

さて座席は音響の良さそうな席は埋まっていますね。楽員の入場、その後、コンマスの石田氏の入場。 弦楽器の配置は左からストバイーセコバイーチェロービオラ。 正直、期待以上の名演奏でした。1楽章冒頭から実にゆったりとしたテンポで丁寧な演奏。テンポは大きく変えず、しかし、強弱はメリハリのあるもの。 2楽章も3つのテンポをハッキリ表現。3楽章、金管ばかりが気になるのですが、ヴァイオリンの澄んだ響きに感動。目からウロコでしたねえ。 トランペット・ソロですが、うーむ、ここは残念でした。しかし、クライマックスでの音の溜め、表現には当方の涙腺が大崩壊してしまいました。 最後のアップテンポも難なく大音量で演奏!! そして、肝心の終楽章。ここも実にゆったりと1音1音丁寧に響きを確かめながら・・・・。冒頭、ストバイ、セコバイの演奏後、 3小節からビオラなど低弦が加わるのですが、この音の入り方の実に溶け込んだ入り! もう感動でステージがかすみっぱなし。 ホルンや木管ソロの入りも実に自然で個々の演奏者の技量もさることながら、この曲に対する理解度も相当なものだなあと感心。 金管、木管、打楽器パートへも文句のつけようも無く、そして、高弦の透明感は良かったです。 沼尻氏の解釈の楽員への伝える能力も大したものだなあ。本当に素晴らしい名演奏でした。 終了後、数十秒の静寂の後の拍手。

演奏時間は1楽章:29分、2楽章:15分、3楽章:13分、4楽章:29分といったところでしょうか。 いやーー、感動で涙腺崩壊しまくりでした、もう3楽章以降は。沼尻氏の解釈もさることながら、神奈川フィルの楽員の技量、理解力、表現力がここまで高いとは・・・・! 神奈川フィル、都響並みに大好きな応援したいオケになりそうです。 素晴らしい演奏を有難う。そしてこの曲を作曲してくれたグスタフ・マーラーにも感謝!! やっぱりマーラー9番はいいね。


2018.2.24

高橋隆元指揮 霞ヶ関フィル

曲目

モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲

ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲

ブルックナー:交響曲第1番(リンツ稿)

[感想記]

まずはブルックナー交響曲第1番を演奏曲目に採り上げてくれた霞ヶ関フィルに感謝で御座います。

いつかは生で聴けるかも?(どこかのオケでブルックナー交響曲チクルスなどの企画があれば・・・と思っていたのですが) まさかアマオケでこの曲を演奏してくれるとは・・・マジ感謝しかありません。

霞ヶ関フィルハーモニー管弦楽団 第18回定期演奏会。練馬文化センターへ行ってきました。 練馬文化センター 大ホール 座席数約1500人で見た目にも昭和後期に建てられた感じと思っていると1983年(昭和58年)開場とのこと。 壁面がレンガ造りでいい感じです。このようなホールも落ち着きますね!

当方、東京23区の位置取りがさっぱり分かりません。練馬区ってどの辺り? 練馬文化センターはどこに?  西武池袋線 練馬駅前でした。池袋駅から急行で1駅です。 立地は最高ですね。

さて霞ヶ関フィルハーモニー管弦楽は、2004年に発足したとのこと。 母体となる団体、大学オケなどはとくになく、さまざまなバックグラウンドを持つ団員から構成されているとのこと。 結構、珍しいアマオケかもしれませんね。

通常のアマオケは(学生オケや企業オケを除く)
1)○○高校、○○大学、地域の大学連合のOBからなるとか
2)地域での集まりの方々で構成されているとか
3)指揮者の○○氏を慕って、ゆかりのあるメンバーで構成されているとか
4)作曲家○○や○○国や○○派の音楽を好むメンバーで構成されているとか
こういう感じが多いと思います。

ありがたいことに入場料が無料とは。このことなあっては、観客席は7−8割は埋まっていたと思います。 さて、最初の曲(まあウォーミングアップ曲ということで)、モーツァルトの歌劇「魔笛」序曲。 まあこんなものだとは思いますが、高弦(ヴァイオリン)の音程が不安定な印象。 次のハイドン・バリエーションですが、実にゆっくりとした一定のテンポで丁寧というか大人しいというか。 無難無難に演奏しようという感じがしました。この曲は当方は好きな曲なのでもっと感動するかと思っていましたが・・・。 ここで休憩へ。

前半の2曲を聴いて、申し訳ありませんが、うーーむ、ブルックナー大丈夫なのだろうかと一抹の不安がよぎりました。 ブルックナーの曲というのは、思ったより弦楽器の響きが大事で、結構、それが原因で台無しとなってしまうこともあるので。 そして、お待ちかね念願の“ブル1”
冒頭の弦の刻み、おっ!いい感じ。もっとザクッ、ザクッと刻むのが好きなのですが(インバル盤がここはお気に入り)。 これは期待出来そうと。前半の曲に比べれば、テンポも変え、強弱もあり、素晴らしい。 特に金管の安定感が抜群でした。やっぱりブルックナーは金管が大事なのね。 そして、木管パートではフルートが特筆の出来でした。フルートの音色にうっとり。 1楽章は言うにおよばす、中間の2つの楽章も良い出来でした。 そして、最高だったのは終楽章。正直、これは当方が所有している12枚ものブル1の演奏と比較しても上位に位置する解釈と演奏でした。 マジで感動、感涙しました。これでもかのテンポの揺らしと主張。完璧な金管。最高です。 久々の放心状態へ。もう指揮の高橋氏にもオケにも感謝しかありませんね。

アンコールではブラームスのハンガリー舞曲1番を演奏し、幕となりました。 このようなブル1を聴かせてもらうと他のブルックナー交響曲も演奏して欲しくなりますね。 ブル1のような演奏が出来るのですから・・・。前半の出来は何だったのでしょう? 期待してます。


2018.1.13

金子建志指揮 千葉フィル

曲目

ラフマニノフ:交響曲第1番

ブラームス:交響曲第4番

[感想記]

今年2018年のコンサート初めは千葉フィル 第32回演奏会です。 まあ1月の第2土曜、日曜 習志野文化ホールと言えば千葉フィルの定期演奏会! その習志野文化ホールですが、この1月15日から今年一杯、大規模改修で使用出来ないとのこと。 流石、千葉フィル? 改修前に演奏会が出来ましたねえ。(本来なら平成30年、1年中は使用不可というのが分かりやすかったと思うが)

千葉フィルから話題が逸れますが、習志野文化ホールでの掲示板を見ていると 習志野文化ホール発のプロオーケストラ「習志野シンフォニエッタ千葉」のプレコンサートが12日開催されたようです。 来年から本格的に活動し、年3回程度コンサートを行う予定ですって。新しいプロオケが結成されるとはワクワクします。これは見逃せませんねえ。

千葉フィルの演奏会の楽しみの1つとして、作曲家、曲目の解説の充実しているところ。 今回の演奏曲目のラフマニノフ交響曲1番の解説も良かった。この曲の初演の失敗は超有名。 さらにこの失敗でラフマニノフは精神的に参ってしまって、作曲出来なくなった。 そして、ラフマニノフの病気を治した精神科医ダーリについての解説もあり、興味深かった。

ラフマニノフ交響曲1番。当然、当方はCDを持っています。というより、ラフマニノフ交響曲全集をいくつか持っているので、その中にあるのですが、 改めて今回のコンサートの予習で聞いてみたのですが、全く記憶が無い! うーむ、ラフマニノフ交響曲2番と比較するとイマイチ感が否めませんねえ。 重厚な曲調でシベリウスのようなチャイコフスキーのようなムソルグスキーのような・・・・・。ラフマニノフらしさも僅かにあることはある。 しかし、ラフマニノフ作曲ということで多くのCDが出ていますが、この曲、作曲者がラフマニノフではなく、 無名な作曲家なら演奏の機会もあまりないんじゃないかな?

演奏の方ですが、上手い演奏だったと思います。千葉フィルの弱点である?高弦も良く気持ちよく演奏を聴くことが出来ました。 良かったと思います。

今回のメイン曲、ブラームス交響曲4番。当方にとってブラ4は昨年、やっと伊達管弦楽団で聴くことが出来、今回で2回目。 レベルの高い伊達管弦楽団でも苦戦していた曲。特に弦楽器の精度が本当に必要。本当にこの曲は難しいと思います。 厳しいこと言いますと、やはり冒頭で千葉フィル弱点の弦楽器の不安定さが出てしまった。 金管、木管などは良かったのですが、音が流れ気味になったり、メリハリがやや欠けていたかなあと。 この曲はミスが誤魔化すことが出来ない曲だなあと実感。ブラームスの他の交響曲では、ここまでじゃないと思うのですが。 曲後、盛大なブラボーが飛んでいましたが・・・・・。

アンコールではブラームスのハンガリー舞曲第4曲を演奏しました。ただし、この曲はハープが必要なのですが、 ハープがこの演奏会では無いため、代わりにマリンバでの演奏。金子氏曰く「世界初かも!」とのこと。 マリンバの音が心地よかった。ハープの代わりにマリンバとは素晴らしい発想でした。 千葉フィルのサマーコンサートは当然、習志野では行わず、すみだトリフォニーホールです。


2017年

2017.12.10

寺岡清高指揮 ブルーメンフィル

曲目

ウォルトン:「スピットファイア」前奏曲

シベリウス:交響曲第3番

エルガー:交響曲第1番

[感想記]

今年はこの演奏会で20回目という今までの人生の中で最もコンサートへ行った年となりました。 (来年も記録更新?を目指して、多くの演奏会に行きたいものです)多くの感動をありがとう!感謝!

久しぶりの杉並公会堂。昨年12月の獨協大学管弦楽団演奏会以来の丸1年ぶり。今年は初めてだったんですねえ。とはいえ12月ですが。 ブルーメン・フィルハーモニー第47回定期演奏会に行って参りました。 このブルーメンフィルは1993年に指揮の寺岡清高氏の提唱により1回きりのオケとして発足したところが演奏会が好評で常設オケとなったとのこと。 歴史がありますねえ。これまでの指揮者として、当然、寺岡清高氏を始め、ゲルハルト・ボッセ氏、山田和樹氏など共演。 「ブルーメン:とはドイツ語で「花」という意味で、舞台上に美しい花を咲かせるような新鮮で生気あふれる演奏がしたいとの思いとのこと。

指揮の寺岡氏、今までどこかで聴いたことがあったなあと思ったら、2009年5月の下関市民オーケストラを振られており、その演奏会を聴いていた。 この公演のメイン曲目は、シベリウスの交響曲3番とエルガー交響曲1番。シベ3は初めて生となります。念願が叶いました。エルガー1番はこれで3回目。

前半最初のプログラムはウォルトンの「スピットファイア」前奏曲。“スピットファイア”とは第二次世界大戦のイギリス空軍の戦闘機であり、 この曲は当時の国威発揚映画「スピットファイア」のオープニング曲に使用されたもの。 良い曲でした。エルガーというか“威風堂々”を思い出せる高貴かつ雄大な旋律。強いて言えば、“威風堂々”の場合、<急−緩−急>の構成なのですが、 この曲には<緩>がはっきりと見られず。うーーむ、残念。この構成ならもっと名曲になったかもしれない。 このオケの演奏技量はレベルが高いものと思いました。それが次のシベ3で明確になりました。

やっと念願叶って、シベリウスの交響曲3番を聴くことが出来た。この曲、シベリウスの交響曲の中でもマイナー曲ですから・・・。 本当は良い曲なのですが。これで当方が生で聴いていないシベリウスの交響曲は4番のみなりました。またこのシベ4というのが難敵ですわ。 いつか聴くぞ! さて、ブルーメンフィルによるシベ3。もう言うこと無しの完璧な演奏でした。ブラボーー! 弦楽器、特にアマオケの弱点であるビオラの上手さに脱帽。この曲、ビオラが重要なのでビオラに弱点のあるアマオケはこの曲を演奏しちゃいかんわな。 弦楽器の弱音時の音に美しさに感動!! それも冷たい音ではなく、温かみのある音でした。その他、木管、金管も完璧。 テンポ、強弱の表現、文句のつけようも無い演奏でした。このような演奏を聞かされたら、休憩時間中は頭が感動でポカーーーンと!!

後半はエルガー交響曲第1番。年末にこのような気品ある壮大な交響曲を聴けるとは幸せですなあ。 エルガー1番、今まで2007年に金子建志指揮 千葉フィル、2008年に尾高忠明指揮 NHK交響楽団で聴いております。今回が3回目。 エルガーの1番のスコアも持っていますが、気になっている練習番号48や129の弦楽器での<Last desk only>の演奏箇所。 つまり弦楽器の最後列に座っている演奏者のみに演奏されるというもの。 今まで、2回の演奏会でこの演奏光景を完全に見逃しているという・・・・(何をやっていたのだ)。 ですので、今回は是非、その演奏光景を見たい!というミッション。

演奏の方はシベリウスと同様、文句のつけようが御座いませんでした。もう1楽章の冒頭から目がウルウル状態。 結局、4楽章で涙腺崩壊! 本当にエルガーの音楽に包まれ、幸せというしかありません。 3楽章も良かったですねえ。最後のクラリネットの音に心は溶かされました。 敢えて言えば、ややテンポが速く感じたこと(その点、勢いのある演奏にはなっていたのですが)。 もっとじっくり演奏して頂ければ最高でしたなあ。そうなれば、号泣感涙演奏だったかも!

そして、当方のミッション。<Last desk only> 今回はハッキリと確認出来ました。1楽章も4楽章も。感動ですよ。長年の課題がやっと解けた感じです。 アンコールではエルガーの“威風堂々”かな?と思いましたが、エニグマ変奏曲から「ニムロッド」でした。これもまた上手かった。最高でした。 しかし、またまた素晴らしいアマオケ発見!! 「ブルーメンフィル」応援していきたいと思います。


2017.10.7

アルトリヒテル指揮 チェコフィル チェロ:ジャン=ギアン・ケラス

曲目

ドボルザーク:序曲「謝肉祭」

ドボルザーク:チェロ協奏曲

ドボルザーク:交響曲第9番「新世界より」

[感想記]

本公演は北九州国際音楽祭でのメインプログラムであり、オープニングコンサート。 北九州国際音楽祭は今年で30周年。これは北九州人として誇って良い音楽祭である。このような音楽祭が開催できるのも良いホールが北九州にあるからこそ。 このことは当方が「クラシック徒然草」に記述したことがあるが、奇しくも北九州音楽祭のパンフレットの中に北九州の生んだ著名な音楽家の一人で 北九州市文化大使であり、N響コンマスである篠崎史紀氏も同じようなことを書かれていた。

そして、北九州音楽祭のメインプログラムとして必ず海外オケを招聘しており、昨年2016年はハーディング指揮パリ管、2015年はソヒエフ指揮ベルリン・ドイツ交響楽団。 当方も2009年のシャイー指揮ライプチィッヒ・ゲバントハウス管弦楽団、 2013年のネルソンス指揮バーミンガム市交響楽団と同じく北九州ソレイユホールでの演奏会を聴いている。2017年今年はアルトリヒテル指揮チェコフィル。

今まで気づかなかった?催しであるが、抽選での限定参加者(計40名)にはなるが、演奏会前に“レクチャーとリハーサル見学”があり、 申し込み、見事抽選に当選し、参加することが出来た。 レクチャー講師は、北九州音楽祭ミュージックアドバイザー・音楽評論家、青山学院大学教授の広瀬大介さん。 広瀬さんから今回の演奏会はオール・ドボルザーク・プログラムということで、チェコに関するお話(ビールが美味しいよ)やドボルザークについての話。 そして、演奏曲目についてのお話があった。 特に興味深かった話が、「チェロコン」と「新世界より」との関係。ともにドボルザークがニューヨーク時代の作曲であり、 ニューヨーク滞在の2年のうち前半(アメリカを楽しんでいた頃)に作曲された「新世界より」、 後半(ホームシックに悩まされた頃)に作曲された「チェロコン」であり、やや心境が反映された曲作りになっているのではとのこと。

広瀬さんの優しい語り口と為になるお話は良かったですね。演奏会とは異なる幸せなひと時でした。 その後、ホール会場内、1階席最後尾に座り、リハーサル風景を見学。クラシックコンサートでのリハーサル風景を見学と言えば、 2006年2月の鎌倉芸術館でのチョン・ミョンフン指揮東京フィル以来だなあ。 リハーサルは30分程度で本当に最終確認といった程度ではありましたが、出番の無い楽員がホールの座席に座っているところは新鮮な感じ。 リハーサルでも十二分にチェコフィルの響きの素晴らしさを実感!! 「新世界」の2楽章のイングリッシュホルンの超有名なところも演奏し、 指揮のアルトリヒテル氏が「ビエロフラーヴェク・・・・」と発言されていたので、追悼の思いを込めて演奏するようにとの指示では・・と! 大変の気持ちのこもった表現でこれまた感動!! リハーサルが終了とともに我々も会場を一旦出て、開場時刻に再入場しました。

先ほど触れましたが、今回のコンサート、指揮者はビエロフラーヴェク氏の予定であったのだが、5月末にお亡くなりになり、 代役としてペトル・アルトリヒテル氏となった。アルトリヒテル氏はこの3月にプラハ響と率いて来日したばかりなんですね。 さて当方にとってチェコフィルは2005年のマーツァル指揮のマーラー5番をサントリーホールで聴いて以来の2回目。 (その時のチェコフィルの演奏の完璧なことには度肝を抜かれた感じでした)

今回はオール・ドボルザークであり、チェロ協奏曲と「新世界より」と超・有名曲であり、これはこれで楽しみにしておりました。 最初は序曲「謝肉祭」。なんとまあ先日、ウィンクルムフィルで聞いたばかり。 この余裕の演奏。弦楽器の暖色系の響き。まあねえ。超一流外国オケの技量を批評するなんで愚かなことです。 しかし、指揮のアルトリヒテル氏の指揮振りのダイナミックなこと。巨漢な体で大げさに表現しています。 ソレイユホールの響きですが、前回の当方の母校の吹奏楽を聴いたときは音が前に飛んでこないなあと思ったのですが、 今回は問題無し。やはりステージ上の反響板の設置が大きいですね。しかし、やや残響は少なめのドライな音ではありますが。

続いてチェロ協奏曲。1楽章の最初のホルンの弱音ソロ、当方の想像を超えたものでした。 ここまでごく自然に表現出来るなんて素晴らしいよ。 チェリストはジャン=ギアン・ケラス氏。当方は存じ上げませんでしたが、 技量は文句無し。重厚な響きでありながら、音に哀愁が漂っております(いいね)。 素晴らしいドボコンでした。完璧です!! ケラス氏、アンコールでアンリ・ディディユーのザッハーの何夜3つのストローフェより第1曲を演奏。 まあ技量が必要な現代曲でこれまた良かった。

休憩後は「新世界より」。これは音に浸るのみでした。暖色系の弦楽器、完璧な金管陣(文句のつけようも御座いません)。 木管陣の調子が他のパートに比べれば・・・。2楽章のイングリッシュホルンですが、あれだけリハーサルでは表情豊かな演奏だったのが、 本番ではややアッサリめに・・・(残念!)。 テンポは緩急大きく揺らし、1楽章後半と4楽章は超・快速演奏でした。いつもは目立たない3楽章がこれでもか・・の分厚い演奏で感動。 そういえば、指揮振りが大きすぎて4楽章で指揮棒を落としてしまうというアクシデント!! まあチェコフィルにとっては「新世界より」、難なく演奏しておりました。アンコールではドボルザーク:スラヴ舞曲第2集より第7番を 演奏し、解散となりました。

しかし、毎回海外オケを聴いて思うのですが、金管の安定感とすば抜けた表現力、何でしょうねえ。いつも感心ばかりさせられておりますわ。


2017.10.1

松川智哉指揮 ウィンクルムフィル

曲目

ドボルザーク:序曲「謝肉祭」

プロコフィエフ:バレエ音楽「ロメオとジュリエット」より抜粋

リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェヘラザード」

[感想記]

久々のティアラこうとう(江東公会堂)、2年前の2015年6月に高関指揮東京シティフィル演奏会で来た。昨年の夏くらい以来かなあと思ったら、 2年前だった。その時はJR錦糸町駅から13-15分歩き到着。今回は東京駅から地下道を通り、半蔵門線の大手町駅から住吉駅へ。そして、徒歩3-5分。 当方は自分でも土地勘はある方だと思っているのだが、どうも東京駅近辺の地下道はイマイチ理解出来ていない。 帰り、半蔵門線の大手町駅から東京駅へ行く途中、袋小路に入り、地上に出て、東京駅へ行ったという顛末。 いつになれば東京駅地下道を理解できるのであろうか?? まさに迷路じゃ。

ウィンクルムフィルハーモニー管弦楽団 第3回定期演奏会です。 「ウィンクルム」とはラテン語で「絆」を意味しているとのこと。 そして、現役の大学生と社会人になりたての若い団員達で構成されるオーケストラ。 このような若手中心のアマオケは総じてレベルが高いので今回も期待! 何でしょう!ティアラこうとうのホールは約1230席あるのですが、ほぼ満員。第3回にしては人気があり過ぎやしませんか?

曲目はドボルザークの序曲「謝肉祭」、プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」より抜粋、メイン曲はリムスキー=コルサコフの「シェヘラザード」。 「シェヘラザード」と言えば、2年前のティアラこうとうでの高関指揮東京シティフィル演奏会で聴いて以来。 ティアラこうとう=「シェヘラザード」という刷り込みが起きそうだ。

ティアラこうとう、本当に素晴らしいホールであるのだが、今回は座った席がイマイチだった。壁に近く、高音の反響が凄かった。 何故か?タンバリン、トライアングル、シンバルなど高音打楽器系の音が響きまくって、頭がキンキン!(自分の拍手の音も響く) しかし、演奏は大変、良かったです。各パートともに本当にレベルが高かった!! 「謝肉祭」と「ロメオとジュリエット」も文句のつけようもありませんでしたが、「シェヘラザード」にはやられた! この「シェヘラザード」、ご存知とは思いますが、ソロ・ヴァイオリンが重要も重要。 アマオケでもこの曲を演奏する場合、外部からソリストを連れてくることもある程。 しかし、この「ウィンクルムフィル」はオケのコンマスが演奏し、素晴らしい演奏を聴かせてくれた。 一方、こちらも重要なチェロのソロも良かった。 これだけにとどまらず、リムスキー=コルサコフは管弦楽法の大家とあって、楽器の使い方が素晴らしく、 各楽器の特徴を遺憾なく発揮した曲作りとなっているのだが、このため、演奏するオケの各パートの個々の実力が試される曲でもある。 その点、ウィンクルムフィルは各パートのレベルも高かった。木管陣は言うこと無し。特にダブルリード系(オーボエ、ファゴット)は良かったよね。 他の金管、弦楽器、打楽器と一定の高レベルで感心した。この40分の大曲である「シェヘラザード」があっという間に・・・・・。 第3楽章ではじーーーん、涙が出てきた。本当に感動、放心状態の演奏でした。素晴らしいアマオケでした。 アンコールが無かったのも良かったなあ(普通ならアンコールは無いのか?となるのだが)。この余韻の中、隣の公園を散歩しながら、帰宅。 この実力ならば聴きたくなるわな!! 指揮者も気持ちいいだろうね。 「シェヘラザード」の素晴らしい演奏に感謝!! やっぱ大好きだわ、この曲。


2017.9.23

佐々木新平指揮 千葉大学OBOGオケ ピアノ:寿名義和

曲目

シュトラウス2世:喜歌劇「ジプシー男爵」序曲

ドボルザーク:交響曲第6番

ブラームス:ピアノ協奏曲第2番

[感想記]

千葉大学OBOGオーケストラ 第11回定期演奏会へ行ってきました。 会場は「京葉銀行文化プラザ(2000年 719席)」です。千葉の音楽通曰く「千葉市唯一の響きのよい音楽専用ホール」とのこと。 そして、JR千葉駅から徒歩3〜5分程度の最高の好立地。

中規模ホールということでは、先日行った紀尾井ホールと似ているが、当方的にはこの「京葉銀行文化プラザ」の方が良い印象を持った。 全体的な造りは紀尾井ホールの方が高級感が有り、お金をかけているが。 座席の傾斜、トイレの配置、音の前面感などは文句無しに京葉銀行文化プラザの方が良い!!

しかし、このホール来年4月以降休館とのこと。今は千葉市所有(以前は旧郵政省が建設所有、その後、千葉市が格安で購入)。 そして、今、売却先募集とのこと。このためか? このホールのロビーの壁面や床のカーペットなど、かなり汚れ、ほころびが目立ち。 うーーむ、メンテナンスが行き届いていない感が有り有り(後、半年で休館なので手を加えないということなのだろう)。 しかし、つくづく惜しい。惜し過ぎる! 

売却先の要件として、この「音楽ホール」を最低10年以上継続することを条件とするとしているとのこと。 是非、買い手が現れ、早期継続復帰を望みたい。もし買い手が無い場合、電源、空調ストップとなるとホールの劣化が・・・・。音響的も厳しくなる。 千葉市にあるこの素晴らしいホールを存続して欲しい。というより、政令指定都市千葉市の音楽に対する意識とはこんなもの?と残念も思わざるを得ない。 <文化、芸術都市>として一定レベルと保ちたいのならば存続させるべきと思うが。だって、千葉市内の他のホールの状況と言ったら・・・

すみません。ホールの話が先走って・・。千葉大学OBOGオーケストラですが、今回の曲目が渋い!! ドボルザーク:交響曲第6番とブラームス:ピアノ協奏曲第2番という組み合わせ。 このような曲目選定するところにオケのこだわりセンスの良さが垣間見えますね。こういうオケは無条件に応援したくなります。 正直、どちらがメイン(後半)となるのだろうと・・・・。ブラームスの方でした。

指揮の佐々木氏、先日の伊達管弦楽団でも指揮をされておりました。良い指揮者と思いますね。 指示も的確、そして、オケを信頼し、任せるところは任せる。まあ任せられるだけの実力があるオケなのでしょうが、この千葉大OBOGオケ! 演奏の方も予想通り、個々の楽員のレベルも高く、安心して音楽に浸ることが出来ました。 木管陣のレベルの高さ、そして弦楽器陣に穴が無い(ビオラも良かった)。 ドボルザークはもう難なく演奏していましたね。そして、ブラームスのピアコン。 大学時分、一時期、ブラームスのピアコンに熱を入れていた時があり、1番、2番ともに聴きまくっていた。 しかし、重たいんだよね。ブラームスのピアコンは<ピアン付き交響曲>ですよね。 今回の演奏会の予習でピアコン2番を聴きましたが、やはり良い音楽だなあと。 ピアニストの寿名氏、重厚な響きでブラームスの音楽を体現しておりました。良かったなあ・・・。 そして、ピアニストにとっては難曲だろうなあと再認識。 当分、当方としてはブラームスのピアコン・ブームになりそうな予感です。 3楽章のチェロソロも最高でした。改めてですが、3楽章は名曲ですな。演奏のあとの大拍手!! 素晴らしい演奏でした。


2017.9.9

今井治人指揮 NSシンフォニー・オーケストラ

曲目

ボロディン:交響詩「中央アジアの草原にて」

シベリウス:カレリア組曲

シベリウス:交響曲第2番

[感想記]

2014年12月以来、紀尾井ホールへ行ってきました。前回は地下鉄赤坂見附駅から坂をのぼり徒歩で行き、 思ったより、アクセスが悪いなあと思ったのですが、今回、改めて調べてみるとJR四ツ谷駅からの方が楽そうということで、 このルートで・・・。実際、平坦だし、上智大学や聖イグナチオ教会の前を歩き、到着。楽だわこのルート。 何故、前回このアクセスに気づかなかったのか? 今思っても不思議です。 紀尾井ホールとは、その名の通り、江戸時代、「紀州徳川家」「尾張徳川家」「井伊家」の屋敷があったところ。 徳川将軍家にとっても親戚、筆頭譜代という信頼のおける大名の屋敷のあった土地ということですな。 ホールに行く途中に尾張家の碑がありました。

今回のアマオケはNSシンフォニー・オーケストラの第15回定期演奏会を聴きに行ってきました。 このオケは何ぞや?NSというのは「Nippion steel & Sumitomo metal」ということのようですが、 そもそも新日本製鉄と住友金属工業が統合したのが2012年。その前からNSと名乗っていたようで・・・。 「Nippion Steel」だったと思いますがね。上手くオケ名を変えずにすんで良かったですな。 ということで新日鉄住金グループの従業員とその家族、友人を中心としたアマオケです。 企業アマオケとしては2014年7月のリコーフィル以来。

紀尾井ホール、座席800席の中規模ホール。残響はいい感じの響き。しかし、オケの関係?音が前に飛んでこない感じです。 そして、座席的には前列の方の頭がモロに視界に入る。 この前の“かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール”の方が良かったですね。 演奏曲目はボロディン:交響詩「中央アジアの草原にて」、シベリウス:カレリア組曲、シベリウス:交響曲第2番。 もう当方としては勝手知ったる曲ばかり。演奏前に指揮の今井氏よりプレトークあり。 ボロディンの「中央アジアの草原にて」のところで皆さん、ご存知の曲とは思いますが・・・とありましたが、 そこまで有名かなあと当方も社会人になって知った曲ですし。

もう個々の曲の批評はしませんが、全体的には良かったと思います(安心しました)。演奏もまとまっていましたし。 やや大人しい演奏かなあと。「中央アジアの草原にて」やシベ2でも強弱の幅が小さかった気がします。 個々パートで言うとヴァイオリン(ファースト、セカンドともに)のレベルはピカイチでしたねえ。ここまで上手いと清々しいね。 ビオラは出来不出来有り(中央アジアは不安定、シベ2は良かったです)。低弦は無難。 木管は悪くないのですが、パワー不足、トランペット、トロンボーンは良かったですよ。 ホルンが一番出来が悪かったかと・・。打楽器はこんなものでしょう。 ということで音楽的には一定のレベルの演奏を聴くことが出来、満足しました。 アンコールはボロディン:ダッタン人?、シベリウス:フィンランディア?と予想していたのですが、 シベリウスのアンダンテ・フェスティーボでした。 その曲があったかあと!! まさにアイノラ響。 これは上手かった。素晴らしい弦楽合奏でした。

あとは企業オケということで客席の雰囲気がねえ。至るところで上司、部下、または退職されたOBでしょうか? それぞれ家族の紹介、挨拶が行われており、このような雰囲気は企業アマオケだけですよねえ。 音楽を聴きに来ているんだか? 挨拶、紹介に来ているんだか? 上司が団員なので、参加動員がかかっているのか?

案の定? 「中央アジアの草原にて」で演奏が終わっても、なかなか拍手が無い!! (指揮者が指揮棒を下ろして、指揮台から降りようとしても拍手無し) 逆に心配になりましたわ。 当方がさすがに2番目?くらいになりましたが、拍手しましたよ。そこまで静寂が大事な曲とは思わないのだが(マーラー9番などと違って)。 当分、企業アマオケはいいかなあという感じ。


2017.9.3

金山隆夫指揮 オーケストラ・ディマンシュ

曲目

ワーグナー:楽劇《トリスタンとイゾルデ》前奏曲と愛の死

ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲

ショスタコーヴィチ:交響曲第5番

[感想記]

ほぼ定期会員のようなオケとなっているオーケストラ・ディマンシュの第45回演奏会へ行ってきました。これで4回目の演奏会。 今回の演奏会のテーマは 〜秘めた想い、音の向こう〜 。

ご存知のように <オーケストラ・ディマンシュ>演奏曲目が他のアマオケをひと味もふた味も違うオケ。 何度も書いておりますが、「宇宙戦艦ヤマト」を演奏曲目として取り上げるという素晴らしいオケ!!

その<オーケストラ・ディマンシュ>が今回の演奏曲目は1)ワーグナー:「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死、 2)ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲、3)ショスタコーヴィチ:交響曲第5番。 何と・・・メジャーどころの曲目が並びましたが、<オーケストラ・ディマンシュ>らしく無い?と思ったが、 よくよく考えてみると、この3曲の組み合わせで普通、演奏しないよなあ・・・と。 三者三様でこのオケの懐の深さを感じさせますね。

人気のアマオケでいつもどおりの満員に近い観客がすみだトリフォニーホールに。 最初の曲はワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死。 低弦の音が分厚く、やや重厚な「トリスタンとイゾルデ」に!これはこれで興味深い演奏でした。 次はブラームスのハイドン・ヴァリエーション。冒頭から響きがブラームス! 重厚な響きでもう理想的な演奏でしょう。 完璧でした。もう文句のつけようもなく感動してしまって、まさかの涙腺ウルウルで・・。 ハイドン・ヴァリエーションでここまで感動するとは夢にも思っておりませんでした。 本当に<オーケストラ・ディマンシュ>上手い! ここまで上手かったかなあ・・・と。 一皮むけた感がありますね。

休憩後、後半メイン曲はショスタコーヴィチ:交響曲第5番。 この曲を聴くのは昨年7月の<オーケストラ ハモン>以来。この時が超快速演奏でイマイチだったので、 今回は・・・? 1楽章から緊張感ある演奏でテンポも良い。1楽章では後半のフルートとホルンのやり取りは最高でした。 ホール内に溶け込むようなフルートの響き。思わずとろけそうでした。 やや弦が不安定なところもありましたが、3楽章は素晴らしかった。 4楽章のテンポも良かったです。ただし、4楽章ではやや雑になってしまった感がありましたが・・・・。 しかし、素晴らしい演奏でした。 やはり、ショスタコ5番。改めて聞くとすべての楽章に聴きどころがある“いいシンフォニー”と再認識。 高校時分は4楽章・命だったのですがね(特にティンパニーが大好き)。今は特に1楽章と3楽章の方が惹かれますね。 アンコールはショスタコーヴィチ映画「馬あぶ」の音楽による組曲より「民衆の祭り」 ここで珍しい曲がキターーー! アンコールはショスタコのジャズ組曲辺りと予想していたのですが、 いやいや、その上を行かれてしまった感じです。聞き易い曲でテンポもよく、良かったです。 次回は来年4月、ラフマニノフ交響曲3番とドビュッシー《海》を演奏するとのことです。 いやーー、このオケ、ブラームスは最高に合っていると思いますね。


2017.8.19

佐々木新平指揮 伊達管弦楽団

曲目

ディーリアス:河の上の夏の夜

エルガー:エニグマ変奏曲

ブラームス:交響曲第4番

[感想記]

最近、吹奏楽の響きばかりを聴いていたので、久しぶり?の管弦楽の響きを堪能しましたが、 やっぱり弦楽器の響きはいいものですなあ!!

伊達管弦楽団、前回2月の定期演奏会にてシベリウス6番とチャイコ1番という素晴らしい組合わせをレベルの高い演奏(特に弦楽器と木管)をしてくれた アマオケ!8月にはブラームス4番を演奏するこということで楽しみにしておりました。 演奏会場は“かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール”と1992年開館の約1300席のホールで作りは、 クラシック専門と言ってもおかしくないホールです。本当に音響が良くてねえ・・・。 最高の響きなのでは?久しぶり?に良いホールだなあと実感しました。 しかし、東京にはどれだけ立派なホールがあるのでしょうかねえ・・・・。 京成線青砥駅から徒歩8分くらい。住宅街の中にあるホールです。

演奏曲目が前半がディーリアス:河の上の夏の夜とエルガー:エニグマ変奏曲。 ディーリアスの方は存じ上げ無い曲でしたが、なぜか不思議な曲でした。懐かしい旋律のような現代音楽風のようにも・・・。 ともかく、伊達管弦楽団の弦楽器と木管のレベルの高さを再確認。 次のエルガー:エニグマ変奏曲はもう最高でした。完璧です。文句のつけようも御座いません。

この調子で演奏してくれればブラームス交響曲4番も堪能できるはず! 冒頭の弦楽器の演奏を楽しみにしておりました。 しかし、ブラームス難しいですね。若干、音が濁ってしまいました。しかし、レベルの高い演奏を聴くことが出来ました。 敢えて、苦言を呈せば、金管(特にホルン)がもう少しだったのと、ソロ・オーボエの響きがこもり気味だったこと。 前半の曲目(エルガーなど)を演奏されたソロ・オーボエの方はホール内に美しい響きが広がっていました。 ホールの響きとともに伊達管弦楽団の演奏を堪能することが出来ました。 次回の演奏会は来年4月(かなり先ですね)、シューベルト「未完成」とシベ2とのこと。GWの頭ということで当方は厳しいかなあ??


2017.7.22

ノット指揮 東京交響楽団

曲目

シェーンベルク:浄められた夜

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」

[感想記]

ミューザ川崎では毎年夏にサマーミューザを開催しており、このコンサートはその今年のオープニング・コンサートである。 ストラヴィンスキーの「春の祭典」、もう説明する必要の無いほど有名な曲であり、初演時の逸話もたっぷりな曲である。 当方も是非、生で聴いていみたいと日々、思っていた曲である。 この曲を初めて聴いたのは高校生の時、吹奏楽部の友人がハマっていた曲であり、 当方も聴いたが、第一印象は「何だこれは!理解不能!」というものであったと思う。 その時はチャイコフスキーの交響曲5番やドボルザークの交響曲第8番などにハマっていた時だったと思う。

その後、何度も聴き、音楽の良さが理解できたというより、体感的に揺さぶられる音楽であると思っている。 まあ大好きな曲ではないが、たまに無性に聴きたくなる曲でもある。

ジョナサン・ノット指揮東京交響楽団であり、特に指揮のノット氏の演奏は本当に聴きたかった。 ノット氏と言えば、当方にとっては、マーラー9番でのバンベルク響とのCD。素晴らしい演奏であり、 指揮者としても期待出来ると思っていたところである。 そのノット氏が2014年から東京交響楽団の音楽監督に就任しており、まあ東響も良い指揮者へ目を付けたなあと! (新日フィルのハーディングにもビックリしたが) ついにこの演奏会で聴くことが出来た。

会場はほぼ満席。年齢層も高め。まあアマオケと異なり、高価なチケット代を購入してきているということで、 シェーンベルクの浄められた夜もストラヴィンスキーのバレエ音楽「春の祭典」もご存知の方が多いのだろう。 前半のプログラム、シェーンベルクの浄められた夜(弦楽合奏版)である。 この曲はシャイー指揮ベルリン放送響とのマーラー交響曲第10番のカップリングで聴いていた。 最初はシェーンベルク(十二音技法を創始者)ということで現代音楽では・・と思っていたが、美しく、儚く、温かい感じの曲である。 やはり弦楽合奏曲というのは、心に響くというか体にゆっくり入り込む感じが良い。 演奏の方は、実に丁寧に響きを重視しながらのものであった。ノット氏は大きなスコアを見ながら、分かり易い指揮振りで好感が持てた。 当方的にはもっと弦に透明感があっても良かった気がした。それが逆に温かさを生み、涙した観客も多かったと思う・・・。

念願の「春の祭典」 ステージ上には普段は見慣れない楽器が・・・。アルトフルート、バスクラリネット・・・。 またこれらの楽器の存在感がGOOD!! ノット氏、この曲ではスコアは無し。上手く楽員に指示し、変拍子も難なく指揮していた。 まあ「春の祭典」も現代の演奏家や指揮者にとっても難曲ではなくなっているのだろうなあ・・と。 冒頭のファゴットから春の祭典の世界へ!非常に熱い演奏であった。ティンパニーがこれでもかあの大音量。 振動がここまで伝わってきた。大迫力でリズムも崩壊することなく、素晴らしい演奏であった。 「春の祭典」の真髄がある程度、伝わり、感じ取れたと思います。 演奏後の拍手はあまり聞いたことが無いほどの大きなものであった。そしてなかなか拍手もなり止まず・・・。 やはり「春の祭典」は生に限る!「ボレロ」と同じ感覚を持った次第です。


2017.7.17

川合良一指揮 交響楽団 魁

曲目

シベリウス:「カレリア」組曲

吉松隆:交響曲第4番

シベリウス:交響曲第5番

[感想記]

まずは、交響楽団 魁 の皆様に感謝を申し上げたい。

よくぞ、吉松隆氏の交響曲を演奏会に採り上げて頂いた。 正直、吉松氏の交響曲大好き人間でありながら、生きているうちに生演奏で吉松氏の交響曲、ましてや第4番が聴けるとは夢にも思っていなかった。 (この衝撃は、オーケストラ・ディマンシュの<宇宙戦艦ヤマト>よりパイプオルガンでの「白色彗星」並である!!)

この交響曲第4番についても「吉松隆」に記載しており、 一番好きな曲である。特に3楽章についてはこの曲に出会ったこと自体が幸せを思えるほどである。 (このような曲が書ける作曲家が現在、日本にいるという事自体、稀有で喜ぶべきことであると思う) この演奏会を知ったのは5月28日の東京文化会館にて東京理科大管弦楽団演奏会でもらったチラシに入っていたのである。 あの優雅な豪華な東京文化会館のロビーでこのチラシを見つけ、「えっ!マジ?うそ!」と声を出しそうになった。 吉松氏の交響曲第4番をアマオケである交響楽団魁が演奏してくれるとのこと。いやーー、それ以来、この7月17日が待ち遠しくて。

交響楽団魁 第11回定期演奏会。この交響楽団魁は東京理科大学管弦楽団OB・OGオーケストラとして2007年結成とのこと。 そして常任指揮者もは東京理科大学管弦楽団と同じ川合良一氏である。 入場無料(カンパ有り)という何とも何とも感謝の言葉しか出てこない。

演奏会に先駆け指揮の川合氏と打楽器奏者の4名がステージへ。 プレトークということで、吉松氏の交響曲第4番に使用される様々な打楽器を演奏付きで紹介。 何気なくCDで聴いているとこんなにも様々な打楽器が使われていたとは!

最初の曲目はシベリウスの「カレリア」組曲。第1曲:間奏曲、弦楽器はいい感じ。ただし、金管が不安定過ぎる・・。 この雰囲気で第2曲も続く。しかし、第3曲:行進曲風に でオケの音色が一変、素晴らしい演奏となった。 結局、このオケは弦楽器が文句付けようの無いレベル。 ただし、残念だが、金管のレベルがかなり落ちる(先日の現役、東京理科大オケの方が断然、金管が上手かった)。 木管は普通のレベルだった。この印象は最後まで変わらずであった。

さてお待ちかねの吉松隆 交響曲第4番。 藤岡幸夫指揮BBCフィルばかり聴いているので、この演奏と比較になってしまうが、 1楽章の冒頭から、ゆったりしたテンポであるが、透明感ある、そしてチャーミングな印象を持った演奏であった。 打楽器も大活躍(よく響いた)、そしてピアノがここまで重要なものとはCDでは何気なく聴いていたのだなあと認識させられた。 2楽章はもう打楽器奏者の4人が忙しく演奏しまくる!!大変だ! 3楽章、正直、藤岡幸夫指揮BBCフィルより良かったのではないかと思う。 低弦をやや厚めにしており、非常に深みのある響きとなっていた。ゆったりと実に丁寧な演奏で感動しまくりであった。 このオケの弦楽器陣のレベルの高さを証明していた。もう「ブラボー!」としか言い様がないくらい。 4楽章も打楽器を上手く主張した演奏で最終盤、チャイムの存在感が効果的で素晴らしいものであった(CDでは埋もれ気味)。 まあ上記したが、金管のレベルがもう少し高ければもっと良かったのになあと思わざるを得ませんでした。 しかし、弦楽器と打楽器の頑張りで曲の魅力は十二分に伝わってきました。

演奏時間ですが、「10:15」−「5:50」−「8:25」−「6:35」といったところでしょうか。 ちなみに藤岡幸夫指揮BBCフィルは「9:16」−「5:07」−「8:15」−「5:55」なので今回の演奏が全楽章ともゆったりとなっております。 パンフレットの中に3楽章のイメージとして「眠っている子供を見守る親のような」と書かれているが、 当方も「夜」をイメージさせると書いたが、やはりそのようなイメージを持っているのだなあと。

休憩後はシベリウス交響曲第5番。 スミマセン。吉松氏交響曲第4番を聴いて、その後は放心状態というか満足感に浸りまくって、 シベ5をきちんと聴けてません!まあ金管頑張れとは思いましたが。

アンコールが凄かった!ベルベットワルツ@オーケストラ版。 この日のため?吉松さんが編曲したとのこと。 確かに吉松さんのブログ“隠響堂日記”の2017年5月22日「先月から少しずつ書き進めていた〈ベルベットワルツ〉オーケストラ編曲版ようやく仕上がる。」 とある。このベルベットワルツはピアノ曲「3つのワルツ」(緑のワルツ/虹色の薔薇のワルツ/ベルベットワルツ)の曲であるが、 この交響曲4番2楽章にもしっかりと存在感あるフレーズで入っています。 いやーー、最高のアンコールでした。

会場を出る時に、喜んで“カンパ”させて頂きましたよ。(TBSKオケの時、カンパを忘れたのがトラウマで・・・) 本当に交響楽団 魁 には感謝したいと思いますし、今後是非、吉松氏の他の交響曲を演奏頂きたい!!


2017.6.25

山田和樹指揮 日本フィル

曲目

武満徹:弦楽のためのレクイエム

マーラー:交響曲第9番

[感想記]

何から書いて良いのやら迷いますなあ。

東急文化村オーチャードホール にて山田和樹指揮日本フィル『山田和樹 マーラー・ツィクルス』第9回 マーラー交響曲第9番を聴いてきました。

指揮者の山田和樹氏、当方の<クラシック徒然草>2016年2月21日の第686話に書きましたが、 「題名のない音楽会」に出演された時の“指揮者のわがままを叶えます”という面白い企画でしたが、山田氏の明朗な語りと実力のある指揮振りに感心しました。 その前から日本人指揮者 新進気鋭の有望株と言われておりましたが・・。一度、早くコンサートでその演奏に触れたいと常々思っておりました。 この山田氏が『山田和樹 マーラー・ツィクルス』にてマーラー交響曲全曲演奏(大地の歌を除く)を足掛け2年半かけて行うという、 山田氏の指揮者人生においても重要な取り組みで当方もタイミングが合えば聴きに行きたいと思っていたのですが・・・。 結局、聴くことができたのは本日の第9番だけとなってしまいました。 しかし、当方が生涯愛してやまないこのマーラー9番をこの気合の入った企画で山田和樹氏の演奏で聴けたのは良かったと思います。

マーラー9番、2015年3月 みなとみらいホール 征矢健之介指揮 早稲田大学フィル 以来。 プロオケでは2011年11月 アクロス福岡シンフォニーホール 秋山和慶指揮 九州交響楽団以来となりました。 しかし、このマラ9だけはコンサート前からの緊張してしまいますね。

  会場は東急文化村オーチャードホール。初めてです。このホールもいつかは!と思いながらチャンスがありませんでした。 TVでは年越しのカウントダウンコンサートでは毎年見ているのですが・・・・。

渋谷駅から人人人(外国人が多く)の中をかき分け、東急本店横のオーチャードホールへ。 念願かなってホール内へ、ステージ後方の印象的な白色の格子模様と高い天井!!素晴らしいホールですなあ。 東京近郊にはどれだけ素晴らしいホールがあるねん!とツッコミたくなるほど(前回の東京文化会館といい、今回のオーチャードホールといい)。

ホールへ入り、ホール内を散策していると指揮の山田氏からプレトークがあるとのこと(こういうのはいいですね。高関さんもよくやって頂いておりますが)。 内容としてはマーラー交響曲第9番の作曲についてマーラーが滞在していたアメリカの影響があるのでは・・と。 特に3楽章の旋律にはアメリカ作曲家フォスターの影響があるのではとのこと。 そしてやはりニ長調(ニ短調)というものが「死」を色濃く写しているとのこと。 二調と言えば、ベートーヴェンの交響曲2番や9番。ブルックナー9番など。 この終楽章は半音低い変ニ長調で書かれており、フラット5つあり、弦楽器的には音がはっきり鳴りにくいとのこと。そこもマーラーが意図しているのだろうと。 この曲ではセカンドヴァイオリンが重要な役割。このため、今回のオケ配置は対向配置とするが、セコバイとビオラの位置を変えただけの簡易型とのこと。

楽員の登場。最後にコンマスの扇谷氏。音合わせの後、指揮の山田氏の登場。 前半の曲目は武満徹作曲“弦楽のためのレクイエム” (プログラムを見て気づきましたが、全部、武満作品とマーラー交響曲との組み合わせだったんですね) この“弦楽のためのレクイエム”当方はCDを持っていまして(尾高忠明指揮紀尾井シンフォニエッタ)、何度か?聴いております。 さて、日本フィル どのような弦楽演奏してくれるのか?日本フィル、当方は何度か演奏を聴いているのですが、イマイチな印象があって(スミマセン)、 今回の演奏会の不安材料というのが、オケが日フィルという点だけでして・・。 しかし、この“弦楽のためのレクイエム”透き通った響きで感動しました。これはマラ9でも期待しても良さそうです。 そして休憩へ。休憩中、ロビーのCD売り場へ行ったのですが、このマーラー・ツィクルスのCDが販売されていました。 全ての曲ではありませんが、2番、4番、6番とありました。他にも山田和樹指揮仙台フィルのラフ2や山田和樹指揮チェコフィルのカリンニコフ1番など。 いやーー、ラフ2にカリンニコフ1番とか当方の心をくすぐりますわ!!(ますます応援したくなりますね)

お待ちかねのマーラー9番。冒頭からこの演奏にかける意気込みが感じられる音。 そして、6小節目からのセカンドヴァイオリンのフレーズは実に丁寧な演奏。これほど丁寧な滑らかで、心のこもった演奏を聴いたのは初めてかも。 この箇所でこの演奏は名演になると確信!! すごいなあと思いながら聞き進み・・・・。 練習番号8のクラリネット⇒オーボエのところも実に丁寧な表現で感動しました。ここでウルウルとは・・・。 1楽章は本当に秀逸でした。演奏時間28分
2楽章は全体的に金管が目立ちすぎて弦楽器が隠れていたのは残念。しかし、山田氏は指揮台で飛び跳ねで体で音を表現しておりました。 演奏時間16分
3楽章 出だしはゆったり丁寧でこのまま進むのかと思うと後半、徐々にテンポを上げ、最終部では快速演奏で興奮しました。 トランペットソロ(外国の方)上手かったなあ。最高でした。張り詰めた高音がホールを包みました。 演奏時間12分30秒
4楽章 正直、今までの楽章と比較して、やや淡白な解釈だったかなあ。弦楽器もやや透明感を欠く響きだったかと。 しかし、最後半部では1音1音丁寧に途切れ途切れで静寂も音楽の一部と表現し(ここまで、じっくり休符を取りながらの演奏も珍しいなあと)、 最後は息をすることも憚られる静寂!チェロのソロも物悲しさを十二分に表現し、最高でした。 チェロは辻本玲氏だったんですね(昨年、中央区交響楽団演奏会でエルガーのチェロコンを聴きましたが)。 30秒間の静寂の後、大拍手。当方はすぐには拍手はできませんでした。演奏時間28分

いやーー、素晴らしい演奏でした。是非CDでリリースして欲しいものです。 やはりマーラー9番は指揮者、演奏者、観客にとって特別な曲目だなあと改めて感じたコンサートでした。 ここまで観客に緊張感と静寂を強いる曲もないでしょう!! 出来れば、『山田和樹 マーラー・ツィクルス』はこれで終わらずにマーラー10番(クック版)で是非、演奏をお願いしたものです。


2017.5.28

川合良一指揮 東京理科大管弦楽団

曲目

ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲

チャイコフスキー:組曲「くるみ割り人形」

チャイコフスキー:交響曲第4番

[感想記]

ついに当方の“コンサート鑑賞史”にこのホールの名を刻むことが出来た!!
念願でした。1960年代、70年代と日本のクラシック音楽の殿堂・聖地として君臨した<東京文化会館>

この<東京文化会館>の素晴らしいところは建築的にも芸術であることは当たり前ですが、何と言っても 日本屈指の芸術・文化の香り漂う“上野公園”に存在するというのは本当に大きい。東京国立博物館、国立科学博物館、国立西洋美術館・・・。 東京芸大もありますね。 上野公園に来ただけでも「芸術・文化に触れるぞ!!」という気持ちにさせてくれます。心が高ぶります。

この東京文化会館の中に都響ガイドという都響のコンサートチケットを購入できる場所があり、 この都響ガイドには2004年2月にベルティーニ指揮都響のマーラー9番のみなとみらいホールでのチケットを購入するために 訪れたことがあります。 クラシック徒然草 第325話 2004年2月29日に記載。それからこの<東京文化会館>の中に入るのは13年ぶり!(都響ガイドは今でも会館内にありましたね) もうあれから13年経ったんですねえ・・・・・(しみじみ)。

ホワイエと大ホール、歴史と伝統に培われたこの建物に畏敬の念を抱いてしまいました!! 音楽のみならず芸術の殿堂ですな。 東京文化会館は1961年(昭和36年)開館。設計は建築家 前川國男氏。その前川氏はル・コルビュジエの弟子であり、丹下健三の師匠とも言える方。 ル・コルビュジエと言えば、7カ国の17施設が「ル・コルビュジエの建築作品 」として世界文化遺産に登録。 日本でも国立西洋美術館が登録。 この東京文化会館の対面に国立西洋美術館があるというのも深いつながりのある証拠。 いやーー、素晴らしいとしか言い様の無い建築物です。

そして肝心の演奏会は「東京理科大管弦楽団 創団70周年記念演奏会」、記念演奏会を東京文化会館で行えるというのも凄い! 会場に到着すると開場待ちの長蛇の列・・・。この列の並びが上野公園内に・・・、この辺はどうにかならないかなあ。 最後尾のカンバンを持った方がいて、分かりやすくされていましたが。 会場内は満席も満席!

曲目も<牧神の午後への前奏曲>、<くるみ割り人形>、<チャイコフスキー交響曲第4番>とポピュラー曲のオンパレード! 最初の<牧神の午後への前奏曲>のフルートがこのホールに響いた時は感動を覚えました。 学生オケは本当にいいよね。東京理科大学オケもレベルが高かった! まあやや高弦に不安があるところもありましたが、本当に良く練習されていたと思います。 チャイコの4番はほぼ完璧。終楽章は迫力のある演奏でした。ブラボーもの!! アンコール曲は<くるみ割り人形>からパドドゥでしたが、ここでは練習不足?高弦が不安定でしたね。 この記念すべき演奏会とこのホールが相まって素晴らしい演奏会でした。

<東京文化会館>の音響ですが、音が直接的であり、体が音に包まれる、音が頭上から降ってくるという感じでは無いホールでしたね。 まあ最近のみなとみらいホール、ミューザかわさき、すみだトリフォニーホールとは違った響きでこれはこれで楽しめました。 演奏後の余韻に浸りながら上野公園を散策し、帰宅しました(ホールを出ればいきなりビル群の都会の喧騒とは異なる)。本当に贅沢です。 絶対にまた<東京文化会館>へ来るぞ!!


2017.5.26

新イタリア合奏団

曲目

ピアソラ:ブエノスアイレスの四季

ヴィヴァルディ:「四季」

[感想記]

パシフィコ横浜で展示会があり、みなとみらいホールではどのようなコンサートが予定されているのかなあと調べてみると、 何と!“アフタヌーンコンサート”ということで新イタリア合奏団によるヴィヴァルディの「四季」が演奏されるとのこと。 やっと生演奏を聴くことが出来る。いやーーー、この曲と出会ってから長かったなあ。

当方にとってこのヴィヴァルディの「四季」は“人生を変えた一曲”と言っても過言では無く。 中学1年でこの「四季」に魅了され、その後、今日までクラシック音楽にどっぷり浸るきっかけを作ってくれた恩人のような曲です。 もし、この曲に出会わなっからと思うと当方の人生はどうなっていたのでしょうか? 考えても「ゾーーーッ」とします。 日々、クラシック音楽に囲まれ、新しい発見と感動の連続という豊かな人生が送れているのもこの「四季」との出会いの御蔭!!

当方にとってヴィヴァルディの「四季」の演奏と言えば、<イ・ムジチ合奏団(1959年 アーヨ盤)>と<イタリア合奏団(1986年盤)>。 そして、この演奏会でイタリア合奏団のメンバーを一新した<新イタリア合奏団> 曲目は前半がピアソラのブエノスアイレスの四季、後半がヴィヴァルディの「四季」というもの。 ホールは満席!これだけポピュラー過ぎる曲ですからね。

ステージに楽員入場。全部で12名。ヴァイオリン6名、ヴィオラ2名、チェロ2名、コントラバス1名、チェンバロ1名。 プログラムを見ると、スタバイ3名、セコバイ3名なんですね。奇数というのもオケでは珍しいので。 ピアソラのブエノスアイレスの四季。初めて予習無しで聴きましたが、 ピアソラらしい響きもあれば、お茶目にもヴィヴァルディの「四季」が散りばめられています(デシャトニコフ編曲ならではとのこと)。 さすがに12名の息はピッタリ。

休憩後、お待ちかねの「四季」。ヴァイオリン・ソロはフェデリコ・グリエルモ氏。当然、あの有名な春からです。 あれっ?かなり速い演奏じゃね?さらにテンポは激しく揺らす、強弱も過剰とも言える演奏。正直、落ち着きが無い! うーーーむ!当方にとっては<イ・ムジチ合奏団>の演奏が体に刷り込まれているのか。穏やかな演奏の方が心地よい。 夏の3楽章、秋の2楽章、冬は良かったです。演奏後、ブラボーが飛んでおりましたなあ。

アンコールは3曲もやってくれました。1)ニーノ・ロータ:8 1/2、  2)モリコーネ:ガブリエルのオーボエ、 3)バッハ:G線上のアリア。 この3曲とも落ち着いた演奏で凄く良かったです。このような感じで「四季」も演奏してくれれば良かったのに・・・・。

<イ・ムジチ合奏団>の話題をしていると、今年夏、来日するんですね。無理かなあ・・・・。チケット代8800円。 えーーー、今日の新イタリア合奏団が4100円なのに、イ・ムジチの方が倍以上も高価!ビックリでした。


2017.5.14

大島博指揮 宗研合唱団 東京バッハ・カンタータ・アンサンブル

曲目

J.S.バッハ:マタイ受難曲

[感想記]

ついにこの日がやってきた。「人類芸術の至宝」「西洋音楽の最高峰」・・・と「これでもか!」の絶賛の言葉が形容される曲。

J.S.バッハ作曲 マタイ受難曲

念願叶ってこの曲を体感することが出来た。正直、3時間たっぷりマタイ受難曲の世界に浸り、 この曲にここまで畏敬の念を感じるとは思っていなかったが、本当に素晴らしい音楽芸術とはこのようなものなのだろう。 「音楽とは?」と真に向き合うことが出来た3時間であった。

すみだトリフォニーホールにて「マタイ受難曲」演奏会があると知り、やってきました。 大島博指揮 宗研合唱団 東京バッハ・カンタータ・アンサンブル 演奏会。 今週は、久しぶりにリヒターの「マタイ受難曲」を熟聴し、改めてこの曲の素晴らしさを認識。

「マタイ受難曲」全曲は、初めてではあるが、当方は2000年11月 シンフォニア岩国にて  茂木大輔指揮 バッハ・メモリアル・アンサンブル 合唱:東京オラトリオ研究会 にて 「マタイ受難曲」の抜粋解説演奏会というものを聴いているので、全く初めてという訳ではないのだが、 この時は茂木氏による解説の感心しきり、勉強になるなあということで音楽には圧倒されなかった印象が・・・。 まあこの演奏会でバッハの「マタイ受難曲」「ヨハネ受難曲」にハマったきっかけが出来たのは間違い無い。

会場はほぼ満席!凄い! 奏者、合唱の入場。木管奏者のみなさんは古楽器。 それに「ヴィオローネ」、「ヴィオラ・ダ・ガンバ」と珍しい弦楽器も。これだけで気分はバロック! そして、ステージ左右後方に木管古楽器が・・・、そうです。2群構成オケ。合唱も2群構成です。 ステージ上方にソプラノ・イン・リピエーノ(立教学院諸聖徒礼拝堂 女性聖歌隊)が陣取る。 指揮の大島博氏とイエス役(バス)の田代和久氏が登場。??あれ??福音史家(テノール)は? そうでした、福音史家は指揮の大島氏が兼務とのこと(忙しいものになりそう) ほかの声楽陣はピラトの妻(ソプラノ)星川美保子、女中I(ソプラノ)隠岐彩夏、偽証人I(アルト)中巻寛子、 女中II(アルト)志田理早、偽証人II(テノール)藤井雄介、ペトロ、ピラト(バス)中川郁太郎、ユダ、大祭司カイアファ(バス)井口達。 しかし、指揮、福音史家の大島博氏の経歴が凄い! あのディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ、エルンスト・ヘフリガーに師事とか・・・・。ビックリ! エルンスト・ヘフリガーと言えば、あのリヒター盤の福音史家ですよ!

演奏の方は素晴らしいの一言。合奏、合唱はもちろんのこと。 独唱者のレベルの高さと声質の良さ(当方の好み)でした。 本当にレベルの高い「マタイ受難曲」を聴けたのではないでしょうか。

第1曲から感動してしまい、全く意識していなかったのですが、涙が溢れ、頬を伝ってしまいました。 特にステージ上方から降ってくる立教学院諸聖徒礼拝堂 女性聖歌隊の皆さんの透き通った声に・・・・。 このマタイ受難曲、3時間もの大曲ですが、飽きない構成と名曲が散りばめられ、全く苦もなく聴き続けることが出来ました。 (CDだとだれちゃうのですが・・・) そして終曲(第68曲)での最後の一音がホールから消えるとともに当方の気持ちも天上へ上るようでした。 放心状態になってしまいました。(このような静かな曲で放心状態になるとは) 素晴らしい演奏と言葉にあらわすのもためらう名曲。感動の3時間を堪能しました。

最後にクラシック音楽に興味を持つ者であれば、この「マタイ受難曲」是非、演奏会で体感することをお薦めします。 いやーー、「マタイ受難曲」の生演奏のとりこになってしまいそうです!! 「ヨハネ受難曲」も絶対に聴きたい!


2017.4.23

児玉章裕指揮 みなとみらい21交響楽団

曲目

ラヴェル:「道化師の朝の歌」

マーラー:交響曲第7番「夜の歌」

[感想記]

2015年2月ミューザ川崎にて大曲 ブルックナー交響曲第8番を難なく演奏しきった「みなとみらい21交響楽団」。 当方にとって注目のアマオケとなったのだが、その後、なかなかタイミングが合わず2年が経ってしまった。 その時に感想で<マーラー交響曲第7番>を演奏して欲しいと書いたのだが、まさに演奏会に取り上げてくれた。 まあ当方が書かなくてもマーラー全曲演奏を目指して活動?をされているようなのでいつかは取り上げたと思うが・・・。

2年前はオケのレベルが高く、もう少し観客が増えてくれればと思ったのだが。 今回、開場前には多くのお客さんが列を作っていた。席もかなり埋まっていた。やはり上手いオケは聴きたくなるものだ。

第12回定期演奏会のテーマは「朝と夜」。ということで前半はラヴェルの「道化師の朝の歌」8分くらいの曲であるが、 ウォーミングアップには良いのでは。オケは両翼配置。オケのレベルは承知。もう安心しきって聴いておりました。 しかし、この曲、まさにラヴェルだなあと思うのですが、よくよく弦パートの演奏を見るとプルトの表裏で違った演奏しているという・・。 ストバイ、セコバイでも・・・。まあここまで細かく弦パートを分けるとはねえ。音の錬金術師は違いますね。 楽しく聴くことが出来ました。

さてお待ちかねのマーラー7番。正直、期待以上の演奏でした。前回聴いたブル8の時よりも バイオリン、ビオラの精度が向上し、文句の付けようがありませんでした。 このオケ奏者の年齢層は一般的なレベルですが、本当に上手い!!

マーラー7番の真髄に触れさせてくれた演奏でしたね。 「マーラー独特の至極の美しい天上のメロディー」と「マーラー独特の混沌とした音の渦」に包まれ、 マラ7はやっぱりこれだよなあ・・・と。このような体験、放心状態となれたのも素晴らしい演奏の賜物!! (出来ればマンドリン、ギター奏者の位置は前方で客席からはっきり見えるほうが視覚的に良かったのでは・・と) 特に5楽章はオケの疲れも見えず、狂喜乱舞の演奏で大感動でした。終了後は大拍手(当方は放心状態ですぐには拍手は出来ない状態)。 いやーー、素晴らしい演奏でした。

(指揮の児玉氏はみなとみらい21オケとは最後の演奏会とのこと。うーん、残念です。解釈も良かったですが・・) 最後に苦言を。ストバイの演奏者で演奏中、お話をされている奏者がいたのは残念。結構、ヒソヒソ話も聞こえるんだよなあ・・・・。

次回演奏会は来ましたよ!!「復活」ですよ「復活」!!10月の連休中ということで当方は厳しいかなあ?? またまたリクエスト このオケには是非、マーラー交響曲第10番(クック版)をお願いしたいです。


2017.4.9

金山隆夫指揮 オーケストラ・ディマンシュ

曲目

ガーシュウィン:《パリのアメリカ人》

黛敏郎:《饗宴》

ベルリオーズ:《幻想交響曲》

[感想記]

雨天の中、すみだトリフォニーホールへ。オーケストラ・ディマンシュの第44回演奏会へ行ってきました。 雨でも多くの観客。素晴らしい。今回の演奏会のテーマは 〜異才の都、異型の音に満ち〜 というもの。 今回は「パリ」にちなんだ音楽、作曲家の曲目が並びました。何とステージ上にハープが4台!!凄いね。

最初の曲はガーシュウィンのずばり「パリのアメリカ人」。ガーシュウィンの曲でも有名な方の曲と思います。 全体的に線が細い演奏になっていたような気がしますね。その影響かソロヴァイオリンの演奏があるのですが、 やや聞こえにくかった。もっと存在感があっても良かったと思います。曲の魅力は十分に伝わったとは思いますが。

次の曲はパリの国立高等音楽院に留学した経験のある日本人作曲家 黛敏郎の「饗宴」です。 曲の前に指揮の金山氏からの説明がありました。 この曲では様々な音階のサクソフォーン5本使用することやピアノの特殊奏法(手のひらで鍵盤を叩く)。ゴジラの闊歩のようなイメージ。 まさに金山氏も同じことを言っていました。そして、チェレスタとジュ・ドゥ・タンブレ(鍵盤付きグロッケンシュピール)の説明も。 恥ずかしながら、今までジュ・ドゥ・タンブレもチェレスタと勘違いしていました。 音色はチェレスタは柔らかい可愛らしい音ですが、ジュ・ドゥ・タンブレは眩しいキラキラした音です。どちらも好きな音色ですね。 メシアンのトゥーランガリラ交響曲では、チェレスタもジュ・ドゥ・タンブレもともに使用されていたとは気づきませんでした。 オンド・マルトノばかりに目が行きますからね。 さて、「饗宴」ですが、当方にとっては初めての生 黛作品。まさに音、響きの塊! メロディーが・・・・無い。 これはこれですがね。

休憩後、メインであるパリ音楽院で学んだベルリオーズの「幻想交響曲(シンフォニー・ファンタスチック)」。もう説明は不要の名曲です。 当方も中学生の時に「幻想」という響きに惹かれ、良く聴いていました。 良く言われることですが、この作品、1830年初演。ベートーベンの第九が作曲された6年度、ベートーベンが亡くなって3年後です。 この曲は当時では考えられないような楽器の使用法(ティンパニーやハープを複数奏者で演奏。鐘を使用)といったこともありますが、 音楽にまつわる背景がまた斬新!! 正直、ベルリオーズは天才と思いますね。その後のクラシック音楽への絶大な影響力。

ということで、念願叶って、初めて生で「幻想交響曲」を聴くことが出来ました。 演奏はゆったりめのテンポで、途中、ヴァイオリンが不安定になった箇所もありましたが、 丁寧な演奏でした。しかし、会場の照明を変化させたりと工夫されていたのですが、 例えば3楽章の冒頭、オーボエとイングリッシュホルンの掛け合いでは、ともにステージ上で遠近感は無かったですね。 そして、5楽章の鐘もステージ上で叩いた方が視覚的に良かったと思いますが・・・。 まあともかく念願の「幻想交響曲」が聴けて満足(もっと満足すると思ったのですが)。

アンコールでは黛敏郎の映画「天地創造」から間奏曲。なかなか良い曲でした。 このオケにはまだまだ日本人作曲家の演奏を行って欲しいものですね。他のアマオケに比べ、結構、取り上げていると思いますが。


2017.3.26

小室昌広指揮 習志野シティフィルハーモニック

曲目

スメタナ:連作交響詩「我が祖国」

[感想記]

スメタナの「我が祖国」、特に第2曲のモルダウ(ヴァルタヴァ)は超有名! 知らない人はいないんじゃないの?と思うくらい、CMを始め、いろんなところで使われています。 しかし、全曲(全6曲)の演奏となるとそんなに演奏会でも取り上げられていない。 マーラーやブルックナーよりも絶対に頻度が少ないハズ(超有名でありながら・・)

当方もやっと生演奏を聴くことができました。 当方にとって、「我が祖国」について語れば、第2曲「モルダウ(ヴァルタヴァ)」と第4曲「ボヘミアの森と草原から」は 学生時分にイヤほど聴いて、正直、食傷気味です。 当方としては、第1曲「高い城(ヴィシェフラド)」が一番好き(特に冒頭のハープにどれほど感動したか)、 次に第3曲「シャールカ」という感じ。今回の演奏でも、冒頭のハープが聴ければ、この演奏会の50%は達成したようなもの・・・。 「高い城(ヴィシェフラド)」を聴ければ、75%達成。「シャールカ」で85%。他が残りといった感じでしょうか?(大変失礼ですが)

さて、今回は習志野シティフィル 第63回定期演奏会です。 (そういえば、当方が何度も訪れている会場である習志野文化ホールは来年、大改修で使用不可とのこと。これは困りましたなあ・・・) 習志野シティフィル、当方にとって初めてです。前回の千葉市管弦楽団でも書きましたが、千葉県のアマオケ熱はすごいなあと。 この習志野シティフィルは1984年習志野ユースフィルとして発足とのこと。

今回の「我が祖国」ですが、ナレーション付き。ナレーター(ストーリーテラー)は吉田奈穂さん。 3部構成で第1曲、2曲(休憩)第3曲、4曲(休憩)第5曲、6曲というもの。 ナレーション付きということで、曲演奏の前に解説的なものと思っていたのですが、 曲中に説明していくというものでした。本当に分かり易いのですが、 今回のように曲中でナレーションというのは、曲に集中したい当方としてはやや残念でした。 字幕表示が出来れば最高なのですが・・・・。

指揮の小室氏が非常に分かり易い指揮振りで見ていて指揮者の意図が良く分かりました。 それにオケが良く表現しておりました。そして、このオケの特筆すべき点がヴァイオリンとビオラのパートの素晴らしさ。 なかなかアマオケの特徴?でもある高弦パートの不安定さというものがこのオケでは見られず。 第4曲「ボヘミアの森と草原から」は弦が重要で、おそらくボロが出るかもと思っていたのですが、良かったですねえ。 当然、木管、金管などは素晴らしいものでした。第2曲モルダウでのフルートは完璧でしたな!

上にも書いたように冒頭のハープを大変楽しみにしていたため、ハープの近くの客席に座ったのですが、 ハープが1台で・・・うーむ、素晴らしい演奏、解釈だったのですが、迫力にかけましたなあ。 2台は欲しかったですが、アマオケでは厳しい?かな。やや残念。

アンコールは指揮の小室氏のアレンジによるドボルザークの「ユーモレスク」(オーケストラ版)でした。 なかなか良かったですよ!久しぶりに「ユーモレスク」を聴いた気がしますね。 本当にオケのレベルが高く安心して聴けました。このオケも応援出来ればと思います。


2017.2.26

土田正昭指揮 千葉市管弦楽団 ヴァイオリン 瀬ア明日香

曲目

チャイコフスキー:バレエ音楽「白鳥の湖」序奏と第一幕の情景

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲

ラフマニノフ:交響曲第2番

[感想記]

都内では東京マラソンが開催され、近寄ってはいけないゾーンになっていたので、それ以外の地域で演奏会はないかと探していると、 千葉市民会館にて千葉市管弦楽団 第71回定期演奏会があるとのことで行って参りました。 千葉県在住でありながらJR千葉駅で降りたのは・・・20数年ぶり??(千葉駅通過は数え切れない・・・) 千葉駅から千葉市民会館へのルートは大変分かり易い。ほぼ1本道。徒歩7−8分で到着。 うーむ、見た目からして古い!!昔ながら市民会館という感じ。当日券を購入し、 開場までゆったり待っているとお隣のご高齢のおじさまから声をかけられた。その後、いろいろなお話をさせて頂いた。 この市民会館の土地は以前、国鉄千葉駅だったとか・・・・。このホールも古いよね。千葉県文化会館も古いよ・・・とか。 昔を知る方とお話するのは楽しい!そうしている間に開場。 ホール入ると予想通りの昭和の香りがするホール。座席が狭い。通路も狭い。トイレも極端に少ない・・・などまさに典型的な昭和時代のホール。 収容人数は約1000人程度。政令都市千葉市の市民会館がこれ??これは寂しいですよ。

観客の皆様の平均年齢の高いこと!それだけ、歴史のあるアマオケということだろう。 この千葉市管弦楽団、名称からして由緒正しそうな感じ。1974年設立、1975年に初演奏会とのことでかれこれ40年以上の歴史がありますね。 (千葉フィルが昨年30周年でしたね。習志野フィルが1969年に設立。千葉県で最も歴史のあるアマオケは1951年設立の市川交響楽団とのこと。 1951年とは戦後まもないじゃないですか・・・) 考えてみれば、千葉県もアマオケ王国じゃないですか。素晴らしいとしか言い様がありませんな。(やっぱ良いホールが必要だ) 開場後、お客さんが来るわ、来るわで開演前には満席となってしまいました。ここまで超満員の演奏会も珍しい。 キャパが合っていない。もっと大きいホールでやった方が・・・。

楽員の入場。むむ、楽員の方々もやや高齢な気がしますねえ(ベテラン楽員も多いということでしょう)。 当方の経験上、学生のような若い楽団の方が技術的にレベルが高いイメージがあるのですが、如何でしょうか? 曲目はチャイコのヴァイコンとラフ2という組み合わせ。もうねえ<羊羹>と<おはぎ>のような甘い組み合わせ! 1曲目、チャイコフスキー:バレエ音楽「白鳥の湖」序奏と第一幕の情景、「白鳥の湖」といってもあの有名な曲ではありませんでしたね。 オケのレベルとして標準的なレベルか!やはり高弦が不安定。木管、金管はレベル高いです。 (大体、どこのアマオケも長年の吹奏楽経験者なのか。木管、金管パートには優秀な奏者は事欠かないと思いますね)

次にチャイコフスキーのヴァイコンです。ソリストの瀬アさん、華麗なる経歴の数々。存じ上げませんでしたが。 冒頭の弦の不安定でどうなることかと思いましたが、瀬アさんのヴァイオリンとともに不安が消えました。 瀬崎さんのヴァイオリンの音の存在感、重厚感(普通の女性ソリストとは違います)。 そして、オケも本当に控えめの演奏に徹し、当方的にはヴァイオリン・ソナタを聞くようにソロ・ヴァイオリンを十二分に堪能出来ました。 協奏曲では、ソリストVSオケという演奏もありますが、このようなソリストが全面的に出た演奏も良い!マジ良かったです。 これも瀬アさんの技量と表現力の高さに裏付けされたものと思いますが。

メイン曲、ラフマニノフ交響曲第2番。この曲、無性に聴きたくなることがありますねえ。 今年も早速、生で聴くことが出来、幸せの限り。 たまに高弦が不安的になるものの全体的には良い出来だったと思います。やや大人しい演奏だったとは思いますが。 1楽章、ラストの「ティンパニの一撃」はありませんね。(気になるんですよ、ここ) そして、この曲で重要な3楽章のクラリネット・ソロ。やや抑え気味でありながら素朴な表現で好感が持てました。 会場がクラリネットの柔らかい音に包まれました。(音量を抑制して、きちんと演奏するのは難しいんじゃないかなあ?)。思わずうるうるしました。 さて、この3楽章演奏時間 13分半でした。うーむ、速い!15分は欲しいところですね。終楽章もまとまった演奏で終了。 良かったです。 アンコールではハチャトゥリアン:組曲「仮面舞踏会」からワルツ。これもメジャーなアンコール・レパートリーですね。 ここでの弦楽器は良かったです。やれば出来るじゃないですか・・・。弦楽器がダメオケのこの曲は聞けたもんじゃない! チャイコのヴァイコンにラフ2とお腹いっぱい、満足して帰宅しました。 次の7月の演奏会も千葉市民会館とのこと。会場を変えられた方が良いのでは?こんだけお客さんが入っているのですから。


2017.2.11

奥村伸樹指揮 伊達管弦楽団

曲目

シベリウス:交響詩「エン・サガ」

シベリウス:交響曲第6番

チャイコフスキー:交響曲第1番

[感想記]

久しぶりの渋谷です。当方的には以前、東急東横線沿線に住んでいたので渋谷は普通に行っていたところですが、 当時から渋谷には似合わないなあ・・・と。東横線でもほぼ横浜、桜木町方面ばかり行っていた記憶があります。 (その頃はみなとみらいホールもありませんでしたが)

渋谷駅西口、南口から徒歩数分の近い、渋谷区文化総合センター大和田さくらホールへアマオケの“伊達管弦楽団”第11回演奏会へ行って参りました。 今回の“伊達管弦楽団”・・・・、オケ名を見たときは仙台のアマオケかあ、これは行くのは無理!無理!と思ってみると、 都内で活動しているアマオケで、東北地方にゆかりのあるアマチュア演奏家によって2010年設立されたとのこと。

渋谷区文化総合センターは2010年に完成したようで・・・。最上階にはプラネタリウムがあり、さくらホールへ上がるエスカレーターの途中に プラネタリウムの投影機が展示されていました。このさくらホールですが、収容人数800名程度の中規模ホール。 しかし、天井も高く、シューボックスタイプのホールで音響は良いと思います。

演奏曲目はシベリウス交響曲第6番とチャイコフスキー交響曲第1番“冬の日の幻想”という当方にとって大好物の2曲を選曲!! 本当に感謝しかありません。オケもやや気持ち小編成です。この編成を活かせる選曲で良いと思います。 1曲目はシベリウスの交響詩「エン・サガ」です。聴いたことがあるはずなのですが、記憶に無し。 作品番号9、あのクレルヴォ交響曲が作品番号7、カレリア序曲、カレリア組曲が作品番号10、11ということで、 シベリウスの20代後半作曲の雰囲気が漂う曲です。 オケですが、木管パートが安定しております。弦楽器は他のアマオケ同様、やや不安が。 十分に前期シベリウスの雰囲気を表現出来た演奏だったと思います。うーん、これならシベ6も期待しても良いと感じました。 そして、シベリウス交響曲6番、今年もシベ6を聴くことが出来ました。幸せ!! 冒頭の透き通る弦の響き!なかなか良い。これは弦楽器パートの練習の賜物かと・・・(結構、厳しく練習したのでは?)。 そして、オケのテンポ、強弱が上手く表現されており、指揮の奥村氏の解釈とその体現しているオケに感心。 このオケの特徴?低弦の存在感が際立っております。シベリウスの場合、高弦が主で低弦が従という演奏が多々あるのですが、面白く聴けました。 2楽章ではやや弦の不安定なところもありましたが、3楽章は良かった。何と言っても4楽章ですよ! 奥村氏のテンポ! 演奏時間9分45秒。もうちょっとゆっくりであったら当方の理想(ベルグルンドの演奏 11分超え)ですが、 このベルグルンドが他の指揮者と比較して極めて遅いテンポですので、実演で触れるのは難しいかなあと・・・。 昨年のオーケストラ・ダヴィンチの4楽章は8分30秒でしたので、この伊達管弦楽団のいい感じのテンポでした。 もう100点満点のテンポでしょう。本当に終楽章を気持ちよく堪能することが出来ました! このようなテンポで演奏してくれるとは嬉しい限りです。

後半はチャイコフスキー交響曲1番「冬の日の幻想」 この曲も大好きな曲! この曲は木管パートの出来が全てと言っても過言では無いと思っているのですが・・・。 前半の演奏を聴いて、木管パートには全くの不安要素は無く、どのような表情付けをしてくれるのか楽しみにしておりました。 あれ?この曲にハープは使わないのですね。

やはり木管パートの出来は秀逸でした。1楽章から、もう感心しきり!本当に上手い! 真骨頂はやはり2楽章ですね。オーボエにフルート、ファゴットの寄り添う。特にオーボエの表情付けがもう最高、脱帽でした。 特に強弱の表現は「上手いなあ!」と思わず声に出しそうでした。この演奏会のMVPはソロ・オーボエ奏者ですね。 それと指揮の奥村氏の解釈も良いということと思います。 またファゴットも良くて。ということとチャイコフスキーはファゴットを効果的に使うなあと感心。 まあ交響曲6番「悲愴」でもファゴットは大活躍ですが、この初期の頃からファゴットの使い方が上手かったのですなあ。 (一方、ファゴットと言えば、ブルックナーの冷遇問題を思い出してしまいました。笑) 2楽章後半のホルンも頑張りましたね。95点の出来ということで。3楽章はかなり整った演奏を聴かせてくれましたし、 終楽章も勢いのある良い演奏でした。各楽章の冒頭は弦楽器は揃っているのですが、曲が進むにつれ不安定になっていきます。 (シベ6に練習時間を割かれたか??)この曲でも低弦の響きが心地よいものでした(特に1楽章の後半は良かったです)。

アンコールは、再びハープ奏者の登場とともに、くるみ割り人形「花のワルツ」もうハープの音色にメロメロです。 思わず微笑みながら聞き通しておりました。幸せな時間を過ごすことが出来ました。 伊達管弦楽団、応援したいオケに追加!! 次回は8月19日モーツァルトホールにてブラームス交響曲4番を演奏とのこと。ついに来たブラ4。


2017.1.15

金子建志指揮 千葉フィルハーモニー管弦楽団

曲目

ベルリオーズ:序曲「海賊」

ショスタコーヴィチ:バレエ組曲「ボルト」

サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」

[感想記]

今年も千葉フィルの定期公演の季節? 1月の第2土曜、日曜 習志野文化ホールと言えば千葉フィルの定期演奏会とイメージが・・・。 昨年のこの時期、この場所では習志野フィルの定期演奏会でしたね。約1年ぶりの習志野文化ホールです。 そして何と曲目も同じサン=サーンスの「オルガン付き」でした。 まあ昨年、千葉フィルはサマーコンサートでマーラー「復活」という大仕事を成し遂げましたなあ。

今回は第31回定期演奏会です。寒かったですねえ。日は射していたのですが、体が固まっちゃって・・・(歳のせいもありますが)。 JR津田沼駅からホール向かう階段で足が上がらず躓きそうになりました・・(恥ずかしい)。この道、もう少しバリアフリーにならないかなあ。 開場に間に合わずホール入り。席が前方しか空きが無く、座ったら横がオルガンであった!! オルガニストの演奏は見れるわ、オルガンの音を間近で体感出来るわと不幸中の幸い?の場所に座ることが出来ました。 こういうことができるのもこのホールならではかもしれません。通常、パイプオルガンはステージ後方にあるため、 オルガン演奏をマジマジと見学できません。

演奏曲目は前半がベルリオーズとショスタコーヴィチ、後半がサン=サーンスとなっており、 もう多彩なプログラム、統一したテーマはあるのか?無いのか? さて、楽員が入場し、指揮の金子氏が颯爽と登場!!千葉フィルを聴きに来たなあと実感。 最初の曲はベルリオーズの序曲「海賊」初めて聴く曲ですが、耳触りの良いメロディーです。心に残り難いですが。 演奏の方は前半は弦楽器が主体であり、うーむ、弦の不安定さが目立ってしまった。 後半は金管メインとなるので、金管の上手さが際立ち素晴らしいものでした。 次のショスタコーヴィチのバレエ音楽「ボルト」題名が「ボルト」とは・・・。あの「ボルト」「ナット」の「ボルト」のようです。 とは言え、そのようなイメージを持たずに組曲の全8曲を聴きました。 もうショスタコーヴィチ・オンパレードでしたな! スネヤが大活躍。そしてコミカルかつ皮肉たっぷりの音作り。 そして、突如、感心するメロディー。まあショスタコーヴィチのジャズ組曲第1番、第2番のような感じです。 楽しく聴くことが出来ました。

後半はお待ちかねのサン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」 この曲、昨年も2度聴きました。 一般的なレパートリーになってきましたね。というのもオルガンが設置されているホールが充実しているというものあると思います。 冒頭の澄み切った弦楽器。おっ!なかなか綺麗。前半の曲と異なりかなり練習されたのではないでしょうか。 木管、金管、打楽器の安定感。特にファゴットの秀逸の出来にはビックリ。なかなかファゴットで上手いなあと感心させられることが少ないので。 敢えて言えば、他の木管に比べればフルートがもっと主張しても良かったのかなあと思います。 そしてお待ちかねの1楽章後半のオルガン!!オルガニストは新山恵理さん。前回のマーラー「復活」でもオルガンをされておりましたね。 間近にオルガンがあるため、重低音が体を震わせる!音楽は耳で聞くものだけでなく、体で聴くものだと思わせてくれますね。 「オルガン付き」は。生演奏でないとこの感覚は味わえません。本当にジワーーと感動してしまいます。 そして、2楽章、そして後半の大音量のオルガン。もうオルガンの演奏ばかり見ておりましたが、オルガン演奏、本当にプロの技ですねえ。 両手、両足にて演奏。当方には絶対無理! そして演奏は、終盤やや速度を上げ、盛り上がりを見せ、終了。 何度聴いても感動します。この曲は!

アンコールにサン=サーンス:歌劇「サムソンとデリラ」よりバッカナールという、これまた良い選曲。 演奏も素晴らしいものでした。千葉フィル、木管、金管、打楽器、特に金管ですが、レベルはアマオケのトップクラスと思うのですが、 いかんせん弦楽器が・・・・。頑張って下さい。 さて、次のサマーコンサートはドボ8にバルトークの「オケコン」という組み合わせ。聴きたいなあ。 しかし、8月11日かあ・・・。お盆で厳しいかもなあ・・・。


2017.1.8

久世武志指揮 TBSK管弦楽団 ピアノ 山田剛史

曲目

ラヴェル:管弦楽のための舞踏詩「ラ・ヴァルス」

ラヴェル:ピアノ協奏曲

ラヴェル:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」

[感想記]

2017年コンサート初めということで早速、行って参りました。会場は横浜みなとみらいホール。 コンサート開場まで時間があったのでJR横浜駅から歩いて行きました。約25分といったところでしょうか。 しかし、この時期は寒くて失敗でした。体が冷えちゃって・・・。もっと暖かくなればビル谷間の散歩でいいかもしれません。 まあランニングされている方は多く見ましたが。

みなとみらいホール、結局は昨年2016年は一度も来ず。2015年3月の早大フィルのマラ9以来でした。 しかし、何度来てもみなとみらいホールは好きですねえ。まあ横浜という街が好きなのもありますが。 今回のオケはTBSK管弦楽団です。以前から演奏会チラシが凝っていて気にはなっていたアマオケです。 前回はイギリス国旗(ユニオンジャック)で今回はフランス国旗でして、コンサートのイメージがわくものになっています。

このTBSK管弦楽団は2011年8月発足。今回が第7回定期演奏会。関東地区の現役の大学生、大学院生が中心とのこと。 TBSKは“Technical and Broad Sound by Kinds of People”の略とのこと。TBSKの順番を間違えそうなので「手羽先」オケと呼んで下さいとのこと。

今回はチラシにあるようにフランスをテーマにオール・ラヴェル・プログラムです。正月明けに聴くには刺激のある曲目でこれはこれでOKですね。 チケット代は無料ということでみなとみらいホールはかなり埋まっております。 演奏会前にステージ上で木管アンサンブルによるミニ演奏がありましたが、何とも演奏のレベルが高い!! ラヴェルでは木管パートは非常に重要なので、これは期待出来るとここで確信しました。

オケのコンミスがゲスト(三ツ木摩理さん)という気合の入れよう。前半最初のウォーミングアップ曲?は「ラ・ヴァルス」です。といっても12分もある曲です。 この曲、CDではいろいろカップリングされていて聴いているはずが覚えていない。 しかし、このオケの木管を始め、弦楽器、金管、打楽器のレベルの高さを実感することが出来ました。 (正直、ハープの音の美しさに正月ボケが吹っ飛びました!!)当方の勝手な印象、学生中心のアマオケは上手い!!

さーーて、当方お待ちかねのピアノ協奏曲! この曲が本当に好きになってしまって・・・。(ここ数年) 今ではすべてのピアコンの中でもベスト3に入るんじゃないかな。楽章的にはこの2楽章はもうたまらん。 まあCDとしては、「フランソワ」、「アルゲリッチ」、「グリモー」を持っているがどれも趣が異なって良い。 2楽章だけの印象としては、グリモーの甘美な優しい演奏。アルゲリッチの深い無骨な飾らない演奏。フランソワの演奏的にも解釈的にも存在感ある演奏。 当方としてはバックの木管の出来も加味してグリモーの演奏が一番好みです。

ピアノは山田剛史氏。どのような演奏が聞けるか。とても良い演奏でしたが、もっと山田氏の解釈を込めて主張しても良かったのかなあと。 過度に強弱、テンポを変えず、着実な演奏でした。技量的には文句無し。これはこれで心にしみましたが。 やはり木管パートのサポートも素晴らしかった。フルート、クラリネット、イングリッシュホルン、上手すぎでしょう!! 今年の“初うるうる”が来ましたよ。 演奏後は拍手大喝采。アンコールもやって頂きました。

そして後半の曲目はダフニスとクロエで全曲版です。あれっ?ダフニスとクロエは第2組曲は良くオケで演奏されるのですが、 全曲版となるとどうも合唱付きというイメージがあるのですが、今回は合唱無しで管弦楽曲バージョンで演奏。 これはこれで楽しみだが。 やはり安定感のある演奏を聴かせてくれました。まあ金管にミス無くというのは酷なので頑張ったと思います。

TBSKオケ、高レベルなアマオケです。今年秋にはヨーロッパ演奏会を控えているとのこと。 凄いです。どんどん進化していきそうです。応援します。次回、第8回定期演奏会は来年2月とのこと。 曲目は「春の祭典」ですって。このオケなら問題無しだと思います。頑張って下さい。

当方、横浜からの帰りのバスの時間が迫っていたので(1時間に1本)、ダフニスとクロエ終了後、すぐ会場を後にしてしまったのですが・・。 このみなとみらいホールを無料で演奏会するなんて凄いなあと思っていたのですが、 パンフレットを家に帰って読むと、演奏終了後、カンパ箱を設置しているのでカンパをお願いしますとのこと。 (やっぱりそうだよなあ・・・。この演奏ならアマオケ相場でもお金を取っても文句が出ないレベルです。) しまった。ごめんなさい。次は必ずカンパ(今回の分も含め)します! 


2016年

2016.12.17

西脇秀治指揮 獨協大学管弦楽団

曲目

ブラームス:悲劇的序曲

ブラームス:「ハンガリー舞曲」第1番、第6番、第5番

ブラームス:交響曲第1番

[感想記]

時々、無性にブラームスが聴きたくなる時がありますねえ。先週の「オーケストラ ハモン」で今年のコンサート聞納めと思いましたが、 杉並公会堂にて獨協大学オケにてオール・ブラームス・プログラムを演奏してくれるということで行ってきました。 杉並公会堂、4月のアイノラ以来ですか・・・。相変わらず荻窪は活気がありますね。

開場時間に少し遅れましたが、ホールに到着。当日券を500円にて購入し、ホール内へ。 こじんまりしていますが、前回も書いたと思いますが、良いホールだと思います。 チケット販売や運営も学生さんが行っているようで、皆さん元気で若々しく、こちらも元気になりそうです! 第50回定期演奏会ということで区切りの記念演奏会。

最初の曲は「悲劇的序曲」、当方としては「大学祝典序曲」の方が好きなので、こちらを演奏してくれればなあと思っていたのですが・・・・。 しかし、「悲劇的序曲」もモロにブラームスらしいフレーズ満載の曲です。 演奏の方は、なかなか堅実な演奏で満足の行くものでした。ブラームスらしさも出ていたし。 弦楽器パートは経験者も少ない?と思いますが、すべてのパートである程度のレベルは保っていると感じました。 次は「ハンガリー舞曲」で第1番、6番、5番と学生指揮者へ交代し、演奏。 まあ5番を最後に持ってきたのは良かったかもしれませんね。 特に5番は気合の入った熱い演奏だったと思います。

休憩後、メイン曲のブラ1。前半のオケの出来からして、良い演奏は聴かせてくれるものと感じておりました。 当方、このブラ1については、かなり自己的に理想とする演奏が固定化しているので、 それに沿わないところは厳しい評価となってしまうことはご容赦下さい。

さて冒頭の部分ですが、普通のテンポだったと思いますが、当方的にはまだ速い感じです。 ティンパニーが1音、1音、明確な音が分離するくらいが好みなので・・・。 (チェリビダッケのシュトゥットガルトやミュンヘンフィル、ザンデルリングのベルリン響) その後はテンポを落とし、このテンポは良かったです。1楽章は演奏も安定していたと思います。 2楽章ですが、木管(オーボエ、クラリネット)の不安定さが露呈してました。まあ仕方ないですがね。難しいよなあ。 しかし、オーボエは頑張って下さい。 3楽章は持ち直し、安定した良い演奏でしたよ。クラリネットは良かったです。 そして、続けて4楽章へ。前半の山場のホルン⇒フルート・ソロですが、感動しました。うるうるしてしまいました。 ホルン(澄んだ音でありながら、存在感十分)とフルート(空から降ってくる優しい音色)は本当に素晴らしかった。 音色が当方の理想に近かったです(マジで)。 そして、大迫力で終了。金管陣のレベルは高かった。ティンパニーも良かったですが、正直、主張しすぎかな。 ティンパニーの音でオケの音が隠れていたところもあり(オケが頑張れということでもあるのですが)。 まあティンパニーがオケに隠れるよりも断然、良いですが・・・・。

アンコール無しかなあと思っていると、「大学祝典序曲」を演奏してくれました。 あかん!正直、号泣しそうになりそうでした。何とかこらえましたが・・・。 最高でした。大学オケによる「大学祝典序曲」、もう最高やろ!! 大学生の皆さんが真剣に演奏する姿はいいよね。頑張って下さい。応援してます! 


2016.12.10

冨平恭平指揮 オーケストラ ハモン

曲目

シューベルト:交響曲第3番

ブルックナー:交響曲第3番(第2稿)

[感想記]

ミューザ川崎シンフォニーホールへオーケストラ ハモン第38回定期演奏会へ行ってきました。 7月にオーケストラ ハモン演奏会に行き、次回の演奏会の曲目がブルックナー交響曲第3番と知り、 この日を楽しみにしておりました。指揮は冨平氏、オーケストラ・ダヴィンチに引き続きという・・・・。

曲目は前半がシューベルト交響曲第3番、後半がブルックナー交響曲第3番という3番コンビの演奏会です。 前半のシューベルト交響曲第3番、全く知らない曲でして、 シューベルトの交響曲で聴いたことがあるのは、「未完成」「ザ・グレート」とあと1曲は聴いたはずだが・・・、忘れました。 シューベルトらしい交響曲でした。編成が至ってシンプル、金管はホルンとトランペット、打楽器もティンパニのみ。 演奏が始まって気づいたが、このオケ、木管前列はフルート、オーボエですが、後列はフルートの後ろにファゴットが・・・。(普通はクラリネットですが) 演奏は良かったと思いますが・・・。

さてお待ちかねのブル3、本当のことなら第1稿を演奏して欲しかったのですが、今回は第2稿です。 この辺りについては演奏会パンフレットに指揮の冨平氏が書かれております。第1稿は「演奏不可能」と書かれております。 確かになあ。演奏家泣かせっぽいですもんね。 他にも「ファゴットの冷遇問題」。これは興味深かったです。 この書かれたことを読んでいるとブルックナーの作曲技法というか技術というか・・・(思い込みの激しい方のようで)、 同時期の作曲家と比較するとイマイチなところがあったかもしれませんね。しかし、音楽的には素晴らしい人々を魅了するものもあるの確か!

さて、演奏の方ですが、ゆったりなテンポでした。そして、きっちり休止を主張し、「これぞブルックナー!!」 まあ一部、セコバイが不安定なところもありましたが、素晴らしい演奏でした。はっきり強音部では迫力のある演奏でしたし。 ブルックナーというのが聴かせる演奏をすることが難しい。特に3番、9番などはかなりの技量がないと不安定な演奏となる。 5番は結構、勢いで何とかなるかも・・・。 3番でも合格点以上の演奏を聴かせてくれた「オーケストラ ハモン」の確かな実力を再確認させて頂きました。 特に3楽章後半、4楽章は文句の付けようの無い演奏でした。ブル3を堪能出来ました。 次回の演奏会はオール・ストラヴィンスキー・プログラムとのこと。しかし、8月13日とはお盆とは厳しいかな(もう来年のお盆ですか・・・・)。 


2016.10.2

冨平恭平指揮 オーケストラ・ダヴィンチ

曲目

シベリウス:交響曲第6番

マーラー:交響曲第1番

[感想記]

よくもまあ本当に東京にはいろいろなアマオケがあるものだ。またまた素晴らしい技量を持ったアマオケを見つけてしまった!

<オーケストラ・ダヴィンチ 第3回定期演奏会>へ行ってきました。第3回ということで2014年結成ということで日が浅いが、 東大、千葉大、筑波大などの大学オケ出身者にて構成とのこと。 どこのオケの演奏会か忘れたが、配布されていたこのオケの演奏会チラシを見たとき、演奏曲目に驚いた! シベリウス交響曲第6番にマーラー交響曲第1番である。プロオケではまずありえない組み合わせ(アマオケでもそう無いと思うが・・・) 料理に例えると「冷麺」と「すき焼き」という感じか?? アマオケにシベリウスはかなりハードルが高い。特に弦楽器の精度が必要とされるからだ。アマオケの弱点はビオラパートやセコバイパートであることが多々。 ましてやシベ6となれば、高弦パートにかなりの自信がないと演奏曲目に敢えて選ばないだろう。(マーラーは勢いで何とか形にはなるものだ) 当方もシベ6では2006年のアイノラ響の演奏会以来、お目にかかれていない。(以前、どこかのアマオケが演奏したと思うが、夜の演奏会ということで行けなかった) ということでこのオケの実力は如何に・・と先週に引き続きすみだトリフォニーホールへ。

会場の入りは6割程度というところでしょうか。指揮は冨平氏、昨年の<オーケストラ ハモン>でのマラ7の素晴らしい演奏が記憶に新しい。 楽員の入場、うーーむ、確かに年齢が若い! 現役学生または大学卒業して数年といったところでしょうか。 確かに楽員の友人たちであろうか。他のアマオケに比べ客層も若かった。 当方の経験上、年齢層が総じて若いアマオケは上手い!(お年を召したアマオケ演奏者には申し訳ないが・・・)

さーーて、待ちかねのシベリウスの6番。この曲の冒頭に注目! おおーーー!何とも無色透明な響き(決して艷やかでも無く、温かさも無い。無味な透き通った音)。そして一点の曇り(濁り)の無い。 本当に素晴らしい演奏でした。敢えて苦言を言わせてもらえば、1、2楽章で木管やハープの音が弦楽器にかき消された箇所があり、そこだけが残念! 3楽章は文句のつけようのない出来。さーーて、4楽章です。当方としてはベルグルンドのようにゆったりと10〜11分くらいの演奏だとベストだけどなあ・・。 と思いながら、聴きましたが、うーーむ、速かった!!それもかなりの速さだった。演奏としては良かったのですが、テンポ、テンポが・・・。 結局は8分30秒の(当方にとって)超快速ではなかったでしょうか。解釈だけが当方の好みではなかった。本当に美しい演奏でした。 十二分に満足出来たシベ6でした(正直、アイノラ響よりも良かった・・)

休憩後、マーラー「巨人」。「巨人」も2度目(こんなものです)で2009年のシャイー指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウスの超名演以来。 まあオケの実力も分かったことで、全く安心して聴けました。冒頭の神秘的な弦の響きも良かった。 まあホルンがやや不安定でありましたが、これはプロでも難しいところですから。 正直、プロオケのコンサート演奏のような感じで聴いておりました。やや2、3楽章は表現がやや単調で大人しかったか。 まあ居眠りしている方も・・・・。本当は4楽章の冒頭で居眠り客をビックリさせるくらいの大音量をぶっぱなして欲しかったなあ。 しかし、4楽章は素晴らしい集中力の演奏で良かったですなあ。総じて、技量的には文句をつけるところは御座いません。

アンコールを演奏してくれるのこと。アンコール・ナンバーは??と想像していたのですが、マーラーに適したアンコール曲は無いし、 シベリウスではあの超有名曲しか無いでしょう・・・と思いましたが、少しアンコールにしては長めかなあと思い、 カレリア組曲あたりの曲でどう??と思ったら、何と「フィンランディア」をやってくれました。 やったーー!!まあ非の打ち所が無い演奏でしたねえ。本当に素晴らしいオケでした。ビックリ!! 


2016.9.24

金山隆夫指揮 オーケストラ・ディマンシュ

曲目

ボロディン:交響曲第2番

ハチャトゥリアン:バレエ組曲《ガイーヌ》抜粋

[感想記]

オーケストラ・ディマンシュの第43回演奏会へ行ってきました。 オーケストラ・ディマンシュと言えば昨年、「宇宙戦艦ヤマト」を演奏してくれた当方にとって感謝感涙のアマオケ! ということで応援しているオケなのですが、今年の春の演奏会はシベリウス専門オケの「アイノラ交響楽団」演奏会と重なってしまって・・・。

この秋の演奏会はボロディンの交響曲第2番とハチャトゥリアンのバレエ組曲《ガイーヌ》抜粋という曲目構成です。 いいですよねえ。この曲目! ロシア音楽というか中央アジアを感じさせる選曲。 特にボロディン、本当にマーラー、ブルックナー、吉松、伊福部三昧の今日この頃では、ボロディンの旋律が心に沁みる! ラフマニノフのような甘ったる過ぎず・・・・。素朴で心が癒される。

演奏会のプログラムを見るまでは前半が《ガイーヌ》で後半がボロディンの交響曲と思っていたら、 前半がボロディンだった。そして、後半の《ガイーヌ》ですが、抜粋と言いながら、70分もの大曲(多くの曲を演奏してくれる模様)。

さてボロディンの交響曲第2番ですが、指揮の金子氏の解釈が実に自然で良い。テンポの揺らし、音のタメ、強弱・・・、素晴らしい。 その解釈についていくオケ。まあ高弦やオーボエ、ホルンでやや不安定さはありましたが、 この曲の中間楽章の叙情的な旋律は十分に表現出来ていたと思います。

後半の演奏前に指揮の金子氏より《ガイーヌ》抜粋ですが、70分もの大曲でかなりの曲を演奏するので、 演奏している曲をステージ後方にプロジェクターで投影し、どの曲を演奏中か分かるというもの。 演奏の方は良かったと思います。曲目的に荒々しい曲やしっとりと聴かせる曲ありました。本当に楽しめたという感想。 どの曲も魅力的な曲でした。まあ「レズギンカ」「剣の舞」は特に気合の入った素晴らしい演奏でした。 本当に興奮してしまう曲ですよねえ。

アンコールでは《ガイーヌ》のアダージョ(ここでは高弦の不安定さが露呈してしまった感)、そしてもう1度「レズギンカ」で華々しく終了。 いいわ!最高な盛り上がりでした。

来春は「幻想交響曲」を取り上げるとのこと・・・・。まあアイノラ響と重なっているようですが・・・・・。


2016.8.28

松元宏康指揮 かわさき市民オーケストラ2016 チェロ 水谷川優子、オルガン 新山恵理

曲目

モーツァルト:歌劇「劇場支配人」序曲

ドボルザーク:チェロ協奏曲

サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付」

[感想記]

ミューザ川崎シンフォニーホールにて8月最終週の演奏会と言えば、<市民交響楽祭>!! 昨年は行けなかったのですが、2014年はホルスト「惑星」を聴きました。 このオケは前回も書きましたが、「川崎市民オーケストラ2016」ということで、川崎市の4つのアマオケの混成オケです。

演奏前に指揮の松元氏よりプレトークがありました。なかなか有望な若手指揮者とお見受けしました。 トークも明朗で楽しい。(よく見ると芸人の品川庄司の庄司に似ているような・・・・・・) 演奏曲目のドボルザークのチェロコンは名曲中の名曲ですが、指揮するのは難しいらしい・・・・。

楽員が入場してきましたが、他のアマオケと比較して、全体的に平均年齢がお高めの気がしますね。 1曲目のモーツァルトの歌劇「劇場支配人」序曲、オケのウォーミングアップ曲としては軽快で良いと思います。 あっという間に演奏が終わってしまいました。

その後、ドボコンのためにチェリストの台が運び込まれてきましたが、台の裏にチェリストのサインが・・・・! 判明したのは「馬 友友(ヨーヨーマ)」「堤剛」、へーーこのようなところにサインをするんだあ。 その後、チェリストの水谷川優子さんの登場。この水谷川さん、あの近衛秀麿氏のお孫さんとのこと。 まさに音楽一家ですなあ。

やっと念願叶って、ドボコンを演奏会で聴くことが出来た。チェロの演奏もさることながら、 ドボルザークの木管のフレーズの泣かせること!!やっぱりこの曲が大好きなんだと再認識しました。 水谷川さんのチェロですが、繊細な演奏でしたが、当方としてももっとゴリゴリ演奏しても良かったのかなあと。 しかし、チェリストにとっても難曲なんだろうなあと感じた次第。 オケの方ですが、全体的には悪くはなかったのですが、ヴァイオリンパートがどうも不安定。 この曲で最も感動したのが、3楽章のチェロとソロヴァイオリンとの掛け合いがあるのですが、 ここがピッタリと決まり、鳥肌ものでした。ドボコンを堪能し、満足!
大拍手にチェリストの水谷川さんがアンコールを演奏してくれました。 演奏前にこのオケと協演できことに感謝や平和を祈って、アンコール曲はカザルスの「鳥の歌」でした。 この演奏、マジで感動しました。思わず息を止めて聴いてしまいました。本当に感謝!! 水谷川さんのバッハの無伴奏も聴きたくなってしましたわ。

後半はサン=サーンスの「オルガン付き」。ヴァイオリンパートが不安定な中、この曲とは一抹の不安がよぎります。 うーむ、冒頭の透き通る感じがやや濁る。しかし、そこまで気になるほどでも無い。 1楽章後半では、やっぱりうるうるきてしまった。毎度毎度ですが、そしてミューザのオルガンの音色がまた良い!! 体に心地よい振動が・・・・。2楽章後半の他のオケではアップテンポで終曲に突っ込むところをテンポを変えずに 1音1音、説得力のある演奏でここは大賛成の解釈でした。久々に良い解釈で聴くことが出来た気がします。 指揮の松元氏、あっぱれ!!

アンコールですが、エルガーの威風堂々第1番を演奏、そういえば、2年前もこの曲でした。このオケでは恒例の曲だったと演奏を聴いて、 思い出しました。

指揮の松元氏、初めての演奏を聴きましたが、若手ながらなかなかの指揮者ではないでしょうか!応援したくなりました。 テンポの解釈、休止をしっかりとるところなど、当方には好感が持てました。頑張って欲しいものです。


2016.7.31

長田雅人指揮 オーケストラ ハモン

曲目

ムソルグスキー:交響詩<禿山の一夜>(リムスキー=コルサコフ編)

プロコフィエフ:交響組曲<キージェ中尉>

ショスタコーヴィチ:交響曲第5番

[感想記]

怒涛の7月のコンサートの締めくくりは「オーケストラ ハモン」の第35回定期演奏会。 「オーケストラ ハモン」は昨年のマーラー7番、オールシベリウスと技量も確かですし、素晴らしい演奏を聴かせてくれるアマオケです。 会場は池袋にある東京芸術劇場です。なんとも久しぶりの芸劇!2007年の高関指揮新交響楽団の超・名演だったマーラー9番以来! 東京芸術劇場、これまた良いホールですねえ。首都圏にはどんだけ良いホールがあるんだよ!!ステージバックのパイプオルガンが隠れて見えない。残念! 会場の入りは3階席はかなり空きはありましたが、その他は埋まっておりました。

プログラムはオール・ロシア音楽。1曲目はムソルグスキーの<禿山の一夜>(リムスキー=コルサコフ編)です。 ムソルグスキー作曲の中では最も好きな曲。<展覧会の絵>よりも大好きです。 この曲、以前で生で聴いたような聴いていないような・・・、調べると2004年にN響で聴いておりました(どのような演奏か忘れましたが)。  冒頭のヴァイオリンの繊細なこと。思わずこのオケの技量に改めて感心! しかし、テンポが速い、速いぞ! まあこのアップテンポに難なくついていくこのオケもすごいのですが。 このテンポも一本調子の速さ、もう少し揺らしただけで心に残る演奏になりそうなのに・・・。 最終盤のフルートのソロ、良い音色でしたね。当方のどんぴしゃ好みの音色!澄んだ品のある音。この音に包まれたら幸せの限り。

2曲目はプロコフィエフの交響組曲<キージェ中尉> スミマセン。聴いた記憶が無い曲でして・・・。 プロコフィエフの音楽なのですが、「ピーターと狼」のように聞き易い音楽です。 感心したのは、1曲、5曲に舞台裏のコルネットのソロ 上手すぎでしょう! 思わず感心してしまいました。 2曲ではチェロ、ビオラがやや不安定に。まあこの演奏会全体でもこの部分だけでしたね。音程が??となったのは。

そして休憩後、今日のメイン曲、ショスタコーヴィチの5番。今年はやたらとショスタコーヴィチを演奏会に取り上げることが多い気がするのですが・・・。 生誕110年というのもあると思いますが、110年という中途半端というのも如何なものでしょうか。 そして、この5番、演奏前ですが、<禿山の一夜>の件もあり、このショスタコの5番もアップテンポになるんじゃないだろうなあ・・・と一抹の不安が・・。 結果はもう予想通りのアップテンポで勢いのある演奏でしたわ(笑)。正直、この指揮の長田氏、「早く家に帰りたいんじゃなかろうか」と思った程。 まあこの勢いのある演奏についていく「オーケスト ハモン」の楽員も凄いの一言ですがね。実力の高さがよく分かりました。 しかし、「休止」や「テンポのため」などあっても良かったんじゃないかと。 3楽章後、4楽章もアタッカで入り。やはり4楽章も快速音楽だった。まあこれはこれで盛り上がるのですが、当方の好みではありません。 マジで「指揮の長田氏とオケの関係はどうなんだ?」と要らん心配してしまったわ。しかし、過去に何度もこのオケを振っていらっしゃる。 まあこの関係でのこの解釈ということでしたら、当方は何も言うまい!!まあ改めてオケの十二分の技量は分かったということで。

次回の定期演奏会では(ヤッホーー!)ブルックナーの交響曲第3番を演奏するとのこと。こりゃ!楽しみじゃ!


2016.7.24

金子建志指揮 千葉フィルハーモニー管弦楽団 ソプラノ:日比野 幸、 アルト:中島 郁子、東京オラトリオ研究会、新星合唱団、立川コーラス・アカデミー、オーケストラとうたう杜の歌・こども合唱団、大沢台小学校合唱団

曲目

メンデルスゾーン:「無言歌集」第5巻<葬送行進曲>(金子建志編)

マーラー:交響曲第2番 <復活>

[感想記]

今年になってこの演奏会で10回目です。この7月の段階でとうとう過去の1年間のコンサート最多回数(9回)を抜いてしまいました。 今年は意地でもコンサートに行くつもりでいるので、何回まで行けるか!!

さて、待ちに待った千葉フィルの演奏会、第28回サマーコンサート。昨年にサマーコンサートでマーラー<悲劇的>を聴き、 来年の演奏会予告に<復活>を演奏するとのこと。この1年間、首を長くしてこの日を待っておりました。 会場は楽員、合唱団のご家族、お知り合いでしょうか。すみだトリフォニーホールが超満員の入り!!

マーラー<復活>と言えば、2008年にアマオケのジャパン・グスタフ・マーラー・オーケストラの演奏会で初・生・<復活>でしたが、 やや出来が期待通りでは無く、合唱部分は感動したのですが、オケにモヤモヤ感が残り、出来ればプロオケで<復活>を聴きたいなあと思いながら、 聴く機会が無かった中で、プロでは無いが、当方の応援するアマオケ、千葉フィルが演奏曲目に選んでくれた! 嬉しかったですねえ。

ということで今月はマーラー<復活>と<千人の交響曲>という超・濃厚級シンフォニーを聴くことに! 楽員が入場し、指揮の金子氏がステージへ。演奏かと思いきや、マイクを持ち、曲目解説をして頂きました。 オケにフレーズを演奏させながらの解説、もう最高です!!というのも今回は<ディエス・イレ>のモチーフに関する解説。 <ディエス・イレ>はグレゴリオ聖歌で死者のためのミサの中で歌われる。このモチーフが数々のクラシック音楽に引用され、 代表曲として@ベルリオーズ:幻想交響曲の終楽章、Aシューベルト:未完成交響曲の1楽章、Bサン=サーンス:オルガン付交響曲、そしてCマーラーの<復活>と あるようです。それぞれフレーズを演奏しながらの解説で、大満足! <幻想>と<復活>は死をイメージさせる曲なので、納得ですが、まさか<未完成>や<オルガン付>も死をイメージを含みながらの作曲とは夢にも思いませんでした。 いやーーー奥が深い!このような解説、演奏を聴けるのも千葉フィルならではの趣向ですね。

メンデルスゾーンの<葬送行進曲>ですが、マーラー5番の冒頭に似ており、というよりマーラーがこの曲を知っての5番と考えたほうが良いとのこと。 まあメンデルスゾーンの<葬送行進曲>と<結婚行進曲>、どちらも出だしは「タタタターン・タタタターン」というもの陰陽があって面白いところ。 この「無言歌集」第5巻<葬送行進曲>(金子建志編)では、金子氏がマーラー風にアレンジした演奏を行ってくれました。 まさにマーラーぽい味付け。短いながらも楽しめました。

さてお待ちかねの<復活> 1楽章の冒頭から重低音バリバリで、これぞ<復活>! 解釈としてはややゆったりめのテンポでテンポは揺らすことなく、 ただし、休符をしっかり主張した演奏でした。オケの音も良く出ており、大迫力でした。1楽章は満足行くものでした。 しかし、2楽章でやや弦楽器の精度が落ち(やや練習不足?)、その後の3、4、5楽章は文句の付けようがありません。 金管の素晴らしい和音など聴かせどころ満載でした。ソリストの日比野さん、中島さん(中島さんはこの前のハーディングの千人で急遽、代役され、今回も演奏に触れることが)は 安定した声で合唱団も良かったです。そして、あれっ??<復活>でオルガンやこども合唱団を使っているんだ!!と。マーラーというのは第2番からこの大仕掛け。 とんでもない作曲家である。後半のバンダによる金管。客席後方からも演奏され、まさに3次元的演奏(この前の千人でもやれば良かったのに・・・)。 最終盤の盛り上がりは流石でした。と興奮の演奏会でした。満足・満足。

おまけですが、千葉フィルのパンフの解説が詳細なのは知ってのとおりですが、読んでいると<復活>専門指揮者のキャップラン氏が亡くなられたとのこと。 当方はCDは持っていませんが・・・。で、キャップラン氏の所有していたマーラー自筆の<復活>総譜がオークションに出されているとのこと。 本人が亡くなるとこんなものですね・・・。


2016.7.10

井上道義指揮 東京交響楽団 マリンバ:高田みどり、ヴァイオリン:山根一仁、二十五弦箏:野坂操壽、ピアノ:山田令子

曲目

伊福部昭:オーケストラとマリンバのためのラウダ・コンチェルタータ

伊福部昭:ヴァイオリンと管弦楽のための「協奏風狂詩曲」

伊福部昭:二十絃箏と管絃楽のための交響的エグログ

伊福部昭:ピアノとオーケストラのためのリトミカ・オスティナータ

[感想記]

今年は伊福部音楽に浸れております。中央区交響楽団の<シンフォニア・タプカーラ>、プロースト交響楽団の<交響譚詩>、 そして、本日の「オール伊福部昭プログラム:協奏四題」

正直、このミューザの公演予定プログラムを見たときに絶対に行きたい!!と。 伊福部昭の協奏曲を一日にそれぞれ違った楽器のソリストを迎えて聴けることはそうないだろうと!

本当に行って良かった!!最高でした。伊福部音楽の世界に十二分に浸ることが出来、幸せな限り。

指揮は井上道義氏、当方にとって井上氏の演奏は大学時分の京都市響の演奏を聴いて以来だから、もう26、27年前ということに・・・。 いやーー、ここまで時間が空くとは思っていませんでした。東京交響楽団は2005年の飯森指揮のマーラー9番以来。

この協奏四題、それぞれ魅力があり、当方にとって好き嫌いの甲乙付けがたい程、すべてが好きな曲といっても良いくらい。 「ラウダ・コンチェルタータ」は山田一雄指揮安倍圭子マリンバのCDで刷り込まれ、 「協奏風狂詩曲」、「交響的エグログ」、「リトミカ・オスティナータ」は井上道義指揮東京交響楽団の1983年のライブ録音CDで刷り込まれております。

ということで33年ぶりにこの指揮、オケの組み合わせでの演奏会という、またまた記念碑的な演奏会。ソリストは代わっていますが。

会場に入ると若い方も多く見られ、うむ、これは「伊福部信者?」まあ当方も半分・伊福部信者のようなものですが。 CD販売コーナーにも「これでもかあ」の伊福部CD。結構、当方が所有のCDもあったので、購入せず。 ホール入ると中央にマリンバ。そして、指揮台がありません。弦楽器もやや小編成でしょうか。 そして、至るところにマイクがこれは、録音CDとして販売される予定があるのでしょうか?

1曲目の<オーケストラとマリンバのためのラウダ・コンチェルタータ>
小柄なマリンバ奏者の高田みどりが登場し、両手に2本ずつマレットを持ち、スタンバイ。そして、重厚な出だし(この部分好きですね)。 もう少しバスドラムが主張しても良かったかなあ。井上氏の指揮振りもリズム刻むというより、音楽の流れを体で表現しながら、 的確に楽員パートへ指示していくというもの。途中、まさにダンスと言っても過言でない程の指揮振りも見せてくれました。 しかし、マリンバも息つく暇のない演奏でまあこのような曲を書いたものだなあと驚き! そして、最終盤、もういろいろなこの曲の演奏を聴いてもわかるのですが、崩壊寸前(崩壊してしまっている)となり、 今日の演奏会も盛り上がりの混沌な雰囲気となり、最後はどうなることか?と思いましたが、ピタッと揃って終演。 一気に日が差してきたかのような感じでした。いやーー、決まった!!というところです。鳥肌が立ちましたわ。

ヴァイオリンと管弦楽のための「協奏風狂詩曲」
颯爽とヴァイオリンの山根一仁氏登場。ヴァイオリニストでは若手有望株の山根氏。中学生で日本音楽コンクール第1位という素晴らしい経歴。 なかなかの技巧を発揮した演奏でした。この曲は伊福部音楽でもかなり西洋ナイズされている音楽と思います。 まあ途中でまさに「ゴジラ」が登場しますがね! 2楽章ではまさにリズムの音楽(自然とこっちも踊りたくなる)。山根氏と井上氏のダンスコラボ!! 山根氏もステージ上を動き、時にはオケの方を向いて演奏するというノリノリ!! ちょっと先走った感もありますが、これも良し!

休憩に入り、ステージ上に二十五絃箏が置かれ、椅子に座っての演奏なんですね。 絃箏というのは正座で演奏するかと・・・。
二十絃箏と管絃楽のための交響的エグログ
二十五弦箏奏者の野坂操壽さんの登場。薄い空色の和服が・・。クラシック演奏会のステージ上に着物の奏者。 なかなか良い光景です。非常に丁寧にお辞儀をされておりました。(コンマスの水谷氏も恐縮気味) この野坂操壽さんこそ、1982年3月のこの曲の初演者!!(当時は野坂惠子さん)指揮はコバケン(小林研一郎氏)。 そして、井上氏との録音CDも野坂操壽さん。この曲に関しては第1人者でしょうね。 この野坂操壽さんは二十絃箏、二十五弦箏を開発されているという驚き。さらに昨年に文化功労者とは・・・。まさに国宝クラスのお方! 曲の方は安定した演奏で二十五弦箏の音色を堪能出来ました。ミューザのホールに弦箏の音色がしみじみ響く。 何とも贅沢なひととき。時折、弦箏の音がオケにかき消されていたのは仕方ないことか。 しかし、笙の音色かと思いきやヴァイオリンだったという伊福部さんの西洋楽器で和楽器の音色を表現には恐れ入りました。 この曲のときにNHKのカメラクルーがおり、NHKにて後日、放送されるとのこと。これは楽しみじゃ!

この演奏会のトリはピアノとオーケストラのためのリトミカ・オスティナータ
ピアニストの山田令子さん。東京音楽大学ピアノ科在学中に伊福部ゼミに参加とのこと。 伊福部のピアノ作品を演奏、録音されているという適任ではないでしょうか。 ピアノはさすがにオケの強音にも負けない存在感。 この曲のピアノはメロディー楽器ではありません。もう打楽器としての活用(ピアノがまさに打楽器として使用されている)。 渾身の力で叩きまくる!! マジで素晴らしい、素晴らし過ぎる演奏でした。 ホールの雰囲気も興奮状態。最終盤のところでは当方の体からこみ上げる、体中の血液が沸騰したかのように。 感動と興奮。もう最高でした。終了同時にブラボーの嵐。そしてステージ上には4名のソリストが揃い。 またまた大拍手の嵐。大・大・大満足の演奏会でした。2時間30分の伊福部音楽に浸ることが出来、幸せでしたな! 是非、CDで販売をお願いしたい。絶対に購入します。


2016.7.2

ハーディング指揮 新日本フィル ソプラノ:エミリー・マギー、ユリアーネ・バンゼ、市原 愛、アルト:加納 悦子、中島 郁子、テノール:サイモン・オニール、バリトン:マイケル・ナギー、バス:シェン・ヤン 栗友会合唱団、東京少年少女合唱隊

曲目

マーラー:交響曲第8番「千人の交響曲」

[感想記]

こちら首都圏に来てから、在京プロオケは1度は絶対に聴くという思いがあり、 地方時代から聴いていた「読響」、「都響」、「N響」はともかく「東フィル」、「東響」、「日フィル」、「東京シティフィル」は聴くことが出来、 メジャー所では、唯一? この「新日本フィル」を未聴であった。 まあ本拠地がすみだトリフォニーホールということでいつでも聴けるだろうと安心していたところもあったが、 さすがにここまで聴く機会を作ってこなかったのは反省である。NJPメンバーには登録済ではあったのだが。

先日、6月12日のル スコアール管弦楽団の時、7月2日にハーディング、新日フィルで「千人の交響曲」を演奏するということで、 急遽 チケットを購入した次第。やっと念願が叶ったということでしょう。

新日フィルのCDを何枚か所有しているが(すべてマラ9ですが)、大変レベルが高い。 マーラー演奏については、国内では「都響」と「新日フィル」が双璧ではと個人的には思っているところがあり、 今回のマーラーは願ったり叶ったりのプログラムであった。

そして、指揮はダニエル・ハーディングである。当方より若い新進指揮者あり、 当方が初めて知ったのはマーラー交響曲10番(クック版)をあのVPOと録音したCDであり、 まあそれだけで応援したくなる指揮者であることは間違い無し。 そのハーディングと新日フィルがミュージックパートナーという関係であったというのも このコンサートで初めて知ったという恥ずかしい限り!(もっと早めに聞いておけば良かった) ハーディングと新日フィルといえば、ドキュメンタリー番組で放送されていたが、 東日本大震災当日のマーラー交響曲5番の歴史的演奏会。 この演奏会が、ミュージックパートナーお披露目公演であったとは・・・・・・。 そして、今日のこのコンサートがミュージックパートナーとしてのトリフォニーホールでの最終公演とのこと。 それだけでも指揮、楽員の気持ちが現れる演奏会になるものと期待!!

第560回定期演奏会。小冊子と次期定期プログラムと今日のコンサートの出演者一覧と舞台配置表。 この舞台配置表はいいですね。分かり易い。他のオケでも是非、やっていただきたい。

さて、マーラー交響曲第8番「千人の交響曲」といえば、当方にとっては2008年のミューザ川崎でのインバル指揮都響の演奏が強烈に残っており、 まさかハーディング、新日フィルのコンビで2回目を生で聴けるとは夢にも思っていなかった。 (調べてみると、この千人の交響曲、最近、日本での演奏機会が増えている気がするのだが・・・・・、 これだけの演奏者を揃えるという日本のクラシック界というのは凄いね)

しかし、このすみだトリフォニーホールですが、ステージ裏席は無く、どのように合唱陣を配置するのか?少年少女合唱団は? 大人の合唱団はステージ後方、少年少女合唱団はオルガン前の通路という感じでした。やはり合唱メンバーが若干少ない感じがした。

合唱団が入場、その後、楽員も入場。コンマスは豊嶋さんでした。そうか・・・。新日フィルのソロ・コンサートマスターだったと。 当方にとっては豊嶋さんは2011年11月の九響でのマラ9以来か・・・・・。 そして、独唱陣、指揮のハーディング氏が入場。

そして、オルガンとともに声楽の大音響が会場内に響き渡り、当方も音に包まれ、すでに感動と放心状態となりました。 指揮のハーディングですが、細部に気を使い、楽員へ的確な指示を出し、かなりしっかりとした振りでした。 第1部はやや早めのテンポ。 第2部では一転、ゆったりとしたテンポで繊細な弱音と強音の対比をさせ、こちらも緊張してしまう程の演奏。 文句無しに良かったのが、独唱陣のレベルの高さ(インバルの時より断然、良かった!!) 途中からステージ前方にバリトンとバスが登場し、歌っていましたが、 特にバリトン(法悦の教父)のミヒャエル・ナジ氏、今までCDなどで様々なマラ8を聴きまいたが理想を超える理想的な声質でもう最高でした。 テノール(マリア崇敬の博士)のサイモン・オニール氏もハリのある声で良かったです。 正直、演奏時間が短く感じられ、「この空間が続いてくれ!」と。マーラーの宇宙観に浸ることが出来ました。 完璧かと言われれば、まあ一部の音の混濁がみられたが・・・この曲の真意が伝わった、体感出来た演奏であったと思います。 2部の演奏時間は58−59分でした(1部は時計を見るのを忘れておりました)。 曲の終わった後の静寂の後、大・大拍手とブラボーの嵐!!当方も我に返りに拍手!! (確かにこの曲とこの演奏では放心状態と興奮状態で演奏直後、即、拍手は無理) その後、ステージ上に独唱陣と合唱指導の方が登場しましたが、ソリストの方々も満足そうでした。 (余談ですが、ソプラノの市原さん 顔ちっちゃい!!)3度ステージ上で登場し、その後、解散となりましたが、 最後に合唱団の退場でも拍手が続いたのは良かったです。

あーあー、ハーディング@新日フィルのコンビでもっと聴きたかった。 ハーディングは次、パリ管弦楽団の音楽監督になるとのこと。1流指揮者への道を進んでいますなあ!!


2016.6.12

田部井剛指揮 ル スコアール管弦楽団 オンドマルトノ:原田節、ピアノ:安田正昭

曲目

メシアン:「トゥーランガリラ交響曲」

[感想記]

このようなコンサートもあるんですねえ。生演奏の「トゥーランガリラ交響曲」に完全に心を持って行かれました。

<曲の好き嫌い>というものは普通、CDなりラジオ、TVで聴いた段階で「この曲いい!好きだなあ・・・」とか「これは自分に合わないなあ」とか思うもので、 実際に生演奏を聴いても「良いものは良い、好きなものは好き!」「ダメなものはダメ!」というものですが、 この「トゥーランガリラ交響曲」、今までラジオなりTVで全曲演奏を聴いたことがありますが(この演奏会のために何度も聴きました)、 イマイチ、自分には合っていないかもなあと思っておりました。

今回の演奏会は一度、電子楽器である“オンド・マルトノ”を生で聴いてみたいというその興味でトリフォニーホールへ来てしまいました。 そして演奏者は大河ドラマ「独眼流政宗」のオープニングテーマ演奏者でもある原田節氏!!

なので、曲目は正直、何でも良かった?わけで、まあどうせオンドマルトノを聴くならメシアンの「トゥーランガリラ交響曲」でしょうということで。 「トゥーランガリラ交響曲」の真髄に触れたかどうかはわかりませんが、この曲の「虜」になってしまったのは間違い無し! それほど、素晴らしい演奏だったということです。

ル スコアール管弦楽団第40回定期演奏会です。ル スコアール管弦楽団は当方にとって2度目。1度目はもう10年前になるんですねえ。 その時はマーラー9番を聴きました(第21回定期演奏会です)。その後、このオケはマーラー10番(クック版)を演奏したりと選曲がたまりませんね。 そして、今回は「トゥーランガリラ交響曲」!! おいおいアマオケがこの曲をやるの???という感じ。 オンドマルトノのソリストもこの曲の演奏では世界的に有名な原田節氏を呼ぶとは・・・。もう凄いですよ。恥ずかしい演奏なんてできませんよね。

演奏前に指揮者の田部井氏、ピアノの安田正昭氏、オンドマルトノの原田節氏の3人のトークがありました。いいですねえ。このプレトーク!! そして、安田氏、原田氏、ともにメシアンと親交があったとのこと(まあ原田氏はそうだろうなあと思っていましたが)。 この「トゥーランガリラ交響曲」にとって忘れてはならないのは作曲家の「メシアン」は当然として、メシアンの妻でピアニストの「イヴォンヌ・ロリオ」、 そして、イヴォンヌの妹でオンドマルトノ奏者の「ジャンヌ・ロリオ」、この3人は欠かせません。 今回の演奏会のピアノの安田氏は「イヴォンヌ・ロリオ」に師事、オンドマルトノの原田氏は「ジャンヌ・ロリオ」に師事とこれ以上無いソリストの方々です。 それだけでもこの曲に対する思い入れは凄いものがあるだろうなあ。

トークを聴いただけで、<何か特別な演奏会に来た気が・・・> 演奏の方ですが、第1楽章の冒頭の音圧の迫力にやられました・・・。低音の凄さ! そして、なかなかCDでは聞こえにくいのですが、 ピアノがこれでもか・・の高音鍵盤の連打! もうこの曲の世界に完全に浸ってしまいました。 オケの演奏もミスというミスは無かったのではないでしょうか。これはこれで凄すぎる!! ソリストも渾身の演奏でした。 オンドマルトノの音色も十二分に堪能いたしました。 演奏時間は85分くらいだったと思いますが、「トゥーランガリラ交響曲」の曲の迫力と響きに大感動してしまいました。 演奏後の大拍手!! ソリストの方々も満足そうでした。 当分は「トゥーランガリラ交響曲」にはまりそうです!!

アンコールに「独眼流政宗」のオープニングテーマをやってくれるのではと淡い期待もありましたが、全く必要ないくらいの超名演だったですね。 変な期待を持った自分に反省!!


2016.5.29

角田鋼亮指揮 プロースト交響楽団

曲目

J.S.バッハ(ラフ編曲):シャコンヌ (無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番より)

伊福部昭:交響譚詩

ブルックナー:交響曲第4番<1874年第1稿(ノヴァーク版)>

[感想記]

当初はこの日は九州へ帰省している予定が大韓航空機の羽田空港の離陸時の炎上火災によって、 帰省出来なくなり、まあ暇だったということで、急遽、このプロースト交響楽団の演奏会へ川崎までやってきました。

ミューザ川崎シンフォニーホール、あのハイティンクの演奏会以来ですか・・・・・。 このプロースト交響楽団の定期演奏会は全席指定ということで、当日券を購入しましたが、当日券も残り少ないという人気アマオケでしょうか? (当方の推測として、ミューザ川崎で全席指定ということだけでも、お客さんが呼べるレベルの高いアマオケではなかろうか・・・と) このプロースト交響楽団は首都圏の大学オケのメンバーが中心となって設立とのこと。今回で第23回定期演奏会であり、定期演奏会は年2回となっているようです。

確かに会場はほぼ満席でした。ステージ後方席に少し空きがありましたが、これは指定席となるのも当然でしょうか? オケの楽員も入場してきましたが、若い楽員も多いように感じられました。指揮は角田鋼亮氏、申し訳ありませんが、当方は存じげませんでしたが、 現在、大阪フィルの指揮者ということでこれからの若手有力指揮者ではないでしょうか? あの当方の大好きな「のだめカンタービレ」にも関わった方のようですよ!

最初の曲はバッハのシャコンヌ(オーケストラバージョン)で当方は初めて聴くことになります(当然、無伴奏ヴァイオリンでは何度も耳にしております)。 確かにオケのレベルは高そうです。アマオケの鬼門であるビオラが安定しております。 演奏も素晴らしいものでしたが、シャコンヌはやっぱりヴァイオリン・ソロで聴きたいなあと。音の緊張感があります。 オケでは音は豊かになるもののやや緩く感じてしました。

さて、次は伊福部昭作曲の交響譚詩(先週、中央区交響楽団のシンフォニア・タプカーラを聴いて感動したばかりですか・・・)。 まあこの曲でこのオケの真の実力が測れるのでは・・・と。 いやーーーー参りました。第1譚詩での完璧はともかく、第2譚詩は本当に素晴らしいものでした(ここで感動するとは夢にも思いませんでした)。 第1譚詩は正直、勢いで何とか様になる演奏が出来ると思いましたが、第2譚詩は心に染みました・・・・。このような演奏が出来るアマオケがあったとは。

これは後半のブルックナー4番も大変期待できると!! いやーーー予想通りの素晴らしい演奏でした。特に冒頭のホルン!! 当方の琴線に直撃でした。マジで鳥肌が立ちました!! 当然、弦の弱音刻みも上手すぎでしょう。このオケ・・・・何でしょう! このレベルの高さ!! 驚愕しました!! ブル4の第1稿ということで当方はインバル盤しか聴いたことがありませんが、演奏としては完璧でした。 弦楽器、金管、木管、打楽器・・・・、非の打ち所無いという感想です。 唯一、難を言えば、「何故、ブル4の第1稿なんだよ!!」 通常版だったら、失神ものだったかもしれません。 本当に凄いアマオケでした。プルースト交響楽団!! 恐るべしですよ。このオケ。 この上手さ故にブル4の第1稿のアラが分かったのかもしれませんね。 アンコールでは弦楽器による<G線上のアリア>を演奏し、お開きとなりました。 ここまでレベルが高いと指揮者を指揮してて楽しいだろうなああーーー。 次回の演奏会は11月で指揮はあの新田ユリさんです。楽しみですな。


2016.5.22

野津如弘指揮 中央区交響楽団 チェロ 辻本 玲

曲目

サン=サーンス:アルジェリア組曲

エルガー:チェロ協奏曲

伊福部昭:シンフォニア・タプカーラ

[感想記]

中央区交響楽団第22回定期演奏会へ行ってきました。東京都中央区を中心としたアマオケです。 東京都中央区と言いましてもなかなかどの地域なのか。九州人の当方には見当がつきませんが・・・・。日本橋・八重洲・築地・月島・晴海・銀座辺りのようです。 東京の中心からやや海側といったところで、今回の演奏会場の第一生命ホールの場所は中央区の晴海、月島というところです。

第一生命ホールですが、晴海トリトンスクエア内にあります。当方は地下鉄有楽町線月島駅から歩いて行きました(一度、訪れたいと思っていたホールです。 この前の杉並公会堂もそうでしたが)。 月島のあたりも高層マンションが多くありますねえ。徒歩10分くらいでしょうか。到着しました。この晴海トリトンスクエアは立派なオフィスビルでして、 住友商事などが本社を置いているようです。そして、第一生命ホールは2001年(平成13年)11月開場。もっと新しいかと思いました。 全767席。中型ホールでなかなか良いホールで音響も良かったです。ステージと客席が近く音圧を感じることも出来ました。

大変申し訳ないのですが、中規模ホールでのコンサートということでお客さんも少なく、オケのレベルは・・・・。と少し不安を感じながらでしたが、 最初の曲のサン=サーンスのアルジェリア組曲で不安は払拭されました。アマオケでも間違いなく高レベルだと思います。 このアルジェリア組曲は聞いたことはありませんでしたが、サン=サーンスらしい耳にすーっと入ってくる音楽です。 オープニング曲にはよいかもしれません。

そして、次はエルガーのチェロ協奏曲。当方にとってはこの曲の基準はデュ・プレになってしまいます(ドボコンとのカップリングCD)。 今回のソリストは辻本玲氏。名前だけでは男性?女性?と失礼なことを思ってしまいましたが、男性の方で日本フィル・ソロチェリストで 受賞歴を見ても、実力は問題無しでしょう。演奏の方ですが、技量は文句無し。低音バリバリ系ではありませんが、 実に表現豊かな演奏で冒頭からチェロの音色に魅了されてしまいました。 当方にとって、今まで多くのコンサートに行っておりますが、チェロコンは初めてでして・・・。チェロのソロがここまで心に響くとは思ってもいませんでした。 本当にいい音色ですねえ。オケの方も完璧なサポートで素晴らしい演奏でした。文句無しでエルガーのチェロコンを堪能出来ました!! ドボコンの陰に隠れ?当方的にはエルガーの方はそこそこのイメージだったのですが、良い曲だなあと認識させられました。

アンコールではカタルーニャ民謡「鳥の歌」(カザルスですな)を演奏してくれましたが、これも良かった!!

さて後半は今回の演奏会のお目当ての伊福部昭のシンフォニア・タプカーラ。しかし、エルガーのチェロコンで満足気味だったのは内緒です・・・。 まあ難曲ではありますが、このオケなら大丈夫だろうと思いましたが、もう1楽章から気合の音圧、爆音演奏にはビックリしましたが、 本当に最高でした!!上手い、上手い!!1楽章後、思わず拍手が出ておりました。2楽章でも安定の演奏。そして、お待ちかねの3楽章! ここも気合の演奏で打ちのめされました。最後もテンポを落とさず、崩壊を恐れず、突き進んだ演奏に大感動!!もう興奮で放心状態でした。 このような演奏を聴くと、「音楽最高!伊福部最高!・・・」と思いますね。このオケ、レベルが高かったですねえ。 弦楽器、木管(特にフルート、ファゴット)、金管(ホルンは非の付け所無い演奏でした)、打楽器も総じて良かった。 あえて難を言えば、トランペットは頑張って欲しいですな(難曲ではありますが)。

あーあー、また注目のアマオケが増えてしまいました。中央区交響楽団!!


2016.4.10

新田ユリ指揮 アイノラ交響楽団

曲目

シベリウス:春の歌(1894年初稿)

シベリウス:交響曲第5番(1915年初稿)

シベリウス:吟遊詩人

シベリウス:交響曲第5番(1919年最終稿)

[感想記]

久しぶりにシベリウス専門アマオケであるアイノラ交響楽団の第13回定期演奏会へ行って参りました。 アイノラ響は2006年の第3回定期公演でシベ6、2007年の<指揮者がみたフィンランドII>でクレルヴォ交響曲を聴き、 オケのレベルの高さ、そして、新田ユリさん指揮の元、シベリウスの音楽を体現しており、本当に再び聴けることを楽しみにしておりました。

一昨年、再び千葉へ戻り、やっと9年ぶりにアイノラ響の音楽を聴くことが出来ました。新田さんは昨年のオーケストラ ハモンでも相変わらず素晴らしいシベリウスを 聴かせて頂きました。当然、このアイノラ響は手兵ですので安心して聴けることでしょう。 そして、この第13回定期演奏会のメイン曲目が交響曲第5番の初稿版と最終稿版をともに演奏してくれるというシベ5ファンとしては、 涙ものの選曲!アイノラ響に感謝!!

アイノラ響といえば、蒲田のアプリコホールを本拠地と思いきや2008年から杉並公会堂で定期演奏会を行っていたんですねえ・・・。 「杉並公会堂」クラシック演奏会の会場として名前は聞いていましたので、いつかは行きたいホールでした。2006年にオープンしたとのこと。 大ホールの座席数1190人、シューボックス型のホールでいいですよねえ。シューボックス型!! シューボックス型というだけで音響は大丈夫だなと思ってしまいます(単純ですが)。 場所はJR荻窪駅から徒歩5分?程度。生まれて初めて荻窪へ行きましたわ。住みやすそうな街ですなあ。当方、山口県在住の時、東京出張の定宿が 荻窪の隣の駅の阿佐ヶ谷にありまして・・・。阿佐ヶ谷は何度も行ったことがあるのですがねえ。 開場とともにホールに入り、やはり良いホールです。これから何度も来たくなるホールです。 観客も続々とほぼ8−9割の入りではないでしょうか。

最初の曲、春の歌(初稿)です。季節柄良い選曲ですなあ。とはいえ、当方、この曲「春の歌」、初稿はもちろんのこと最終稿もあまり存じ上げていないという・・・。 演奏としては良かったと思いますが、うーーむ、苦言を呈せばビオラパートの不安定さが・・・。 この不安定がシベ5で影響を及ぼさなければ良いがと思っておりました。 そして、前半のメインとして、5番の初稿版。まさか生演奏でシベ5の初稿を聴けるとは・・・。凄い!クレルヴォ交響曲の時もそう思ったのですがね。 シベ5の初稿(オリジナル版)と言えばオスモ・ヴァンスカ指揮ラハティ響のCD録音。 もう当方の愛聴盤でございます。しかし、あまり初稿(オリジナル版)をじっくり聴いていないというのも事実です・・・。 しかし、感想については、「シベリウスの森」の5番のサイトを見ていただければ、初稿と最終稿の違いのイメージは持って頂けると思います。 この初稿版の演奏については、シベリウスのご遺族の許可が必要とのこと。なんと日本で3回目となる演奏とのこと。 指揮の新田さんがご尽力されたことは想像に難くないですね。 演奏の方は文句無し。懸念のビオラパートも問題無し。やはり気合の入れ方が違って、かなり練習をされたのでしょう。 4楽章の冒頭(最終稿では3楽章)の弦のトレモロは完璧。これを聴かないと5番を聴いた気にならない。 最終稿と違って、オリジナル版の角のとれた印象。これはこれで十分な完成度と思いますね。優劣は付けられないと思います。 演奏後、大拍手の後、休憩となりました。

後半は吟遊詩人です。これも全く知らない曲。作品番号64です。あまりピンとこないと思いますが、あの第4交響曲が作品番号63ですよ!! 4番のすぐあとの曲です。しかし、暗さは感じませんが、イマイチ印象も残らない曲でした。ここでもビオラパートが活躍するのですが、やはり不安定さが・・。 やはり交響曲の練習優先だったのでしょうか? そして、お馴染みの5番の最終版。もう安心して音楽に浸ることが出来ました。弱音部での響きの素晴らしさ(まさにシベリウス)。 テンポのゆらぎ、強弱の表現。新田さんのタクトのままに演奏しており、いやーーー、感心、感動!!後半、うるうるきました。 シベリウスの音楽に包まれ、最高です!!演奏時間ですが、1楽章:14分、2楽章:8分、3楽章:10分でした。

アンコールは2曲、最初の曲目は春の歌(最終稿)という何とも粋な選曲、2曲目はアイノラ響の定番アンコール曲です。この曲を聴かなければ帰れません。 アンダンテ・フェスティーヴォです。やはり演奏慣れなのか上手いとしか言い様がありません。

ということでシベ5を初稿、最終稿と同時に聴くことが出来、大・大・大満足でした。お腹いっぱい!!


2016.3.12

児玉章裕指揮 横浜シティ・シンフォニエッタ ピアノ:寺田まり

曲目

C.P.Eバッハ:交響曲ニ長調

モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番

ブルックナー:交響曲第3番(ノヴァーク版3稿)

[感想記]

まさかアマオケでブルックナー3番を演奏してくれるとは・・・・・。マーラー交響曲全制覇(大地の歌除く)の当方でもブルックナーの全制覇はいつになるやら? しかし、これで3番、4番、5番、7番、8番、9番といい感じに制覇しつつありますが、0番、00番となると不可能なレベルか・・・・(泣)。

ということで横浜シティ・シンフォニエッタ演奏会に行って参りました。第29回定期演奏会とのこと。そして会場は神奈川県立音楽堂!
JR桜木町駅から少し歩きます。桜木町では翌日の「横浜マラソン」ランナーの姿もちらほら・・・。紅葉坂を登る途中にあります(初めて通りました・・・)。 開場時間に合わせて行ったのですが、すでに長蛇の列。しかしもかなり御高齢の方ばかりで本当に演奏会の列なのか? 何か落語?講演会?と思いましたが、横浜シティ・シンフォニエッタ演奏会の列でした。無料というのが良いのか? そして、神奈川県立音楽堂へ入場。外見からして、年季が入っているが、中に入っても歴史を感じさせます。 昔はこのようなホールばかりでしたなあ。このようなホールは是非、残して頂きたい!!(ただし、トイレが少なすぎるのは問題。NHKホール同様です)

この神奈川県立音楽堂は、1954年開館とのことでロンドンのロイヤルフェスティバルホールをモデルで開館当時『東洋一の響き』と言われたとのこと。 座席数は1000ちょっと。あと座席が狭いのはいただけません。膝が前の座席に当ってしまいます。 客席はほぼ満席(実際は85%くらいとは思うが)

指揮は児玉章裕氏、どこかで見たことがあると思ったら、みなとみらい21響の時の指揮をされていた。 前半はC.P.Eバッハの交響曲ニ長調とモーツァルトのピアノ協奏曲第24番。 チューニングの時から何となく不安を持ったが、バッハの冒頭から不安定な音色・・・・。しかし、徐々に良くなってきた。 モーツァルトのピアノ協奏曲第24番は正直、良かったです。かなりのレベルだったと思います。 ピアノの寺田さんには大きな拍手でアンコールを演奏してくれました。曲はショパンのワルツ嬰ハ短調。

後半はおまちかねのブル3(当方のお気に入り曲)! 出来れば第3稿よりも第1稿で演奏頂ければ文句無しだったのですが・・・・。 演奏の方はビオラと金管が不安定でしたが、ブルックナーの雰囲気は感じ取れました!! 特にブルックナー休止(前回、コンセール21管弦楽団のロマンティックではさらりと演奏されましたが)をしっかりと取り、 この休符も重要なブルックナーの音楽というところを主張していたのはOKでした!! 強音ではかなり良い響きだったのですが、弱音部では弦楽器、金管の不安定さが目立ったのは残念でした。 テンポも遅すぎず早すぎず、聴き慣れたテンポも好感が持てました。 最後も決め、ブラボーとともに終曲。 アンコールはバッハ(ストコフスキー編曲)前奏曲ロ短調(平均律クラヴィーア曲集より)を演奏。この弦楽器は完璧でした。 うーーむ、この精度がブル3でも発揮されれば・・・・。 今後の活躍に期待しましょう。


2016.2.21

藤崎凡指揮 コンセール21管弦楽団

曲目

ウェーバー:歌劇「オベロン」序曲

ワーグナー:ジークフリート牧歌

ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」

[感想記]

1年以上ぶりに蒲田のアプリコホールへやってきました。京急蒲田駅前が綺麗になっておりましたなあ。 今回のアマオケは「コンセール21管弦楽団」です。1991年設立で今回で第49回定期公演とのこと。

観客はやや少なめの半分くらいでした。1曲目はウェーバーの歌劇「オベロン」序曲。 演奏会では定番のオープニングナンバーでしょう。当方としても今日で4回目です。 かなり無難な演奏というより安全運転の演奏でした。

ワーグナーのジークフリート牧歌、何とも穏やかな曲です。この曲にまつわるエピソードはご存知のことと思います。 とても良い演奏でしたねえ。この曲、20分近くあるとは改めて認識しましたわ。

本日のメインでブルックナー「ロマンティック」!当方、ブルックナーでは、5番、7番、8番、9番と演奏を聴いており、 何としてもこの4番「ロマンティック」を聴く機会はないかと思っており、やっと本日、聴くことが出来ました。 (正直、1番、3番の方が聴きたいのですが・・・・)

ブルックナー開始・・・・、いいですねえ。しかし、それに続く、ホルンが・・・・残念でした。その後の金管の調子はイマイチでした。 ヴァイオリン、ビオラも時折、不安定な音程でして・・・、やはりアマオケにはブルックナーは容易ではないように思われますが、 ブルックナー休止もさらっと流れ、ここは不満な点となりました。 そして、1番感じたのは、全体的にテンポが遅めで音の表情が乏しく、強弱、音の緩急が見られず、指揮も両手でテンポを刻むのみで音の表情付けの 指示(ジェスチャー)があまり見られなかったのは、残念でした。 オケもそこまでの余裕が無かったのかもしれません。 終楽章も冒頭はアップテンポだったりと当方の理想と異なる解釈もありました。しかし、強音ではかなり主張した音量で良かったと思います。

演奏時間は1楽章:19分、2楽章:15分、3楽章:13分、4楽章:22分でした。その後、アンコール無く解散となりました。 やはりブルックナーは難しいですなあ。
このコンセール21管弦楽団ですが、次回は50回の節目の定期公演でショスタコーヴィチ5番のようです・・・・。 先月聴いた習志野フィルも次回はショスタコーヴィチ5番でしたなあ。今年はショスタコのはやり年でしょうか???


2016.1.17

上野正博指揮 習志野フィル

曲目

サン=サーンス:歌劇「サムソンとデリラ」よりバッカナール

ラヴェル:マ・メール・ロワ

サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付」

[感想記]

さて2016年最初の聴き初め。行ってまいりました。習志野文化ホールへ。オケは習志野フィルです。何度か聴くチャンスがあったと思うのですが、 やっと聴くことが出来ました。千葉のアマオケは千葉フィルしかりで応援していきたいものです。 この習志野フィル、第88回定期演奏会ということで歴史あるアマオケですね。昭和44年発足ということで、当方の人生よりは短いですが、 かなりの歴史があるアマオケです。素晴らしいですね。 メインの曲目はサン=サーンスの「オルガン付」です。年始から「オルガン付」が聴けるとは嬉しい限り・・・・・・。というより、 習志野文化ホール オルガンあったっけ???というくらいいい加減な当方です(何回、習志野文化ホールに来とんねん・・・という感じ)。 「オルガン付」といえば、2010年11月の北九州ソレイユホールの九響以来です。その時は号泣してしまって・・・・。

ホールに入ると確かにありましたパイプオルガン!! ステージ右手に・・・・。通常のものよりはやや小ぶりのオルガンではありますが。 年始の寒い中、多くの観客が来ておりました。7〜8割程度埋まっていたと思います。 最初の曲はサン=サーンスの歌劇「サムソンとデリラ」よりバッカナール。この曲はオケというより吹奏楽で有名かもしれませんね。 当方もオケでは初めて聴くかもしれません。いやーー、冒頭のオーボエは良かった。上手かったです。完璧でしょう。 最後の1分はご存知のように(?)大盛り上がりでの演奏でした。
次の曲はラヴェル:マ・メール・ロワで何とも美しく幻想的な曲で、なかなかアマオケでは難しいと思いますが、上手く表現されていたと思います。 やや弦楽器の出来がイマイチな箇所もありましたが・・・・。

お待ちかねの「オルガン付」。オルガンは溝口秀実氏です。これまた・・・・ある意味難曲ではと思います。勢いだけではダメな曲なので、考え方によってはマーラーの交響曲よりも アラが目立ってしまうかもしれません。冒頭の澄んだ弦楽器の音色ですが、やや混濁した音色となり、やっぱり難しいなあと思いながら聴いておりました。 最初は木管もやや調子に乗れずという感じでした。
しかし、しかし、1楽章の第2部、もう弦楽器の音色が一変しました。何でしょう!この豊かな柔らかい響き、そしてオルガンの音色と相まって、 もう当方は打ちのめされてしまいました。涙腺が・・・・。これを聴けただけも大満足です。
2楽章、良い演奏だったと思います。第2部のオルガンの大音量に観客の何人かが驚いてビックリしていたのは笑いましたが・・・・。 やはりオルガンの音に体全体が包まれている感触は何度体験しても良いものです!!そして、終曲前も当然?のようにテンポが上げ、 これも上手く演奏しているものだと感心しました。そして、終りとともに大拍手!!満足なオルガン付でした。

そしてアンコールは何かなあ?(オルガン奏者もいることだし、オルガン曲のオーケストラ編曲版?)と思っていると、 なんとマスカーニの歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より「間奏曲」、そしてオルガン演奏付きという豪華なもの。 この演奏も素晴らしいものでした。オルガンが主張過ぎた感も無きにしも非ず(笑)でしたが、これもなかなか聴けない経験をさせてもらいました。 2016年最初の演奏会、フランスものでしたが、良い演奏会でした。習志野フィル応援していきたいと思います。 次回は7月にショスタコーヴィチの5番を演奏することのこと。こちらの方がこのオケにはあっているかもしれませんが、 3楽章は弦楽器にひと頑張りして欲しいですね。期待してます。


2015年

2015.12.26

新田ユリ指揮 オーケストラ ハモン

曲目

シベリウス:交響曲第1番

シベリウス:交響曲第7番

シベリウス:交響詩<タピオラ>

[感想記]

今夏、マラ7で素晴らしい演奏を聴かせてくれた「オーケストラ ハモン」第34回定期演奏会へすみだトリフォニーホールへ行ってきました。 今回は招待ハガキが送られてきましたので、ありがたく無料で聴くことが出来ました。座席も良いところを頂きました。

そして、演奏曲目がオールシベリウス。そうです今年(残りわずかとなりましたが)はシベリウス生誕150年のメモリアルイヤーということで、 演奏曲目に選ばれたのではと思います。当方にとっても今年最後の演奏会にシベリウスが聴けるということは幸せの限りです。 曲目はシベリウス交響曲第1番、第7番、交響詩<タピオラ>という最初の交響曲、最後の交響曲、最後の管弦楽曲というプログラムです。

会場の入りは7割程度でしょうか。もう少しチケット代が安ければもっと多くの方に聴いて頂けるのではと思います。まあチケット代分の演奏は聴かせてくれますが・・。

まずは交響曲第1番、颯爽とと指揮の新田さんが登場。冒頭はティンパニーをバックにクラリネット・ソロ!いやーー、このソロ、マジで良かったです。 感動しました。正直、1番はほぼ完璧な演奏だったかと思います。実に1音1音が丁寧で心がこもった音でした。 中間楽章(2楽章、3楽章)はややゆったりめのテンポ設定ではありましたが、1楽章、4楽章は 文句のつけようがありませんでした。音色的には北欧の寒々しい感じでは無く、ドイツオケの演奏のような重厚感のあるものでした。 まあ1番では、これはこれで良いと思います。

休憩後、編成がこじんまりとなります。第7番、冒頭のティンパニーの控えめな弱音がシベリウスの世界へ。ほんのり暖色系の7番を聴かせてくれました。 この7番も総じて良かったのですが、一部、音が混濁した箇所や全般的に低弦の主張が弱かった気がします。もっとゴリゴリ、低音を響かせても良かったのでは。

交響詩<タピオラ>ですが、この演奏は秀逸でした。もうこれまでの2曲と代わって、もう北欧の雰囲気ですよ。もう堪能しました。 やはり「オーケストラ ハモン」レベルが高すぎる。弦楽器(通常のアマオケの弱点であるビオラも良し)の素晴らしさのみならず、 ティンパニーの弱音(弱いながらもきちんと主張)。そして、ホルンも良かったです(ここも弱音の音が綺麗でした)。 強音バリバリの楽曲もいいのですが、このような静かな曲を高レベルで演奏出来るオケこそ素晴らしいオケなのではと思います。

今年の演奏会はこれで終了!!今年も名演に触れることが出来ました。今年の9回の演奏会でしたが、ハズレは無かったなあ。珍しい!! 来年も名演、感動を与えてくれるでしょう。今年も人目を憚らず本当に泣きまくったなあ・・・・・。


2015.9.30

ハイティンク指揮 ロンドン響 ピアノ:マレイ・ペライア

曲目

モーツァルト:ピアノ協奏曲24番

ブルックナー:交響曲第7番

[感想記]

ここ10年ほど、ハイティンクの演奏会に何とかして行けないものか・・・と考えていた。 30年来、尊敬、敬愛してやまないザ・マエストロ ベルナルト・ハイティンク!! 当方、クラシック音楽ファンとして、好きな指揮者ハイティンクの生演奏を聴かずしてハイティンク好きを公言するのは如何なものか・・と。 当方のこのサイトのプロフィールを見て頂くと6名の好きな指揮者を記載しているのだが、 日本人のお二人はこれからの日本人指揮者として是非とも大成して欲しい応援の意味合いが強いのだが、外国指揮者の4名は本当に尊敬、敬愛している。 しかし、マゼール、パーヴォ・ベルグルンドには生演奏に接する機会を逃し、ガリー・ベルティーニ、特にみなとみらいホールでのマラ9演奏は、 本当に記憶の宝物として残っている。そして、外国指揮者で唯一、ご存命であり、幅広いレパートリーで当方を魅了してやまない ベルナルト・ハイティンク!!

ハイティンク、御年86歳。2009年シカゴ響、2013年ロンドン響との来日公演。今回がもしかして最後の来日かもしれないと若干、不謹慎なことも思いながら、 スケジュールを見ても都合も付かず、このままハイティンクの生演奏をこの目に焼き付けることが出来ないのであろうかと思っていた。 すると、NHKを見ているとNHK音楽祭にハイティンクがロンドン響を引き連れ来日するとのこと!! すぐに来日スケジュールをチェックしたが、土日に関東地区での演奏会が無い! 半分諦めていた。 しかし、平日の仕事予定のスケジュールが予想されるようになって(8月後半になってからであるが)、9月30日のミューザ川崎なら、何とかなるかも・・・ならないかも・・。 えーーい、仕事急用が入り、またはハイティンクの体調不良などでチケットが無駄になったとしても、チケットを購入しておこうということで、 遅くなったのですが、「オーケストラ ハモン演奏会」の時にチケットを購入した。それからは9月30日が待ち遠しくて!

そして、無事来日され、9月28日のサントリーホールでの演奏会も終了し、本当にあこがれの指揮者 ハイティンクに会えるのだと思うと、 興奮してしまって、演奏会前日はあまり寝れませんでした!

この演奏会、オケはロンドン響、ピアノソリストにマレイ・ペライア。やはりハイティンクともなると協演するソリストやオケのレベルも半端無い!! 特にピアノのマレイ・ペライアといえば、ハイティンク、コンセルトヘボウとのベートーヴェンのピアノ協奏曲の録音でしょう。 当方の愛聴盤であり、この演奏で当方が3番に魅了されるきっかけとなったCDでもあります。そして、オケはロンドン響!! まあイギリス系オケはこのロンドン響をはじめ、ロンドンフィル、フィルハーモニア管、ロイヤルフィル、BBC響、バーミンガム市響など数々あれど、 ロンドン響が最も技量、表現力などイギリス系でトップであると考えています。しかし、当方の好きなイギリス系オケはフィルハーモニア管ですけどね!

当日は東京ビッグサイトにてセミナーがあり、終了次第、川崎へ向かいました。開場10分前に到着! その日はミューザのサイトを何遍も見に行き、ハイティンク氏の体調不良などで公演中止になっていないか気になっていました(笑)。 ホール前には待っている人は十数人程。少ない。まあ平日の演奏会はこのようなものでしょうか。 ストリートオルガンの演奏とともには、ホール開場されました。ここでやっと本当にここでハイティンクに会えるんだという実感が湧いてきました。 すぐにはホール内へ入れず、2階へ上がると公演パンフレットが販売されていたので、いつもながら購入! その隣では、ハイティンク、ペライア関連のCDが販売されていました。今でもベートーヴェン交響曲といえば、当方のスタンダード演奏の 1988年レコード・アカデミー賞受賞のCDも販売され、他にもマーラー、ブルックナー交響曲のCD、当然、ペライアとのベートーヴェンのピアコンも・・・! さらにシャンペンも販売されていました1杯1500円でしたね。

やっとホール内へ入るとピアノ調律をされていました。モーツァルトの曲のため、予めの演奏者の椅子も少なめです。 指揮台にも椅子がハイティンクは座って指揮をするのでしょうか? 開演15分前でも座席が埋まっていなエリアがあり、今日は満席ではないなあと。3階席の奥は空いていましたね。 そして、楽員の入場、ピアノの音でチューニング。てっきりコンマスの方かと思ったら、トップサイド(コンマスの隣の奏者)であり、 あとからコンマスが入場(音合わせはいらんのかい?)。 そして、ついについに、その瞬間が!!  ペライアに続き、ハイティンク氏の登場。背が高く、体格も良く、86歳には見えません。

モーツァルトのピアノ協奏曲第24番 モーツァルト嫌いの当方がこの演奏会のためにこの曲は予習しました(笑)。 しかし、この曲はハ短調ということもあるのか、飽きずに聴けました・・というよりベートーヴェンのピアコン3番に雰囲気が似ていると思いきやこの3番も ハ短調でしたなあ。モーツァルトのこの24番の影響があるとか・・・やっぱりか!

オケは対抗配置でした。 冒頭からゆったりとしたテンポで着実に丁寧に進みます。おおーーー、これがハイティンクとロンドン響サウンドでしょうか。 やはり響きの意味合いに説得力があります。数分経ってペライアのピアノが始まる。 これまた聴き慣れたペライアのピアノの音 軽やかでありながら、音1つ1つに気品が備わっている。 「協奏曲はハイティンクを聴け!」 これは自分の格言?でもあるのですが、オケの音がピアノの音を暖かく包み込む・・・。 オケの音が実に繊細に丁寧。なんとも至福の時でしょうか・・・。 ハイティンク氏は立ち続け指揮をされていました。椅子必要無し!演奏後、ペライア氏と握手を交わす。 大きな拍手は鳴り止まずペライア氏は5回くらいステージに出てこられたと思います。 やっぱりのペライアの響きいいですねえ。 その後、20分の休憩となりました。

ステージではブルックナー交響曲第7番に向け、椅子が運び込まれ、準備が進みます。 ピアノの搬出ですが、一旦、ステージが自動でフラットになり、搬出されました・・・。 休憩が終わり、楽員の入場、またトップサイドに合わせチューニング。 その後、コンマス、ハイティンク氏が入場。ついに今日のメインプログラム ブル7です。 高弦のトレモロに続く、チェロの響きに打ちのめされました! 何とも柔らかく、自然に溶け込む音(なんでしょうかねえ)。 チェロ、コントラバスの音の存在感には参りました。ブルックナーでの低弦の重要性を認識させられました。(これもハイティンクの細部の解釈の賜物か・・)。 そして音の強弱の移行がこれまた自然過ぎる!正直、この技量、感動すらおぼえました。 時折、出てくるヴァイオリンのハッとさせられる透明感半端無い音色! 当方の体をスっと通過するようです。 木管では、フルートの音色!!これは当方の理想とする音色でした。透き通っていながら、存在を主張していました。(これだよ、これ!って頷いてしました) そして、1楽章の最後のは充実の音量が出ておりました。1楽章は約22分でした。ハイティンク氏、楽章間には椅子座っておりました。

楽章間、チューバ奏者が1楽章ではステージ後方右のトロンボーン奏者の隣にいたのですが、ステージ左のワーグナーチューバの隣へ移動。 正直、この2楽章は何とも表現しようがありませんが、秀逸の演奏でした。マジで! ただ純粋に音楽に浸っていられた気がします(なかなかこのようには行きません)。夢か現実か? 音が実に丁寧に紡がれて行きます。1音、1音に意味がある! 納得せざるを得ない演奏とは、このようなことを指すのか!! 後半、ワーグナーチューバが出てくる箇所以降は正直、当方の意識も・・・・。放心状態に陥っていたと思います。 フルートの音色とともに昇天していた感じです。(大音量で放心状態というのはあることはあるのですが、このように弱音系で放心状態になったのは初めてです) 2楽章終了しても我に返るのに時間がかかりました!! 2楽章の演奏時間は約22分。

3楽章ではチューバ奏者は元のトロンボーン奏者の隣にまた戻りました。 当方にとってブル7とは1、2楽章が重要で3、4楽章はまあおまけみたいな感じでいつも聴いているといったら失礼ですかねえ・・・・。 いやあーー、3楽章、4楽章とも素晴らしい演奏でした。3楽章の演奏時間は約12分でした。 4楽章の演奏時間ですが、すみません。演奏後の拍手に夢中で時計を見るのを忘れておりました。 ここまで来ると敬愛するハイティンク氏との幸福な時間がもう終わってしまうのか・・・・と。 このまま音楽が続いてくれ!!と祈りのような感じで音楽を聴いておりました。自然と当方の目頭がウルウル・・と! ハイティンクの指揮振りを記憶に焼き付けないと・・・考えながら。 終楽章の終わりのまさにブルックナーの教会伽藍のような響きで演奏が終わりました。 (もう少し拍手を待っても良かったのでは・・・・)

もう割れんばかりの拍手と観客のスタンディング(当方も当然、立ちましたよ)。 拍手は続き、楽員がステージからいなくなっても拍手は続き、最後にハイティンク氏1名ステージに出てきてくれました!! そして、終演となりました。

この演奏会は一生、忘れません!いや、忘れないと思います。ベルナルト・ハイティンク ありがとう!! また日本に来て欲しい。そして、また聴きたい。いや是非、また聴かせて欲しいものです。

この素晴らしい演奏会の背景には、観衆の物音1つ無い集中力のおかげでもあります。このような演奏会は滅多にありません。 演奏中のみならず演奏前後(楽章前後)の静寂!!素晴らしいの一言。観衆の方々にも感謝!

最後に一言、このような意見を述べるのが当方らしいのですが、ハイティンクのブルックナーは大陸系オケ(ドイツ、オーストリア、オランダ)で聴きたかったなあ。 どうもロンドン響はハイティンクの解釈通りに演奏して、確かに素晴らしい演奏であったのですが、何でしょうか? ブルックナーらしさ、雰囲気に違和感を感じたのも事実かな?

この演奏が当方の忘れられない演奏会ベスト3となりました(ベスト3には入りませんが、テンシュテット、シノーポリ、マーツァル、シャイーなども・・)。 ・ベルティーニ@都響のマラ9(みなとみらいホール)、・インバル@都響のマラ8(ミューザ川崎)、そして・ハイティンク@LSOのブル7(ミューザ川崎)


2015.9.13

金山隆夫指揮 オーケストラ・ディマンシュン 合唱 東京トリニティコール

曲目

ジョン・ウィリアムズ:<スター・ウォーズ>より

宮川泰:<宇宙戦艦ヤマト>より

ホルスト:組曲<惑星>

[感想記]

正直、8月29日のオーケストラ ハモン演奏会、9月5日の中野振一郎氏のチェンバロ演奏会と2週連続演奏会ということで この週末はゆっくりしようと思っていたのだが、 アマオケ紹介サイトを見ると、すみだトリフォニーホールでオーケストラ・ディマンシュが宇宙をテーマとした演奏会で<宇宙戦艦ヤマト>を演奏するということで 「これは行くっきゃないでしょう!!」ということで行ってきました。

オーケストラ・ディマンシュのサイトを見ると今回は人気曲を演奏するということで当日券の販売が少なくなりそうとのこと。 チケットぴあでも販売されているということで、ぴあで購入しようとすると取り扱い分は終了とのこと。これは当日、早めに行ってチケットを購入するしかないと・・・。 (通常、当方は開場時間に合わせていくのだが)ということで当日券販売の12:00過ぎへトリフォニーホールへ到着し、チケットをGET!!全席自由席で1000円です。 (もうすでに会場前に行列が・・・・・。早っ!) これで「宇宙戦艦ヤマト」を聴けると一安心。そして、開場まで約1時間ある・・・ということで錦糸町から東京スカイツリーへ散歩へ行きました。 東京スカイツリー 下からも圧巻の建築物ですなあ。良かったです。

スカイツリー散策からトリフォニーホールへ戻るともうもう長蛇の列!参ったなあ。凄い人気のアマオケだ。ホール内にやっと入場。 開演まであまり時間が無い状態でした。会場内もほぼ満員。 ステージ上には楽員が・・・。各自、音を出し、練習しております。頂いた資料にアメリカやフランスのオケではこれが当たり前とのこと。 そして、楽員の衣装のカラフルなこと!!コンミスが入場。そして、ステージバックのパイプオルガン前に混声合唱の方々が・・・・。 指揮者の金山氏が登場。この金山氏、セントルイス響のレナード・スラトキンの下、修行したとのこと。 先日の冨平氏も含め、日本には有能な指揮者は大勢いるんだなあ。しかし、この中で安定してプロオケからオファーが来るのもごくわずか。厳しい世界である。

今回の演奏会にはサブタイトルがついており、〜無限に広がる大宇宙の彼方で〜 この“無限に広がる大宇宙”というフレーズ。お気づきの方もいるかもしれませんが、 <宇宙戦艦ヤマト>の最初のナレーションということとヤマトで有名なスキャットの曲名がこれなんですよ。 いかん!いかん!宇宙戦艦ヤマトとなると熱く語ってしまいます。

最初の曲はこれまた定番。映画スター・ウォーズの音楽です。曲目は1)メインタイトル〜シスの復讐、2)アクロス・ザ・スターズ、3)英雄たちの戦い。 しかし、出だしが・・・・、あの有名な20世紀FOXのファンファーレでした。この肩透かしも楽しい! 英雄たちの戦いでは混声合唱も加わり、やはり映画音楽はいいものだ・・・。 まあオケのレベルですが、このようなポップス曲では判断がつきかねますねえ。まあ「惑星」である程度は判断が付くのかなあと。

さーーーて、お待ちかねの<宇宙戦艦ヤマト>です。演奏曲目は1)序曲、2)誕生、3)白色彗星、4)出撃、5)大いなる愛の5曲。 1、2、4が「宇宙戦艦ヤマト」で3、5が「さらば宇宙戦艦ヤマト」ですな。 ステージにはエレキ・ギターとエレキ・ベースの方が・・・。そして、パイプオルガン奏者も・・・・ヤマトっぽくなってきました。 そして、例のあの有名なスキャットはどうするのかと思っていると少しして白いドレスの方がパイプオルガン前に登場。 なんか気持ちが高ぶってきました。

まずは「序曲」おーーーこれこれ!!これだよなあと思っているとあの有名なスキャット!! まあ我々の聴き慣れた川島和子さんの声色とは異なるやや低めの声でうーーむ・・・・イメージが違いますが、まあこれで十分ですよ!
次の「誕生」は、ザ・ヤマトとも言える音楽でエレキとストリングスの演奏のあとに主題歌が演奏されます。そして、スキャットですよ。 もうここで感動しまくり!! ここで涙腺がやばくなってきました。そして、一旦、、会場が暗くなり、パイプオルガンにライトが!
「白色彗星」がはじまりました。おおーーーー! この白色彗星が生パイプオルガンで聴けるとはまさに夢のようです!! 体に響くこの音色。 まあ当方の好きな曲でなかなか演奏されない曲(例えばマーラーの8番、10番(クック版)やブルックナーの1番、 シベリウスの6番など)であっても場所と時間を惜しまなければ、どこかで何時かは演奏に取り上げられ、聴く機会も必ずあると思っているのですが、 この宇宙戦艦ヤマトの「白色彗星」だけはねえ・・・・。正直、生パイプオルガンで聴けるとは、これっぽちも(脳細胞1個も)思っていなかったので、マジで超嬉しいです。 ここで完全に涙腺が溢れましたな!
次の「出撃」はヤマトの戦闘シーンで有名ですが、あまり白色彗星後の放心状態であまり覚えていません。
最後は「大いなる愛」 冒頭のピアノで当方は打ちのめされましたわ。もう号泣ですわ! 今年1番の号泣です。本当にいい曲ですねえ。 その後も涙が止まらなくてねえ。最高でした。

演奏後、指揮の金山氏が「やっぱりヤマトの主題歌、歌いたくなりますよねえ・・・」と。 「フル・オーケストラをバックに会場の皆さんに歌いましょう。こんな機会はありませんよ」と。演奏会パンフの裏表紙にヤマトの歌詞が・・・・。 当然、当方も大声で歌いましたよ(涙声でしたが、50手前のおっさんですが恥ずかしいとか言ってられない!)。いやーー最高の宇宙戦艦ヤマトでした!! 演奏後に金管の方が胸に拳を当て、宇宙戦艦ヤマト式の敬礼をされていたのは見逃しませんでしたよ!!ここまでやってくれたらもうねえ・・。

その後、20分の休憩。興奮冷めやらずで当方は動けませんでしたわ。 やや落ち着いて、パンフを眺める余裕も出てきました。このパンフにはお子様向けのかいせつもフリガナ付きである。何とも親切な・・・・。 そして、過去の演奏曲目を見てみると「スゴイねこのオケ!!」定番曲目もですが、芥川也寸志の映画音楽「八甲田山」「八つ墓村」、伊福部さんのSF交響ファンタジーなども 曲目として取り上げております。他にも矢代秋雄や黛敏郎など日本人作曲の曲も演奏しているという・・・。なんというアマオケだ!!  「八甲田山」聴きたかったなあ(当方の日本映画の中で最も好きな映画です)。

後半のホルストの「惑星」です。観衆の皆さんはこの曲がメインだったと思いますが、当方は宇宙戦艦ヤマトで9割、この演奏会の目的を果たしたようなもの・・。 少し冷静にお気楽な気持ちで聴かせてもらいました。 「火星」ですが、なかなかの爆音系演奏でマジで良かったですよ。 「金星」はホルンさんとコンミスさん、頑張って下さいという感じですかね。やっぱ、この曲のハープはいつ聴いても感動しますね。 「水星」はやや縦の線が怪しいところも。メイン?も「木星」はまあ良かったと思います。 当方の好きな「土星」! 後半のハープと低弦の箇所からはもう言うことなしの素晴らしい演奏でした。ここは満点です。 「天王星」も「火星」同様、爆音系で満足しました! さて、「海王星」ですが、演奏は悪くなかったのですが、女性合唱が存在感あり過ぎ!! もっと抑えて、<無限に広がる大宇宙の彼方>へ消えるようでないと・・・。 最後も尻切れのような感じでした。まあしかし良かったと思いますよ。

アンコール! 宇宙戦艦ヤマト(特にアンドロメダ、美しい大海を渡るとか・・)なら良いのになあと思いましたが、 確かに「スター・ウォーズ」で演奏し忘れている曲がありましたなあ。 『ダース・ベイダーのテーマ』ことインペリアル・マーチ。この曲の途中でバックに帝国軍兵士のお面をかぶった合唱の方々が・・・・。 いやーー、ここまで協力的とは頭が下がります。ということはコーラス付きの曲ですかと思ったら、「運命の戦い」です。当然、お面を外しての合唱です。 これも血沸き肉踊る曲ですなあ(スマブラ(大乱闘スマッシュブラザーズ) の曲を思い出しますが・・笑)。 なんともお茶目なオケですねえ。 最後に帝国軍兵士のお面をかぶったお子さんが花束を指揮者の金山さんに渡し、その後、 何と!!お子さんが隠していた銃で指揮者を撃つマネをされ、金山さんも倒れるという小芝居も楽しませてもらいましたわ。

オケの名前の由来のとおり「休日のためのオーケストラ」という休日のひと時を楽しい音楽とお茶目な演出で十二分に楽しませてもらいました。 大・大・大満足の演奏会でした。ありがとうございました!!この演奏会は一生忘れることは無いでしょう。


2015.8.29

冨平恭平指揮 オーケストラ ハモン

曲目

メンデルスゾーン:劇音楽<真夏の夜の夢>序曲

マーラー:交響曲第7番「夜の歌」

[感想記]

先日の千葉フィルの「マラ6」に続いて、ついにこの日がやってきた!という感じです。 まさかまさかアマオケで超難曲「マラ7」を聴くことが出来るとは・・・・・。 ミューザ川崎シンフォニーホールにてオケは「オーケストラ ハモン」第33回定期演奏会。 このオケ、当方は知りませんでしたなあ。1997年に発足し、翌1998年に第1回演奏会を行い、その時が曲目が、マーラー5番という・・・。 意気込みを感じる発足当時ですよねえ。この後、マラ6、マラ9・・・・とマーラーについては、まあ8番は除くとして、その他、1番〜9番まで全て演奏しているという・・・。 「マラ2<復活>」も演奏しているという。凄いアマオケがあったもんだなあ。他にもブルックナーも積極的に演奏しているようです。

ハモン(HAMON)というのは、<Harmony of Art and Movement by Orcestral Network>の頭文字を取ったもののようです。 そして、このオケ、コンサートが全席指定でS席3000円、A席2000円・・というアマオケでは強気の価格設定でして・・・。 ましてや難曲マラ7ということで崩壊したグダグダな演奏を聴かされたものなら、どう辛口批評したらいいものかと考えておりました。 (基本的にはアマオケには優しく、プロオケには厳しくというのが当方の批評スタンスなのですが)

マーラー7番といえば、2回目の生演奏でして、1回目は2007年3月の高関健指揮にて群馬響の演奏で、これは本当に素晴らしい演奏だったなあと。 さて、当日券を購入しに早めに会場へ向かい、当日券を購入。当日券の取り扱い席が殆どない・・・・(実際はそこそこ空席があったのだが)。 ホールへ入場。何度来ても良いホールである!

前半の小曲、メンデルスゾーン:劇音楽<真夏の夜の夢>序曲である。まあこの曲である程度、このオケの実力がつかめるのではないかと・・・・。 この曲でのオケの印象を述べると1)全体的にはレベルは高い、2)ストバイがやや不安定(セコバイは良い)。アマオケのよくある弱点パート ビオラ、チェロは良い。 3)やや縦の線がズレることがある。オケのレベルの高さからマラ7は崩壊することなく一定レベルの演奏は聴けそうだと思いました。

15分休憩後、お待ちかねのマーラー交響曲第7番<夜の歌>。オケは両翼配置ですが、ストバイの後ろにコントラバス、初めて見たのですが、木管の配置で 前列はフルート(左)−オーボエ(右)これは通常よく見る配置なのですが、後列がファゴット(左)−クラリネット(右)という見慣れない逆の配置でしたねえ。

冒頭の弦の刻み、続くテノールホルン・・・・、おいおい!!言い過ぎ?かもしれませんが、前半とは別オケのような集中力と音の精度。 金管も素晴らしく、弦楽器も良くついている。もう「マラ7の世界」が出ていました。 1楽章の当方の好きな箇所、中間の静かな箇所(ハープのグリッサンド前後から第2主題)は感動して、そこからは1楽章の終わりまで放心状態が続きましたわ!! これは素晴らしい1楽章だったなあと・・・・しかし、オケの凄さ(真骨頂)はこれからの楽章でした!! 2楽章、4楽章はこの<夜の歌>と言われる所以の楽章なのですが、この2、4楽章の出来が秀逸でした。 特に4楽章に至っては、完璧過ぎるやろ!という出来でした。ギター、マンドリンは良しとして、 特に良かったのはソロ・オーボエの音色がまさに夜の雰囲気にピッタリの落ち着いたもので感動しました。 3楽章は狂気を感じることが出来、良く表現されているなあと。(3楽章の前にギター、マンドリン演奏者が入場されました) 正直、4楽章までで大満足でして、終楽章は現実と狂気の狭間でどうハジケてくれるかなあということ期待しつつ・・・。 結果的には少し落ち着いたフィナーレだったなあと。もっとドンちゃんやらかしても良かった気もしますが・・・・。 しかし、素晴らしいマーラー7番でした。大満足な演奏でした。アンコール無しで解散。当方は放心状態のまま帰宅しましたよ。

正直、3000円は安い!!次回の演奏会は12月にオール・シベリウスとのこと。ついにシベリウスの世界にも! マーラー、ブルックナー、シベリウスとか、当方の御用達オケじゃないですか・・・(笑)。その12月演奏会の指揮は新田ユリさん。 当方もシベリウス専門アマオケのアイノラ交響楽団で何度が聴いたことがありますが、新田さんシベリウス解釈では専門家中の専門家といっても過言ではありませんので、 期待できますね。それとオーケストラ ハモンさん、マーラー交響曲第10番(クック版)が残ってますよ・・。是非、近いうちに演奏で取り上げて下さい!!


2015.8.2

金子建志指揮 千葉フィル

曲目

ワーグナー:<パルジファル>第1幕への前奏曲

マーラー:交響曲第6番「悲劇的」

[感想記]

昨年、6年ぶり千葉へ戻って来て、楽しみの1つだったのが、アマオケである千葉フィルの演奏が聴けること!! 千葉フィルの演奏会では2005年8月に初めて聴いたのだが、その演奏曲目が何と!!マーラー交響曲第10番(クック全曲版)だったという! 当方にとってアマオケのイメージを根本から変えてくれたオケであり、アマオケの魅力を教えてくれたオケであり、 当方にとってはこの千葉フィルは「ザ・アマオケ」なんですよ。

ということで2007年第19回サマーコンサート以来、8年ぶり(もうそんなに・・・、その分、歳をとってしまった)第27回サマーコンサートへ行ってきました。 久しぶりの習志野文化ホール、変わってないなあ(安心)。会場に入り、パンフをもらう。 席に着き、パンフを見ると過去の演奏会史があり、当方が北九州に行っている間に「マラ9」「マラ3」「ブル7」や「ラフ2」などを演奏しているじゃないですか! あーー聴きたかった。

そして、この演奏会の曲目がマーラー6番「悲劇的」ってもう・・・・さすが千葉フィルやわあという感じ。客席は前の方はやや空席はあったもののほぼ満席。 当方にとってこの「悲劇的」2005年3月の大植&大フィル、2007年11月沼尻&日フィルと今回で3回目。 この「悲劇的」、マーラー好きの当方にとって、マラ9を1番愛してやまないのは当然のこととして、 次に好きな曲を挙げろと言われれば迷いながらもこのマラ6をあげると思います。 まあCDも26枚も所有しており、マラ9にお金を割かなければもっとマラ6を購入していたかも(笑)。

楽員、コンミス入場、そして指揮の金子氏が登場。相変わらず颯爽と登場でお元気そうで。 前半の曲目はワーグナーの<パルジファル>第1幕への前奏曲です。さーーて、8年ぶりの千葉フィル・サウンドはいかがでしょうか? この曲、恥ずかしながら詳しくは知らないですが、まさにワーグナーだなあと。 演奏の方は上手くまとまった演奏でした。大きなアラも見当たらず、心配していたビオラですが、こんなものでしょう。 この調子なら「悲劇的」は大丈夫ではないでしょうか(まあそこまで心配してませんが・・・)。演奏後、10分間の休憩となりました。

さーーて、お待ちかねのマーラー交響曲第6番「悲劇的」!! 冒頭の低弦ですが、もっと身体の芯に響くくらいの重厚さを期待していたのですが、思ったより軽かったなあ。 テンポは早くも無く、遅くも無く。さらに揺らすことも無く。標準的な解釈でした。(1〜3楽章までは・・・) 1楽章からホルンの出来は秀逸でしたねえ。これが最後、4楽章まで持つのですから、大したものでした。 1楽章でカウベルを鳴らすところは敢えて、視覚的に客席から見えるようにしてもいいのかなあ。 元々、マラ6は視覚的にハンマーを代表として、ルーテなどもあるわけで・・・・。お客さんも何だ?と、曲に引き込まれると思いますがね。 もう1楽章から当方はマーラーの世界に浸っておりました。「マーラーに感謝!」と思いながら。 2楽章−3楽章の演奏順が昨今問題になっておりますが、CD批評でラトル指揮BPO盤を少し批判しておりますが、 スケルツォ→アンダンテじゃないと当方はしっくり来ませんね。ということで、今回の演奏がスケルツォ→アンダンテで良かった。 2楽章の中間、ややビオラ、チェロが怪しくなりましたが、楽しくこのスケルツォを聴くことが出来ました。 2楽章後、音合わせし、3楽章アンダンテへ。当方、この楽章が好きでして・・・。演奏も良かったと思います。 かなり感情を込めた演奏で。ホルンも良かった。3楽章の後半も十分に表現がなされ、感動しました。 終楽章ですが、正直、アマオケでここまでもつのかなあ?と思いましたが、心配無かったですね。金管ほぼ完璧でした。 もうグイグイ音楽に引き込まれてしまいました。やはりハンマーの箇所はこっちまで緊張してしまいますなあ。 ハンマーですが、今回の演奏は「ドン!!」という響きでバスドラムの音にかき消された感じがしました。(せっかくのハンマーが・・・) 当方としては、「バチャン!!」という音で観衆が飛び上がるくらいがいいなあ・・と。 さらに舞台の袖でこれでもかというパフォーマンスすれば良かったのにと素人考えて思ったりしましたね。 全体的にはブラスの響きに気をつけて指導されたのかなあと思われる箇所が見受けられ、その点は上手く行っていたように感じました。 終楽章もシンバル3人の箇所から一気にテンポを落とし、これでもかという説得力の音楽で参りました! 最後の最後ももっと大音量であれば・・・と。しかし、難曲のマラ6をここまでの演奏されたら、もう脱帽でしょう!!

最後に金子氏がアンコールを。まあ「悲劇的」これだけ大熱演すれば、アンコールなど要らないのだが、今回の曲目が馴染みのある曲では無かったと思い、 有名が曲を・・・ということ(マラ10の時も同じことを言っていたぞ!!)でワーグナーのローエングリンの第3幕への前奏曲を演奏し、演奏会がお開きとなりました。

千葉フィルへ感謝! そして、マーラーへ感謝!! 来年はマラ2「復活」を演奏するようで、ついに「復活」かあ。 いつかマラ8「千人」までやってしまいそうな勢いだあ。これだから、千葉フィルからは目が離せませんなあ。


2015.6.20

高関健指揮 東京シティフィル

曲目

シューマン:交響曲第1番「春」

リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェヘラザード」

[感想記]

久しぶりにオケの演奏が聴きたくなりまして、アマオケ、プロオケ問わず良い演奏会が無いかなあと探していると20日に行きたい演奏会があり、 ともにプロオケでともに最寄り駅がJR錦糸町駅という・・・・・。さらに開演時間も14:00という。

1つはすみだトリフォニーホールでの新日フィルでオール・ストラヴィンスキープログラム、 もう1つはティアラこうとうでの東京シティフィルでリムスキー・コルサコフの交響組曲「シェエラザード」というもの。

マジでどちらに行くか迷いに迷いました。どちらも今まで聴いたことない在京プロオケ。 結局は東京シティフィルへ行きました。決めては2つ!! 先日の「クラシック音楽館」での「シェエラザード」が耳に残っていまして・・・・。 やはり生で聴きたいなあと思ったことともう1つはこちらの方が理由としては大きかったと思うのですが、指揮者が・・・・! 当方のHPのプロフィールを見ていただければ分かると思いますが、当方のお気に入り指揮者の<高関健さん>だったということかなあ。 高関健さんといえば、2007年の群馬響とのマラ7、新交響楽団とのマラ9が鮮烈でして、一気に高関さんの指揮、曲に対する解釈の明晰さに惚れてしまいまして・・・。 ということで、高関さんの指揮は2007年以来、8年ぶり!!高関さんは今、東京芸大音楽学部指揮科の教授もされ、後進の指導に当たられているとのこと。 もう適任中の適任でしょう。高関さんのような指揮者が出てくれば嬉しい限り。

さて、ティアラこうとうには錦糸町駅から徒歩で12、3分というとこですかね。錦糸町からほどなく歩くと江東区へ入る。錦糸町は墨田区ですよね。 そして、猿江恩賜公園内にティアラこうとうがありました。演奏会場はほどなく駅から離れている方が良いというのが持論なのですが・・・。 演奏会の余韻に浸る良い時間が取れます。

ティアラこうとうは1300席の中規模ホールです。音響的には期待できそうな感じです。東京シティフィルは1975年設立で今年で40周年。 この4月に第4代常任指揮者として高関さんが就任とのこと。この東京シティフィルはティアラこうとうでは今日で第41回定期演奏会とのこと。 かなり積み重ねられてている定期演奏会なんですねえ。そして、金額もリーズナブル。S席で3700円です。

この定期演奏会。開演30分前にプレ・コンサートが開かれました。 室内楽でして、今回はNHK大河ドラマ「花燃ゆ」のテーマとベールマン作曲のクラリネットと弦楽のためのアダージョが演奏されました。 少人数の響きもいいものですね。

群馬響の時もありましたが、開演前に指揮の高関さんからプレ・トークがありました。 前半のシューマン交響曲第1番「春」については、4日で作ったこと。このことで記載ミスらしきところがある。 このため、この演奏では原典に戻した形で演奏するとのこと。 一方、後半のリムスキー=コルサコフ交響組曲「シェエラザード」については、リムスキー=コルサコフは管弦楽法に優れているが、 この曲については、もっとリムスキー=コルサコフらしさが出せるはずということで、その点を改訂した形で演奏したいとのことでした。 さすが、高関さんやね!!これが無いとね。

この前半のシューマン交響曲第1番「春」、正直、真剣に聴いたことが無く。シューマンのシンフォニーといえば第3番の「ライン」ばかり聴いており、 そのカップリング曲で聴いているくらいで・・・・・。オケは両翼配置でした。 演奏の方ですが、細かいところは指摘できませんが、かなり重厚な響きでまとめておりました。安定して聴ける演奏とオケのレベルは一定のレベル以上ではあるなあと 思いました。 休憩後、お待ちかねリムスキー=コルサコフ交響組曲「シェエラザード」!! 開始直後、どこからか携帯が鳴る。もうねえ・・・・。これで緊張が途切れるんだよなあ。 コンマスの戸澤さんのヴァイオリンは素晴らしかったねえ。鳥肌ものでした。 オケも音が出て、この曲が大音量で聴けるとは・・・・。木管の表現力、金管の響き。言うことなしでした。 前半はやや速めのテンポでしたが、終盤、テンポをゆっくりめに。ここでオケも少し戸惑ったように見えました。 しかし、大満足の演奏でした。良かった。当面、高関指揮東京シティフィルに注目ですな!!


2015.3.15

征矢健之介指揮 早稲田大学フィル

曲目

マーラー:交響曲第9番

[感想記]

まずは、早稲田大フィルに感謝したいと思います。演奏会にマーラー9番を選択してくれたこと!そして、このような名演を聴かせてくれたこと!

今日のみなとみらい地区は第1回横浜マラソンが開催され、マラソン一色の雰囲気。当の私もこの横浜マラソンにエントリーし、抽選に落選してしまったという(笑)。 しかし、結果的には早稲フィルの演奏会が聴けて正解でしたね。

昨年7月より久しぶりの関東居住でいつかはマラ9が聴けると思っていましたが、みなとみらいホールで聴けるとは。 当方にとって、みなとみらいホールでのマラ9といえば、2004年5月30日のガリー・ベルティーニ指揮 東京都交響楽団以来の11年ぶりですかあ・・・。 記憶が薄れてきましたが、今でもあの光景、思い出せるなあ・・。

早稲田大学フィルハーモニー管弦楽団の第36期卒団演奏会、学生オケでマラ9を持ってくるという・・。まずはこの勇気と決断に拍手! また無料というのが、何とも良心的。そして、指揮者の征矢氏、東京シティフィルにて第1ヴァイオリンされているとのこと。

会場はみなとみらいホールの1階のみを使用。かなり埋まっているようでした。 演奏会の演奏曲目がマーラー9番のみ。音慣らしの意味もあって、小品を持ってくるオケもあるが。 ステージを見るとなかなかの大人数のよう。オケ配置は左からストバイ、セコバイ、チェロ、ビオラ。 午後1時39分演奏開始。チェロの音に続き、ホルン、ハープ・・と、まさにマーラーの世界! セカンドバイオリンの上手さに感動しているとホルン、トランペット、フルート、オーボエ・・・・、上手い、上手い。 ホルン、トランペット、オーボエ、フルートなどのソロパートの感情のこもった丁寧な演奏、何なんでしょうねえ。感動ですよ! オーボエでは練習番号8のところ、クラリネット、フルート、エスクラの絡みで練習番号13のところの表現は上手いなあと・・・。 (これだよ、これ!という感じ) 難曲の1楽章を難なく表現出来るとは早稲フィル、恐るべし。これは絶対に名演になると確信しました。 1楽章は演奏時間29分。

2楽章、若干の中だるみは感じられたが、難なく演奏。演奏時間は16分。

3楽章に入る前に、再度、チューニング。 さーーて、難曲中の難曲、3楽章。テンポはどうかなあと思っていると標準なテンポ、超快速でもなく、ゆったりでもない。 金管もそつなく演奏します。学生オケにとっても3楽章は難しくはないのですかねえ・・・・。 ホルンはややゆったりめで着実な演奏。エスクラも存在感ありました。 そして、肝心なトランペットソロですよ。いやーー、満点の出来では無かったかもしれませんが、 あったかい音色でホールに響き渡りました。良かった! ホルンは最高でしたねえ。 少しウルウル・・・。 楽章最後も超快速ではなく、きちんと演奏されていました。演奏時間は14分。

さて、おまちかねの終楽章。不安無く演奏してくれることは確信していたので、あとはテンポ、音色など、どのような演奏になるか楽しみになっておりました。 こちらも緊張!!
第1、第2ヴァイオリンによる2小節の序奏 の後、全弦楽器パートによる主部の演奏。この部分でもう当方はノックアウトされました。 もう当方の理想に近いテンポと暖色系音色に涙腺が開いてしまいました。あとはこの音楽に包まれる幸せに浸るのみ!! 56小節から72小節への前半のクライマックスでは、涙が溢れ・・・・。やはりマーラー交響曲第9番が好きなんだなあ・・・と! 文句のつけようが無い演奏でした。もっとこの時間が続いて欲しいなあと。 演奏終了後の長い静寂。そして、拍手(当方は放心状態で・・)。 観衆の皆さんもわかってらっしゃる。良いお客様だった。 演奏時間は25分(もう理想的なテンポですなあ)。感動の余韻に浸りながら、会場を後にしました。 改めて、早稲田大学フィルハーモニー管弦楽団 感謝です。


2015.2.21

児玉章裕指揮 みなとみらい21交響楽団

曲目

ワーグナー:楽劇「神々の黄昏」夜明けとジークフリートのラインへの旅/ジークフリートの葬送行進曲

ブルックナー:交響曲第8番(ノヴァーク版第2稿)

[感想記]

ブルックナーの交響曲の中で一番の大作といえば、文句なしに交響曲第8番だと思います。どうしても早いうちにブル8を聴いておきたいと 演奏会を探していたところミューザ川崎で演奏会があるということで早速行ってきました!!

みなとみらい21交響楽団 年2回定期演奏会を行っているようで、今回は第8回定期演奏会。このみなとみらい21響、なんと!記念すべき第1回演奏会の曲目が <マーラー交響曲第9番!!>もうこれだけでも当方にとっては応援せざるを得ないアマオケでしょう。 これまで採り上げた曲目は、マーラー6番「悲劇的」(アマオケで「悲劇的」に挑戦するとは・・)、マーラー3番、ストラヴィンスキーの春祭など、 大曲、難曲揃い!これはこのブル8も期待するしかないでしょう。

コンサートちらしを持参すれば、チケットを無料で頂けるというこれまた良心的なオケです。 オケの配置はヴァイオリンを左右に置く両翼配置でした。 前半はワーグナー:楽劇「神々の黄昏」夜明けとジークフリートのラインへの旅/ジークフリートの葬送行進曲。 はずかしながら、当方は全く聴いたことが無い曲でした。前半の曲である程度オケの実力が分かるもので・・・。 正直、これはブル8が期待出来るものと思いました。弦楽器のレベルが高いことと金管も悪くない。

そして、休憩後、お待ちかねブル8! もう冒頭からブルックナー・ワールド炸裂。あとはミューザ川崎の音響の良さも相まって幸せな時間、空間に浸るだけだけでした。 オケの各パートの印象としては、ヴァイオリン、ビオラは完璧ではないもののレベルは高いと思います。終楽章では疲れた部分もあったような感じでした。 チェロ、コントラバスは良かったと思います。そして、最も良かったのが木管パート!安心して聴くことが出来ました。 金管もトランペットはレベルが高かったです。ホルンは善し悪しでしたね。 演奏時間は第1楽章:15分、第2楽章:14分、第3楽章:22分、第4楽章:23分くらいでしょうか。 そして、アンコール無しでお開きとなりました。  このみなとみらい21響、良いオケでした。この秋の演奏会ではラヴェルのダフクロを演奏するようで・・。これも期待ですね。 マラ7をいつか演奏して欲しいものですなあ!! こんなに良いオケなのでもっとお客さんが来てくれるのを願っております! 


2015.1.10

田部井剛指揮 アウローラ管弦楽団

曲目

スヴィリードフ:組曲「吹雪」〜プーキシンによる音楽的イラストレーション〜

ラフマニノフ:交響曲第2番

−アンコール−

チャイコフスキー:くるみ割り人形より松林の情景

[感想記]

当方の今年のコンサートはすみだトリフォニーホールからスタートです。久しぶりのトリフォニーホールです。 2007年12月のアイノラ交響楽団のシベリウス:クレルヴォを聴いて以来の7年ぶり! JR錦糸町の駅を出て、いきなりの東京スカイツリーのお出迎えにビックリ!!思わず写真撮ってしまいましたわ。 ホールへ行くと開館前ですが、高齢者の方々の列・・・・?? これは何の列かなとホール玄関へ行くと当コンサートの行列(笑) ビックリ、この平均年齢の高さと思いましたが、60歳以上の方、墨田区在住の方は無料ご招待。これが効いているよるです。 しかし、良い試みだと思います。

さて、このアウローラ管弦楽団は2009年に活動を開始。都内で5団体目に誕生したロシア音楽を中心に取り上げるオーケストラとのこと。 ロシア音楽系は人気がありますねえ。当方も大好きですが・・・・。今回で第12回定期演奏会とのこと。 今回の指揮は田部井剛氏、日フィル、新日フィル、群響、東フィルなど指揮しており、ピアニストとしても活動中とのこと。 このオケで何度も共演しているようです。

会場はほぼ満席に近い状況です。楽員が入場してきましたが、かなり若い学生さんのような楽員が多く見られます。 前半の曲目は、スヴィリードフ作曲の組曲「吹雪」 さて、このスヴィリードフ氏 全く存じ上げない作曲家でした。 1915-1998ということで最近まで存命だったようです。旧ソビエト政府の「お抱え大衆作曲家」として活躍、成功したとのことで、 現ロシア国民でも知名度は抜群のようです。組曲「吹雪」ですが、以下の9つの曲から構成されております。 1:トロイカ、2:ワルツ、3:春と秋、4:ロマンス、5:パストラーレ。6:軍隊行進曲、7:婚礼の儀式、8:ワルツのエコー、9:冬の道 初めて行く曲ばかりですが、ロシアらしい哀愁漂う美しい旋律で素晴らしい曲ばかりでした。ショスタコーヴィチやグラズノフを思わせるところもあります。 3:春と秋のフルート、ホルン、4:ロマンでのヴァイオリンのソロ そして、バンダでのトランペットのソロ 聴きどころ一杯でした。 早速、この曲のCDを購入したくなりました。そんなに録音されていないようですが・・・・・。 この演奏を聴いて、このアウローラ管弦楽団のレベルの高さが・・・・。アマオケはヴァイオリン、ビオラ、チェロあたりを聴くと、 実力が分かってしまうのですが、このオケの弦楽器が上手いのなんの感心しきり。これは後半のラフ2も期待大。

そして、このオケのコンサート・パンフレットの曲目解説の詳しいこと。素晴らしい。 このラフマニノフ交響曲第2番 当方も知らなかったことが・・・。この曲の短縮(カット)版と全曲版 この全曲版をプレヴィンが世に復活、 広めた話は有名ですが、その前にあの有名な指揮者のムラヴィンスキーからプレヴィンが全曲版スコアを渡され、広めて欲しいと依頼されたとのこと。 この時西欧にはカット版スコアしかなったそうです。このような逸話があったとは・・・・。 肝心の演奏ですが、素晴らしいの一言でした。アマオケでこんな素晴らしいラフ2が聞けるとはねえ。 指揮の田部井氏のラフ2の理解力もさることながら、それを体現するオケ!! テンポの揺らし、強弱のアクセント なんでしょうね、音のなめらかさ、この上手さ。 弦楽器、木管、金管、打楽器の技量の高さに裏付けされた表現力なのでしょうが・・・。 この曲も思い入れは強いので、3楽章に関しては12分半の快速テンポだったのは残念(せめて14分くらいは・・・)、 そしてクラリネット・ソロをもっと際立たせても良かったのかなと。 しかし、恥ずかしながら号泣してしまいましたわ(笑)(斜め前の女性の方がボロボロ泣いていたもんで当方もうるうる状態を通り越してしまいました) 本当に素晴らしい演奏、ラフ2の世界に浸ることが出来ました。 アンコールはチャコのくるみ割り人形「松林の情景」で締めくくりました。 都内にこのような素晴らしいアマオケがあったとは嬉しい発見。これから贔屓のオケにしたいと思います。 


2014年

2014.11.16

横島勝人指揮 千代田フィル

曲目

モーツァルト:交響曲第39番

ブルックナー:交響曲第9番

[感想記]

一度、紀尾井ホールへ行ってみたかったということと何と言ってもブルックナーの9番を生で聴いてみたいということで、 ピッタリのコンサートがあったので行ってきました。紀尾井ホールは中規模のホールですが、なかなか素晴らしいホールですね。 もう少し交通アクセスが良ければねえ。当方は地下鉄赤坂見附の駅から歩きましたが・・・・。 マーラーの交響曲は1番から10番(大地の歌を除く)まで生で聞いたことがありますが、ブルックナーについては、5番を2度聞いたのみ!! 本当は4番、7番(1番、3番)も聴いてみたいと機会を狙っているのですが。やっと9番を聴くことが出来ました。 (ブルックナーの交響曲はマーラーに比べると演奏会に取り上げられるのが少ないのは、間違い無いと思います。本当はもっともっと取り上げて欲しいところですが・・・。)

この千代田フィルですが、今回、60回記念定期演奏会とのことです。指揮の横島氏数々の国内オケの指揮をされておられるようです。 され演奏の方ですが、モーツァルトを聴いてい、このオケのウィークポイントが分かってきます。 正直、ヴァイオリンパートです。通常のアマオケですが、セコバイ、ビオラ辺りが不安定なのはよくあることですが、 ここはストバイから怪しい音程です。まあブルックナーでは気合を入れた演奏をしてくると期待しておりましたが・・・・。

待望のブルックナー9番ですが、やはりヴァイオリンが全てでしたね。金管パートは本当によく頑張っていたと思います。木管も良かった。 低弦も良かったと思います。 しかし、やはりヴァイオリンが全くいただけません。聞いていて気分が悪くなりそうなほど、不安定極まり無い。 テンポも遅すぎる!音がブチブチ切れる。ティンパニーも良くこのテンポで叩いていけるなあと。 ヴァイオリンについては相当のテコ入れが必要ではないでしょうか。本当に頑張って頂きたい!! ブルックナーを取り上げてくれることは大きく評価します。


2014.11.8

小泉和裕指揮 東京都交響楽団 ヴァイオリン:南紫音

曲目

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番

ブラームス:交響曲第1番

[感想記]

久しぶりの蒲田のアプリコホールへ。2007年7月以来。そんなに経っていましたかあ・・・・。 そして、東京都交響楽団演奏会。7月にこちらへ戻って来て初プロオケ! それも当方お気に入りの都響というのが嬉しい! 都響はあの2008年4月のマーラーの千人以来です。都響は2002年ベルティーニ指揮岩国でのコンサート以来、何度か聴いたが、本当に国内オケでは素晴らしいオケだなあと 思っており、それで当方お気に入りオケであるのですが・・・・。

本日の演奏会は、ブルッフのヴァイコン1番にブラ1ということで何とも贅沢なプログラム。 そして、ヴァイオリンソリストが南紫音さんと我が故郷北九州の生んだヴァイオリニスト!!楽しみにしておりました。 楽員の入場。コンマスは山本さん、セコバイに遠藤さん、チェロの古川さんとやはり都響演奏会に来たなあという実感が・・・! そして、南さんと指揮の小泉さんの登場。ブルッフが始まった。今調べてみるとブルッフは2002年10月のテミルカーノフ指揮ボルティモア交響楽団以来だった。 もっと生で聴いていると思ってました。

南さんですが、上手かった!!技量はしっかりしているなあ。余裕のブルッフでしたなあ。安心して音楽に浸れました。そして、オケのサポートも 素晴らしかった。さすが都響やなあと・・・。弦楽器がいいんだよなあと毎度思います。

後半はブラ1。冒頭はやや早めであるが、音は重厚。これは期待出来ると思いきや・・・・。アッサリと淡々と進む。 2楽章後半のコンマスソロもイマイチ!木管パートもアッサリと感情なく演奏される。あーあーこれはと思い、終楽章へ。 さすがやね、終楽章後半だけ充実の音でブラボーを頂戴!(ダメでしょう。N響の地方公演みたいな最後だけ決めるというのは・・・・・) 正直、都響には初ガッカリ。思わずアプリコからの帰りにザンデルリングのブラ1を聴いてしまったほど・・・・・。


2014.8.23

栗田博文指揮 川崎市民オーケストラ2014 合唱 宗声会

曲目

ホルスト:組曲「惑星」

ジョン・ウィリアムズ:スターウォーズより

−アンコール−

エルガー:威風堂々第1番

[感想記]

2週連続、ミューザ川崎シンフォニーホールへやってきました。正直、何度来ても良いホールだ! この演奏会は7月のリコーフィルの時にみなとみらいホールに置いていた<ぶらあぼ>の8月のコンサートを見て行きたいと思った次第。 そして、先週の「ジャパンフレンドシップフィルハーモニック」演奏会時に前売り券を購入。

市民交響楽祭2014という銘打ったこのコンサート。オケは「川崎市民オーケストラ2014」ということで、川崎市の4つのアマオケの混成オケです。 川崎市には「麻生フィルハーモニー管弦楽団」「川崎市民交響楽団」「高津市民オーケストラ」「宮前フィルハーモニー交響楽団」の4つのアマオケが 活動しているるんですねえ。このような交流はいいことだと思います。

指揮の栗田氏ですが、シベリウス国際指揮者コンクール最高位を獲得し、フィンランド放送響やヘルシンキフィルに客演されたとのこと。 いやーー、フィンランドの名門オケとは羨ましい。さて、今回の演奏曲目ですが、このコンサートのタイトルがあり、 「宇宙へ」というもの。そして曲目は、当然、ホルスト:組曲「惑星」とジョン・ウィリアムズ:スターウォーズより。 特にホルストの惑星は、パイプオルガンや女性合唱が必要ということもあるのか?なかなか演奏されない曲です(超有名な割には・・・)。 生で是非是非聴いてみたということもあり、楽しみにしておりました。

前半がお待ちかねの「惑星」です。楽員の入場。その後、マイクを持って、指揮の栗田氏登場。 この演奏会についてや曲目の説明などしておりました。 個々の演奏には触れませんが・・・。この曲、なかなか演奏者の力量がわかりにくいものではありますが、 金管、打楽器は頑張っていたと思います。寄せ集めの感は無きにしも非ずではありました。 しかし、全体的には悪くなかったと思います。曲の良さも堪能できました。 CDを聞く分には分かりにくいかもしれませんが、ハープとチェレスタをここまで多用しているとは思いませんでした。 当方としては最も好きな「土星」を聴けて満足です。そして、パイプオルガンも天王星だけかと思ったら、違ってましたね! 演出では、パイプオルガンに各曲別に嗜好を凝らした照明で色を照らしておりました。「火星」なら赤色など。 最後の「海王星」では女性合唱が本当に微かに微かに聞こえ、無音になるまでの静寂が何とも良かった!!

後半のスターウォーズよりは単純に楽しめましたが、前半のメンバーよりは力量が落ちたように思いました。 スターウォーズでも思いましたが、ハープ、チェレスタ、フルートの多用は「宇宙」というイメージなんですなねえ。 アンコールですが、エルガーの威風堂々第1番を演奏するのが恒例のようで、盛り上がりました。 「惑星」ですが、再度、生で聴きたいものですねえ。深くはありませんが良い曲だなあと再認識しました。


2014.8.23

高橋敦指揮 ジャパンフレンドシップフィルハーモニック

曲目

チャイコフスキー:交響曲第5番

ショスタコーヴィチ:交響曲第5番

伊福部昭:SF交響ファンタジー第1番

[感想記]

こちらへ戻って来て、第2弾コンサート、この23日、24日の週末どのコンサートへ行こうとおもっていたところ運良く? 先日のリコーオケの時にもらったチラシに23日にミューザ川崎で曲目が絢爛豪華な演奏会があることを発見。 さらに念願の伊福部氏の“SF交響ファンタジー”が聴けるとあっては行かざるを得ません。 曲目がチャイコフスキー交響曲第5番にショスタコーヴィチ交響曲第5番に先ほど書いたSF交響ファンタジー第1番と 当方にとってはこれでもかの贅沢プログラム。当方的には「お寿司」と「ステーキ」と「高級プリン」を一度に食べるようなもの!!!

ミューザ川崎シンフォニーホール 2008年8月5日以来だったんですねえ。尾高氏指揮でラフマニの交響曲第2番の時以来かあ・・・・・。6年ぶりに参上! 当方にとってミューザ川崎といえば、インバル@都響のマーラー千人の印象が今でも強い!!

当日券を購入したのだが、アマオケでは珍しく全席指定席でS席、A席とランクがある。人気のアマオケなんでしょうねえ。当日券も残り少ない状況でした。 4階席とP席に残りがあるくらい。会場に入り、久しぶりにミューザ川崎シンフォニーホールを感慨深げに見渡しましたが、何度来ても良いホールですねえ。普通のホールでは、 1階後方は2階の出っ張りで天井が低く音響も悪くなるのだが、ミューザでは極力そのような席を少なくしているのが、いいねえ。 有機的な席配置で席がわからず迷う人は続出なのだが。

このジャパンフレンドシップフィルハーモニックの年1回の演奏会は<音樂會>と称されているようで、 1992年創立の神奈川大、横浜国立大、日大の管弦楽団の団員を中心に結成。創立当初より指揮は高橋敦氏が行っているようです。 この高橋敦氏はチェロ奏者として、チェリビダッケやバーンスタインとともに演奏旅行へ参加。チェリビダッケとの交流で指揮を。 演奏を聴いて、チェリビダッケの影響はあるなあと後で思った次第です。プログラムを見て、演奏時間が書いているのですが、 チャイコ5番:55分、ショスタコ5番:55分とこれゆったりのテンポになりそうとの予感。

楽員が入場ですが、コントラバスが12人には驚き。弦パートはやや多めと思われます。そして、指揮の高橋氏登場。手を振り、客席からの声援が・・・。 なんとアットホームな!前半はチャイコフスキー5番。 出だしがもう超スローテンポ。当方的にはもう大歓迎なのですが・・・。こんなにスローありか?と思われた方もいるはず。 実に丁寧で休止も長めで、しかし、その分、曲の響き、フレーズが細かに聞こえてくる。しかし、各演奏者のミスも分かり易いため、 楽員は緊張したんじゃないでしょうか? 感想としては首席クラリネットの方、上手すぎ!!あの豊かな表情と気持ちの入った音、もう最高でしょう。 2楽章終わりのソロにはマジで痺れました!!2楽章冒頭のホルンソロですが、これも良かったアマオケレベルじゃないでしょう。 聴きながら「上手いなあ!」と独り言を言う位でした。首席オーボエも良かった。ファゴットはもっと頑張ってというところですかね。 金管では、トランペットも良かったです。4楽章が肝心なところなのですが、欲を言えばもっと音響があっても良かったかなあと。 低弦は良かった。さて、ヴァイオリンですが、やや濁りがあったので、特にショスタコーヴィチ5番での3楽章が今からやや不安に! チャイコフスキー5番としてはもう最高の演奏だったんじゃないですかねえ。チャイコフスキーの作曲の素晴らしさが実感できる演奏でした。 なかなかこのような演奏はありません。その分、各ソロパートの方の演奏が良かったということです。そして、休憩へ

ショスタコーヴィチ交響曲第5番 チャイコフスキーの時と木管、金管パートはメンバーが入れ変わったようでした。 これもゆったりめの演奏。チャイコフスキーほどでは無かったですが。 演奏時間は1楽章19分、2楽章7分、3楽章15分、4楽章10分といったところでしょうか。 ここでは首席フルートは特に良かったですねえ。3楽章でのフルートとハープとの絡みは鳥肌が・・・。 ファゴットも良かったです。。心配していた3楽章の弦ですが、良く練習されていたのか良かったです。 ただし、他の楽章では不安定な箇所がありました。打楽器は申し分無しでした。ショスタコーヴィチは打楽器系が大事ですから。 ショスタコーヴィチ5番を堪能出来た演奏でした。当方にとってはこの曲は2000年のドミトリエフ指揮サンクトペテルブルク交響楽団の駄演奏聴いて以来ですから。

お待ちかねの伊福部昭作曲SF交響ファンタジー第1番 一度生で聴いてみたいと思っていたので、夢が叶って幸せですわ!! ショスタコーヴィチの後、始まるかと思いきや会場が暗転??すると赤い照明で会場が赤く染まる。 するとゴジラの鳴き声が・・・・。何とも楽しい演出! そして、会場に照明が付き、例のトロンボーンの重低音が・・・もう会場はゴジラ・ワールド炸裂。最高、最高過ぎる。 金管陣、打楽器陣、低弦陣も文句の付けようの無い演奏。大迫力と体全体を包むこの音圧。興奮の坩堝です!! 最高の演奏でした。俺的にはこれ以上の演奏は無いんじゃないの?と思うほど。演奏後、また暗転、赤い照明に染まり、またゴジラの鳴き声が・・・。 この演出もにくいねえ。そして、会場が明るくなり、大拍手!! そして最後は指揮者、楽員がみんな手を振り幕となりました。楽しい素晴らしい演奏会でした。 当方は興奮状態のまま会場を後にしました。

このオケ、指揮者には感謝です。また機会があれば是非、聴こうと思います。


2014.7.27

井崎正浩指揮 リコーフィル

曲目

シベリウス:カレリア組曲

シベリウス:交響曲第7番

メンデルスゾーン:交響曲第3番<スコットランド>

−アンコール−

シベリウス:アンダンテ・フェスティーヴォ

[感想記]

千葉県へ仕事で再び戻って来まして、クラシック三昧となりますでしょうか。まず1発目ということでシベ7を目的にみなとみらいホールへ来ました。 みなとみらいホールは2008年5月24日に“オルガン・1ドルコンサート”を聴きに来て以来でしょうか。コンサートでは、2005年10月15日のオッコ・カム指揮 日本フィル 以来ですか・・・・・・。みなとみらいホールに来るといつも思い出すのは、2004年5月30日のガリー・ベルティーニ指揮 東京都交響楽団のマーラー:交響曲第9番の コンサートです。もうあれから10年経つんですねえ。

本日はリコーフィルでリコーグループ社員有志のオケ 職場のメンバーでオケが出来るとは羨ましいと思います。今回は第56回演奏会。 指揮は井崎氏、井崎氏は2010年12月12日の井崎正浩指揮 福岡大学交響楽団演奏会以来ですねえ。井崎氏は1987年からリコーフィルの常任指揮者とのこと。

シベリウスのカレリア組曲に交響曲第7番、それとメンデルスゾーンの<スコットランド>という曲目。 会場はほぼ満席に近い観衆。改めて首都圏のクラシック好きの多さにはビックリです。それと会場入口で配布していたコンサートチラシですが、 これまたアマオケの多いこと。この充実ぶりには嫉妬してしまうほどです。今まで九州でクラシックコンサートに飢えていたのが何だったのかと思うほどです。

個々の曲目の評価は致しませんが、やや大人しめの丁寧な演奏に終始していた気がします。アマオケでは珍しく?ビオラ陣の演奏が良かったです。 シベリウス演奏では、弦楽器、木管、金管、打楽器のバランスがやや悪かったのかなあと弦楽器が完全に隠れてしまったり、打楽器がやや主張してたりと・・・。 しかし、肝心のシベ7ですが、良かったと思います。演奏時間は約19分。若干、速めのテンポかと思いました。当方にとって念願のシベ7を聴くことが出来ました。 感謝、感謝です。



2014.6.14

下野竜也指揮 九州交響楽団 ヴァイオリン:米元 響子

曲目

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲

−アンコール−

バッハ:パルティータ第3番より終曲

ドボルザーク:交響曲第9番<新世界より>

−アンコール−

メンデルスゾーン:交響曲第5番<宗教改革>第3楽章

[感想記]

今回の九響の北九州定期は指揮が下野竜也氏ということで楽しみにしておりました。さらに下野氏の新世界交響曲の楽しむためのレクチャーもあるということで ますます楽しみでした。

前半の曲目はメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲です。ヴァイオリニストの米元さんは現在、ベルギー在住とのこと。若干13歳にてパガニーニ・コンクール入賞 日本オケとの共演も多数とのこと。申し訳ありませんが、存じ上げませんでした。 演奏の方は、繊細かつ丁寧な表現で好感が持てましたねえ。下野氏の分かり易い指揮振り、オケのおバランスのとれた音と良い演奏でした。

アンコールでバッハのパルティータ第3番より終曲を弾いてくれました。

そして、お待ちかねの下野氏による新世界交響曲の楽しむためのレクチャーが始まりました。簡単に内容を述べますと、 1)長調、短調を取り混ぜた和音という特徴。2)2楽章の有名なメロディーはあれは「レクイエム」である。妻を亡くしたインディアンの悲しみを表現。 というのも楽器にミュートを使用し、このミュートというのが「レクイエム」を暗示。この解釈には驚きでしたねえ。 3)終楽章の最後も最後のところですが、伸ばして終わるのですが、これがこれこそが「新世界・よ・り」の<より>を表現していると思うとのこと。 これが題名が<新世界>ならばジャン!!と終わったのではないか・・・ということ。なるほどねえ。確かにねえ・・・・。

そしてお待ちかねの「新世界より」 全体的に大人しい演奏でした。金管も不安定やし・・・・。 同じ曲では昨年、ネルソンス指揮バーミンガム市交響楽団で聞きましたが、比較すべくもなく。まあ楽しめという感じですかねえ。 アンコールでは、メンデルスゾーンの交響曲第5番<宗教改革>第3楽章という面白いセレクトでした。 下野氏の指揮には好感がもてたので、まだまだこれからも聴きたい指揮者ですね。



2014.5.18

時任康文指揮 下関市民オーケストラ ヴァイオリン:藤原 望

曲目

ウェーバー:歌劇「オベロン」序曲

シベリウス:ヴァイオリン協奏曲

ベートーベン:交響曲第3番<英雄>

−アンコール−

シベリウス:アンダンテ・フェスティーヴォ

[感想記]

下関市民オケを久しぶりに聴きに来ました。2010年以来なんですねえ。毎年5月の日曜日に演奏会を開いており、 サッカー観戦と重なって、なかなか聴けませんでした。しかし、今回はサッカー観戦をパスし、下関へ来ました。

2009年、2010年とこのアマオケを聴いておりますが、正直、上手いです。安心して聴けます。 今回は、シベリウスのヴァイコンと「英雄」という組み合わせ。楽しみです。 前も書きましたが、当日券1700円というのが、アマオケでは強気の価格設定というのが、気になるところなんですけどねえ。

指揮は時任康文氏 オペラ指揮として実績を積まれているようで、あのネルロ・サンティのアシスタントをされていたとのこと。 最初は、定番中の定番曲、「オベロン」序曲。まあオケの音慣らしでしょうが、ホルンの吹き始めが不安定なこと。 相変わらず弦は素晴らしいですねえ。ホルンの不安を除けば、今後の曲も期待できそうである。

次にシベリウスのヴァイオリン協奏曲。久しぶりにライブで聴くのかなと思ったら、1999年のヴァンスカ指揮ラハティ響ヴァイオリン:ペッカ・クーシスト 以来の15年ぶり。まあこの時のシベリウスは最高過ぎましたけどね!! ヴァイオリンの藤原さん、現在、アムステルダム国立音楽院に在学中とのこと。北九州出身ということで応援したいですね。 さて、演奏の方ですが、藤原さんのヴァイオリンがイマイチ、響いてこない。理由はわかりませんが。 オケとしてのサポートは素晴らしいかったと思います。シベリウスの寒々しい雰囲気はそんなに感じられませんでした。 休憩後は「英雄」です。良かったと思います。3楽章は生で聴くべきだなあと。 アンコールでは、シベリウス:アンダンテ・フェスティーヴォでした。聴いたことあるぞ!と思いながら、曲目は??と結局は思い出せず。 (2006年新田ユリ指揮アイノラ交響楽団でのアンコール曲で聴いてました)弦楽器の上手いオケならではのアンコール曲。本当に心に染み渡る演奏でした。 来年も是非、聴きたいオケですねえ。



2014.1.12

中田延亮指揮 北九州伯林的管弦楽団

曲目

ブルックナー:交響曲第5番

[感想記]

北九州伯林的管弦楽団、毎年この正月明けに年1回の演奏会を行っているアマオケで、2年前は「英雄」などを聴きレベルの高さは確認済み! 昨年は残念ながら聴きに行くことは出来ませんでした。曲目はマーラーの「巨人」だったのですが。 今年の曲目はこれまた難曲ブルックナーの交響曲第5番。ブル5といえば、3年前、これも北九州のアマオケである北九州交響楽団で聴いておりますが、 生のブルックナーを連続でブル5を聞けるとは思ってもみませんでした。この北九州伯林的管弦楽団のレベルの高さから、良い演奏は聴けるのではと期待し、 会場へ向かいました。無料というのがまたまた嬉しい限りですよねえ。

指揮の中田延亮氏、筑波大学の医学部在学中に音楽の道に転向したという経歴。コントラバス専攻で新日フィルにて奏者として活躍。その後、ヨーロッパへ渡り、 コントラバスや指揮にて現在、スペインに拠点に活躍されているということです。さて、このオケ、開演前のチャイムならぬ、生の金管ファンファーレという 毎度の催し!今回はブル5の有名なフレーズでした。

演奏の方は良い演奏でしたねえ。金管が素晴らしかった。特にホルンの首席の方はほぼ満点の出来でしょう。弦楽器の不安定な箇所もありましたが、 些細なことです。指揮の解釈としては、テンポを変えることなく、流れるように、そして、ブルックナーでは重要な休符をしっかりととり、無音の主張がなされていました。 終楽章の最後ではあまりの音圧に圧倒され、放心状態で気づいたら涙が出ていましたねえ。アマオケでこの迫力! 文句のつけようも御座いません。 感動しました。そして、この演奏会の客層も良かった。ブルックナーの静寂を楽しみ、物音一つせず!!良かった。 2014年年明け早々の演奏会で感動の涙とは・・・・。



2013年

2013.11.23

アンドリス・ネルソンス指揮 バーミンガム市交響楽団 ピアノ:エレーヌ・グリモー

曲目

ベートーベン:バレエ「プロメテウスの創造物」序曲

ブラームス:ピアノ協奏曲第1番

ドボルザーク:交響曲第9番「新世界より」

[感想記]

北九州音楽祭も今年で26回、この音楽祭恒例の海外オケを招聘しての演奏会。毎年、都合が合えば行くつもりであるが、 何故か別の用事と重なる。しかし、今年は聴きに行くことが出来た。2009年のシャイー指揮ライプチィッヒ・ゲバントハウス管以来ですか。

今年はアンドリス・ネルソンス指揮バーミンガム市交響楽団である。指揮のネルソンスは2008年にバーミンガム市響の音楽監督に就任。 恥ずかしながら、当方、このネルソンス氏を良く知りませんでした。VPOやバイエルン放送響と演奏し、録音も多くあるよう。 どうもマーラー指揮者に目がいってしまうので、マーラー交響曲を録音してもらわないと・・・・。 2014/15シーズンにはボストン響の音楽監督に就任とのこと。今後の活躍が期待されますな。 バーミンガム市交響楽団はもう20数年前でしょうか。神戸でサイモン・ラトル指揮で聴いております。しかし、当時はバブル華やかな頃で、 企業名の名の入った冠コンサートが行われ、クラッシクファン以外も会場にいて、落ち着いて音楽に浸る雰囲気では無かったこともあったのか。 あまり良い演奏会では無かったことを記憶しております。

会場1階席はかなり埋まっておりました。お客の年齢層は相変わらず高いですが。 1曲目ベートーベン:バレエ「プロメテウスの創造物」序曲 オケの音慣らしとしてはいい感じではないでしょうか。 まあここでオケの第一印象としては、ヴァイオリンの音色が透明感あるものでなく、暖色系ということ。 低弦が素晴らしいそう・・・。木管はまあまあか。ティンパニーはメリハリが効いていい。 そして、指揮のネルソンス氏の指揮振りのアクションの大きさ。分かり易いといえば分かり易い。指揮棒を使っているのか、いないのか? 右手で指揮棒を持って、振っているかと思えば、指揮棒を左手に持ち、何も無い右手で指揮したり・・・。

次はピアノ:エレーヌ・グリモーによるブラームス:ピアノ協奏曲第1番 本当はこの曲がこの演奏会の目当てである。 エレーヌ・グリモー 言うまでもなく、有名なピアニストである。まずは北九州に来てくれたことに感謝である。 さて、このブラームス:ピアノ協奏曲第1番、学生時分から良く聴いた曲であるが、約50分にも及ぶ大曲。 そして重厚な響き。男性ピアニストが弾くイメージがあるが、この難曲をグリモーがどのような演奏をするか。 正直、素晴らしい演奏だった。グリモーの技術、表現力、申し分無かった。最後まで集中力も途切れなかった。 ネルソンスと息もぴったりであった。CD録音しているだけのことはある。 オケも上手くサポートし、ピアノと渾然一体の音を作り出していた。ネルソンスも気合の入った指揮で台から落ちる程! だた、ピアノ自体の調整不良?なのか音がやや曇っていたのが残念。しかし、それを補っても余りある好演であった。 今まで生で聴いたピアニストに中でもグリモーがナンバー1かもしれん!! この演奏を聴くまでは本音を言えば、ヴァイオリンのヒラリー・ハーンの方に北九州に来て欲しかったのだが、 グリモー良かった!アンコールにも応えてくれ、ショパン:エチューヘ短調を演奏してくれた。

さて、後半はドボルザーク:交響曲第9番「新世界より」、楽しく派手に演奏するのでは?と勝手に思っていたし、 このポピュラーな曲で感動することもないだろうとタカをくくっていたのだが、良い方に裏切られた。 冒頭の「低弦」ー「フルート・オーボエ」ー「ホルン」というこの流れが実に丁寧で1音1音心のこもったものだった。 まさか「新世界」でここまで丁寧に強弱及びテンポを自然につなぎ、感動させる演奏をするとは・・・・・。 ドボルザークのこの曲を作曲した意図、表現を体現できた演奏になったのではないか。 特にオーボエの音色は当方好みであり、ホルンも素晴らしいものであったが、終楽章のソロでやらかしたのは、誠に残念。 それまでほぼ完璧であった。トランペットがやや唐突感のある音であったのは・・・。 そして、2楽章のイングリッシュホルンであるが、やや淡白な演奏。もう少しためても良かったのか。 まあ残念と思ったのは、この部分くらいだけで他は申し分なく、芸術的な演奏を「新世界」交響曲で聴けるとは 目からうろこであった。演奏後、指揮が棒を降ろす前に拍手はダメだろ。客にイエローカードだ。 アンコールはダージンズ:憂鬱なワルツを演奏。ネルソンスのスピーチと聞けた。その後、日本語の出来る?ヴィオラ奏者が曲紹介してくれた。 総じて満足のいく演奏会となった。やっぱり海外オケの技術、表現力 すごいね。 来年も北九州音楽祭 期待したものである。


2013.9.28

ゴロー・ベルク指揮 九州交響楽団 クラリネット:タラス・デムチシン

曲目

モーツァルト:歌劇「ドン・ジョバンニ」序曲

モーツァルト:クラリネット協奏曲

ブラームス:交響曲第1番

[感想記]

演奏曲目がブラームス交響曲第1番とあっては、聴きに行くしかないでしょう。指揮は2010年同じく九響で第九を指揮したゴロー・ベルク氏。 コンマスは近藤薫氏、そして、本日はモーツァルトのクラリネット協奏曲のソリストは九響の首席クラリネットのタラス・デムチシン氏。 今まで何度もデムチシン氏の演奏は聴いていますが、技術も確かで安心して聴けると思います。 ということで本日のオケ側のソロ・クラリネットはどなたがされるのか・・・・。ブラームス1番の3楽章はクラリネットが主役ですから。 そしてプログラムを見ると、客演演奏者に藤井洋子さんとのこと。藤井さんとはいえば、そうです読響の首席クラリネット奏者です。 これは大丈夫ですな。

モーツァルトの歌劇「ドン・ジョバンニ」序曲は慣らしの曲としては丁度良い。 そして、モーツァルトのクラリネット協奏曲 当方にとって、初めての生クラリネット協奏曲です。 タラス・デムチシン氏登場。技術はやはり問題無し。 オケの時でも思うのですが、感情を込めすぎというか。自分の演奏に浸っているというか。 まあただ音を並べる演奏よりは数十倍も素晴らしいと思いますが。モーツァルトの軽快さが・・・あまり感じることはできませんでしたが、 クラリネットの音のポテンシャルを体感することができましたね。 休憩中、デムチシン氏のCDを販売され、サインに長蛇の列が出来ておりました。

お待ちかねのブラームス交響曲第1番、今まで演奏会でこの曲は2005年に齊藤一郎指揮 東京交響楽団、2010年にラザレフ指揮 日本フィルハーモニー交響楽団と 今回、3度目! 当方の好みの演奏はスローテンポの重厚な演奏です。さて、どうなるか。 肝心の冒頭、良い!!このテンポ。ティンパニーも主張している。このブラ1は期待できそう。なかなか落ち着いたテンポが続く。 聴かせてくる演奏。そして、ソロ・オーボエも客演のようでセントラル愛知響の安原太武郎氏であった。上手い! しかし、ティンパニーがかなり主張してくるが、当方には好みの演奏。1楽章演奏時間は約14:30 なかなか最高のテンポ!! 当方の好むヤンソンス盤:14:30と同じ。ザンデルリングやチェリビダッケように15:00近くまでも無いが・・・。 1楽章同様のテンポで進み。演奏としては申し分無し。低弦も主張している。やはり金管が不安定。2楽章演奏時間は9:30。 さて3楽章の冒頭 クラリネットですが、ややホルンが主張気味であり、残念。3楽章演奏時間は5:10。 終楽章、重厚な演奏です。正直で九響にこれほどまでの演奏とは予想してなく、あまりの当方の理想に近い演奏に、 本当に幸せだなあと思いながら、聴いていたら、うるうるしてきて、涙が出てきました。最後はややアップテンポに。 そして、感動のうち終了。終楽章演奏時間は18:00。 なんとも全曲通じて理想的なテンポ。ゴロー・ベルク気に入った!! 今まで聴いたブラ1でも最も良い演奏だった。九響に感謝!あまりまともな感想になっていませんが、この辺で・・・。


2013.6.16

飯森範親指揮 九州交響楽団 独唱:ソプラノ 高橋薫子

曲目

ロッシーニ:歌劇「セヴィリアの理髪師」より序曲、“今の歌声は”

モーツァルト:歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」より“岩のように動かず”

マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲

プッチーニ:歌劇「ジャンニ・スキッキ」より“私の愛しいお父様”

プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」より“私が街を歩くと”

ベートーベン:交響曲第6番<田園>

[感想記]

かなり久しぶりにコンサートへ。九州交響楽団 第54回北九州定期演奏会  今回は響ホールということで中規模ホールながらクラシック演奏ホールで音響は申し分ありません。 さらに今回はオペラの独唱もあるということで、この規模のホールの方が適していると思います。

九響は一昨年のマラ9以来なんですねえ。あの時は金管の出来に閉口してしまいましたが、今回は、金管が活躍する曲でもないので安心して聞けるのでは・・・・と。 そして、指揮の飯森氏も2005年東京交響楽団のマラ9以来かあ。少し昔になりますねえ。 演奏としては総じて、弦が暖かめということといつもは上手いなあと思うクラリネットのデムチシンさんが感情を込めすぎでやや興ざめ。 さらに木管の音が弦にかき消される箇所もあり、バランスがイマイチに感じられるところもありましたが、こんなもんではないでしょうかね。 独唱の高橋さんは澄んだ声色ではありませんが、響き渡る声で、良かったです。


2012年

2012.1.8

中西哲郎指揮 北九州伯林的管弦楽団

曲目

L.アンダーソン:セレナータ

ガーシュイン:ラブソティ・イン・ブルー

ベートーベン:交響曲第3番<英雄>

−アンコール−

L.アンダーソン:ブルータンゴ

ワーグナー:「ニュールンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲

[感想記]

昨年はサッカー(ギラヴァンツ北九州)観戦を優先し、年に2回しかコンサートに行けず、反省しております。 ということで正月早々、コンサートへ行ってきました。北九州伯林的管弦楽団というアマチュアオケです。 北九州ベルリンてき管弦楽団と読みます。本家ベルリンフィルに憧れる素人の集まりオケとのことです。 年に1度、1月に演奏会が行われており、北九州に赴任になる前から気になっていたアマオケです。 北九州では大学オケを除くとアマオケは北九州交響楽団とこの北九州伯林的管弦楽団ですかね。

ということで、やっとこの北九州伯林的管弦楽団演奏会に行くことが出来ました。このオケ結成13年目とのこと。 指揮の中西氏は北九州市職員でありながら、アマオケ、吹奏楽団、高校吹奏学部の指揮、指導をされているとのこと。 確かに高校の吹奏楽部の指揮をされているのを何度もお見受けしておりました。 さて、この公演の曲目ですが、ガーシュイン:ラブソティ・イン・ブルーとベートーベン:交響曲第3番<英雄>は ベルリンフィルの創立100周年記念にコンサートに演奏された曲ということから選んだようです。かなりの意識過剰と言う気もしますが、実力の程は如何に・・・。

開演前に御着席下さいのチャイムが普通鳴るものですが、なぜか?ニュールンベルクのマイスタージンガーのフレーズがトランペットによって演奏。 テープかな?と思っていると舞台袖で演奏しているよう・・・。なかなか演出が凝っているなあ!そして、楽員の入場ですが、年齢層が高いのか。 我々と同じくらいの方が多数と言った感じ。1曲目のL.アンダーソン:セレナータですが、非常に聞きやすい曲の小曲です(you tubeにもあります)。 アマオケでは、何度も書いている気がしますが、ビオラが弱点なオケが大変多いのですが、このオケはビオラのレベルが高い。 弦楽器の安定感は素晴らしいものがあります。この1曲目で分かりました。調べてみるとこのL.アンダーソン、 あの「タイプライター」「トランペット吹きの休日」など有名曲を多数作曲している方でした。忘れてた・・・。

2曲目のガーシュイン:ラブソティ・イン・ブルー、当方にとって初めて生演奏を聞くので楽しみですが、やはり良かった。 クラリネットの吉田浩介氏は上手かった!ピアノ独奏の古賀さんをはじめ安心してラブソティ・イン・ブルーに浸ることが出来ました。良い演奏でした。

休憩後、メイン曲目ベートーベンの英雄。この曲、当方は好きな事もあって結構、生演奏聞いているような気になっていたのですが、 調べてみると、なんともまあ1988.10.24フェスティバルホールでのテンシュテット指揮ロンドンフィル以来・・・。 あのテンシュテット以来ですかあ。2回目か、たったの。それだけCDで聞いているということか。 CDではカラヤン、テンシュテット、チェリビダッケなどありますが、当方のお気に入りCDはハイティンクと朝比奈隆です。 この北九州伯林的管弦楽団は極めて通常のテンポでゆったりでも急でも無く、しかし、重厚感に欠けた感じはしました。 あとトランペットが主張し過ぎ、他の音を掻き消してはいけませんなあ。低弦も頑張って欲しかった。チェロ、コントラバスの音量もやや小さい。 まあ敢えて感じた問題はこれくらいで、あとは技術的にも問題なく、素晴らしい演奏だったと思います。

アンコールではアンダーソン:ブルータンゴ、まさかアンコールでブルータンゴが聞けるとは・・。 ブルータンゴは当方がアルフレッド・ハウゼ楽団のレコードを良く小学生の頃、聞いていましたから! そして、「ニュールンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲、アンコールにこの曲とはお腹いっぱい!!嬉しい悲鳴ですがね。 もしかして、開演前のファンファーレはこの練習も兼ねていたのか?以上、満足して家路につきました。 このオケ、レベルが高いので年に2回くらい演奏会を開いてくれると嬉しい。ドイツもの中心で構わないので。


2011年

2011.11.10

秋山和慶指揮 九州交響楽団

曲目

マーラー:交響曲第9番

[感想記]

昨年11月の北九州でのあの感動のサン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」の演奏会で 九州交響楽団の2011年定期公演パンフレット第313回定期で「マーラー交響曲第9番」を演奏すると知り、 この1年間頭の片隅ありました。行けるかどうか分かりませんでしたが、10月始めにネットでチケットを購入。本当に便利だね。

当日は仕事を午後5時ピタで終わらせ、JR小倉駅から新幹線で博多へ。そして地下鉄で天神。天神からは16番出口へ行けば、そこがアクロス福岡です。 午後6時半には会場へ到着。当方にとって九州交響楽団での初の定期演奏会です。 結構、地方公演では手抜くオケもありますが、定期公演ではそのオケの真の実力が分かるものです。 会場ではロビーコンサートとマーラー9番についての簡単なレクチャーをされていました。

アクロス福岡は昨年12月福大オケ以来ですか・・・・。何度来ても良いホールですな。 パンフレットを見ると今日の演奏会はCDになるとのこと(またまたマラ9のCDが増えてしまう)。 しかし、こう言っては何ですが、九響で大曲・難曲のマラ9を録音とは・・・、これは頑張るしかないね。

さて、当方にとってはマーラー9番のライブ演奏会は、これで7回目ですかあ(嬉しいことに結構、聴いているなあと)! 2007年10月東京芸術劇場での高関健指揮新交響楽団以来の4年ぶり。今も思い出すが、ベルティーニ@都響、高関健@新交響楽団は名演だったなあ。 3年前に千葉から転勤で福岡・北九州に戻ってきて、まさかこの地でマラ9を聴けるとは半ば諦めていたので、素直に嬉しいね。さーーて、今日の演奏は如何に?

やはり平日の演奏会ということもあってが、開演の7時を過ぎても客がちらほら入ってくる。客の入りは9割程度か。 そういえばロビーで指揮者の金聖響氏をお見受けしましたなあ。ホールにアナウンスが「この演奏会は録音するので演奏直後の拍手はお控え下さい」とのこと。 初めて聞いたぜ。まあこれでフライング拍手は抑制できるだろう。楽員入場後、コンマスは豊嶋氏。豊嶋氏は九響の桂冠コンマスとのこと。隣にはコンマスの近藤氏。 弦の並びはストバイ、セコバイ、チェロ、ビオラです。そして、指揮の秋山氏が登場。 秋山氏の指揮って結構、聴いている記憶があるのかなあと思ったが、2003年の広響以来・・・。 えーー、そんなに時間が経っていたのか。そして、7時9分に演奏開始。

本当なら、いきなりマラ9ではなく、オケの音暖めを兼ね、小曲で演奏と思ったのだが、冒頭からそれなりの音が出ていた。 テンポは至って中庸、標準的なもの。弦楽器、木管は良かったものの終始言えるが、金管の表情が乏しいのは如何なものか。 1楽章は29分、2楽章は17分、3楽章は14分、4楽章は24分。しかし、1楽章は上手くこなせた方ではないだろうか。 1楽章終了後の豊嶋氏と近藤氏のアイコンタクとで良い演奏が出来そうだという手ごたえを掴んだ仕草をしていた。 さてこの2楽章を聴かせることが出来れば一流の演奏なのだが・・。2楽章はテンポも普通で低弦の響きが良かったが、可もなく不可もない感じ。 3楽章・・・、この21世紀になって、CDを聴いて思うのだが、どのオケもこの超難曲3楽章を苦もなく演奏し、感動させてくる。 九響はどうか?テンポはやや遅め というよりか秋山氏はもっともっととテンポを上げようとしているのだが、オケがついていけない様子。 当方、注目のトランペット・ソロ・・・。正直、残念な結果に終わった。音ははずす、ピッチも不安定となっては、この楽章をぶち壊した感があるなあ。 ホルンが大変良かっただけになあ。さて、4楽章、やや押さえ気味であるが、高弦、低弦が上手く調和していた。基本アッサリとした演奏であった。 もう少し感動するかなあと思ったが、それほどでもなかった。静かに終わり。静寂の後、拍手。秋山氏は指揮台の上で楽員に拍手し、その後、客席に向け礼。 楽員も満足そうではある。まあこれも全体の演奏であるが可もなく不可もなく。ただし、トランペットは許すまじだな。まあ久しぶりに生マーラー9番を聴けたのは良かった。 次はいつにどこでどの指揮どのオケになることやら・・・・


2011.4.17

長野力哉指揮 北九州交響楽団

曲目

シューベルト:交響曲第7番「未完成」

ブルックナー:交響曲第5番

[感想記]

2011年の初コンサート!アマオケの北九州交響楽団第105回定期演奏会を聴きに行きました 。正直、2009年11月15日第102回定期演奏会にてシベリウス交響曲第2番を聴きましたが、 木管、弦楽の出来の不安定なところが気になり・・・・・・。その後の演奏会から足が遠のいていたのですが、 今回はブルックナーということで聴くことにしました。しかしねえ。それもブルックナー交響曲の中でも大曲、 難曲の交響曲第5番を演奏曲目に選ぶとは、北九響も思い切ったものだというのが失礼ですが本音でした。

会場に到着し、ここのオケの集客は以前も思ったのですが、地元に密着しているのか、かなりの人の入りです。 楽員が入場し、指揮者の長野氏の登場。長野氏はベルリンフィルにて1987年から1990年の間、 リハーサルやレコーディングに立会い研鑽を積んだとプログラムに書いており、都響や神奈川フィルなどで指揮とのこと。最初の曲「未完成」でしたが、 おっ??なかなか良いぞ!!2年前とは別のオケに変わったかと思うくらいの出来。弦楽器、木管、金管ともにほぼ完璧。テンポ、強弱と指揮に合わせ・・・・、 うーーむ、こりゃ、後半のブル5も期待してもいいかも。

チェロ、コントラバスのピチカートで始まり、ビオラ、ヴァイオリンと続く・・・・、 お!これぞ、ブルックナーの響きが。丁寧な出だしです。続く金管、特に金管楽器陣(ホルン、トランペット、トロンボーンとどのパートも)の上手さにはビックリ。 まあブル5は“金管が命”というところもあって良かったです。そして木管も上手い。しかし、所々、弦楽器の不安定さが顔を出し始め、 特に、249楽章辺りのフルート、クラリネットのやさしく刻むリズムのバックでセコバイ、ストバイが旋律を奏でるところがブル5の中でも好きな箇所なのですが、 セコバイ、ストバイの不安定さが・・・・・。1楽章の後半は凄く良かった。そして2楽章ですが、31楽章からの弦楽器のみの合奏は素晴らしかった。 気合も入っていましたねえ。3楽章あたりでは、若干、ダレてきたかなあと、(会場も緩んだ感じました。長時間の演奏でトイレを立つご年配の方、 プログラムには演奏時間を書いていた方がいいかも)しかし、崩壊することなく、金管、木管の頑張りで保っています。 そして、終楽章、再び弦楽器が持ち直してきましたが、やはり中間部では不安定に、最後の最後は、金管の迫力ある演奏でフィナーレを壮大に演奏し、終了。 ブラボーも飛び交い、大拍手。アンコールは被災者、ご遺族の方々を思い、2楽章の後半を演奏しておりました。 いやーー、このオケの出来のよさにビックリ。これならば、他のブルックナーの曲だけでなくマーラーもいけるかな?(厳しいかな?)  まあ今後の活躍に注目ではあります。


2010年

2010.12.12

ゴロー・ベルク指揮 九州交響楽団 独唱:ソプラノ 澤畑恵美、アルト 八木寿子、テノール 福井敬、バリトン 岩本貴文、合唱 北九州市民フロイデコール

曲目

ウェーバー:歌劇「オベロン」序曲

ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」

[感想記]

やはりクラシックファンにとって、1年の締めくくりは「第九」でしょう!(なかなかそうはいかないのですが・・)ということで、 九州交響楽団の第九コンサートへ行ってきました。平日ということで、早めに仕事を切り上げ、会場へ向かいました。 当日券を購入し、会場へ。おーーーお、ほぼ満員状態!! さすが、恒例行事。北九州にこれだけのクラシックファン?がいたのか・・・・・。

楽員の入場、そして、指揮のゴロー・ベルク氏の登場。ゴロー・ベルク氏は、1968年ドイツ・ワイマール生まれとのこと。バイエルン放送響、 ベルリン放送響などを指揮、昨年は都響にて第九を指揮したとのこと。2007年以降、毎年来日しているようですな。背が高く、きちっとした指揮振りです。 「オベロン」序曲ですが、これは肩慣らしといった程度でしょうか。可も無く、不可も無い演奏。そして、曲終了後、合唱メンバーの入場。 むむ、男女ともに年齢層が高い・・・、高過ぎる。おそらく平均年齢は70歳を越えているのではないだろうか(冗談抜きで)。 1楽章、なにか音楽がしっくりとこない。テンポはゆったりめで安心できるテンポであるが、どうも微妙なズレが見られ、集中できない。 しかし、一転、2楽章ではピッタリで音もまとまってきた。1楽章は別人のよう。かなり良い演奏でした。 そして、独唱の4名が登場。澤畑さんと福井氏は、あのミューザ川崎の「千人の交響曲」以来ですかね。 しかし、今年の第九は九響と競演ですか。3楽章は、何度聴いても美しい音色ですなあ。これも良い演奏でした。 4楽章が始まり、会場の雰囲気が変わってきました。独唱、合唱とまあまあの出来でしょうか。曲後、もう大ブラボーが飛び交いました。 さくら?? 指揮者もソリストも満足そうな顔でしたな。第九を堪能できたので良かった。 クラシックファンとしては今年の締めくくりが出来てよかったと思いながら家路につきました。


2010.12.12

井崎正浩指揮 福岡大学交響楽団

曲目

スッペ:喜歌劇「軽騎兵序曲」

チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」

−休憩−

チャイコフスキー:交響曲第1番「冬の日の幻想」 

−アンコール−

チャイコフスキー:眠りの森の美女 ワルツ 

[感想記]

1年に1回はアクロス福岡シンフォニーホールに行って、素晴らしい音響にふれたいということで、 昨年同様、福岡大学交響楽団演奏会へ行ってきました。 メインの演奏曲目は当方のお気に入りのチャイコ1番「冬の日の幻想」ということもあります。 指揮の井崎正浩氏は何度かテレビでの指揮を見たことがあります。スッペ「軽騎兵序曲」と有名曲ですが、 金管もなかなかの演奏でした。やはり、ここの残響はいいですなあ。チャイコフスキーの幻想序曲「ロメオとジュリエット」ですが、 結構、この曲の幻想的というか神秘的なイメージの曲なのですが、なかなかゆったりとしたテンポで表現出来ていたと思います。 指揮の井崎氏も丁寧にゆったり完璧な指示でした。休憩後のチャイコフスキーの交響曲第1番「冬の日の幻想」ですが、 この曲もゆったりとしたテンポで進みますが、ところどころビオラの不安定さが目立ったのが残念。 2楽章の木管ソリストのやりとりが象徴的なのですが、結構、良かったのですが、後半、オーボエの音程が不安定でしたな。ホルンは完璧でしたよ。 まあ無難に演奏が終わった感じでした。アンコールは眠りの森の美女のワルツで華やかに終了となりました。短い感想となりましたが、 特筆すべき点も無くといったところでしょうか。

2010.11.27

ロッセン・ゲルゴフ指揮 九州交響楽団 ヴァイオリン:矢野玲子

曲目

ワーグナー:「ニュールンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲

−休憩−

サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」 

[感想記]

23日、当方が本城陸上競技場でホーム最終戦「ギラヴァンツ北九州vsサガン鳥栖」に行っている時間に、 ここ北九州ソレイユホールでは、北九州国際音楽祭パーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団で オール・ベートーヴェン・プログラムが鳥肌ものの名演だったらしい・・・・・・。さて、「九州交響楽団第49回北九州定期演奏会」に行ってきました。 このコンサートの予定が発表された時点で、これは這ってでも行くべきものと思っていました。 「ニュールンベルクのマイスタージンガー」に「チャイコのヴァイコン」「オルガン付き」ともう当方にとっては好み、好みの選曲でして!!  ましてや、北九州ソレイユホールにあるパイプオルガンでサン=サーンスの「オルガン付き」が聞けるなんて・・・。 夢のようです(いつかは演奏してくれればなあと思っていたので)!!

九州交響楽団は昨年6月に聞いて、レベル感は掴んでいたのですが、これらの曲は無難に演奏してくれるものと思っていました。 楽員の登場で、あれ?フルートの首席が外人!トーマス・シュミット氏が入団されたとのこと。指揮のロッセン・ゲルゴフ氏 うーむ、若い!  1981年ブルガリア生まれ。バンベルク交響楽団、ウィーン交響楽団などを指揮し、日本では  2009年5月には大阪センチュリー交響楽団、群馬交響楽団で日本デビュー。2010年は神奈川フィルハーモニー管弦楽団、京都市交響楽団、九州交響楽団、 札幌交響楽団に客演と結構、日本に来ているようですな。

一曲目、「ニュールンベルクのマイスタージンガー」前奏曲ですが、イマイチ、迫力が無い。大人しい演奏。速度も速め。ヴァイオリンの音が濁っている・・・・。 しかし、首席クラリネットや首席ファゴット、さらにフルートなど、要所要所で木管が聞かせてくれるこのオケ!! 何故か知らんが、涙が出てもうた!  やっぱり、この曲が好きなんだなあ。

次は、チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ソリストは矢野玲子さん 北九州出身で4歳からヴァイオリンを始め、2000年、東京芸術大学音楽学部入学。 2001年、フランス政府給費を取得し、パリ国立高等音楽院入学。現在パリを拠点にヨーロッパ、日本にて演奏活動中とのこと。 冒頭の弦ですが、うむ、かなり透き通ってきたなあ。 矢野さんですが、なかなか高音が伸び、緩急、強弱と感情表現豊かな演奏です。 やや難を言えば、低音が音量が不足気味になることですかね。オケもソリストを引き立てる演奏に終始し、かなり良い協奏曲演奏になったと思います。 終了後、大きな拍手が続き、小曲ですが、アンコールを演奏してくれました。

休憩に入り、その間にパイプオルガンのウォームアップですかね。音を出しておりました。 おーーー、やはりパイプオルガンは良いねと思いながら、ゆったりとしておりました。 そして、お待ちかねの20年ぶりの生「オルガン付き」 オルガニストは鈴木隆太氏です。 冒頭から、透明感には、やや足りないものでしたが、繊細な響で、もう当方は完全に音に浸っておりました。 ゆったりとした良い心地のテンポ!! この頃から涙が止まらなくなって・・・・。つぼにはまったのか?琴線にふれまくったのか?頬に涙が落ちる・落ちる・・・。 1楽章2部のゆったりとした優しさに溢れた旋律とオルガンの音色 幸せ以外の何ものでもない状況でしたな。 2楽章は力強く、1音1音を丁寧に演奏し、オルガンも存在感ある演奏でよかった。まさに音を体感!!しました。終了後、会場からは大拍手!! アンコール無しでお開きとなりましたが、指揮のロッセン・ゲルゴフ氏ですが、なかなかの実力を持っていると感じました。 九響はその23日にアクロス福岡でマーラー「巨人」を演奏しており、時間の無い中、「オルガン付き」を上手く演奏したものだと思っていたら、 9月に演奏してたんですな。フォーレのレクイエムとともに・・・。当方が聴きに行きたかった演奏会だった。思い出した。  そうそう、会場では来年度の九響の定期演奏会プログラムが配られておりましたが、 なんと!なんと!2011年11月10日第313回定期で「マーラー交響曲第9番」を採り上げるとのこと。へーーーー、九響がマラ9を!! 昨年の感想で「悲劇的」は厳しいねと書いたのだが・・・。マラ9は如何に!


2010.11.7

マリオ・コシック指揮 スロヴァキア放送交響楽団

曲目

シューベルト:交響曲第8番「未完成」

ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」

−休憩−

ドボルザーク:交響曲第9番「新世界より」 

−アンコール−

渡辺俊幸:「利家とまつ」

[感想記]

約半年振りにコンサートです。ホールは正式名称<アルモニーサンク北九州ソレイユホール>です。 旧厚生年金会館が大幅改修し、リニューアルしたものです。確かに会場内の床や椅子などは綺麗になっていたような・・・・・。 今回のオケは、外国オケでスロヴァキア放送交響楽団です。スロヴァキア放送交響楽団ですが 、特にCDを多くリリースしているわけでもなく、歴代の常任指揮者も著名な方がいないような・・・・。 今回の指揮者は、現在の首席指揮者マリオ・コシックです。当方の全く存じ上げない方でした。 このコンサート、新聞、TVを初め、何の宣伝も無く、北九州ソレイユホールのサイトでも宣伝は無く、北九州市の市報(文化事業版)のようなもので見つけたものです。 ここまで、宣伝の無いコンサートも珍しいのではないでしょうか?チケット代ですが、S席で\9000で、オケや指揮者のネームバリューからいって、正直、高いでしょう。 これなら国内オケを2回聴きに行った方が良いように思われますが、まあ実力の程は如何に・・・。

曲目は「未完成」「運命」「新世界」ともうベタベタの曲ばかりですなあ。 まあ、ここまで有名曲が並ぶというのも、東欧の単なるドサまわりオケなのかなあという思ってしまいます。 パンフレットの購入し、このオケの来日公演のスケジュールを見てビックリ!! 10月16日の茨城県民文化センターを皮切りに、11月21日の東京オペラシティまでの1ヶ月以上もの計31公演。おいおい、これだけ本拠地を離れ、日本での公演って・・・。 楽員の疲労もさる事ながら、1公演、1公演に懸けるモチベーションも低くなるのかなあとも勘ぐってしまいます。 ステージに並んだ椅子の数を見て、オケも思いのほかのフルオケにしては小編成のようです。これでは、マーラーやブルックナーは無理でしょうなあ。 例えば、コントラバス5名、チェロ6名などなど。

開演前は、会場前に結構の客が入たので、「おっ!宣伝無しでも結構、客が入るなあ。 北九州のクラシックファンも捨てたもんじゃないな」と思いながらホール入りましたが、実際は宣伝していないこともあってか3、4割くらいの寂しい入りとなりましたなあ。 やっぱり、こんなもんですな。

さて、指揮のマリオ・コシックは背が高く、指揮台無しでの指揮です。「未完成」ですが、 この曲では、結構低弦の存在感が重要と思っているのですが(当方のお気に入りはヴァント@北ドイツ放送響の日本公演)、 案の上、低弦のアピールは小さく、物足りないものでした。まあ美しさはあるにはあったのですが。次の「運命」ですが、 これも時代の流れでしょうかねえ。例のごとくアッサリな演奏でした。まあこのような演奏でも、3楽章と4楽章のブリッジ部には、緊張するよなあ。 曲後、ブラボーが飛んでいましたが、当方は拍手無しですわ!!弦や木管はともかくホルンがヘロヘロ過ぎる。

さて、後半の「新世界」ですが、恥ずかしながら、この超有名曲ですが、生で聴くのは初めてでした。やっぱり、2楽章のイングリッシュホルンに注目ですな。 冒頭から、うむ??前半とは音が異なり、言いすぎですが、音が豊かになった気がします。 2楽章のイングリッシュホルン、最初は乾いた音色だったのですが、途中から郷愁ある音で、うるうるきてしまいました。会場も息を呑み、聞き入っていました。 4楽章でもホルンはヘロヘロ!!こりゃ、プロレベルじゃねえな。しかし、まあ合格の演奏かな?? アンコールは、てっきり、ドボルザーク交響曲6番の3楽章という情報があったのですが、実際は・・・・・・。 おっ!!最初の1小節で「利家とまつ」のテーマと分かりました。2002年の大河ドラマです。当方にとっては、超お気に入りでしたね。 日曜日には夕方5時には風呂に入り、6時からのハイビジョンで酒を飲みながら、「利家とまつ」を見るのが、最高でしたねえ。まあ演奏は良かったですよ。 感動しました。なぜ?この選曲かは分かりませんが。

演奏会後の感想ですが、9000円は高いね。それと過密スケジュールでオケのモチベーションも低いね。とりあえず、演奏しておこうという感じでしょうか?? オケのレベルとしては、間違いなく在京オケの方がレベル高いです。都響、読響、N響あたりでこの曲なら、もっと良い演奏を確実にしてくるでしょう。 まあ、日本でお金をたんまり稼いでお帰り下さい。


2010.5.23

寺岡清高指揮 下関市民オーケストラ ソプラノ:江崎桃子

曲目

ベートーヴェン:交響曲第1番

−休憩−

マーラー:交響曲第4番 

[感想記]

昨年もこの下関市民オケを聴き、レベルの高さに驚いてしまったのだが、 今年の曲目は、マーラー生誕150年ということで「交響曲第4番」を採り上げ、なかなか精力的なことです。 そして、先ほども述べたように、このオケなら、かなりのパフォーマンスで演奏してくれると思います。 改めて指揮の寺岡氏ですが、昨年も指揮し、かなり結びつきが強いようです。 この寺岡氏、現在、大阪交響楽団の正指揮者という・・・・っえ、大阪交響楽団って、大阪シンフォニカー交響楽団が名称変更したとのこと。 知りませんでした。そして、ソプラノの江崎桃子さんですが、福岡県を中心に活動されており、愛知県立芸術大学卒業後、 ウィーンへ留学、グスタフ・マーラー音楽院で学ばれているとのこと。おーー、マーラー音楽院!!期待できそうっと勝手に思っております。

当日、あいにくの雨ですが、嬉しいことにJR下関駅から濡れずに会場へ行く事ができます。しかし、昨年よりは客が少ないような気がします。 さて、前半のベートーヴェン交響曲第1番ですが、やはり予想通りのしっかりした演奏で満足なものでした。解釈もアッサリめではなく、とはいえ、 重厚な感じでもなく、中庸な解釈でした。休憩後、マーラー交響曲第4番ですが、当方にとって<クラシック徒然草>でも書きましたが、 これでマーラー交響曲(大地の歌を除く)全曲をコンサートで聴くことが出来ました。まあ、1つの目標を達成した気がします。 特に第8番の「千人の交響曲」はなかなか聴けないと思っていたのだが、インバル指揮都響で聴けたのはラッキーでした。 最後に残っていたのは、「巨人」と4番ですが、「巨人」は昨秋、シャイー指揮ゲヴァントハウスで聴き、最後の最後、 この下関市民オケで、この4番を聴くことが出来ました。

冒頭の鈴の音から、マーラーの世界ですよ!!1楽章は文句なし。やっぱり、「マーラーはいいわーー」と思ってしまいました。 2楽章、3楽章では、チェロの不安定さが目立つがまあ仕方ないでしょう。金管(特にホルン)はよかった。木管は言うまでも無く、安定していました。 そして、3楽章の後半で、声楽の江崎さんがゆっくりとそろりとステージ中央に・・・。そして、4楽章へ。声楽付きは、やはりコンサートで生で聴かないと。 会場もしーんと声楽に聴き入っていまいた。バックのオケもバランス良く、良かったです。声質としては、やや太めのソプラノで、 当方としては「ルチア・ポップ」が最高なのですが・・・。そして、曲後、異様に静寂が続く・・・。おい!皆拍手を遠慮しているのか?? 曲の終わりを知らんのか?? 当方が最初に拍手しましたよ。素晴らしい演奏でみんな満足そうです。さすがにアンコールは無しでした。 このようなレベルの高いオケなら、年2回くらい定期演奏会してくれても良いのに。来年の曲目が楽しみになってきました。


2010.2.20

ラザレフ指揮 日本フィルハーモニー交響楽団 ピアノ:小山実稚恵

曲目

ウェーバー:歌劇「オイリアンテ」序曲

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番

−休憩−

ブラームス:交響曲第1番 

−アンコール−

ブラームス:ハンガリー舞曲 第5番

[感想記]

日本フィルの九州公演シリーズの中の公演です。日本フィルの九州公演も35周年とのこと。 九州では福岡、鹿児島を初め11公演。うちの近所では、この20日の田川公演と21日の北九州公演が気楽に行ける場所です。 これだけ近所ということもあり、プログラムを変えており、この田川では、小山実稚恵さんのチャイコのピアコンにブラームス交響曲1番、 北九州のメインは神尾真由子さんのメンコンにチャイコフスキーの「くるみ割り人形」となっております。当方、どちらに行こうか迷いました。 田川でブラ1を聴くか、北九州で神尾真由子さんを聴くか。小山実稚恵さんは今まで2回演奏を聴く機会があったので、 神尾真由子さんのヴァイオリン演奏に惹かれたのですが、一昨年、首席指揮者となったアレクサンドル・ラザレフ氏の来九州とあって、 田川でブラ1を聴くことにしました。この田川公演は21回目とのことです。

会場の田川文化センターですが、JR日田彦山線の田川後藤寺駅から徒歩で行きました。 徒歩12,3分といったところでしょうか。当日券を購入したのですが、当日券の売り子がお年寄りのボランティアで、耳が遠く、さらに目も悪く、 チケットと購入するもの一苦労でした(笑)。これがボランティアによる運営なんだなあと実感! 会場に入るとロビーコンサートが行われており、 ホールの中へ。ホールは1階のみのキャパは800名くらいのホールでしょうか。

演奏の方ですが、アレクサンドル・ラザレフ氏のダイナミックな指揮振りでウェーバーの歌劇「オイリアンテ」序曲を演奏。 演奏の最後は、ラザレフ氏が客席の方を向き、演奏を終了するという何ともまあパフォーマンス。そして、投げキッスの連発で陽気なこと。 続いて、小山実稚恵さんのチャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番です。乾いたホルンの音で、小山さんのピアノは丁寧で感情の入った良い演奏だったと思います。 一方、オケの方は、弦楽器の音に透明感は無く、ざらついた印象。木管はオーボエは良かったと思います。 確かに、コンサートホールの音響は悪い部類に入るとは思いますが、 やはり日本フィルの印象は変わりませんね(これで3度目のコンサートですが、日本フィルのレベルというものが分かってきたような気がします)。

休憩後、お待ちかねのブラームス交響曲第1番。 以前の齊藤一郎指揮の東京交響楽団を聴いた時、あまりのアッサリ演奏で閉口してしまったのですが・・・・。 さて、冒頭ですが、うーん!なかなかのゆったりテンポで○、ただし、ティンパニーの音は強いものの低弦の主張が足りない。 そして、それぞれの音が分離してて、あの独特の重厚感が出ていない。しかし、ラザレフ氏の解釈は良かった。 終楽章の有名なホルンソロもやはり音が乾き豊潤さが無かった。フルートも音に伸びが感じられず。 しかし、感動したけどね。その後の第九の「歓喜の歌」に似ているといわれている? 第1主題からがテンポが急に速くなり、一気にコーダまで!!音も大音量にならず、迫力不足だったねえ。

アンコールでは、ブラームスのハンガリー舞曲 第5番を時には、客席の方を向き、指揮をしながら演奏し、終了。 陽気に何度も挨拶し、投げキッス連発。その後、楽員の方からの九州公演に関する挨拶があり、お開きとなりました 。終演後、日田彦山線で帰路についたのですが、同じ列車には日本フィルの楽員の方も乗られていました。 ご苦労様です。さて、今年のコンサート聞き始めでしたが、今年は何回コンサートへ行く事が出来るのでしょうか?




2009年

2009.12.13

福田隆指揮 福岡大学交響楽団

曲目

サン・サーンス:歌劇「サムソンとデリラ」より「バッカナール」

スメタナ:連作交響詩「我が祖国」より「ボヘミアの森と草原から」

−休憩−

カリンニコフ:交響曲第1番

アンコール ドボルザーク:スラブ舞曲1番

[感想記]

またまた「アクロス福岡シンフォニーホール」へ。本当に良いホールです。惚れ惚れします。 今回は「福岡大学交響楽団 第38回定期演奏会」を聴きにきました。 メイン曲目は<カリンニコフ:交響曲第1番>と良いプログラムを選曲してくれるものです。福岡の大学オケは・・・・・。会場の入りは6割程度でしょうか。 3階席は開放していませんでした。楽員が入場。楽員の比率はやはり女性が多いのですが、先日の産業医科大オケよりは男性が多いか。 コンサートマスター(コンサートミストレス)は女性の方でした。九大、産業医科大とコンミスでしたので、3大学ともコンミス。これは偶然???  指揮の福田隆氏が登場。1曲目はサン・サーンス:歌劇「サムソンとデリラ」より「バッカナール」です。 アラビア風の音楽ですが、オケは上手く雰囲気を出し、演奏していました。この曲で福大響のレベルの高さが感じられました。 曲後、複数名の楽員が交代。プログラムを見れば、総楽員メンバーが記載しているのですが、かなりの大人数、さすが総合私立大学!!  次の曲は、スメタナ:「我が祖国」より「ボヘミアの森と草原から」、 旋律美とダイナミックな曲が繰り返される曲で当方が大学時分に良くCDで聴いていた曲であるが、テンポ及び解釈が到って標準なもので、 安心して音楽を楽しむことが出来ました。

メインの「カリンニコフ:交響曲第1番」ですが、本当に良い演奏で、弦楽器のレベルの高さは驚きで、 一部、ホルンの不安定さが他のパートが良かっただけに目立ってしまったのですが、アンサンブルや強弱の統一感と感心させられました。 特に1楽章と終楽章の出来は、秀逸でした。1楽章の後半部は、完璧!!で終了後、これは拍手ものだなあと思っていると、実際に拍手が沸き起こっておりました。 2楽章のハープとイングリッシュホルンも良かった。3楽章では、やや弦の音程が微妙なところもありましたが、素晴らしい出来でした。 十分に「カリンニコフの世界」に浸ることが出来ました。アンコールでは、こりゃまた九大フィルと同じドボルザーク:スラブ舞曲1番でした。

ここ1ヶ月立て続けに学生オケを聴き、「リムスキー=コルサコフ(シェヘラザード)」「ボロディン(交響曲2番、イーゴリ公)」 「カリンニコフ(交響曲1番)」と、もうもうエキゾチックなロシア音楽に浸りまくり!! これらの曲ってなかなかプロオケが採り上げてくれない。 マーラー、ブルックナー、ベートーヴェン、ブラームスなども良いが、これらの曲がもっともっと演奏されてもいいはず。 しかし、何ともまあ幸せな限り。総じて、学生オケの印象なのですが、個々の技術のレベルの違いはあるにせよ。 アンサンブル、テンポ、強弱という音の統一感は、感心させられるものがありました。やはり日々練習し、意思疎通をしている利点が出ているように思います。 社会人のオケよりもこの点では学生オケに軍配を上げたいと思います。ともかく福岡の学生オケのプログラムに感謝!感謝!  来年も期待しております。


2009.12.5

栗田哲海指揮 産業医科大学管弦楽団

曲目

ボロディン:歌劇「イーゴリ公」序曲

ボロディン:歌劇「イーゴリ公」ダッタン人の踊り

−休憩−

ボロディン:交響曲第2番<勇者> 

アンコール ビゼー:カルメン

[感想記]

今回は「響ホール」にて産業医科大管弦楽団第25回定期演奏会へ聴きに行きました。 北九州市民でクラシックファンならば、「九州厚生年金会館(ウェルシティ小倉)」「北九州芸術劇場」「響ホール」が3大ホールでしょう。 ということで、唯一、行っていなかった「響ホール」で産業医科大管弦楽団がオール・ボロディン・プログラムを演奏ということで、行ってきました。 「響ホール」は1993年7月に開館したとのこと。JR八幡駅から徒歩8〜10分のところにあり、「北九州市立国際村交流センター」内をくぐり、ホールへ到着。 ロビーでは、産業医科大管弦楽団のメンバーが室内楽のロビーコンサートを行っていました。しかし、弦楽器の音程がやや不安定。 これは、コンサートにて・・・・と不安がよぎります。そして、ホールへ入ると1階は、「狭っ!!」と思ったら、2階席が多くあり、ビックリ。 ホールは客席数720席。シューボックス型のホールで、音響を重視した設計となっており、残響は1.8秒とクラシック専用ホールです。 アクロス福岡を一回り小さくした感じで、大阪でいえば、<いずみホール>のようなものでしょうか。 ただし、違うのが、大体、このような中規模ホールでは、ほぼ1階席が大半なのだが、この<響ホール>は 1階席、2階席がほぼ半々になっているところが特徴でしょうか。

会場の入りは5〜6割程度でしょうか。楽員が入場。女性が圧倒的に多い。金管も女性が主体です。指揮の栗田哲海氏が登場。 1曲目、歌劇「イーゴリ公」序曲を演奏。序奏の後、金管のファンファーレでもうヘロヘロというより、音程が一定していない。 弦楽器は良かったと思います。ホルンもアップアップでした。木管も弱音時は良いのですが、強音時に音が棘々しくなる。 曲後、間が開き・・・・。うーーん?誰も拍手をしない??当方が最初に拍手してしまいました。 おそらく、観衆の方々はこの曲をご存知無い方ばっかりだったのかな?  次に、超有名曲「ダッタン人の踊り」、この曲はかなり出来が良かったように思いました。 オーボエもね。このホールも「アクロス福岡」同様、残響が良い感じ。北九州市にも良いホールがありますねえ。そして、休憩へ。

そして、交響曲第2番、プログラムを見ると、副題に<勇者>と書いてある。このプログラムを見るまで、この曲に副題が付いていたとは知りませんでした。 恥かしい限りです。好きな曲なのに!!基本的にこの曲でも弦楽器、木管、金管の印象は前半の曲の演奏と変わりません。ただし、テンポがかなり速めで良かったです。 通常、演奏を確実にするために、アマオケでは、異様に遅くすることもあるのですが、このオケでは、きっちりをテンポをとり、指揮の栗田氏の意気込みが見えました。 解釈は、重々しいもので、少しボロディンのイメージと違うかなと思いました。アンコールでは、ビゼーのカルメンともう1曲(分からず)を演奏し、終演となりました。 ボロディンの曲って、ヴァイオリンのソロなど、皆無に等しく感じたですが、気のせいかな?

産業医科大という単科医科大でオケのメンバーを揃えるだけでも大変で苦労も多いと思います。 さらにオール・ボロディン・プログラムというコンセプトある内容で良かったと思います。とにかく産業医科大管弦楽団に感謝。  あっ、そうそう、オール・ボロディン・プログラムと言うからには、もう1曲、忘れていませんか??  「中央アジアの草原にて」は演奏されず、この曲があれば、もう当方ではパーフェクトと思っていたら、この曲は昨年演奏したようで・・・・。


2009.11.23

荒谷俊治指揮、堤俊作指揮 九大フィル ヴァイオリン:篠崎史紀

曲目

廣瀬量平:新大学祝典序曲

リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェヘラザード」

チャイコフスキー:パ・ド・ドゥ 

−休憩−

ドボルザーク:交響曲第8番 

アンコール ドボルザーク:スラブ舞曲 1番

[感想記]

福岡でのクラシックの聖地である「アクロス福岡シンフォニーホール」へ行ってみたかったのと20数年ぶりの九大フィルの演奏を聴きたくて、この演奏会を訪れた。 「アクロス福岡シンフォニーホール」は、今年でもウィーンフィルやバイエルン放送響が演奏したりと福岡のクラシックファンにとってはお馴染みのホールである。 この「アクロス福岡シンフォニーホール」は、1995年4月開業とのこと。当方が子供のころは、福岡のコンサートホールといえば、福岡サンパレスだったのだけど・・・。 この「アクロス福岡」は旧福岡県庁跡地に出来たとのこと。へーー、当方が小学4年のときに、社会科見学で福岡県庁を訪問したのだが、 まさかこの地に「アクロス福岡」があるとは・・・。地下鉄天神駅16番出口に直結しており、少し歩くが分かりやすい。ホールは3階建てで、 直方体のシューボックス型ホールである。そして、1階の傾斜が小さく少し見づらい。しかし、しかし、音響は最高でした。当方にとって、 この「アクロス福岡シンフォニーホール」と「シンフォニア岩国」がクラシックホールとしては双璧だなあと感じました。 「サントリーホール」「ミューザ川崎」「みなとみらいホール」なども良いのですが、それを上回る心地良い残響具合です。

この九大フィルですが、当方にとって<初オーケストラ>を聴いたのが、 このオケでして、高校時分学校帰りに友人と九州厚生年金会館でこの九大フィルを聴きました。このコンサートについて、 九大フィルのHPの演奏会史に記載があり、

第134回定期演奏会
1985/06/05(水)九州厚生年金会館ホール(第23回北九州)
ニコライ 喜歌劇「ウィンザーの陽気な女房達」序曲 
ストラヴィンスキー バレエ組曲「火の鳥」(1945年版)
ベートーベン 交響曲第5番「運命」(改訂版) 
指揮:堤俊作 

これが、当方の初オーケストラの曲目です。ここには記載がありませんが、アンコールは「スターウォーズのテーマ」を演奏したと記憶しています。 それ以後、何十回もオーケストラのコンサートに行きましたが、やはりこの初コンサートは忘れられません。

本日の演奏会でも指揮に堤俊作氏の登場とは、本当に感慨無量です。この堤氏が当方にとって初めて見た指揮者ですから・・・・。

と、「アクロス福岡シンフォニーホール」へ行ってみたかったのと20数年ぶりの九大フィルの演奏を聴きたくてとの動機で来てみると、会場は人人人の超満員!! 本日のコンサートは九大フィルの創立100周年記念コンサートとのこと。創立100周年のオケとは歴史と伝統ですなあ。 その証拠に、ベートーベン交響曲第1番(日本初演)、メンデルスゾーン交響曲第4番「イタリア」(日本初演)など、 そして有名なベートーベン第九の4楽章の邦人による日本初演を行ったのもこの九大フィルとのこと。

学生に続き、指揮の荒谷俊治氏の登場。荒谷氏は日本指揮者協会会長で九大フィルとは1950年代から指揮をされており、まさに<ザ・九大フィル>でしょう。 初めの曲は、廣瀬量平作曲の新大学祝典序曲でこの曲は九州大学創立100周年記念にて作曲された曲であり、この演奏会にはもってこいの曲である。 2003年作曲の曲であるが現代音楽のような不協和音も無く、祝祭的な明るい曲であった。この演奏で九大フィルのレベルの高さが分かり、 次の「シェヘラザード」が期待出来ると感じた。そして、ヴァイオリンのNHKコンマスの篠崎史紀氏の登場。音合わせ後、コンマス席へ座り、指揮の堤俊作氏の登場。 やはり当たり前ですが、歳をとられたなあと、高校時分のときは、若く溌剌とした指揮振り(指揮振りは変わっていませんが)であった記憶があります。 篠崎史紀氏は九大フィルとの関係が深く、中学生のときに九大フィルと競演されたとのこと。たしかに、第119回定期演奏会  1977/12/15(木)戸畑市民会館(第16回北九州)と1977/12/16(金)福岡市民会館にヴュータン:ヴァイオリン協奏曲を演奏されたHPに記載があります。

リムスキー=コルサコフの「シェヘラザード」ですが、言わずと知れた超名曲で、名旋律がこれでもか!これでもか!と出てきます。 はっきり言って、<九大フィル、完璧>の演奏でした。ヴァイオリンソロの篠崎氏はもちろんのこと、各パートが最大、最上のパフォーマンスでした。 ヴァイオリン、チェロは金メダル級の出来。特に、篠崎氏がストバイのみならず、セコバイにも目を配り、ヴァイオリンパートと統率し、さすがだなーーーと! 感心したのが、チェロのソロ。もううまいのなんのって。篠崎氏も演奏後、褒めていたのでは?  木管、金管も安定感ある演奏で、マジで「シェヘラザード」(千夜一夜物語)の世界を堪能することが出来ました。感動ものでした。 ホールの残響あるマイルドな響きもアシストしていました。さすがにハープは客演の方がなさっていました。 おそらく、後半の曲である「ドボ8」よりも練習したものと推察します。演奏終了後、大拍手。あくまでも篠崎氏はコンマスとしてでしたので、 指揮者の堤氏のみが何度がステージに出たり、入ったりしていました。そして、堤氏がせっかく篠崎氏が客演されたので、 アンコールとして、もう1曲とチャイコフスキーのパ・ド・ドゥを演奏してくれました。

後半はドボルザーク交響曲第8番。指揮は荒谷氏。ゆったりとした出だし、そしてフルートのソロ、この音がまた会場内にまろやかに響き渡り、 アクロス福岡の音響の良さを認識。そして、聴き進むうちに、どうも縦線がずれたり、旋律のスムーズさに欠けたりしたところが一部、見受けられ、 前半の出来よりはイマイチであった気がします。ヴァイオリン、チェロは素晴らしく、特にヴァイオリンの音色は、透明感あるものでした。 そして、木管も素晴らしく、特にフルートのソロの方は最高でした。上手すぎだね!!  金管も頑張っていましたが、4楽章の出だしでちょっと失敗でしたが、十分でしょう。強音部でも音が混濁することなく、まとまっていたのには感心。 終演後、ブラボーと大拍手! アンコールでは、ドボルザークのスラブ舞曲1番、そして、ステージ脇から堤氏と篠崎氏が登場し、 堤氏はコントラバス、篠崎氏はヴァイオリンで曲を演奏するという豪華なアンコール。そして、九大フィルの創立100周年記念コンサートは幕を閉じました。

学生オケで皆、情熱を持って音楽に全力投球して姿は良いものだなあと。 完全におじさんモードですが、良いコンサートでした。会場にも多くの学生の姿が見られ、この中でクラシック音楽のファンが増えてくれれば、 日本のクラシック音楽も安泰だなあと思うのですが。幸い福岡には多くの大学オケがあるようなので、足繁く聴きに行ってこようと思います。


2009.11.15

田中一嘉指揮 北九州交響楽団

曲目

ラベル:古風なメヌエット

ハチャトゥリアン:組曲「仮面舞踏会」

−休憩−

シベリウス:交響曲第2番 

アンコール ヨハン・シュトラウス2世  美しき青きドナウ

[感想記]

北九州にもアマオケは無いのかと調べていたところ<北九州交響楽団>と<北九州伯林的管弦楽団>とあるようでして・・・・。 その中でも<北九州交響楽団>は50年もの歴史のあるアマオケとのこと。いやーー全く存じ上げませんでした。 この夏<下関市民オケ>のレベルの高さに感服し、地方都市アマオケ恐るべし!!と認識させられたので、 この<北九響>もレベルの高い演奏を聴かせてくれるのでは・・と期待し、北九州芸術劇場へ。

何と会場は、ほぼ満員。プロの九州交響楽団よりも集客力がある。このオケはコンミスで中島香春さんという方。 前半の曲ですが、初めて聴くのでよく分かりません。ただし、オケのレベルはおよそ見当がつきました。 ハチャトゥリアンの組曲「仮面舞踏会」の第2曲では、コンミスのソロがあるのですが、 なかなか上手い方だなあと桐朋学園大学音楽科ヴァイオリン専攻を首席で卒業とのこと。そりゃ、上手いはずだ!! 後半のシベリウス交響曲第2番、言わずと知れた有名な曲です。 はっきり言って超スローテンポというより、このテンポじゃないと演奏出来ないという感じ(演奏時間が50分超え)。 指揮者の田中さん、ご苦労様でした!!第4楽章は、よっぽど練習したのでしょう。上手くまとめました。雄大な演奏でした。 このオケも他のアマオケのようにビオラ、チェロが不安定であるのと、珍しく金管が素晴らしいと反比例して、木管が不安定。 大体、吹奏楽文化の影響でどのアマオケも木管が上手なのに、このオケは、木管が・・・・(ソロパートの方はそこそこですよ)。 アンコールの美しき青きドナウなんか、練習不足でしょうーーーと。もう少しレベルが高いかなあと思ったのにーーなあーー。 年2回定期演奏会を行っている精力的なアマオケですので、さらなる精進を期待します。


2009.10.29

リッカルド・シャイー指揮 ライプチィッヒ・ゲバントハウス管弦楽団 ヴァイオリン:アラベラ・美歩・シュタインバッハー

曲目

モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3番

アンコール クライスラー レチタティーヴォとスケルツォのカプリース

−休憩−

マーラー:交響曲第1番「巨人」 

[感想記]

本コンサートは<2009北九州国際音楽祭>での1プログラムであるが、この音楽祭では毎年、海外オーケストラを招いているようで、 一昨年はエッシェンバッハ指揮パリ管弦楽団で幻想交響曲を演奏したようだ。 この音楽祭は、1988年に北九州市が市政25周年記念事業として開催されたとのこと。 どおりで当方が知らないはずか・・・・。 今年は、シャイー指揮ライプチィッヒ・ゲバントハウス管弦楽団を招き、他にも「時の人 辻井伸行氏」のピアノリサイタルも行われ、 この音楽祭は、演奏会だけではなく、教育の一環も兼ね、幼稚園、小学校、中学校の鑑賞教室を開いており、 先日、うちの娘も弦楽アンサンブルのコンサートを聴きにいった。これからも続けて欲しい音楽祭である。

さて、会場のウェルシティ小倉(九州厚生年金会館)であるが、本当に久しぶりであり、 高校生時分以来ということで、はぼ四半世紀ぶり?です。そのときは、学校の帰りに制服のまま、 九大フィルの演奏会へ行った記憶があり、その時は、まだ開館間もない九州厚生年金会館で、パイプオルガンも設置され、 北九州市民にとって誇るべきホールでした。久しぶりでロビーは古さを感じさせるものの会場内はまだまだ古さを感じさせないものでした。 NHKホールの方が古さを感じさせます。会場に入り、プログラムを1000円で購入。 プログラムを見て、何ともハードスケジュール、27日のサントリーホールから、11月4日のNHKホールまで、休みは31日だけ。 このウェルシティ小倉にも開場の少し前に到着したようだ。前日は名古屋で演奏会、明日は宮崎へ行くという。 会場の入りは、1階席が7割、2階席は3,4割といったところか。まあ地方ではこんなものでしょう。

ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団はご存知の通り1743年発足の歴史と伝統のあるオケで、 ニキシュ、フルトヴェングラーやワルターなど錚々たる指揮者のもと演奏しており、一流オーケストラであるのは間違い無いだろう。 しかし、クルト・マズアの率いる東ドイツのオケというイメージがどうもまだ残っていて・・・。 東西ドイツ統合後の印象がまだつかみきれていないのだが、1998年よりブロムシュテットが2005年よりリッカルド・シャイーがカペルマイスター(常任指揮者)となり、 期待できるオケである。一方、リッカルド・シャイーは現在、59歳であり、当方としては改めてプロフィールを見て、まだ若ったのだなあと感じてしまった。 シャイーといえば、VPOとのチャイコフスキー5番との演奏にてメジャーとなり、1982年から1989年までベルリン放送交響楽団、 1988年からはコンセルトヘボウ管弦楽団の常任指揮者と着実な活躍で、当方は、ベルリン放送響との1986年のマーラー10番(クック版)のCDが印象的であり、 マーラーを始めとする数々のCDはご存知の通りであろう。今回のマーラー「巨人」の演奏ということで、非常に期待の高まるところ。

海外オケの演奏会は、4年前のマーツァル指揮チェコフィル以来である。 ステージを見ると、モーツァルト演奏のためか、かなりの小編成の椅子が置かれていた。 楽員が入場し、ストバイとセコバイが別れ、両翼配置のよう。 ソリストのアラベラ・美歩・シュタインバッハーさんが真っ赤なドレスで、そしてシャイーの登場。元気一杯で溌剌と入場であった。 恥ずかしいながら、モーツァルトのヴァイコン3番を初めて聴くので、あまり批評はできないが、シュタインバッハーさんは、主張を抑え、 やや大人しい演奏であったが、オケもサポートし、柔らかい響を作っていた。オケの弦だが、いぶし銀というイメージは持たず、とても柔らかく暖かいものでありながら、 底辺に重厚さも垣間見える印象を持った。やはり、ブロムシュテットやシャイーが徐々に変えていったものであろうか? この音色を聞きながら、ベートーヴェンやブラームスを聴いてみたいなあと思った。演奏後、アンコールでシュタインバッハーさんが クライスラーの「レチタティーヴォとスケルツォのカプリース」を演奏、なかなか力強く、技量も大したもので、 やはり、チャイコフスキーやシベリウスなどのヴァイコンを聴いてみたいなあと思ったら12月にN響とチャイコフスキーのヴァイコンを演奏するよう。 テレビで見れると思うので、楽しみ!!

休憩後、マーラー交響曲第1番「巨人」であるが、シャイーの「巨人」といえば、当方は所有していないが(2、3、8、9、10番は所有)、 コンセルトへボウとの1995年の録音が有名で<名曲・名盤>では評価されている演奏である。ということで、 現在のマーラー指揮者としても地位も確立しており、シャイーの「巨人」は期待しておりました。 恥ずかしながら、「巨人」について、初めてコンサートで聴くこととなり、 これで、マーラー交響曲で生で聴いていないのは、4番と大地の歌のみとなりました。さて、楽員の入場。 もうステージ上は所狭しと楽員が並び、モーツァルト同様に両翼配置で、左からストバイ、チェロ、ビオラ、セコバイ。ストバイの後ろにコントラバス、何と10人も!! チェロの後ろにホルン、ビオラの後ろに木管、トランペット、セコバイの後ろにハープ、トロンボーンにチューバ、そして、最後列には、打楽器が並びます。 シャイーの登場。 楽譜を見ながらの指揮です。暗譜ではありません。

冒頭から、弦楽器によるA音(フラジョレットによる)は緊迫した音で、すでに会場はマーラー・ワールドに引き込まれています。 途中、トランペット3名が舞台に登場し、そうかーー、先程のトランペットは舞台裏で演奏していたのかと。 クラリネットの「かっこう」の部分は、これでもか!の主張。フルートも艶やかで良い音色。各パートの音が掻き消されることも渾然一体となった響で、 もう感心しきり!!金管も素晴らしい技量と安定感で、「これぞ!ゲバントハウス管」解釈としては、実にオーソドックスであり、 ややテンポはゆったりめで演奏があり、強弱緩急とオケとの意思疎通もバッチリで、ダイナミックな指揮振りである。 やや抑え気味かなと最初は思えたのですが、後半クライマックスでの、ここぞばかりの大音量に放心状態寸前!! そして、テンポを上げ、終了。もう、これで名演奏の予感バシバシです。演奏時間は18分とはやりゆったりです。 2楽章での冒頭でコントラバスの威力に参りました。ここぞとばかりの重低音!!弦楽器の柔らかさと暖かさに、本当に素晴らしい。 演奏時間は8分でした。3楽章の前でゆったりと休憩をとり(というよりは、会場内に風の影響か?雑音が響き、 これを気にしていたのではと考えているのですが)、ティンパニに続き、コントラバスのソロが音を奏でますが、オーボエはもう少し主張しても良かったと思います。 フルートやクラリネットの存在感に比べて、オーボエは薄い印象でした。中間のハープと弦、木管との絡みは、美しいものでした。演奏時間は12分でした。 アタッカにて終楽章へ突入。あまりにも大音量で斜め前のご婦人が飛び起きておりました。ここからは、もう迫力と勢いで息もつかせぬ演奏で、会場も興奮状態へ。 本当に金管、凄過ぎ!! まさに<集中力と爆発力の演奏>でした。その後のヴァイオリンの美しい第2主題にゲバントハウスの弦の癒しの音色と再確認しました。 楽章を回想しながら、演奏は進みながらも、時にシャイーは弱音では、中腰になり、強音では、大きな振りでオケを導いていきます。 トランペットの方は顔を赤くしながらの大熱演でした。 まさにエンディングでは、ホルンを始め、金管が立ち上がり、これでもかの大音響に、もう当方は放心状態で、何故か目に涙が・・・・。素晴らしい完璧な演奏で、 大感動、大感激の演奏した。終了後、もの凄い<ブラボーの嵐・嵐> 終楽章の演奏時間は、あまりの感動で時計を見るのを忘れておりました。  その後、大拍手の中、ステージに現れ、各パートを称え、シャイーも大満足のような笑顔でした。それで、演奏はお開きとなりました。 演奏会後、ヴァイオリン・ソリストのアラベラ・美歩・シュタインバッハーさんがサイン会を開いてくれるということで、サインを頂いて帰宅致しました。 シュタインバッハーさんは日本語がペラペラですね。当たり前かあ?

マーラー「巨人」を巨匠シャイーと名門オケのゲバントハウスで、さらに確固とした解釈と演奏を聴かせてもらい、本当に大満足な演奏会でした。 シャイー氏はまだ50歳代なので、これからもクラシック界を引っ張っていく指揮者でしょう。 「シャイー」「ラトル」「ゲルギエフ」らの50歳代指揮者に今後のクラシックの趨勢が懸かっているといっても過言ではないか。


2009.6.28

矢崎彦太郎指揮 九州交響楽団 ピアノ:田村響

曲目

チャイコフスキー:歌劇「エウゲニー・オネーギン」より“ポロネーズ”

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番

−休憩−

チャイコフスキー:交響曲第5番 

[感想記]

当方にとっては、念願の<九州交響楽団演奏会>である。 というのも、福岡県出身の当方にとって、最も身近なプロオケであるはずの“九響”の演奏会を聴くことが出来なかったことが今まで頭の中で気にかかっていたからだ。 今回、二十数年ぶりに故郷北九州に戻り、九響が北九州定期演奏会を行っており、この度、やっと九響演奏会を聴くことが出来た。 会場は「北九州芸術劇場大ホール」である。小倉の紫川そばにあるショッピングモール“リバーウォーク”にあるという立地も最高のホールである。 座席数は約1300人であり、ホール内の雰囲気も落ち着きであり、とても良いホールであった。特にガラス張りのロビーから見える小倉城は圧巻である。 このような素晴らしい景色が見えるホールも珍しいのでは。 当方が学生(高校生)時分には、北九州のコンサートホールといえば、「九州厚生年金会館」と「小倉市民会館」であった。 「小倉市民会館」は、数年前に解体され、今は緑の公園になってしまった。「九州厚生年金会館」もだいぶ老朽化したのかなあ?  高校の時分に、ホール入ったときの立派なホール、圧倒される2200名ほどの座席、そしてパイプオルガン・・・と当方にとっては、 まさにクラシックコンサートホールといえば、「九州厚生年金会館」が原点である。この「九州厚生年金会館」も閉館の危機にあったという・・・。 今では、北九州には、中規模ホールとして八幡には「北九州市立響ホール」があるらしい。いつかは、行きたいと思っております。 昔話で申し訳ないのだが、一方、福岡の方では「福岡サンパレス」がコンサートホールの聖地であった。その後、「アクロス福岡シンフォニーホール」が出来た。  うーむ、このようなホールも箱物行政の一環で建設され、古いものは壊されていく・・・。良いような悪いような感じである。

かなり脱線してしまったが、今回の<九州交響楽団 第46回北九州定期演奏会>であるが、何と座席は自由席??  この意図は分かりません。まあ、自由に好きなところに座れるのは大いに結構だが。観衆の入りは7割といったところか。 オケメンバーの入場、そして、本日のコンサートマスターは九響の桂冠コンサートマスターである豊嶋泰嗣氏である。豊嶋氏は大柄な方ですねえ。 新日フィルのコンマスも務められ、他にもサイトウキネン・オケなどいろいろと多忙な活躍をされております。 コンマスとしては申し分無しです。指揮は矢崎彦太郎氏で、矢崎氏といえば、東京シティ・フィルというイメージがあるのだが、 フランスの活躍を始め、東京交響楽団指揮者などなされ、現在62歳でパリ在住とのこと。当方としては、ちょっと頑固っぽいイメージがあったのですが・・・。 指揮振りは大変分かりやすく。当方が見ても、矢崎氏の表現したい、表現しようとするものが分かった気がします。 演奏後の礼や楽員との握手を見ても、ニコニコされ、温和な方のように見受けられました。

一曲目は、チャイコフスキー:歌劇「エウゲニー・オネーギン」より“ポロネーズ”です。まあ音を鳴らしとしては、適度な曲でしょう。 可も無く、不可も無く無難な演奏。その後、ピアノの搬入、セッティングの後、楽員の登場、そして、ピアニストの田村響氏の登場。 田村氏は1986年12月生まれ、とうことは今は22歳。確かに若いが、2007年のロン=ティボー国際コンクールピアノ部門優勝し、 その時の曲目が、本日演奏するラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ということで、大変期待できます。当方、この曲を生で聴くのは恥ずかしながら初めてです (ラフマニノフのピアコン3番は聴いたことがあります)。さーて、会場に静寂が訪れ、物悲しい和音により、曲が始まりました。基本は力強い演奏です。 オケもピアノの音とバランスを取りながら、サポートして行きます。うーむ、なかなか九響の弦楽器も良い、そして、ホルンもやわらかく良い。 矢崎氏も上手くオケをセーブしていきます。1楽章中間の盛り上がりの箇所もアピール力もあり、良かったです。2楽章も実に丁寧に進んでいきます。 フルートはもう少し出張しても良かったかと。逆にクラリネットは主張しすぎかも(これが後のチャイコの時の感動につながるのだが)。 3楽章、最後は豪華に決めてくれました。総じて、オーソドックスな解釈、演奏でまさに定番予想通りの演奏で大満足でした。 田村氏も満足だったのか、笑顔で挨拶し、何とその後、2曲もアンコール演奏してくれました。一曲はショパンの子犬のワルツでしたが、もう1曲は分かりません。 そして、休憩となりました。

休憩後、チャイコフスキー交響曲第5番です。冒頭のクラリネットですが、ゆったりした出だしである。音色もなかなか憂いの感じで上手い。 一段落する38小節から、急にペースが速くなる。基本的には打楽器と低弦を強調気味に進む。しかし、低弦の音がやや濁ることがある。 198小節からもかなり打楽器と低弦を強調気味に演奏していた。特に感心したのは320小節からのファゴットのソロ、良かったねえ(かなり表情豊かなソロでした)。 その後、クラリネットも良かった(ちょっと主張しすぎかなあとも)。逆にフルートの主張が足りず、残念。 打楽器も小気味良いを出し、矢崎氏の指示通りであったと思う。金管のやや無味乾燥気味の音が気になった。 2楽章といえば、このホルンでほぼ決まるといってよいと思うのだが、悪い予感はしていたのだが、まあ無難な演奏ではあったが、如何せん、音にハリが無く。 渋い音であった。もう少し高音域かつ豊かな音にならないものか・・・。当方としては40点だな。 ホルンのこともあり、16小節からのクラリネットの表情の生き生きとしていること(素晴らしい!)オーボエは普通。  何か、感心しているところが、クラリネットとファゴットの箇所ばかりになってしまうのだが、 67小節からのクラリネット、71小節からのファゴット・ソロも印象的で、まさにソリスト(他の楽器に比して浮いている?)。 そうそう、今回の演奏会での驚きでもあったのだが、通常、楽章の間の休憩では、これでもかーーーというくらい、咳が聞こえてくるものだが、 ほとんど、咳をされる方がおらず、静かに休憩されている。本当に感心しました(咳が多いと楽章の繋がりがぶち切られた感があるものです)。 今日の観衆は、この点では素晴らしいの一言。さて、3楽章ですが、矢崎氏の指揮を見ているとまさにワルツであるのですが、九響の音を聴くとワルツになっていない。 細かい意思疎通がなされいないのか。終楽章ですが、総じて、音量もあり、勢いもあり、良い演奏の部類入ると思います。テンポも到って中庸なものでした。 感動しましたし!!金管(特にトランペット)も頑張っていたと思います。演奏終了後、ブラボーが飛んでおりました。 大拍手の後、1曲、弦楽器だけによるアンコール曲を演奏し、お開きとなりまた。

総じて、九響の技術レベルということを考えますと、まあ地方プロオケ・レベルかなあと。広響と同様なイメージを持ちました。 当方としては、このオケでマーラーを演奏したときに、どのような演奏になるのかなあと考えるのですが。 例えば、九響が<マーラーの悲劇的>を演奏するイメージが全く沸きません。しかし、広響も秋山氏のもと、マーラー演奏を積極的に行っていましたし、 いつかは九響も・・・・・。しかし、本感想でも何度も述べさせて頂きましたが、 「首席クラリネットのタラス・デムチシンさん」と「首席ファゴットの山下菜美子さん」のソロには魅了されてしまいました。 今後のこの2名の演奏には注目だと思います。金管パートと低弦パートはもう少し頑張って欲しいなあ。この辺りのアラが目立つとゲンナリしてしまいます。 あと、今回、矢崎氏の指揮が大変、分かりやすいものであっただけに、九響の表現力があったらなあと感じた。 まあ常任指揮者でも無いので、なかなか一身同体のように行かないが・・・。逆に矢崎氏指揮の東京シティフィルの演奏が聴きたくなった。 意思疎通できているオケなら、どのような演奏になるのか。楽しみである。 以上、念願の初九響演奏であったが、今後、指揮者が変わり、どのような演奏をしてくれるか楽しみである。


2009.5.24

寺岡清高指揮 下関市民オーケストラ ギター:中野義久

曲目

ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲

ロドリーゴ:アランフェス協奏曲

−休憩−

シューマン:交響曲第3番「ライン」 

−アンコール−

シベリウス:アンダンテ・フェスティヴォ

[感想記]

北九州へ異動となり、初のコンサートである。昨年8月のコンサート以来となり、コンサートに飢えていたところである。 JR下関駅から、徒歩8分の下関市民会館へ。JR下関駅に降りた時の潮の香りが何とも言えず、停まっている電車も以前、山口に住んでいた時と同じカラーリングで、 本当に懐かしい。山口に戻ってきた感じである。下関市民会館の向かいは下関国際港ターミナルで、釜山や青島行きの国際航路が出ている。

開場前にもかかわらず、長蛇の列であり、その間を縫って、当日券を求めた。当日券は1700円でアマオケとしては、高く感じる(新交響楽団は別だか・・・)。 会場の下関市民会館は、どこにでもありそうな市民会館で、収容人数は約1400人である。客の入りは良く、8割〜8割5分程でなかなかの盛況である。 開演となり、オケメンバーが入場。女性の比率は高めかなあ。そして、指揮の寺岡清高氏が登場。寺岡清高氏は、大阪シンフォニカー交響楽団の正指揮者であり、 ウィーン在住とのこと。わざわざ下関までご苦労様である。さて、ウェーバーの歌劇「魔弾の射手」序曲であるが、なかなか無難な演奏である。 金管がやや不安定ではあるが、まだまだ慣らし状態であろう。木管は上手い(どこのアマオケでもそうだが、木管のレベルは高いねえ。 中学、高校での吹奏楽が盛んな影響?で上手い人材に事欠かないということか)。しかし、しかし、もっとも感心したのは弦楽器の上手さである。

そして、準備の後、ロドリーゴのアランフェス協奏曲である。言わずと知れた有名曲である。 ギターリストの中野義久氏は、北九州出身で、ギターコンクール2位など受賞歴があり、現在、山口県ギター音楽協会会長である。中野氏のソロから始まるが、 ギターの音量とはこのようなものだったか・・・。思ったより、小さく、これはオケとのバランスが大事だなあと思ったが。 これが、寺岡氏の指揮により、絶妙なバランスで制御され、ギターの音を掻き消すことも無く、良い演奏であった。 特に有名な2楽章では、ギターのバックの弦楽器の繊細な音には、もう鳥肌ものであった。

さて、休憩の後、本日のメイン曲シューマンの交響曲第3番「ライン」である。この曲のお気に入りCDは、クーベリック指揮バイエルン放送響である。 重厚かつ雄大な演奏が好みである。前半のウェーバー、ロドリーゴの演奏から、かなりの名演が期待できるはずである。 予想どおり、出だしから充実した演奏で、申し分無いものであり、寺岡氏の指揮にも余裕を持って対応し、アマオケのレベルとしては、高い方である。 3楽章でやや緩みが見られたものの、4楽章では荘厳に、5楽章では、終盤の迫力、テンポと素晴らしいものであった。 この「ライン」では、ホルンも調子よく、気持ちよく「ライン」に浸ることが出来、まさにブラボーである。 アンコールでは、シベリウスのアンダンテ・フェスティヴォを演奏し、このオケが弦楽器に自信を持ってる証拠であろう。これも素晴らしいものであったが、 シベリウスらしさは希薄で、重厚な演奏となっていた。

総じて、素晴らしいオーケストラであった。一地方のアマオケではあるが、レベルは高いものであった。ファースト、セカンドともにヴァイオリンは文句無し。 低弦、木管、トランペットは安定感あり。ビオラ、ホルンは並でしょうか。しかし、ここまでのレベルの揃ったアマオケもそうそうあるものでは、 無いと思っているのですが。首都圏のようにアマオケが乱立しており、レベルもまちまちな状態であるが、 考えようによっては、地方にあるその地域に1つだけのアマオケのほうがレベルが高いかもしれぬ!! しかし、首都圏のアマオケのように「シベリウスに特化したオケ」「ロシアものの好きなオケ」など、 特徴のあるものは出来ず、演奏曲目が一般的なものとなってしまうのは、致し方ないことか。この<下関市民オーケストラ>は、1年に1度きりの演奏会のようであるが、 応援したいものである。




2008年

2008.8.6

尾高忠明指揮 東京フィルハーモニー交響楽団 ピアノ:小山実稚恵

曲目

ラフマニノフ:ヴォカリーズ(オーケストラ版)

ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲

−休憩−

ラフマニノフ:交響曲第2番

[感想記]

本チケットは、インバル@都響との「千人の交響曲」の時にミューザ川崎のチケット売り場で買ったのだが、平日ということも気にせず。 まあ会社を早退し、ミューザ川崎に駆けつけたのである。5月には尾高氏のエルガー1番を聴きに行ったのだが、 尾高氏といえば、当方にとっては、エルガー1番と同様に、BBCウェールズとの録音のラフマニノフ交響曲2番も名盤と思っており (詳細は<聴き比べの森>のラフ2のCD批評を読んでほしい)、是非とも聴きたいと思っていたのであるが、 まさか、この短い間に、エルガー1番、ラフ2を尾高氏の指揮で聴けるとは幸せな限りである。

今回の演奏会は「フェスタ サマーミューザ」の一環で行われており、本当にミューザ川崎の素晴らしい企画には関心させられる。 子供も気軽に音楽に触れることが出来る企画もあり、当方が会社勤めでなければ・・・・・。   東京では雷雨に見舞われたそうだが、何とか傘をさすこと無く会場に入ることが出来た。ホールはほぼ満員である。

オケの入場後、コンマスの荒井氏が登場。そして、指揮の尾高氏が登場。1曲目のヴォカリーズ(オーケストラ版)である。 冒頭の弦の何とも柔らかなこと。東フィルの弦もなかなかである(都響のような透明感は無いが)。美しく、儚なさを表現し、至福の時である。
その後、ピアノがセッティングされ、尾高氏と小山さんの登場。<パガニーニの主題による狂詩曲>である。 この曲は、25部から成る変奏曲形式であり、特に第18変奏のみが有名であるが、他の変奏はダイナミックなところが聴き所ではある。 小山さんは、ダイナミックさと繊細さを上手く表現していたと思う。ややオケの音にピアノが掻き消される箇所も無かったではないが・・・。

さて、後半はお待ちかねの「交響曲第2番」である。おっと、尾高氏が眼鏡をかけて登場。 前回のN響の時も後半だけ、眼鏡をかけていた。先に演奏時間を書いておくと、 第1楽章:18〜19分、第2楽章:10分、第3楽章:15分、第4楽章:15分と、1991年にBBCウェールズ響と録音したCDとほぼ同じ時間であった。 解釈もほぼ同様であった。冒頭はゆったりめであるが、テンポをやや揺らしながら進んでいく。しかし、細部への丁寧な歌いまわしは流石である。 やや金管の調子がイマイチな出だしであった。そして、1楽章の最後は「ティンパニーの一撃」で終了。2楽章からホルンを始め、金管の調子が良くなってきたのは幸い。 リズミカルに軽快な演奏であった。そして、3楽章前にやや長めのインタバールをとり、アイコンタクトでソロ・クラリネットを見、 クラリネット奏者も軽く頷き、3楽章が始まった。うーむ、あっさりめの出だしに、あっさりめのクラリネットソロ、まあ尾高氏の解釈であるが、 当方はコテコテの甘ーい、ゆったりとしたクラリネットソロが好きなのだ!! この点では、やや拍子抜け。しかし、その後が違った。オケ全体の集中力が高まる。 観衆も咳きも出ないくらい集中して、会場の雰囲気が変わった!!  特に3楽章最後にぐーっとスピードを落とし、弦パートのピアニッシモ、 その後の完全なる静寂・・・・・・。久々に味わった。もう、その後は、会場全体の雰囲気に押され、オケも完璧に4楽章を演奏した。 あまりの気迫に音もやや大音量気味となっていたようだが、これがまた会場全体が興奮に包まれたようであった。そして、終曲ととも大拍手、ブラボーの嵐!!   本当に良い観衆であった。一体となり、この名演奏を作り上げたようであった。


2008.6.8

山下一史指揮 ニューフィルハーモニーオーケストラ千葉

ピアノ:見崎清水、藤田尚、類家唯

曲目

モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」より「序曲」

シューマン:ピアノ協奏曲 ピアノ:見崎清水

−休憩−

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番 ピアノ:藤田尚

−休憩−

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 ピアノ:類家唯

[感想記]

<第6回かずさアカデミア音楽コンクール入賞者演奏会>で若手ピアニスト達の演奏会を聴いてきました。本演奏会は隔年で開かれ、2年前も聴きに行きました。 かずさアカデミア音楽コンクールにて3位までに入った3人の演奏を聴いたのですが、いやーーーー、ハッキリ行って今回の3人には脱帽しました。 <<マジに感動しました>>!!!

今年の3人のレベルの高いこと、高いこと。3者3様で、本当に良かったです。 初めは、3位の見崎清水さんの「シューマンのピアコン」は、美しく、切なく。 ややピアノが流れた箇所もありましたが。当方はシューマンのピアコンが好きなので本当にのめりこむ演奏でした。

2位の藤田尚さんの「ベートーヴェンのピアコン4番」は、まさに深い響きで、心の奥に響く演奏でした(ベートーヴェンは難しいねえ)。 あまり当方としてはあまり使いたくない表現なのですが、精神的に深い演奏でした。内的な印象で、演奏者もかなり考え、考え、表現したものと思います。 当方としてはこの演奏が3人の中では一番良かったと思います。

 そして、1位の類家唯君は「チャイコフスキーのピアコン」で、もう若さ爆発のダイナミックな演奏で、本当に震えました!!!  1楽章を聞いた時は、無茶しよるなあと思ったのですが、もう終楽章では、オーラが感じられ、オケもぐいぐい引っ張られていました。  そして、終了後の礼での慣れていない初々しい姿がまたギャップがあって良かったです。

そして、指揮の山下一史氏とオケのニューフィルハーモニーオーケストラ千葉の素晴らしい演奏を忘れてはいけません。  気楽な気持ちで聴きに行ったのですが、これだけ充実した演奏会になろうとは、夢にも思いませんでした。 いやはや、若手演奏家の全力投球の真剣な演奏に心を打たれました。3名の今後の活躍を期待し、応援したいと思います。本当に素晴らしかった!!  以上



2008.6.1

井上喜惟指揮 ジャパン・グスタフ・マーラー・オーケストラ 独唱:ソプラノ 三谷結子、 アルト 蔵野蘭子、 合唱 栗友会合唱団

曲目

マーラー:交響曲第2番「復活」

[感想記]

先日、感動のマーラー交響曲第8番「千人の交響曲」を聴いたところであるが、 「千人」の次はマーラー交響曲第2番「復活」だなあ・・・・・と自分で勝手に決めていたのだが、 調べてみると、ミューザ川崎でアマオケであるが、ジャパン・グスタフ・マーラー・オーケストラによる「復活」演奏会があると知り、駆けつけた次第である。

指揮の井上喜惟氏であるが、ベルティーニ、ケルン放送響のもとで研鑽を積み、 このジャパン・グスタフ・マーラー・オーケストラの創立に関わるという、日本人指揮者の中でもマーラーに対する意気込みを感じる次第である。 アマオケではあるが、当然、マーラーという名を冠しているからには、マーラー嫌いは楽員中にいるはずもなく?  筋金入りのマーラー好きであろうと・・・・。   ということで期待を膨らませ、聴きに来た次第である。

全席自由席ということで、これは早い者勝ちである。中央の音響的に良さそうな席をゲットできた。 客層としては、アマオケでは当たり前であるが、子供連れ、生徒の集団(おそらく学校の先生が楽員なのであろう)とまあまあ多種である。   ロビーには、今までの演奏会のCDが販売されている。さて、楽員入場後、指揮の井上氏が颯爽と登場。 うーむ、当方よりちょっと年上だなあと思っているとその通りのようだ。

演奏の方であるが、まあこれはアマオケであるので技量的なことを細かく言っても仕方があるまい。 1楽章の冒頭は、かなりの高レベルかも?と思ったのであるが、やはり音を出すのが精一杯の様子であるが、1楽章は上手く乗り切った。 その後、独唱、合唱が入場。しかし、2楽章に至っては、もう弦楽器の音程がヘロヘロ!!これは悲惨であった。    これまた、驚きであるが、3、4、5楽章と持ち直し、良い出来であったと思う。4楽章の独唱がこれまた素晴らしく。 5楽章も合唱に救われた感がしないでもないが、迫力満点で、当方も後半は大感動した。オルガンの音も体に響いた。

演奏後、ブラボーと大拍手であったが、流石に、終わりの盛り上がりを考えれば、これもありだが、前半の出来からすると???である。 バンダの位置(ホルン、トランペット)など、いたるところに考慮が見られ、これも楽しめた。   まあ「復活」の良さは分かった。   うーっむ!!次はプロオケで聴きたいと決意を強くした演奏会であった。    井上氏には、プロオケでマーラーを振ってもらいたいなあと・・・・・。


2008.5.17

尾高忠明指揮 NHK交響楽団 ピアノ:ブルーノ・レオナルド・ゲルバー

曲目

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番

−休憩−

エルガー:交響曲第1番

[感想記]

N響及びNHKホールでのコンサートに行くのは、若杉氏とのマーラー9番以来ということとなります。 今回は何と行っても尾高忠明氏の指揮でエルガー交響曲1番が聴けるということで、本当のことを言えば、どこのオケでも良かったわけです。 正直いえば、N響では無い方が・・・・・。    JR渋谷駅から炎天下の中、タワーレコード経由でNHKホールへ向かいました。 NHKホール前の歩行者天国はストリートミュージシャンの多いこと。 あまり上手い人はいなかったような・・・・・。

会場に入り、まずは恒例のロビーコンサート(室内楽)を聴きに。チェリストによる演奏なのですが、演奏者紹介の時に、 ソロとして茂木新緑氏が紹介され、当方はてっきり藤森氏がソロと思っていたのですが、謎が解けました。   今回の定期公演で茂木新緑氏が定年退職されるとのことで、最後にソロパートをということとなったようです。曲目はクープランの5つの演奏会小品でした。 演奏後、茂木氏に花束が渡され、解散となりました。

ホールに入り、当方はB席だったのですが、1階の右端で、こりゃ、セコバイ、ホルン、ハープなどが全く見えません。楽員が入場し、コンマスは堀氏です。 ソロ・クラリネットは東京交響楽団のヌヴー氏のようです。チューニング後、しばらくの後(楽員もどうしたのかな?という表情)、 ピアニストのゲルバー氏が指揮の尾高氏とともに入場。あれっ?尾高氏は眼鏡をかけていませんでした。   音響的にはイマイチでしたが、ゲルバー氏の顔がバッチリ見える位置でしたね。  曲目はベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番です。 当方、ベートーヴェンのピアコンの5曲のうち、一番好きな曲でして、学生時代、ラトル@バーミンガム市響の演奏を聴きましたが、演奏会では、それ以来です。 尾高氏らしい、オーソドックスな?ゆったりとした暖かい解釈で良かった(最近、アッサリし過ぎな解釈が多いからねえ)。 演奏時間は、1楽章:20分、2楽章:10分、3楽章:10分といったところ。ゲルバー氏は時折、唸り声をあげながら演奏しておりました。 ピアノの印象は、明るい、キラキラした音色で力強い演奏でした。まあ流暢さ、スマート欠けるものではありましたが!

休憩時間にお手洗いに行ったのですが、あの混雑、行列はいただけませんねえ(NHKホールさん!)。 先程、演奏が終わったばかりのゲルバー氏も客席最前列へ座られておりました。さて、楽員の登場後、尾高氏が、今回は眼鏡をかけ登場。 待ちに待ったエルガー交響曲第1番です。もうご存知の通り、尾高氏はこの曲を本場イギリスのオケ、BBC・ウェールズ響と素晴らしい録音を残し、 積極的に日本でエルガーを取り上げ、エルガーメダルを受賞し、日本人指揮者の中では、有数(1番)のエルガー指揮者と言っても過言ではないと思います。 さて、冒頭から、まさにエルガー・ワールドで、1楽章は、ほぼ期待通りの演奏で、まさにBBC・ウェールズ響との解釈そのままです。 当方は、頷きながら(うん、うん、そう、そう、そうだよなあ・・・と)聴いておりました。特に感心したのが、2楽章で、ダイナミックな演奏で堪能しました。 残念だったのが、2楽章から3楽章に移行する辺りで、やや音がゆるんだ気がします。ですので、3楽章に入ったところでの一気に雰囲気が変わるのですが、 それがはっきりしませんでした。それにN響の弱点かもしれませんが、ヴァイオリンの音色が澄んでいない。その点もあり、3楽章がさらーっと流れた気がします (CDよりもややテンポも速め)。最後のクラリネットは暖かい、ゆったりと消えて行き、これは良かったですなあ。  しかし、一転し、4楽章は素晴らしかった!!  後半は、うるうるし通し!!  ハープも良かったし。   1点、またまた練習番号48や129の弦楽器での<Last desk only>を見損なったというより、見えなかった。本当に4楽章は良かったです。演奏後、大拍手!!    演奏時間は、1楽章:20分、2楽章:8分、3楽章:12分、4楽章:13分でした。  尾高氏が花束を、クラリネットのヌヴー氏に、そして、もう1つを茂木新緑氏に渡しました。    尾高氏も茂木氏とのN響での思い出を語っておりました。そして、お開きとなりました。

今回の演奏は、N響にしては??金管マジ良かったですなあ。  エルガーでは、尾高氏の完全に手中に収めた解釈とオケへの的確な指示、それに応えるN響。   満足しました。


2008.4.29

インバル指揮 東京都交響楽団 独唱:ソプラノ 澤畑恵美、大倉由紀枝、半田美和子、 メゾソプラノ 竹本節子、手嶋真佐子、 テノール 福井敬、 バリトン 河野克典、 バス 成田真、 合唱 晋友会合唱団、NHK東京児童合唱団

曲目

マーラー:交響曲第8番「千人の交響曲」

[感想記]

このマーラー交響曲第8番「千人の交響曲」も他のマーラーの交響曲と同様に当方が大学の時にCDで聴いたのが、最初であるが、スケールの大きさも桁外れであるのもさることながら、それに見合う大迫力と充実感溢れる音楽で、すぐにこの曲の虜になってしまった。  しかし、この桁外れのスケールが故、なかなか演奏される機会は無く、祝典的な演奏会またはマーラー全交響曲演奏会の一環で演奏されることが大半では無いだろうか。

当然、一度は生演奏で聴いてみたいと常々思ってはいたのだが・・・・。2004年5月20日のみなとみらいホールでのベルティーニ@都響演奏会も行きたいなあと思っていたのだが、当時は山口県に住み、同じコンビのマーラー9番の方を是非、聴きたいと思っていたので、そちらと選んだ次第である。  今のように首都圏に住んでいれば、8番、9番と続けて聴きに行ったに違いない。  その後もチャンスを伺っていたのだが、エリアフ・インバルが都響のプリンシパル・コンダクターに就任披露公演で「千人の交響曲」を演奏すると知り、チケット発売日を待ちかねていた。28日東京文化会館、29日ミューザ川崎、30日サントリーホールの公演で、<パイプオルガン>と<休日>ということで、ミューザ川崎での公演チケットを都響ガイドで購入し、4月29日を心待ちにしておりました。指揮者はエリアフ・インバル、オケは東京都交響楽団ともう申し分の無いコンビで、マーラーを聴くことが出来ます。   そして、今年はなかなか都合が悪く、この時期になって今年の初コンサートということで、もう待ち遠しくてたまりませんでした。

ミューザ川崎シンフォニーホールは、2005年7月以来ということで、もう2年半以上ぶりですか・・・。  その頃は、更地だった所に<ラゾーナ川崎>が出来、JR川崎駅からの人の流れが完全に変わってしまいましたねえ。  ロビーでは音楽評論家の奥田佳道氏が談笑されていました。そして、ホール内に入り、1階席の左側に座りました(S席です)。前回は、2階席RAでしたので、今回はミューザ川崎の音響環境も分かりそうです。 ステージが思ったより低いので、当方の目の前にはハープが4本、どーんと見えます。  考えてみれば、3年半前に山口から千葉への転勤後、初の都響のコンサートになります。今回で3回目の都響演奏会となります。何度が記述していると思いますが、当方の一番のお気に入りの国内オケは<都響>でして、何故、今まで聴きに行けなかったのか不思議なくらいです????  

開演時間とともに2P席と2LA、2RAのP席寄りに晋友会合唱団が入場し、陣取ります。そして、ステージ奥にNHK東京児童合唱団が入場し、その後にオケが入場。左扉から最初に入場して来たのは、フルートの寺本氏でした。首席チェロは古川氏です。6年前のシンフォニア岩国、4年前のみなとみらいホールでのマラ9演奏会と首席チェロは田中氏でしたので、古川氏は初めてとなります。コンマスは矢部氏です。チューニングの後、インバル氏の登場。72歳ですか。ハツラツとされ、本当にお元気そうです。大拍手の後、インバル氏が指揮をしようと・・・・・・・・。  その時、P席最前列にソリストの入場。   インバル氏も苦笑いしながら、入場を見つめていました。

冒頭はパイプオルガンに続き、大合唱から入るのですが、当方の考えていたよりも押さえ気味と感じた(もっとオルガンを強めでも良かったと思う)。その後も独唱も入り、オケも含め、バランス重視(細部を疎かにしない)の構成かな?(インバルのCDを聴いても思うが)と初めは思ったのだが・・・・・。  やはり独唱はもっと主張して欲しかったかな。  オケの方は素晴らしいです。特に弦楽器は本当に上手いと思う。それに、また低弦のバランスが最高。弱過ぎず強過ぎず。   4、5分過ぎから音に熱がこもってきてました。合唱は常に立っているわけではなく、歌う時に立つといったもので、独唱ソリストもそうでした。  ついつい、合唱やソリストの方に目が行きがちで肝心のインバルの指揮をじっくりと見れませんでしたが、的確な指示でオケも従っております。   後半の「その光をもって・・・」以降は、もう・・・、大音響と大迫力でたたみ掛け、当方も大感動と放心状態ですわ!!   金管も上手かったねえ。  最後半「グロリア・グロリア・・・」の児童合唱団の声には、もう涙腺うるうるです。 3階右側に金管のバンダが陣取り、インバルも振り返りながら指揮し、まさに頭上から、ステージからの大音響の中、第1部は終わりました。  最初の押さえ気味が嘘のように充実した大音量かつ各パートの音も聴くことが出来るとは、やはりマーラーを知り尽くしたインバルならではでしょうか。 この段階で大満足状態でしたが、当方は第2部が大好きで、これは期待できると確信しました。演奏時間は18:12〜35なので約23分でした。

わずかにチューニングし、すぐに第2部が始まりました。ここでもヴァイオリンの美しさもさることながら(本当に美しい音色でした)、低弦の存在感もあり(古川氏も渾身の演奏ぶりでした)、良かった。静かに合唱が始まるのですが、この時は着席しながら歌っておりました。この時にバックに流れる木管もなかなかでした。バリトンによる「法悦の神父」ですが、河野氏の声質が好きなこともあって、聴き入っておりました。続くバスによる「瞑想の神父」ですが、もう少し主張した方がよかった。   そして、当方が2部で一番好きな箇所がテノールによる「マリア崇拝の博士」による「世界を支配する最高の女王よ・・・」からの場面なのですが(シュルティ盤のルネ・コロがお気に入りです)、もっとハリのある声色が良かったですが、やっぱりは生は良い!!  そして、マーラー音楽の中でまさに1番の天国の音楽であると思っている<ハープとヴァイオリン>の箇所では、思ったより、テンポは速めでしたが、もうもう最高でした。  ハープとヴァイオリンの音を間近で聴き、まさに心は宙を舞っておりました。  上からオルガンの音は降ってくるし・・・。   そして、ソプラノによる「栄光の聖母」は半田さんが3階右に立ち、歌っておりました。  まさに<天の声>   弱音から始まる最後の合唱による「はかなきものはすべて・・・・」では、テンポをぐっと落とし、もう噛みしめるように、本当に合唱が渾然一体となった響きで、もう鳥肌もの!!!   オルガンとともに大合唱で、もう当方の精神も尋常ではありません。  大感動で放心状態で、涙腺は開きっぱなし。  そして、大迫力で音楽は終わり、もう割れんばかりの大拍手とブラボー!!   演奏時間は18:36〜19:32なので約56分。   拍手は鳴りやまず、オケ、合唱陣がステージから去った後もインバル氏はステージ3度登場し、観衆に応えていました。

当方は、興奮状態で会場を後にしました。JR川崎駅を歩きながら、ちょっと大音響で頭痛がしておりましたが・・・・。  いやーーー、流石だなあと、インバルのバランスのとれた解釈でありながら、はっきりと主張する所は躊躇無く主張する演奏。  それを着実に演奏し、表現する都響。  凄いです。  合唱陣には不満は無いわけではありませんが、これがライブでしょう。   本当に都響っていいオケだよなあ。今までハズレがありません。まあ、ベルティーニにインバルと楽員も気合の入れる指揮者の演奏を聴いたことにもよりますが。  これからも頑張って欲しいものです。インバルと都響の活躍が楽しみです。このコンビの演奏会に是非、また行きたいものだなあ。  あまりにも感動でこのコンサート感想も褒めてばかりで全く批評になっていないのですが、たまには御勘弁下さい。本当に感動した演奏会だったということで・・・・・。




2007年

2007.12.22

新田ユリ指揮 アイノラ交響楽団 独唱:メゾソプラノ 駒ヶ嶺ゆかり、バリトン 大久保光哉、合唱 樹の会

曲目

シベリウス:クレルヴォ交響曲

−アンコール−

シベリウス:フィンランディア

[感想記]

このコンサートは“東京新聞フォーラム「指揮者が見たフィンランドII」”にて行われたもので、これは昨年2月に「指揮者が見たフィンランド」が開催され、大好評だったため、今回も開催されることとなったようです。 本当に良い企画のフォーラムだと思います。東京新聞社に感謝ですなあ。さて、このファーラムは自由に参加できるものでは無く、入場無料なのですが、葉書やメールで応募するというもので、応募者多数で抽選に漏れてしまえば、聴きに行くことが出来ないので、当選することを願って、当方はメールで「イの一番」に参加登録をしたのですが、なかなか聴講券が送られて来ず、外れたなあーーと思っていると先週15日に届いたということで、晴れて、このコンサートを聴きに行く事が出来ました。

会場のすみだトリフォニーホールは、高関@群響のマラ7以来ですかな。 本当に良いホールです。観衆もとても多かったです。このフォーラムは2部構成で前半が講演会で〜カレヴァラをよむ〜ということで、フィンランド及びカレヴァラについての日本での第一人者に講演頂くというもので、カレヴァラについて、とっても勉強になりましたし、フィンランド人にとって、いかにカレヴァラが親密に日常生活に入り込んでいるかが良く分かります。日本で例えると・・・、内容は「古事記」の神話の部分のようなものでありながら、童話「桃太郎」のように誰でも知っているという感じでしょうか? 講演の中でシベリウスがドイツ留学中にワーグナーやブルックナーの音楽に触れ、特にブルックナーの交響曲3番を聴き、目指す音楽は「これだ!」と思ったとか。マーラーにしても、シベリウスにしても、このブル3の影響は大きいものだったんだなあ。しかし、どの版を聴いたのかね?

そして、後半がシベリウスの<クレルヴォ交響曲>を演奏です。この曲、ご存知の通り合唱付きであるため、そうそう簡単に演奏会に取り上げると言うことが出来るはずも無く(フィンランド語ですしね)、さらに、曲的にもポピュラーでも無い為、当方は、この曲が生で聴く機会が訪れるとは夢にも思っていませんでした。ということで、今回の演奏会については、関係者すべての皆さんに感謝、感謝です。本当にシベリウスファンにとっては涙ものです。しかし、しかし、会場の観衆に中に、この曲を知っているのは何人位いたのだろうか???

指揮はラハティ響で研修し、オスモ・ヴァンスカのアシスタントを務めた新田ユリさん、オケはシベリウスや北欧音楽を愛し、演奏するために結成されたアマオケのアイノラ交響楽団。独唱者は、メゾソプラノが駒ヶ嶺ゆかりさんで、この方はフィンランドにも在住されていたこともあり、現在、「シベリウス歌曲全曲演奏会」を行っており、日本シベリウス協会理事もされているという。バリトンは大久保光哉氏でこの方は研修でスウェーデンに留学され、現在、シベリウス歌曲の演奏やスウェーデンの声楽曲も紹介を積極的にされているという。このように指揮者、オケ、独唱陣を含め、願ってもないキャスティングではないでしょうか。日本人のみによる最高レベルの<クレルヴォ交響曲>演奏になるのではと期待大です。当方に希望としては、ベルグルンド@ボーンマス響のような若々しいダイナミックな演奏が好みですが、どのような解釈になるのでしょうか?

総じて、期待を裏切らない良い演奏でした。まあ全体的に、チェロの音のパワー不足が気になりましたがねえ。というのも、1楽章の冒頭の重要な「テーマ」の箇所がイマイチアピール不足で肩透かしをくらった感があり、その後も低弦の存在感が足りない箇所も散見されました。金管、木管、ヴァイオリンが素晴らしかっただけに残念でした。解釈的には繊細に丁寧なもので1楽章を除けば、テンポもゆったりだったと思います(当方は勢いがもっと欲しかった気もしますが)。特に3楽章以降の充実ぶり(強弱、テンポなど)には、ただただ感心するのみ。独唱、合唱に関しては、文句の付けようも御座いません。素晴らしいの一言。まさに<<シベリウス・ワールド>>を堪能してきました。そして、アンコールには、<合唱付きのフィンランディア>と当方にとって、もう興奮ものでした。いやーー、CDでは聴くことは容易いのですが、なかなか生で聴くことは難しいと思っていた<クレルヴォ交響曲>を聴くことが出来て、本当に良かったです。


2007.11.17

沼尻竜典指揮 日本フィルハーモニー交響楽団

曲目

マーラー:交響曲第6番<悲劇的>

[感想記]

当方は、このコンサートを聴いたのだが、同日同時間帯では「N響のチャイコ:冬の日の幻想」、「新日フィルの惑星」も行われており、どれも当方のお気に入りの曲ばかり、迷ったのだが、新装サントリーホールへも行ってみたいということで、このコンサートを選んだ次第です。新装のサントリーホールだったのですが、どこか変わってましたでしょうか??? 確かに一部は新しく改装されたような・・・・。

客の入りは7割くらいでしょうか?確かにこれほどコンサートが行われていれば、クラシックファンも分散してしまいます。コンサートマスターは扇谷氏です。そして、指揮の沼尻氏が登場。  冒頭のチェロ、コントラバスの刻むようなテンポも速くもなく、遅くもないテンポで始まりました。しかし、音楽が進んでくると、音量は出ているものの音に芯が入っていない。さらに音を出すのが精一杯で無味乾燥な音が響いてくる。その中でもホルンは良かったと思うのですが。いやーーー、参りました1楽章、2楽章と何と、当方が大好きなこの曲にも関わらず眠気が襲ってくるとは・・・・・。テンポも単調、ソロパートでも音に表情が無いということなのでしょうか??

しかし、しかし、うって変わって3楽章では、ゆったりとしたテンポで感情がこもった表情豊かな演奏に!! この楽章は良かったです。4楽章では、またまた迫力の無い演奏が続きますが、やっと1発目のハンマー後にやや熱のこもった演奏になったのだが、これも一瞬ということで・・・・。ハンマーのタイミングはバッチリでしたが(終演後の拍手ではハンマーを持ち上げ、笑いが起きていました)。ということで、全体的に当方にとっては不満を感じる演奏でした。終了後、ブラボーの声も飛んでいましたがね。   あっそうそう、最後の最後で大迫力の音響ではありましたが、この迫力を1楽章から欲しかったねえ。演奏時間は1楽章:23分、2楽章:12分、3楽章:17分、4楽章:29分でした。

はやり、当方にとっては「悲劇的」というと、大植@大フィルの超感動的な演奏が頭にあったので、それに比べるとねえーーーー。そして、今回、座った席は2階席で丁度、マーツァル@チェコフィルのマラ5を聴いた席とほぼ同じであったのであるが、この迫力、音響、音塊の違いは、何でしょうか? チェコフィルの時は大迫力に圧倒され続けであったのだが、比較するとこの日本フィルは音はスカスカ!!  まあホルン(指揮者が拍手の時、初めに立たせていましたが)、オーボエ、ヴァイオリン(コンマスのソロも)は良いと思いましたねえ。しかし、トランペット、ティンパニー、低弦は・・・・・だねえ。プロオケに対し、このようなコメントを書く必要があるとは少し悲しいですな。 当方にとって日本フィルは2回目なのですが、前回のオッコ・カム氏のシベリウスを聴いた時も思ったのですが、このオケのレベルは???と思ってしまいますねえ。たまたま当方が聴いたコンサートがハズレだったのかも知れませんが。


2007.10.8

高関健指揮 新交響楽団

曲目

武満徹 トゥイル・バイト・トワイライト

−休憩−

マーラー:交響曲第9番

[感想記]

本日はあいにくの雨である。今日は「みなとみらいホール(ロジェヴェン@読響のオルガン付)」にするか「東京芸術劇場(高関@新交響楽団のマラ9)」のどちらに行こうか迷ったのだが、<東京芸術劇場>へ行ってみたかったのと、何と言っても「高関氏のマーラー9番を実際に聴いてみたかった」高関氏のマーラー9番に対する思い入れは凄まじいもので、高校時代、マラ9のスコアを欠かさず持ち歩き、頭の中で演奏していたとのこと。この曲が指揮者を目指す原動力となったこと。そして、留学中には、あのバーンスタイン@BPOの一期一会の演奏会(79年)、その後、カラヤン@BPOの演奏会(82年)という皆さんご存知の名演奏会に立ち会っており、この思い入れ、経験たるや<<日本一のマーラー交響曲第9番指揮者>>と言っても過言ではあるまい。本当はロジェヴェンがラフマニノフ交響曲第2番やブルックナーなどが演奏曲目ならば、みなとみらいホールに行っていたかも・・・・・。

新交響楽団  言わずと知れた有名なアマチュアオケであり、当方も伊福部作品の演奏をTVで聴き、レベルの高さに驚いた程である。それにマーラー交響曲第9番を高関氏の下で演奏するとは並みのアマオケでは出来ないと思うし、高関氏の解釈を理解し、表現していく覚悟とその技量が必要である。この演奏会のために入念な練習を行ったとも聞く。

さて、当方にとっては初「東京芸術劇場」である。長ーーいエスカレーターにはビックリ。ホール内は平成2年開館とは思えない程、綺麗である。そして、3階席まである客席もステージに近く設計されている。当方は1階席やや左よりに座ったのであるが、音響は良いと思う(天井が高く感じられる)。客も8割以上の入りでプロオケ並みの集客力と思われる。  楽員、コンミス、そして高関氏の登場である。1曲目の武満徹「トゥイル・バイト・トワイライト」であるが、奇しくもそれとも狙ったか!10月8日は武満徹氏の誕生日であれば、生きていれば77歳の誕生日ということか。まあ当方にとって、初めて聴く曲であるが、一聴で武満らしさを感じ取れる曲である。しかし、この演奏を聴いても弦楽器の技量の高さは推し量ることは可能であり、通常のアマオケは弦楽器の不安定さを露呈することが多いのだが、このオケに関しては問題無さそう。木管、金管、打楽器とともにポテンシャルは高そうだ。ということで、マーラー演奏を期待しても良さそうである。そして、休憩。その間、「トゥイル・バイト・トワイライト」にて使用した楽器がステージから搬出されるのだが、ピアノにチェレスタ、そして、様々な打楽器とまあまあこれ程の楽器が使われていたとは・・・・・。

さて、マーラー交響曲第9番の演奏であるが、配置は左からストバイ、セコバイ、チェロ、ビオラでチェロ、ビオラの後方にコントラバスとなっているが、コントラバスが何と11人もいる!!これは低音重視のサウンドということか?   高関氏は充分の沈黙を待ち、演奏を開始(ここが大切である。会場がざわついていては冒頭が台無しである)。演奏時間であるが、1楽章:26分、2楽章:15分、3楽章:12分、4楽章:23分でした。高関@群響のCDよりも1楽章、4楽章がやや速い。総じて言える事は、このオケの技量は半端では無い程、上手い・・・上手すぎる。1楽章でのホルンを中心とした金管セクションの上手さ。そして、ソロパートでのホルン、トランペット、フルート、クラリネット、オーボエ、ファゴットとこれでもか上手さと各人の表現力の高さには脱帽である。マラ9演奏でこれ程、ソロパートの丁寧かつ表現に豊かさを体験したことは無い位である。特に3楽章の重要なトランペット・ソロでの艶やかな響きに感動した。4楽章でのヴァイオリン、ビオラ、チェロのソロも過剰にビブラートをかけずしっかりとした音も当方の好むところである。

で、各楽章の簡単な批評をすると、1楽章では、はじめはやや大人しい感じであったが、強音部でのメリハリもあった。そして、何より感心したのが、高関氏の打楽器奏者への(強弱、間の取り方など)的確すぎるほどの指示とそれに応える演奏である。マラ9の打楽器の役割の重要性を感じさせるほどである。当方、恥ずかしながら、今までのマラ9の演奏会では2楽章はさらっと聞き流すのだが、今回は、これほどこの楽章の良さを実感させてもらった無い!! 高関氏の踊るような表情豊かな音楽で、マーラーがこの楽章で表現したかったことが分かった気がした(目から鱗の演奏であった)。3楽章では、上記したトランペット・ソロの良さもさることながら、全体的にアップテンポで、最後に急に速くなる感じもなく、自然な流れを感じた。しかし、最後の大音響には迫力満点で、3楽章と4楽章の休みには、当方の手がなぜか震えていたほどであった。さーて、ここで高関氏が指揮棒を使わず、指揮を始めた4楽章であるが、何とも柔らかい冒頭に感動を覚え、会場全体が弦楽器の丁寧な美しい、美しすぎる響きに包まれ、当方は「うるうる」ものであった。途中のハープも実に柔らかく、存在感のある音で満足であった。確かにコントラバスの音の厚みは感じたものの、決して重たい響きではなく、バランスのとれたものであり、これも高関氏の指示による賜物である。1箇所ホルンが音をはずしたが、この曲全体で目立ったミスはこの1箇所であり、驚異としかいい様のない出来であった。会場の張り詰めた雰囲気を美しい弱音が伝わり、静寂となり、10秒ほど続き、高関氏は手を下ろし、大拍手である。   そして、高関氏も我に帰ったのか、笑顔を見せ、観衆に礼をするとともに、楽員の方に向き、楽員へ高関氏自身が拍手をした(高関氏も大満足の演奏であったのだろうか)   何度もステージに登場し、解散となった。

本当に言葉にするのが申し訳ない位の<超・名演>であった。   今となっては過去の記憶になってしまうが、解釈、技量ともにベルティーニ@都響クラス(いや!!それ以上)の名演であったと思うくらいである。当方が理想とするマーラー9番演奏に近かったのではなかろうか。  ということは、その間で聴いてきた数々のプロオケのマラ9演奏が霞んでしまうくらいだ。高関氏の的確な説得力のある解釈、オケの技術とその表現力、どれをとっても文句の付け様のないものだった。

高関氏、新交響楽団に感謝である。


2007.8.25

金子建志指揮 千葉フィル

曲目

ブリテン:歌劇 ピーター・グライムズより<4つの海の間奏曲>

マーラー:交響詩<葬礼>(交響曲第2番「復活」第1楽章の初期稿)

−休憩−

ブラームス:交響曲第3番

−アンコール−

ブラームス:ハンガリー舞曲 第1番

[感想記]

お盆明けのボケボケ脳を通常モードも戻すべく、やはりクラシック音楽を聴いて脳を目覚めさせないと・・・。ということで昨年は自治会の行事で千葉フィルの夏の演奏会は聴けなかったが、今年は聴くことが出来ました。

楽員の入場の後、今回はコンミスですか。そして、指揮の金子氏が颯爽と入場、そしてブリテンを演奏。当然、当方は聴いたことは無く・・というよりも曲名も知りませんでした。なかなか聴いていて分かり易いような難しいような曲で、プロコフィエフっぽいなあと感じたところもありましたが、当方が一番感じたのは、なにか「ホルスト」に似ているぞと。これは英国繋がりということでいいかのか?オケの方は良い感じで演奏し、うーむ、安定感がありますぞ。この7月に行ったアマオケとはレベルが違うなあ。これは次のマーラーも期待出来そう。

さて、当方お待ちかねのマーラーです。交響詩<葬礼>は出だしを聴いてもらえば、すぐ分かるのですが、「復活」の1楽章そのもの。しかし、展開部から?? 違うぞーーー。(とはいえ、いつのまにか「復活」に戻っている)というものです。この交響詩<葬礼>は1888年完成。そして交響曲第2番「復活」の完成は1894年ということで、この間にこの1楽章は改定され、壮大な合唱付き5楽章の交響曲となったということです。(是非、この曲を聴いてみたい方はシャイー@コンセルトヘボウ盤の「復活」に追加されております。)この曲を取り上げるというのも金子先生ならではというものでしょう。さて演奏ですが、冒頭の低弦からすでに「マーラー・ワールド」全開です。木管、金管、打楽器と素晴らしく。集中された音作りです。音量も申し分なし。1月のエルガーでは打楽器の主張が目に余ったのですが、このマーラーでは、このくらいは必要でしょう。   「流石は千葉フィル!!」と思いきや、前回同様、残念ながらビオラが不安定でさらに他のパートが良いだけに一層目立つ。  そして、丁度、曲の中間ですが、フルートとハープ(もう少し音が聴こえて欲しいところ)との美しい演奏、その後のソロヴァイオリンの後、これから<葬礼>独自の展開となりますが、十分楽しんで聴くことが出来ました。もう少しゆったりと間をとっても良かった気がします。しかし、とても堪能しました。出来れば、このまま「復活」を5楽章まで演奏して欲しかったくらいです。低弦、金管と打楽器のパートには拍手ですね。

休憩後、ブラームスの交響曲第3番ですが、ブラームスはドボルザークやチャイコフスキーといった<メロディーメーカー>タイプの作曲家ではなく、変奏曲が多いことからも分かるように<アレンジャー>タイプの作曲家と当方は思っています。このため、何の変哲も無い旋律を各楽器のアンサンブルによって魅力的な音楽(何とも言えぬ素晴らしい響き)に仕立て上げる為、オケのアンサンブル能力、個々のパートの実力が問われるものです。このため、逆にソロパートで特筆すべきところも無いところもあります。演奏解釈ですが、やや重厚さを抑制し、その分、明るい印象となっています。特に2楽章は本当に良かった。木管を中心とし、ホルン、弦楽器とまさにアンサンブルの妙を堪能しました。そして、この曲の山場、第3楽章ですが、出だしでやはりビオラが不安定。当方、この3楽章がここまでビオラが重要とは認識不足でした(チェロが続いてストバイが有名な旋律を演奏するのですがね。)。このため、アンサンブル全体に暗雲が立ちこめましたが、フルート、オーボエの演奏、そして暗雲を忘れさせるホルンの好演が良かったです。終楽章でのビオラは悪くは無かったですね。 打楽器、金管パートが突出することもなく、素晴らしい響きで安定した演奏をここでは聴くことが出来ました。もう少し迫力があっても良かった気はしますが。アンコールはハンガリー舞曲第1番とこれもブラームスらしさが出た好演でした。

前回は、エルガーを堪能することが出来なかったので不満でしたが、今回は一部を除き、満足のいく演奏でした。マーラーについては素晴らしい限り。次回冬の演奏会はラフマニノフ交響曲第3番を取り上げるとのこと(難しそうですねえ)。次は<メロディーメーカー>ラフマニノフですから、おもいっきり美しく、豪華な(ソロパートも魅力的な:特に2楽章)演奏を期待します(さらにアメリカらしさを感じさせられればGood)。

千葉フィルの弁慶の泣き所として、最後に<ビオラ>の立て直しは緊急課題と思われますがね。あとラフマニノフ交響曲第3番に向け、ハープにも奮起を。頑張って下さい。


2007.7.1

山元富雄指揮 ヴィルトーゾ・フィルハーモニー管弦楽団

曲目

カリンニコフ:交響曲第1番

−休憩−

ドボルザーク:交響曲第7番

−アンコール−

ドボルザーク:スラブ舞曲

[感想記]

以前から、カリンニコフの交響曲を演奏会で是非とも聴いていたのですが、アマオケである「ヴィルトーゾ・フィルハーモニー管弦楽団」がその第1番を演奏するということで勇んで会場に駆けつけた次第です。そして、もう1曲がドボルザークの交響曲第7番ということで、なかなか絶妙な組み合わせだなあと感心しました。演奏会の案内だけでは、前半がドボルザークなのか?カリンニコフなのか?判らなかったのですが、会場のポスターを見て、前半がカリンニコフとのこと。

さて、カリンニコフの演奏の方ですが、ゆったりしたテンポで進んで行きますが、どうも??音が混濁している(アンサンブルがバラバラ)。弱音でのヴァイオリンの不安定が気になるところ!金管はなかなか安定しているようで好感が持てます。やっと1楽章の後半で音が上手く合ってきた。2楽章はハープの素晴らしい演奏(このオケでの1番の功労者と思いますねどね)もあって、良かった。3楽章は、ヴァイオリン、ビオラともにもうヘロヘロで会場も演奏に失望したのかダラダラでした。2楽章、3楽章ともにオーボエは頑張っていたと思います。そして、肝心の4楽章は、一転、上手くまとめていました。これは金管の上手さによるところが大と思いますが、弦楽器も強音部では良い演奏をしていたと思います。そして、演奏終了でブラボーが飛んでいましたが・・・・・・???? 当方としてはカリンニコフの真髄が得る事が出来ず不満な演奏でした。

休憩後、ドボルザーク交響曲第7番ですが、基本的な印象はカリンニコフの時と同じです。出だしの低弦はなかなかの出来。金管、木管も良かったです。しかし、全体的に迫力不足は否めません。!!2楽章は木管が主役の出だしですが、チェロのピチカートと相まって安心して聴くことが出来ました。ホルンやコントラバスも良い演奏でした。3楽章はまたまたヴァイオリン、ビオラの弱音の為、ヘロヘロモードでイマイチでした。どうも今回は3楽章が鬼門のようですなあーーーー。4楽章は本当に上手くまとめたなあという感じ。後半は突然、音が変わり、このオケとは思えないような超充実した音でプロオケのようでしたわ。この後半に騙されたのか終曲後、大拍手でした。

アンコールはドボルザークのスラブ舞曲で、美しく演奏したと思いますが、全体的に見てみると、やはりヴァイオリン、ビオラの不安定さが大変、気になり(他の低弦、木管、金管、打楽器が良かっただけに非常に残念!!)、カリンニコフの良さ、ドボルザークの良さを堪能することが出来ませんでした。奮起を期待したいと思います。


2007.5.6

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2007

ホールA(ドストエフスキー)

ミシェル・コルボ指揮 シンフォニア・ヴァルソヴィア ローザンヌ声楽アンサンブル アナ・キンタンシュ(S) ピーター・ハーヴァー(Br)

曲目:フォーレ:レクイエム



ホールC(カフカ)

ペーテル・チャバ指揮 シンフォニア・ヴァルソヴィア 

曲目:シベリウス:交響曲第1番

[感想記]

このラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンは2005年にスタートし、2005年は「ベートーヴェン」、2006年は「モーツァルト」、そして今年は「民族のハーモニー」ということで国民楽派の音楽を取り上げております。当方も2005年には会場に赴き、当日券を購入しようと思ったのですが、あまりの人の多さに断念した思いでがあります。そして、今年、ついに聴きに行くことが出来ました。

当日はあいにくの雨天でしたが、東京国際フォーラムは熱気ムンムン!!特に展示ホールでは人・人・人!! 本当にまさに<お祭り>といったムード。 スタッフの動きなどを見ても、やはり3年目ということもなり、運営上も慣れてきたということか。早速、最初の公演会場であるホールAへ。5000人収容ということで、広い、広い、広すぎる! 確かに音響的にはイマイチのようだ。 広いステージ上にはわずかな椅子と合唱団用の台が・・・・・。ん?もしやこの人数で演奏するのか? 当方の席はかなり前で良かったものの2階席の後ろの方まで音が届くのか?と心配になるほど。そして、楽員、合唱、指揮者、ソリストの登場。 ソプラノは美しい女性(ボーイ・ソプラノではなく)で、合唱団の左脇に位置し、バリトンは弦楽奏者の左に位置しました。 指揮者のミシェル・コルボ氏ですが、ニコニコしながら登場。第1曲「イントロイトゥスとキリエ」から、まさに声楽を中心とした音作りでオケは伴奏に徹している感じ。そして、この合唱団が素晴らしい(やはり、「人の声」に勝る楽器は無しということを実感!)。まさに声楽、オケが渾然一体となり、テンポ、強弱の移り変わりがまさに自然体! 本当に素晴らしい演奏。第2曲「オッフェルトリウム」では合唱に続く、バリトン独唱では、静かにステージ中央に移動し、歌います。第4曲「ピエ・イエズス」ではソプラノのキンタンシュがその場に立ち歌います。抑制の利いた美しい声!!そして、天上から声が降ってくるかのよう。 そして、ボーイ・ソプラノのイメージを大きく変えるものでは無いものでした。そして、第6曲「リバラ・メ」では、会場全体が張り詰めてくることが分かるとももに、当方もあまりの美しさと感動で、涙が・・・・。第7曲「イン・パラディズム」では優しく、そして静かに終わりました。 一瞬の静寂の後、暖かい拍手が会場を満たしました。  「流石!、コルボ、ソリスト、合唱、オケ」 会場はホールAということで、5000人収容の音響には不満が無いわけではありませんが、それをも忘れさせる超名演。本当に幸せな時間を過ごす事が出来ました。

そして、ホールCへ移動。会場に入ると木目調のホールで、音楽に適した作りのよう。客の中には、着席して、「へー、これからシベリウスを演奏するんだ・・・」と暢気な発言の方も。このように曲目にとらわれず、空いた時間にたまたま聴きに来たと言う感じ。当方では考えられませんなあ。しかし、ここではこういうのもありなのでしょう。こちらのオケもフォーレク同様、シンフォニア・ヴァルソヴィアです(人数は全然違いますが)。指揮者のペーテル・チャバ氏の登場。ネルロ・サンティー氏のような感じ。さて、この<シベリウス:交響曲第1番>ですが、まあシベリウスをあまり感じさせる演奏ではありませんでした。テンポは遅く、やたらと歯切れの良い音を出す。さらに縦の線がズレが多いということで、当方は、やや不満の残る演奏でした。ただし、第4楽章は頑張っていたと思います。演奏終了後はブラボーも飛び交い、盛大な拍手でした。当方にとっては、そこまでの名演とは思えませんでしたが。

さて、客層というか、会場の雰囲気ですが、「クラシック音楽のお祭り」ですから、ラフに気軽に子供連れでもOKということで、演奏会場の雰囲気は期待していませんでしたが、まあこんなものでしょう。フォーレクでは、座席が良かったのか、周りの方々も静かに聴いておられた。シベ1では、周りは居眠りし、パンフは落とすは、子供の声は聞こえるはと、これが通常の雰囲気なのでしょうか?

総じて、<ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン>は素晴らしいと感じました。これは、「クラシック初心者」にしても、「従来からのコアなクラシック・ファン」にしても良い企画と思う。当方もクラシックファンとなり、25年以上になるのだが、今日のコンサートでは、ファンになった頃の初心に帰れた気がした。フォーレク演奏会終了後の観衆の人々の満足気な表情。素直に良い音楽に触れた喜びに溢れているのを見て、さらに、シベ1演奏会でのオーケストラの響きの素晴らしさを実感した表情を見て、本当に音楽は素晴らしいなあと思いました。特にシベ1の場合、逆に当方は理想の演奏が頭にあるばかりに、「あーあー、音がズレた」とか、「もう少しフルートが主張して欲しい」とか「ティンパニーうるさ過ぎ」とか、批判的なことばかり考えてしまって、良くないなあと反省させられました。素直に音を感じ、感動すればいいのかも・・・と。この<ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン>、新鮮な気持ちで演奏会を聴くことが出来ました。

来年も是非、行きたいと感じた次第です。


2007.3.11

高関健指揮 群馬交響楽団

曲目

マーラー:交響曲第7番<夜の歌>

[感想記]

前回、すみだトリフォニーホールへ行った時(ル スコアール管弦楽団演奏会)にパンフレットを何気なく見ていると<地方都市オーケストラ・フェスティバル>にて高関@群響がマラ7を演奏するということで、早速、その演奏会直後にチケットセンターへ行き、S席を購入したのであった。以前から、マーラーの交響曲でも極めて演奏機会が少ない「奥の院」ともいえる存在である第7番を是非ともライブで聴いてみたいと思ってたのだが、ズービン・メータ@イスラエルフィル演奏会があり、チケット代が高価だけれど行くしかないのか?と思っていた矢先の<地方都市オーケストラ・フェスティバル>の件が目に飛び込んできたので、チケット(S席:4000円)を飛び付いて買った次第である。しかし、今年はこのマラ7の当たり年のようですなあ。

寒く、風の強い中、JR錦糸町駅からトリフォニーホールへ開場は午後2時15分。開場に入り、少し落ち着き、三々五々観衆(お年寄りが多いのは何故?)がホールに入る中、30分からプレコンサートトークが始まった。指揮者の高関氏が楽譜を持ち登場。まずは7番の作曲時のマーラーの状況や第6番との関連など。その後、ステージ上のピアノで7番のフレーズを弾きながら、1楽章から丁寧に解説する。1楽章の主題など6番との関連を強調。2楽章でのホルンの掛け合いでは、「これは幻想交響曲第3楽章のパクリでしょうねえ」とか、3楽章は悪魔の楽章とか、4楽章ではギター、マンドリンについて語り、「実演ではハッキリ聞こえるようにします」とか、終楽章でのファンファーレは「ニュールンベルクのマイスタージンガー」に似ているでしょ?など、楽しく解説してくれました。そして、この曲は特に難解な曲と言われますが、極めて構造はシンプルですよとおっしゃっておられました。最後に、今回の演奏は楽譜についても訂正加筆の箇所が1200以上にもなっているとのことに振れ、<高関版マラ7>のように考えられるかもしれませんが、楽譜的に不自然な箇所を訂正加筆に過ぎないとのこと。例えると「写真に修整を加えたような感じ」と受け取って欲しいとのことでした。本当にこの曲を熟知されているなあと実感しました。この後の演奏が楽しみになってきました。

楽員が入場。打楽器が多いということもあって、コントラバスがステージからはみ出そう。配置は両翼配置です。再び高関氏の登場です。弦のリズムに続き、テノールホルンも続きますが、やや不安定な出だしにはなったものの、その後は<強弱>、<緩急>とメリハリの利いた素晴らしい演奏で、高関氏の的確な指示、それを受けた群響とこの楽章だけで、当方は興奮気味となってしました。特に中間の静かな箇所(ハープのグリッサンド前後から第2主題)の音楽がもう最高(マジ、うるうるしてしまいました)!!ハープの素晴らしさもさることながら、「天上の音楽」のようでした。そして、この楽章の終わりがピッタリと決まり(格好いい!)。当方はここの段階でチケット代分は満足させて頂いたなあと思いましたよ。

楽章間では、念入りなチューニングしていました(おそらく録音?)。2楽章の出だしの掛け合いでまたまた金管の不安定なところが出てしまったが、やや押さえ気味の解釈で<夜の歌>を表現。3楽章では中だるみすることも無く、緊張感ある演奏でした。ティンパニー奏者が上手かった。4楽章では、ギター、マンドリンを特出させて、夜の雰囲気を十分感じさせてくれました。あと、第一バイオリンは美しかった。2楽章とともに言えることなのですが、<夜の歌>ということで、ことさら「暗さ」「不気味さ」を強調する解釈ではなく、暗闇の中の僅かな「明」を感じさせるものでした。総じて、この中間の2−4楽章は押さえ気味だなあという印象を持ちました。これは、1楽章、5楽章の<強>を際立たせる意味もあると思うのですが。

さて、終楽章ですが、高関氏は「快速に」かつ「ダイナミックに」演奏してくれました。ティンパニー、カウベル、鐘など打楽器陣の良さもありますが、何と言っても<バランス>の良さ。特にどの楽器が突出するわけではなく、素晴らしい力強いアンサンブルを聴かせてくれました。後半は、当方、大興奮・放心状態(ここまでの興奮は大植@大フィルの「悲劇的」以来では)でした。曲の終わりとともに大ブラボーの嵐と大拍手!!

演奏時間といいますと、第1楽章:20分、第2楽章:15分、第3楽章:10分、第4楽章:13分、第5楽章:16分といったところでしょうか。いやーー、本当に良い演奏でした。マーラー交響曲第7番「夜の歌」の真髄を垣間見ることが出来た演奏だったと思う。これも高関健氏のマーラーの交響曲に対する人一倍の理解と愛着の成せる業なのだろう。この曲の楽譜の隅々、一音一音に対する解釈が今日の演奏になったのでしょう。その楽譜についても訂正加筆の箇所が1200以上にもなっているとのことであったが、あまり目立ったものでは無かったように思う。やや音が厚く感じられた部分があったが、その辺りなのだろう。

群響の技術的な観点でいうと、弦は文句無し、特にストバイがいいよね。木管も合格。特に首席フルートの爽快な音色には感心。ピッコロも素晴らしかった。金管がねえ。もう少し安定感が欲しいところ。日本のオケはどこもここが課題なのだがねえ。まあ高関氏の意図を理解し、「音の表現者」としてこのように素晴らしい演奏してもらえれば、文句はありません。(欲を言えばきりが無いが)

久々の感動の演奏会であった。マーツァル@チェコフィル以来では・・・・・。


2007.2.25

ペーター・フロール指揮 大阪フィル

曲目

モーツァルト:交響曲第40番

−休憩−

チャイコフスキー:交響曲第6番<悲愴>

[感想記]

久々のサントリーホールです。このサントリーホールが今年の4月2日から8月31日の約5ヶ月間大改修の為に休館するとのこと。その前に改修前のサントリーホールを見ておこうという意味もあって、このコンサートを聴きに行きました。さらには大植氏のマラ9が聴けるということもあったのですが・・・・・。1986年の開館より20年もの間、おそらくほぼ毎日コンサートに使用され、かなり老朽化もあるということなのでしょうか。当方には、まだまだ十分に新鮮さを保っていると思いますが(NHKホールに比べれば・・・)。 しかし、驚きなのは、この(クラシックの殿堂である)サントリーホールが5ヶ月間も休館しても、この関東地区としては何ら問題の無い位に他の立派なホールが出来たということでしょうかねえ。

本来ならば、大植氏による大フィルとのマラ9ということで大変わくわくしていたのですが、大植氏の体調不良ということで、ペーター・フロール氏が代わりの指揮者となりました。ペーター・フロール氏はそこそこ有名なので文句は無いのですが、マラ9ファンとしては曲目が代わったのは頂けません。曲目は記述のとおりモーツァルトの40番にチャイコの<悲愴>に変更です。これがオール・モーツァルトになろうものなら、キャンセルですがね。まあ<悲愴>ではドイツ出身のフロールということでカラヤン風の解釈を期待しおりました。

まあある程度はキャンセルして満席にはならないだろうなあとは思ってたのですが、ここまで空いているとは・・・。当方の前後の列には客は0で、当方の列は当方ともう1人だけ。おそらく会場全体で半分いっているのかなあ?という程度。ゆったりのんびり聴くことが出来ました。楽員の登場の後、コンマスの長原氏。そして、ペーター・フロール氏の登場です。髪は長く、恰幅のある体型です。モーツァルトの交響曲第40番ですが、当方は1楽章と4楽章しか覚えておりませんでした。今まで何度かラジオかTVで聴いていると思うのですが。指揮棒を持たずに体全体で表現する指揮振りで軽やかにかつテンポを微妙に変えながら演奏します。かなり繊細な音作りだったと思います。大フィルの弦楽器は良いですねえ。

休憩後に当方お待ちかねの<悲愴>です。今回は指揮棒で振るようです。演奏が始まると・・・・。速い・・・、速すぎる。おそらくムラヴィンスキー@レニングラードフィル盤の演奏よりも速いのでは? 当方、お気に入りの箇所(101小節から129小節の間)も極々アサッリと通過してしまった。あーあー、こりゃ!当方の好みの解釈では無いわ・・・。そして、突然強音になりビックリする箇所の161小節から超のハイテンポ! 大フィルの弦もついていくのがやっとで、音に芯が入っていない。 第2楽章も当然のごとくテンポは速いが、この楽章で重要なのはティンパニー。このティンパニーはマジ良かった!!まさに音が宙で円を描いているよう。第3楽章も怒涛のごとく進むが迫力に欠ける演奏。まあ付いていくだけ凄いと思いますが、コンマスの長原氏がオーバーアクションでオケを引っ張っておりました。しかし、チェロ、コントラバスは上手さにビックリ。大フィルの低弦のレベルは高いわ!! 3楽章終了とともに拍手が・・・・。まあこの曲ではあることですが、拍手が終わる前に終楽章が始まったのにはねえーーー。ここは許されませんなあ。一旦、仕切り直しして欲しかった。ここで当方はもう終楽章を真剣に聴く気が失せており、早く演奏が終わらないかなあとか、改修前のサントリーホールを見回したりしておりました。演奏は終わり、しばしの静寂の後、拍手が・・・。当方は大フィルには拍手ですが、フロールには拍手しませんよ。特にティンパニー奏者には大拍手です。  やはりフロールの超快速解釈には閉口です。チェリビダッケの超遅延演奏の方が何十倍もマシだなあ。 当方にとって、久々の怒りモードの演奏会となりました。早く次の演奏会に行きたいぞーーー。


2007.1.13

金子建志指揮 千葉フィル

曲目

ドビュッシー(ビュッセル編):小組曲

ドビュッシー:管弦楽のための映像より「イベリア」

−休憩−

エルガー:交響曲第1番

−アンコール−

エルガー:威風堂々 第1番

[感想記]

昨年に引き続きまして、本年、一発目のコンサートはアマオケの千葉フィルの第22回定期演奏会です。前半がドビュッシーで後半がエルガーというプログラム構成です。ドビュッシー(ビュッセル編)の小組曲という曲は当方は聴いたことはなかったのですが、他のドビュッシーの「イベリア」にしろエルガーの交響曲第1番は当方が聴いても難曲だと思います。しかし、千葉フィルの実力ならば大丈夫だと思ったのですがねえーーーー。

楽員の入場の後、指揮の金子氏が颯爽と入場し、ドビュッシー(ビュッセル編):小組曲の演奏です。全部で4曲にて構成されている曲ですが、小組曲とはいえ、なかなか美しくチャーミングな曲で楽しく聴くことが出来ました。続いてドビュッシーの「イベリア」の演奏ですが、3曲により構成されており、20分弱という長さです。当方はまれにブーレーズ指揮クリーヴランド管でこの曲を聴くことがあるのですが、本当に演奏するには難しい曲だろうなあと思いながら聴いております。各パートとも音程的には安定した音を聴かせてはいましたが、やはり縦のラインのずれがところどころ散見されました。特に打楽器の合わせが目立つだけにちょっとしたずれでも目立ってしまうのは残念なところ。本当に難しい曲だなあと実感したところです。金子氏のダイナミックな弾むような指揮振りには感心しました。その後、休憩となりました。

後半は当方のお待ちかねエルガーの交響曲第1番です。高貴なイメージを演奏できるのかという点に注目していたのですが・・・・・。第一楽章の冒頭は、ティンパニー、チェロ、コントラバスの2小節に続き、フルート、クラリネット、ファゴット、ビオラがメロディーを奏でていくのですが、ビオラの音程が非常に怪しい?? 当方としては、この段階で高貴なイメージというのが吹き飛んでしまいました(残念)。その後、全体的に持ち直したもののやや速いテンポで行きます。千葉フィルの木管の安定感は安心して聴けるのですが、フルートがやや迫力が欲しいと感じたものです。第二楽章ではかなり安定した演奏を聴くことが出来ましたが、逆にホルンの不安定さが気になったところ。後半から三楽章へのブリッジ部にかけて一段とテンポを落とし、実にスムーズに美しく第三楽章へと入ったところは感激しました。このあたりは弦楽器がよかったのですが、その後、ビオラとセコバイのあたりの音程が不安定に・・・・・。そして、当方としてはこの曲の最大の見せ場、三楽章の終わりのクラリネットですが、もう少しタメが欲しかったものの自然に音が消えていて様はもう最高でした。 終楽章では、全体的にスタッカートと利かせた小気味より演奏で締めくくりました。この楽章ではハープの音色が重要だと思っているのですが、肝心なところで聴こえてこず・・・、がっかりしたところでした。演奏終了後、ブラボーがかかっておりました。当方としてはイマイチだと感じました(千葉フィルなら、もっとやれるはずと思っていたのですが)。当方自身として、うっかりしていたのは、第1楽章と終楽章で楽譜にも指示されているのですが、練習番号48や129の弦楽器での<Last desk only>という箇所を完全に見損なってしまった!! この箇所を確認するのを楽しみにしていたのにーーーー。

アンコールはエルガー生誕150年ということで「威風堂々 第1番」の演奏でした。当方、恥ずかしながら初めて生で聴くことが出来、感動しました。オケも伸び伸びと演奏していましたね!!今回の演奏会は難曲が多かったということもありますが、当方としては不満の残った演奏会となりました。次回夏の演奏会に期待したいと思います。




2006年

2006.12.3

渡邉一正指揮 ニューフィルハーモニーオーケストラ千葉 
独唱:ソプラノ 半田美和子、メゾソプラノ 林美智子、テノール 小原啓楼、バリトン 岡本俊久
合唱 きみぶん第九合唱団 

曲目

ベートーヴェン:「エグモント」序曲

ベートーヴェン:交響曲第9番

[感想記]

当方がクラシック音楽のファンになり、四半世紀以上が経ちましたが、今回、初めての生「第九」となります。おそらく日本のクラシック演奏会で群を抜いて最も演奏されている曲に違いありませんが、当方が今まで敢えてこの曲の演奏会を避けてきたところも無いでもなかったのですが・・・・・。近所のホールにて演奏するという事で行ってきました。合唱の「きみぶん第九合唱団」とは、この演奏会の為に結成された一般応募による合唱団なのですが、名簿を見て、何とソプラノ、アルトの大人数に比べ、テノール、バスの少人数なこと!やはり、男性達の応募は少なかったということでしょうか。独唱の方々は皆様、二期会会員で素晴らしい経歴の方ばかり。メゾソプラノの林美智子さんのみ知っておりました(CDもリリースされましたし)。

楽員及び指揮の渡邉一正氏の登場です。ニューフィルハーモニーオーケストラ千葉は前回の<第5回かずさアカデミア音楽コンクール入賞者演奏会>の時と同様ですが、やや小編成で今回はコントラバス5人でしたな。さて、ベートーヴェンの「エグモント」序曲ですが、演奏については無難に曲の良さを表現しておりました。というより、この演奏を聴きながら、この曲を生で聴くのはいつ以来かなあと思っており、テンシュテット@ロンドンフィル以来だなあーーーーっと。ふとテンシュテットの演奏会を思い出しておりました。

そして、休憩も無く「第九」が始まりました(休憩を挟むと思っていたのでビックリ)。第1楽章は、至って判で押したような典型的な演奏で、可も無く不可も無い演奏でした。第2楽章では、ややソロ木管が主張し過ぎの場面もありましたが・・・。この楽章の後、独唱陣、合唱陣が入場しました。独唱陣は合唱の前(打楽器の後ろ)に座りました。そして第3楽章です。改めて、この楽章の<美しさ・優しさ>に感動しました!! 涙が・・・・。演奏云々というより、ベートーヴェンの偉大さを痛感。弦のピチカートの移り変わりも視覚的に面白いですな。4楽章でも、1〜3楽章のフレーズが出ては低弦に否定されるところなどは、これまた感動しておりました。独唱が始まってからは、やや感動が冷めたような。独唱陣がステージの奥にいるため、声がややこもって聴こえたのは残念!そして、合唱では、やはり女声陣に男声陣が掻き消され気味となったもの致し方無しか・・・。しかし、レベル的には文句は無い程度であったと思います。迫力もあったし。合格点でしょう!! 演奏後は合唱の方々も満足された様子でした。

やはり「第九」は良い曲だねえ! この曲がこうもモテはやされる理由も分かったような気がします。当方も毎年、年末は生「第九」を聴くこととしようかなあーーー。印象に残ったのは、メゾソプラノの林美智子さんが何度も合唱団の方を向いて、拍手され、称えていらっしゃったことです。林さんの人柄がうかがえるようでした。



2006.11.23

橘直貴指揮 ル スコアール管弦楽団

曲目

ブリテン:シンフォニア・ダ・レクイエム

−休憩−

マーラー:交響曲第9番

[感想記]

首都圏には様々なコンサートホールがあり、地方の人間にとっては羨ましい限りなのですが、 当方も「サントリーホール」「みなとみらいホール」「ミューザ川崎シンフォニーホール」等と演奏を聴いてきました。 他にも「東京芸術劇場」「東京オペラシティ」など行ったことの無いホールもあり、いつかは行きたいと思っています。 その中でも今回、演奏会のあった「すみだトリフォニーホール」は新日本フィル(当方はまだ聴いたことがありません)の本拠地であり、 どうしても一度は訪れておきたいと思っていました(以前、錦糸町へ行った時に場所だけは確認していたのですが)。 今回、アマチュアオケの「ル スコアール管弦楽団」の演奏会が行われ、さらに演奏曲目が<マーラー交響曲第9番>ということで行ってきました。 ル スコアール(le square)とはフランス語で「広場」という意味とのこと。 広場のように、誰でも集まれるオーケストラにしたいという思いが込められているようです。

開演の10分前に会場入りしたのですが、かなりの人の入り、思わず座る座席をわざわざ探すほどでした。ビックリしました。 「すみだトリフォニーホール」は3階席まであり、バルコニー席が直線上に斜めに配置されています。 最近はやりのステージ後ろの席(P席)はありません。当方はこれは賛成です(演奏中についついP席の観客が視界に入るので、あまり好きじゃないのですね)。 さて、楽員が入場し、指揮者の橘氏の登場。30歳代中頃といった感じで若手指揮者といったところでしょうか。 前半プログラムのブリテン作曲の「シンフォニア・ダ・レクイエム」ですが、当方全く知らない曲でして・・・。 ある時はショスタコーヴィッチのような、ある時はドビュッシーのような・・・・。 しかし、マラ9の前にこれまた難曲を選択するとは、かなりの技量のあるオケでないと出来ませんなあーー。 曲の出来不出来は分かりませんが、この演奏でこのオケの各パートの実力が掴めました。 これは後半のマラ9は期待できる予感を持ちました。終了後、休憩へ入りました。

第1楽章の出だし、ややホルンが不安定でしたが・・・。ヴァイオリンの安定感、美しさには脱帽。テンポは至って普通で、演奏時間は24分位でしょう。 際立った特筆する解釈というものは感じられませんでしたが、極めて中庸なものでした。強音部でのパワーがもう少しあっても良いかなあと思いますが。 感動したのが、380小節付近からのフルートソロ、上手かったです。 この楽章でやや不満と言えば、後半、コンマスソロがあるのですが、ビブラートかけすぎで音程が不安定になっていましたねえ。
第2楽章は演奏時間15−16分程度で、安定した演奏でした。第3楽章は演奏時間12−13分で、これがアマオケなのかーーという程の素晴らしい出来!! マジで驚きでした。トランペットソロは文句の付けようもございません。Presto以降も完璧にこなし、感動! (こっちは崩壊するのではとヒヤヒヤしながら聴いていたのですが)かなり練習したものと思います。 指揮の橘氏の指揮振りも颯爽としたものでした。 ということで1〜3楽章までは、プロオケと比較しても遜色の無い出来で本当に技量、体力ともに優れたオケだなあと思っていたのですが・・・・。
第4楽章の出だしですが、ヴァイオリンが頑張ってフォルテを出そうとしたのか、やや濁った音になったのは残念。 しかし、その後の弦楽器のアンサンブルは上手くまとまっていました。ここでもホルンは不安定な箇所が見受けられました(やはりホルンは難しいねえ)。 30小節辺りのストバイは美しかった。ビオラのソロも大したもの。やはり、(40小節)コンマスのソロはビブラートかけすぎ!! あと面白く感じたのが、例えば、88小節でクラリネットがかなり主張していたり(もう少しハープが強調して欲しかったが)。 別のところでホルンが強調されていたりと。後半は、ゆっくりと間をおき、美しく演奏し、曲を終えました。 静寂の後、大きな拍手がおこりました。終楽章は前の楽章と比較するとやや集中力が欠けていたかなあと思うところもありましたが、大したものです。 演奏時間は24分といったところでしょうか。

総じて、アマオケで半年かけて練習を重ね、生み出された「素晴らしい演奏」だったと思います。 これならば、マラ9を始めて聴く方々にも十二分のマラ9の魅力が分かってもらえたものと思います。 各パートのレベルを敢えて述べさせてもらえば、弦楽器はヴァイオリン、ビオラ、コントラバスは文句無し。 チェロは普通。木管もほぼ文句無し。打楽器も素晴らしいが、もう少し迫力が欲しいところ。 金管では、トランペット、トロンボーンは完璧、最高。ホルンはもう少しかなといったところでしょうか。 このル スコアール管弦楽団ですが、今までにもマーラー7番、2番、5番、6番やブルックナー、ニールセン、ストラヴィンスキーなど超難曲を演奏しているとのこと。 この曲目からしてレベルの高さを伺わせるものでしたが、こうもアッサリ、マーラー9番も難なく演奏するとはねえーーー。 これからも注目のアマオケではないでしょうか。



2006.9.9

若杉弘指揮 NHK交響楽団

曲目

ウェーベルン:パッサカリア

−休憩−

マーラー:交響曲第9番

[感想記]

以前からN響でこのマーラー9番が聴ければと思っていたのだが、ついにこの機会が巡ってきました。そして指揮は若杉弘氏とこれまたマーラー9番を何度も指揮しており、都響との録音もある。これはなかなか期待できるのでは・・・・・。本演奏会はN響創立80周年 正指揮者シリーズの一環で行われるものである。 ということで、当方にとって久しぶりのNHKホール(なんと16年ぶり)!!

会場に入り、「NHK交響楽団定期公演 9月」の冊子をもらう。あれっ??「フィルハーモニー」は??というと300円にて販売とのこと。いつからなのか?(当方のチケットには引き換え券が付いていなかったので)。CD販売コーナーでは、N響、若杉氏関連のCDも販売されている他に岩城氏のCDも。サンドイッチ、弁当、飲み物など、売店が充実しているなあ。そして、ロビー奥に人だかりが・・・・。ロビーで室内楽が演奏されておりました。曲の感じから、ショスタコーヴィッチかなあと思ったのですが、パンフレットによればプロコフィエフの五重奏曲とのこと。そして、ホール内へ。TVで見ていると広いように感じるが、思ったより狭く感じる。会場も古さを感じさせますが、座席の座り心地は悪くない。

開演の時間となり、楽員の入場、この中にコンマスの篠崎氏も。配置は両翼配置です。この配置でマラ9も行きそう。そして、拍手の中、指揮者の若杉氏の登場。はやり足取りは軽やかではなく、ゆったりとしたものでした。イメージ的には颯爽とした登場かなあと思っていたのですが。こちらを向き挨拶し、指揮棒を構え、前半のウェーベルンのパッサカリアが始まりました。この曲は作品番号1です。初めて聴く曲ですが、マーラーのような、スクリャービンのような曲でした。やはり1900年前後を感じさせる曲であることは間違いありません。約11分の曲で、その後、休憩となりました。休憩では、次がマーラー9番ということでお手洗いに行ったのですが、あそこまで男子トイレで並ばせるホールも珍しいなあ(参った、参った。女性が多いコンサートではどうなることやら・・・・)。

さて、お待ちかねのマーラー9番です。第1楽章ですが、音に堅さが感じられ、音の迫力も押さえ気味。特に打楽器が押さえ気味。解釈的に故意に大人しくしているように思えます。テンポも揺らすことなく、なるべく一定に進んでいきます。縦線がやや不安定(特に小休止後)であるのはいただけません!! この楽章では金管は○、木管はややでしゃばり過ぎでした。他の楽章でも言えることですが、各パートの音が埋もれることなく、主旋律、副旋律等、キッチリ聴こえてきたことは褒めるべきことかと(それだけ個々が抑えていたかもしれませんが)。最終盤(433小節から)にヴァイオリンのソロがあるのですが、篠崎氏のどうも過度に表現し過ぎなところに閉口してしまった。最後の音(クラリネット、フルート、チェロ)がバッチリ決まりましたねえ(ちょっと感動したのですが)。第1楽章の演奏時間は27〜28分でした。

第2楽章が、重い!! 重厚というより「単に重い!」 テンポが一定というのも1つの要因か。 この楽章では、木管は良かったのだが、金管が逆に主張し過ぎでした。第2楽章の演奏時間は16分でした。
第3楽章ですが、前半は2楽章のイメージを引きずり、やはり重い!! 当方注目のトランペットソロですが、やや音が小さい、テンポも速い。響きはストレートで良かったのだが・・・・・。後半に入り、急に音のまとまりが良くなり、一体感ある音となった。そして最後のアップテンポでも寸分の乱れも無く、怒涛の音圧!!そして、最後もバッチリ決まった!! いやーーー、凄かった。良かったです。N響の実力を見たような。楽員も上手くいったという表情でした。第3楽章の演奏時間は13分でした。その後、若杉氏は休憩をとられていました。汗を拭き拭きと。

終楽章です。一音、一音、丁寧に丁寧に演奏されます。音色は暖かさを持ちながらも、はかなさもイメージさせます。N響の弦楽器の腕の見せ所です。本当に一糸乱れぬ音を聴かせていたと思います(褒めすぎかなあ?)。なかなか低弦のバランスも良かったし。高音もピーンと透明な音でした。テンポはやや遅めで揺れること無く一定です。40小節〜のソロヴァイオリンも丁寧な響きで良かった。やっぱり、少し「うるうる」きてしまいました。何だカンだと言っても、この楽章はたまりません!! このまま進むと思いきや・・・・。ビックリしました。ハープのところ(88小節目)からあきらかにテンポが速くなりました。このような解釈は、いろいろマラ9を聴いてきましたが、初めてです。当方はあまり好きではありませんが・・・・。しかし、終盤、またスローテンポへ。そして、一音、一音、休止をとり、丁寧にゆっくりと乱れることなく進んでいきます。この時の指揮振りは絶妙でした。153小節目の藤森氏のチェロソロも「もの悲しい」表現でした。最後は、ホール内に音が消えるように終わりました。演奏時間は23分程度でしょうか。5〜10秒の静寂の後、拍手。ブラボーの声も!! 楽員の表情も満足なものに見えました。

総じて、若杉氏のマラ9に対する解釈は、過度の表現を避け、基本的にはテンポは一定で、よどみ無いもので、個々の旋律を埋没させることなく認識させていくということを感じました。3楽章後半から4楽章のN響のパフォーマンスを見るに、1楽章、2楽章も若杉流の魅力をもう少し上手く表現出来たのでは?と思いました。当方としては、大満足とはいきませんが、良い演奏会だったと思います。



2006.6.11

渡邊一正指揮 ニューフィルハーモニーオーケストラ千葉

ピアノ:平松悠歩、松尾建瑠、加藤露弥

曲目

チャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」より「ポロネーズ」

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 ピアノ:加藤露弥

−休憩−

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 ピアノ:松尾建瑠

モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番 ピアノ:平松悠歩

[感想記]

<第5回かずさアカデミア音楽コンクール入賞者演奏会>ということで若手ピアニスト達の演奏会を聴いてきました。オケの編成ですが、チェロ6人、コントラバス4人などとやや少なめの編成となっております。このため、ピアノの音とのバランスが良く。ピアノの音が紛れることなく、聴くことが出来ました。チャイコフスキーの歌劇「エフゲニー・オネーギン」より「ポロネーズ」では、やや音が堅めでしたが、ウォーミングアップとしては、良い感じです。さて、コンクール第三位の加藤露弥さんの登場で、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番です。ピアノは力強く弾いていましたが、細部の表現に気配りが欲しいところ。しかし、オケの表情が平板でイマイチで、このままでは・・・・と思われる内容(あまり練習したとは思えない感じ)。次にコンクール第ニ位松尾建瑠氏のプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番。当方は、この曲目当てでこのコンサートを聴きにきたようなものです。この演奏マジで良かったです。まず、オケが前曲と違って、響きに統一感があり、表情豊かな演奏でした(流石はプロという感じ)。ピアノもテクニックバッチリで、素晴らしいものでした。休憩後、 コンクール第一位の平松悠歩さんのモーツァルトのピアノ協奏曲第20番です。この曲を聴くのは当方初めてですが。2楽章は聴いた事があるぞー。ピアノは非常に繊細で、感情のこもった演奏でした。総じて、オケの印象としては、低弦がやや聴こえにくかったことと特に首席オーボエの方、上手いです!!音色が最高でした。



2006.5.21

秋山俊樹指揮 ラスベート交響楽団

曲目

ラヴェル:古風なメヌエット

グノー:歌劇「ファウスト」よりバレエ音楽

−休憩−

ラフマニノフ:交響曲第2番

−アンコール−

ラフマニノフ:ヴォカリーズ

[感想記]

たまにラフマニノフの交響曲第2番を無性に聴きたくなることがある。プロオケ、アマオケ関わらず演奏会情報を調べているとあるではないか。「ラスベート交響楽団」というアマオケが演奏するとのこと。早速、行ってまいりました。さて、この「ラスベート交響楽団」ですが、まず「ラスベート」という意味は、ロシア語で「夜明け」ということのようです。そして、ロシア語をオケの名称にしていることからしても、ロシア音楽の交響曲を積極的に取り上げていくことを目指して、演奏会をおこなっているようです。今までもチャイコフスキーやカリンニコフ(当方も聴きたかった!)など演奏会で採り上げています。今回は、第15回定期演奏会ということです。先日の「アイノラ交響楽団」といい、この「ラスベート交響楽団」といい、ある特徴を持ったオケがあるとは、やはり首都圏というところは凄いねえ。

楽員の入場(ヴァイオリンの女性演奏者の割合が高いこと)、そして指揮の秋山氏が登場。ラヴェルの古風なメヌエットとグノーの歌劇「ファウスト」よりバレエ音楽が演奏されました。ともに非常に親しみやすい美しいメロディーの曲で、ゆったりと聴くことが出来ました。ここでは、金管陣の安定感とフルート、ピッコロの上手さが光りました。ただし、低弦はともかく、ヴァイオリン(第1、第2とも)の不安定さには、後半のラフ2に対しての不安がよぎりました。

休憩時間に、パンフレットを読んでいると、次に演奏されるラフマニノフ交響曲2番の演奏予定時間が約55分と書かれている。ふーむ、少し快速気味の演奏かな?と思ったりもしておりました。そして、曲が始まりました(テンポが遅い、遅すぎる?)。冒頭の低弦ですか、非常にゆったりしたテンポで、続く木管、そしてヴァイオリンと一音一音、確実に進んでいきます。響きを重視した音作りとなっていますが、やはり、ヴァイオリンの不安定さがねえ。うーむ、残念! 結局は1楽章の演奏時間は23〜24分でした。ここまでのゆったりとした演奏が聴いたことがありませんねえ・・・・・。 2楽章は、ホルンが主役なのですが、良かったですよ。ホルン!最高でした。上手い! このホルンの頑張りもあり、この2楽章は良い演奏でした(弦も)。演奏時間は約11分。さーて、3楽章ですが、ここでもゆったりとしたテンポで、クラリネットも、はやる気持ちを抑え、昔を懐かしむような叙情的で心のこもった美しい旋律がホール内に優しく響きました。いやーー、良かった。当方、うるうるきてしまいました。しかし、やはりヴァイオリンねえーー。イマイチ。演奏時間は18分くらい。 終楽章はなかなか大合奏となり、弦楽器も頑張り、とでもまとまった演奏でした。時間は15〜16分。そして、大拍手がおこりました。そして、各奏者を立たせ、やはり、ソロクラリネット奏者には、ブラボーとともにより大きな拍手。当方は、ホルン奏者の方々に大きな拍手を送りました。この演奏を盛り上げ、それなりの聴き所の立役者は、このホルン奏者のお陰だと思います。そして、結局、70分近くのゆったりしたテンポで、存在感ある大きな解釈でこの曲を指揮した秋山氏にも拍手ですね。アマオケで、このような解釈が聴けるとは嬉しい限り。

アンコールでは、同じラフマニノフのヴォカリーズを演奏し、幕となりました。ここでもヴァイオリンが・・・・・。ということで、以上、演奏を聴いてきましたが、次回は12月にラフマニノフのピアコン2番とチャイコフスキー交響曲第1番<冬の日の幻想>を取り上げるとのこと。今回の演奏を聴く限りでは、金管陣、打楽器陣やクラリネット、フルートは、問題なしですが、低弦、ファゴット、オーボエはもう少し頑張って欲しいのと、ストバイ、セコバイには、厳しいようですが、かなり頑張らないと! 以上、このオケに期待を込め激励したいと思います。


2006.4.27

ルドルフ・バルシャイ指揮 読売日本交響楽団

曲目

マーラー:交響曲第10番(バルシャイ版)

[感想記]

この曲(マーラー交響曲第10番)というのは、第1楽章はマーラー自身の作品として演奏される機会は多いのですが(演奏CDも多い)、2楽章以降は未完成である曲を多くの音楽研究者により補筆され、このことにより、代表的なクック版、カーペンター版、マゼッティ版、フィーラー版とそしてバルシャイ版と多くの版が存在する所以なのだが、これほど音楽的にも大変魅力があるにも関わらず、なかなか演奏されることが少ないものとなっている。実際に日本において、このマーラー10番(補筆版)が今まで何度演奏されたことがあるのだろうか?

ということで、今回の演奏会はマーラー交響曲10番(補筆版)の演奏というだけでなく、(マーラー10番を知り尽くした)バルシャイの手によるバルシャイ版の自作自演という大変貴重な演奏会!(2003年都響、2004年群馬響と同プログラムで演奏しています) バルシャイ版は、2000年に完成したもので、クック版を元に発展させたとのこと。このコンサートへ行かなければ、マーラー10番(補筆版)ファンの当方としては一生後悔すると思い、当方は無理やり東京での用件を作り、サントリーホールへ行ってきました。仕事の後という事でスーツにネクタイ姿で演奏会へ。

会場に入ると目に付くのはステージ上に並んだ打楽器の数々!!さすがバルシャイ版。会場の入りは7割程度、平日の夜の定期演奏会というのは、この程度の入りなのであろうか?? 楽員登場。ホルンが6、テナーホルン、チューバが2と金管も大編成へ。コンマスの藤原氏の登場。そして大きな拍手の中、ゆったりとした足取りで指揮者バルシャイ氏が登場しました。当方は、バルシャイ氏は厳しい感じの強面というイメージだったのですが、にこにこした茶目なおじいちゃんという感じでした。楽員の方を向き、小声で「こんばんわ」と言っている様。十分に間をおき、指揮棒を上げ、ビオラの繊細な音が響き渡りました。第1楽章全般に言えることですが、全体的に繊細で大人しい平板な演奏になっており、もう少し主張が欲しかった気がします。ちなみに演奏時間を書いておきますと1楽章:24〜25分、2楽章:10〜11分、3楽章:4〜5分、4楽章:11分、5楽章:21分といったところでしょうか。基本的にはCDにあるユンゲ・ドイチェ・フィルとの演奏とほぼ同様に思いました。

大人しかった1楽章ですが、この2楽章からバルシャイ版の本領発揮(まさにバルシャイ・ワールド)!!雰囲気が一変しました。打楽器と金管のための曲の様。2楽章に入る前もホルン奏者の方を向き、「力強くね!」と。確かに、技術的には問題なく、演奏を聴けたのですが、響きの統一感というものが感じられず、もう少し弦楽器、木管とのバランスが欲しかったと思います。特にコンマスのヴァイオリン・ソロが良かっただけに・・・(藤原さん流石!)。5楽章冒頭の大太鼓は舞台裏から聴こえてきました。もっと存在感があっても良かったと思う。そして、当方にとって大事なフルート・ソロですが、「素早く、独特のアクセント」でゆったりと美しさに浸ることも出来ませんでした。いやー、演奏者の個性を出すのは良いのですが、当方のイメージとは全く異なるものでした(多くのマラ10のCDでも、このような演奏は無いはず↓)。5楽章では悲哀を感じることが出来ず終了。静寂の後、ブラボーと大拍手。

総じて、演奏時間、解釈ともにユンゲ・ドイチェ・フィルとの演奏とほぼ同様だったのですが、読響側に解釈意識の統一感、まとまりが見えず、散漫さを感じました。読響なら、もう少し出来るはず!! そして、実際にこの演奏ならば、マーラー10番の数ある補筆版の中で、マーラーらしさが希薄に感じられ、やはりクック版の方が良く思えました。ということで、当方にとっては不満が残る演奏となりました。ただし、バルシャイ作曲作品だと思えば、興味深く、面白く演奏を聴くことが出来ました。


2006.4.2

新田ユリ指揮 アイノラ交響楽団

曲目

シベリウス:交響詩「春の歌」

シベリウス:音詩「夜の騎行と日の出」

−休憩−

ステーンハンマル:交響的カンタータ「歌」より間奏曲

シベリウス:交響曲第6番

−アンコール−

シベリウス:交響詩「春の歌」1895年版

シベリウス:アンダンテ・フェスティヴォ

[感想記]

以前からというより、「この曲」に出会ってから生演奏を聴いて見たいと思っていたのだが、滅多に演奏されることが無く、その機会が無かったのであるが、遂に夢がかない聴くことが出来ました。「この曲」とは<シベリウス交響曲第6番>です。<シベリウスの森><プロフィール>の項でも記述していますが、この曲から「透明感」、「美しさ」、「はかなさ」、「恥じらい」等々言葉が浮かんできます。ということで、是非とも演奏会で聴いてみたいと思っていました。「日本シベリウス協会」のサイトを見ておりますと、アイノラ交響曲第3回定期公演で演奏されるとのこと。勇んでアプリコ大ホールに駆けつけた訳です。

アイノラ交響楽団とは、“シベリウスの音楽をこよなく愛するアマチュアの演奏家”によって設立されたという、まさにシベリウス好きの演奏家集団です。ちなみに「アイノラ」というのは、シベリウスの晩年に作曲に専念するためにヘルシンキ近郊建てた家の名前であるが、名前の由来は妻の名であるアイノからによるものである。今回は第3回定期公演とのことであるが、第1回から指揮をされている新田ユリさんであるが、あのオスモ・ヴァンスカ氏のもとラハティ響で研修するとともに、ヴァンスカ氏のアシスタント並びにラハティ響での公演と、まさにフィンランド・シベリウスについて熟知されている。以上、「シベリウスを知る指揮者」と「シベリウスを愛するオケ」とこれほどの組み合わせがあるであろうか!まさにシベリウスを体感させてくれるものと期待!!

ホールはなかなか新しい。会場の入りは、2階席は分かりませんが、1階席では7割程度であるが、コアなシベリウスファンもいるだろうなあと思っておりました。楽員の入場、配置は両翼配置ですが、コントラバスが最後方へ陣取る(金管群を脇に押しのけた形である)。そして、颯爽と新田さんが登場。1曲目の「春の歌」であるが、当方知りませんでした。とても穏やかな春と思わせる旋律ですが、そんなに温かさを感じさせないのは、北欧の春だからだろうか・・。この曲でこのオケの特徴が見えました。強弱のバランス良さ、アンサンブルの素晴らしさを持ったオケのようで、指揮の新田さんが体全体を使い、ドライブしているようです。2曲目の「夜の騎行と日の出」ですが、当方はザンデルリンク@ベルリン響のCDを唯一持っていますが、なかなか好きな曲です。特に弦楽器の「上昇、下降する騎行の主題」がまさにシベリウスらしいのですが、やはり難しいですねえ。かなり良い演奏でしたが、音程の不安定な箇所もありました。しかし、後半(日の出が近づくにつれ)は安定し、シベリウス・ワールドへ!雄大で大音響で締めくくりました。金管の安定と低弦が素晴らしいものでした。

休憩の後、ステーンハンマルの「歌」より間奏曲ですが、当方、まったく知りませんでしたが、この後に演奏される交響曲第6番は、このステーンハンマルへ献呈されたものとのこと。この曲は美しく、優しい音楽で良い曲でした(当方としては、もう1つアクセントが欲しい位ですが)。そして、お待ちかねの交響曲第6番ですが、おっと、指揮者のまん前(ステージのど真ん中)にハープが・・・。これは楽しみ!!1楽章冒頭、第二ヴァイオリンとビオラによる透明感溢れる音が会場に拡がります。その音には表情は無く、まさに透き通った無色でした。思わず引き込まれ、もううるうるきてしまいました!木管と上手くサポートし、それぞれの音が聴くことが出来、大変丁寧な演奏でした。ただし、やはりヴァイオリンでの不安定な部分もあり、弱音での安定した美しい音というのは、難しい!!2楽章、3楽章では、強弱の変化が連続的に関連付けられスムーズに演奏され、素晴らしいの一言。3楽章の後半の強音部での迫力と安定感(やはり強音部の方が楽なのか?)。アッタカで4楽章に入りました。当方にとっては、ベルグルンド@ヘルシンキのイメージからすると、快速気味の演奏です(これが一般的なのですがね)。休止部をしっかりとりつつ、一音一音確実に響きを確かめながら演奏していきます。特にチェロパートの響きの素晴らしさは最高です。最後の部分では、美しい弦の音が、頭上から降ってきたようでした。そして、静寂の後、ブラボーと拍手!各パートを立たせます。ハープ奏者には、当方大拍手!!(本当に上手かった) アンコールでは「春の歌」1895年とアンダンテ・フェスティヴォの2曲が演奏されました。特にアンダンテ・フェスティヴォは、弦楽器による曲ですが、マジ完璧!!なかなかプロオケでも、ここまでの演奏は難しいのではないかい?

本当に良い演奏会でした。シベリウスを堪能しました。良いオケに出会いました。これからも応援していきたいと思います。次回は、来年4月「クレルヴォ交響曲」の演奏を予定しているようで、これは声楽も加わるので、大変ですが、是非・是非成功して欲しいものです。


2006.2.19

チョン・ミョンフン指揮 東京フィルハーモニー交響楽団

曲目

マーラー:交響曲第9番

[感想記]

チョン・ミョンフン指揮東京フィルといえば、昨年年初、マーラー交響曲第3番を聴きましたが、最近、積極的にマーラーを演奏会で採り上げ、いつかはこの9番も・・・と思ってチェックしていたのですが、この17日のサントリーホールでの演奏会はかなり前から分かっていたのですが、金曜日ということでほぼ諦めていたのですが、何と19日(日曜日)に鎌倉芸術館でも演奏会が行われることを知り、正月明けにチケットを購入しました。さらにチケット購入者には演奏会前に特別公開リハーサルが見学できるというおまけ付き!!ということで鎌倉?これは遠いなあと思っていたのですが、場所は“大船”でして、家からホールまでドアtoドアで1時間40分くらいでした。“大船”は当方が山口にいた頃、出張で何度か訪れていたところで、まさかこの場所でマーラー9番を聴くとは夢にも思っておりませんでした。

公開リハーサルが12:30に開始ということで、12時過ぎにホールへ行くと既に多くの人が・・・。受付に行き、チケットを見せ、入場整理券を頂きました。リハーサルの観覧は小中高校生の招待とチケットを有する200名とのことでしたが、結果的には、希望者全員は観覧出来たと思います。とはいえ、小中高校生に対して「マーラー9番」というのもどうかなあとも思いましたが。コンサートホールへ入ってみると、1階席後部へ自由にお座りくださいとのこと。ステージ上では私服で楽器ケースを床に置き、楽員が思い思いにウォーミングアップをしているように見えました。とにかく手を動かしていたよう。そこへ指揮者のチョン・ミョンフン氏が登場し、「おはようございます」と日本語で楽員へ挨拶の後、英語に指示しつつリハーサルを開始しました。とはいえ、1楽章の冒頭より通しており、ほとんど指示無く11分くらいで、次の2楽章へ移りました。2楽章は最初からでは無く中間部を繰り返し行っていました(約320楽章〜)。3楽章は冒頭から、そして中間を飛ばし、後半部を流していました。そして4楽章も冒頭から初め、8分くらい(ヴァイオリンソロ:約45小節過ぎ)ところまで演奏したところでリハーサルは終了しました。しかし、リハーサルとはいえ、マーラー9番が断片的でも聴くことが出来、嬉しい限りです。その後は子供たちを中心としたチョン・ミョンフン氏への質問コーナーがありましたが、好きな曲についての質問では、この曲(マーラー9番)が好きであると言っていました。ベートーヴェン第九やブラームス4番などラストの交響曲には、その作曲家の人生が表現されていると。他にも、この今日のリハーサルでは、既に17日にこの曲の演奏を行っているので、細かい指示と言うよりホールの響きを中心に確かめていたと答えていました。質問コーナー終了とともにリハーサルも終了となりました。

大船駅前で昼食を食べた後、再び鎌倉芸術館へ。30分前に開場し、ホールの2階席へ。楽員の入場の後、コンマスの荒井さん、チョン・ミョンフン氏が登場しました。1楽章では、丁寧な音作りで過度な表情を避けた印象を持ちました。特に中間部はゆったりとしたテンポでした。個々の楽器は鳴っているものの響きの統一感に欠けていたような印象を持ちました。ただし、ホルンの調子が悪いのか、突出して聴こえる箇所も見受けられました。演奏時間は27〜28分といったところでしょうか。2楽章では、とてもテンポ良く流れていますが、インパクトが不足しているいるように思えました(演奏時間15分)。3楽章では、俄然、音に勢いが見られ、響きの一体感が感じられ、今まで、このためにセーブしていたのかと思われるようでした。トランペットのソロでは、透明感のある音で良かった、上手かった!!そして後半部の一気に加速して終わりました。この辺りからホールの雰囲気が張り詰めたものとなってきました。最近のマラ9演奏(CD,演奏会ともに)を聴いて思いのですが、指揮者もオケもこの3楽章の表現が上手いなあと感心してしまいます。もう3楽章は難曲ではないのですねえ。演奏時間は12分30秒程度です。4楽章ですが(演奏時間24分程度)、ここでも丁寧な響きを重点としたもので、とくに関心したのが、チェロ、コントラバスによる音の存在感が誠に素晴らしく、これによって豊潤な響きが演出されていました。チョン・ミョンフン氏もチェロ、コントラバスの方を向いては、「もっと!もっと!」という指示を出していました。後半部では、途切れるように、十分に休止を取り、1つ1つ進んで行きます。終了後、数十秒の沈黙の後、観衆の1人が「大きな咳」をし、それとともに拍手が沸きおこりました(一部の方は笑っていましたが)。そして、ブラボーの嵐が起こり、各奏者を立たせ、解散となりました。
全体的を通しての感想としましては、日本のオケはどちらかというと「アッサリ型の解釈」による演奏が多かったと思うのですが、この演奏では、チョン・ミョンフン氏が積極的に、特に低音を重視した重厚な音作りを目指しているということが分かりました。これがまた心に訴えかけてくるのです。そして、このソロパートでは個々の演奏者が自由に思い思いの味付けで演奏していました(良し悪しは別として)。ということで、1楽章がもっと良ければなあと思いましたが、3,4楽章の出来は良いと思います。特に4楽章の厚い響きには感動しました。あらためてマーラー9番の良さを再確認させてもらった演奏会となりました。


2006.1.14

金子建志指揮 千葉フィル

曲目

コープランド:「エル・サロン・メヒコ」

レスピーギ:「シバの女王ベルギス」組曲

−休憩−

チャイコフスキー:交響曲第1番「冬の日の幻想」

−アンコール−

チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」よりパ・ド・ドゥ

[感想記]

さーて、本年最初のコンサートでございます。当日は大雨に雷とまあ悪天候でして、これは観衆も少ないのでは??と思ったのですが、甘かった!やはり7割の入りはありました。うーむ、千葉フィル・ファンは大したものだ。っで、曲目を見て、当方の知るところはチャイコの1番のみ(恥ずかしながら当方の趣味、嗜好からすれば、致し方無し)とはいえ、敢えてCD等で購入して聴かないまでも、このような演奏会で初めて聴く曲もワクワクするものでして・・・(マーラー交響曲のように体が覚えているような曲のコンサートとはまた違った面持ちで良いものです)。ということで、開演までの時間ではプログラムを読んで勉強した次第です。

1曲目のコープランドの作品ですが、「エル・サロン・メヒコ」とは、メキシコ・シティにある酒場の名前のようです。ということはラテン系の旋律がモチーフになってそう。実際に聴いてみると確かにラテンの響きも聞こえてくるのですが、うーむ、1曲目のためかオケもまだ調子に乗れず、音が堅く、流れにのる前に終わってしまったという感じ。次のレスピーギですが、レスピーギと言えば「ローマ三部作」が有名なのですが、当方のイメージとしては「響きのキラキラした管弦楽曲の作曲家?」というものがあるのだが、プログラムによれば、レスピーギはオーケストレーションをリムスキー=コルサコフに習ったとのこと。知りませんでした。この曲は吹奏楽の世界では有名な曲のようですね。さて、組曲で4曲によって構成されていますが、実に面白い、興味深い曲でした。師匠のリムスキー=コルサコフの「シェラザード」そっくりの(チェロとハープによる)旋律やボロディン、ドビッシー、プロコフィエフのような響きが多種多様に出てきます。レスピーギにとっては同時代の作曲家の影響を受けていることが分かります。演奏の方ですが、ソロパート目白押しの曲なのですが、クラリネット、フルート、トランペットなど良かった。そして、終曲では、もう金管、打楽器がもう大音量で迫り、吹奏楽で人気があるのも納得です。うーむ、興奮致しました。後ろの客席の方も思わず声を上げていましたなあ。

さて、休憩後、チャイコフスキーですが、交響曲第1番作品番号13番と若き26歳チャイコフスキーの作品。当方、高校の時分よりチャイコフスキー交響曲は好きでして、4,5,6番はもちろんのこと。前期交響曲の中ではこの1番のCDを聴く機会が多い気がする。当方の愛聴盤はマゼール@VPO盤であります。
第1楽章「冬の旅の夢想」の弦にのって冒頭のフルートの旋律が何とも初々しく、しかし物悲しいものを連想させます。ここからもうチャイコフスキー・ワールドですがね。木管ソロ陣とヴァイオリンの美しくも素直な表現が良かった。しかし、後半は低弦が重要な役割をするのだが、イマイチ、アピール不足であったのは残念。第2楽章「陰気な土地、霧の土地」であるが、とても美しくはなかい旋律に当方の好きな楽章である。ここでの最初の聴き所、オーボエをメインとして、ファゴットやフルートがサポートする箇所はもう息をのんで聴いておりました。良かったですねえ。会場も「しーん」としていました。この辺りより低弦も調子に乗ってきたようです。後半ではホルンが主旋律を高らかに演奏する箇所では、ホルンはバッチリ!だったのですが、弦楽器が完全にホルンに負けていました(ほとんど聴こえてきません)。第3楽章では、まさに踊るような金子氏の指揮とともにワルツを満喫しておりました。終楽章ですが、この楽章は重々しく、冗長なイメージを持ってしまうのだが、金管と弦楽器を中心として、渾然一体となって音楽を奏でています。なかなか素朴でストレートな感情表現が成されていたと思います。総じて、若き26歳チャイコフスキーの作品ということで、どっぷり感情に浸ったものでは無く、ストレートに思いのままに表現されていて良かったと思います。アンコールは「くるみ割り人形」よりパ・ド・ドゥということでしたが、出だしのチェロの音程が不安定でしたなあ。あとは悪くは無かったですね。単なる下降形の音階なのですが、美しい旋律となっているところが、感心!ハープも良い仕事しています。

なかなか楽しいプログラムでした。前半と後半の選曲が絶妙でしたね。




2005年

2005.11.20

ズデニェク・マーツァル指揮 チェコフィル

曲目

モーツァルト:交響曲第38番「プラハ」

−休憩−

マーラー:交響曲第5番

[感想記]

昨年の山口暮らしと違い、今年は一応は関東近辺在住ということで、久々のクラシックコンサート三昧の一年になったと来年もそうだと思いますが・・・・。っで、当方は年末のクラシックの風物詩である第九にはあまり興味が無いということと結構、様々な国内オケは堪能しましたので今年のコンサートの締めくくりという意味で外国オケを聴きたいと思っておりました。アンチェル、ノイマンと歴代のマーラーを得意とする指揮者を有し、そしてマーラー交響曲第7番の初演を行い、マーラー演奏の歴史がある<チェコフィル>の来日公演が目に止まり、演奏曲目を見ると、何とサントリーホールでマーラー交響曲第5番が演奏され、指揮者も首席指揮者で近年、マーラー交響曲を積極的に録音しているマーツァル(9番ではプラハ響との名演CD)ということで「これは!!」ということで馳せ参じました。まあS席15000円ということで、少しは躊躇したのですが、BPOやVPOに比べばお得!!

サントリーホール到着し、むむっーーー、何か今までの国内オケとの観衆の雰囲気が違うぞーー?そしてサントリーホールの従業員も燕尾服で御出向かえです。ホール内に入り、座席に座り(会場内にはバックステージでの4楽章のハープの練習が聴こえてくる)、何か足りないことに気づき、そうだ!パンフレットを貰っていない。会場の案内係に聞くとパンフレットは販売とのこと。そうか、久しぶりで忘れておった。早速、1000円で購入し、見ていると来日公演は計12公演。強行スケジュールで西へ東へご苦労さんなことだ。そして、さらに本日の曲目であるモーツァルトとマーラーは来日公演唯一の演奏曲目であり、一昨日は宮崎、昨日は三重と練習を含め、本当に大丈夫なコンディションなのか??という不安が過ぎるが、まあチェコフィル・サウンドの一端でも肌で感じられればという気楽な気持ちでおりました。

さて、コンマスを含め楽員全員が同時に登場である(小編成にて登場)。その後、指揮者のマーツァル氏の登場。うーむ、写真と一緒!当たり前か?(前回のオッコ・カム氏があまりにも予想と異なっていた) そして、モーツァルトの交響曲第38番「プラハ」であるが、この曲、当方は聴いた事がありませんが、実に丁寧な弦楽器の美しい響きに感動しました。おーー、これぞ、チェコフィルの弦の音。集中力が違いますねえ。そして、休憩となりました。CD販売コーナーへ行ってみるとチェコフィルのEXTONレーベルCDが多く販売されておりました。マーツァル@チェコフィルのCDもマーラーやチャイコフスキーなど販売されておりました。すると、CD購入の方には演奏終了後にサイン会を実施とのこと。ということで、マーラー交響曲第3番のSACDを購入しました。

おまちかねのマラ5です。いやー、緊張してきました。ましてや冒頭は有名なトランペット・ソロですから。<パパパ・パーン・・パパパ・パーン>と少し途中に間を持たせた一音一音大切に丁寧な演奏でもう完璧!その後もトランペットは文句無しの出来でしたよ。しかし、この1楽章はトランペット奏者泣かせの曲ですなあ。全曲に通じて言えるのですが、木管奏者や金管奏者のソロパートでの表情のある表現がもうたまりません。いやー、ここまで超一流の音楽表現集団とは・・・・。もう驚きを越えてしまいますよ。そして、ヴァイオリンの美しさ暖かさもさることながら、低弦パートの存在感もバッチリ。解釈的には、演奏者の裁量に任せながらもバランスのとれたアンサンブルと温かみのある表現が印象的でした。やはりマーラー演奏の歴史と伝統というのが息づいておりますなあ。練習不足かも?という不安は全くの杞憂に終わっておりました。ちなみにテンポとしては、1楽章:10分、2楽章:14分、3楽章:18分、4楽章:9分、5楽章:15分といったところでしょうか。ということで、1楽章、2楽章と冷静に聴いてこれたのですが、このような素晴らしい演奏で当方の興奮度も高まって、第3楽章以降はもーー、感心と驚きの連続で聴いておりました。3楽章ではソロホルン奏者の音量にはビックリ。凄いわ。もうたった1人に関わらず、ホール全体に響き渡っておりました。その音圧には唖然!!そして、オケもかなりヒートアップしてきた気がします。4楽章では、出だしの弦楽器の微かな響きの美しさに鳥肌で、もう完全に意識がどこかへ連れて行かれ、約9分の演奏が3分ほどに聞こえたほど、美しさに浸っておりました。(本当にもう4楽章は終わったの??と真剣に思ってしまいました) もう終楽章では、もうこれでもかの大音量と迫力に放心状態!!しかし、音の美しさは維持されたままでのこの迫力とは・・・・。ただただこのようなオケが存在することに驚愕するのみ。もう失神一歩手前ですよ!!終了後、大音量の拍手にブラボーの嵐。ソロホルン奏者、ソロトランペット奏者の順で立たせ大拍手!!その後は大拍手の中、何度もステージに呼び出され、愛嬌のある両手を広げて、膝をちょこんと曲げたポーズで礼をしていました。アンコール曲はありませんでしたが、余韻に浸れて良かったと思います。そして、楽員が引き上げた後も1人でステージに登場し、会場全体をゆっくり見回し、うなずきながら、礼をしつつ投げキスまでのサービスでステージから去り、お開きとなりました。

終演後、サントリーホールの地下にある、楽屋口に向かいました。150名は並んでいたでしょうか。並んでいる脇を楽屋口からは楽員達が三々五々解散し、帰路に着いていました。さて、当方はパンフレットへサインをして頂きました。サインを貰い、無言で帰るのも何だなあと思い、当方のつたない英語で「本日のコンサート、有難うございました。また再び、ここで日本でのコンサートを期待しています。」と伝えました。すると、推測も入りますが、「もちろん、戻ってくるよ。日本の観衆は静かな態度で良いからねえ。」と言ってくれました。 あっそうそう、その場にはEXTONレーベルの江崎さんもいらっしゃいましたよ。

いやー、久々に外国オケでそれもチェコフィルということで、期待はしていたのですが、ここまで完璧に演奏されるというより、当方の想像を超えた演奏をされるともう感想と言っても冷静に文字に表すことは難しいですなあ。大満足の演奏会でした。しかし、本当にここまで上手いオケだと指揮者も指揮冥利につきるのでは・・・・。ということで、チェコフィル・ファン、マーツァル・ファンになってしまった当方でした!!


2005.10.15

オッコ・カム指揮 日本フィル

ピアノ:児玉桃

曲目

シベリウス:<4つの伝説曲>より「トゥオネラの白鳥」

グルーグ:ピアノ協奏曲

−休憩−

シベリウス:交響曲第1番

−アンコール−

ヤルネフェルト:プレリュード

[感想記]

久しぶりの横浜みなとみらいホールです。このコンサートは行きたいなあと思っていたのですが、都合が分からない為、前売り券を購入せず、当日券で入場しました。日本フィルとシベリウスと言えば、指揮者の渡邊暁雄氏からの伝統があり、ましてや当コンサートの指揮者がオッコ・カム氏ということで、日本で聞きうる最高のコンビに近いのではということで大変期待しておりました。さらに当方にとって、シベリウスの1番はシベリウスとの出会いに欠かせない曲であり、是非ともライブで聴きたいというものがありました。

ホールに入り、ホール内を歩いているとなにやら拍手が?開演30分前に1Fホワイエにて奥田佳道氏による20分程度のコンサートの聴き所解説が行われていました。なかなか面白いお話でした。オッコ・カム氏が72年に初めて日本フィルを指揮していること。今回の来日で2番は絶対にやらないと断言し、来日されたこと。フィンランド本国では2番の演奏が最も少なく、他の交響曲は均等に演奏されているとのこと。コンサートの前にこのような催しをするというのは当方は初めてでしたが、大変良いことだと思いました。

さて、開演時間となり、楽員が入場され、その後、コンマスの木野氏が登場。音合わせの後、指揮者のオッコ・カム氏が登場。あれっ?イメージが違う!当方のイメージとしては長身で痩せていてふさふさな長髪で立派なヒゲをたくわえた方かと思いきや短髪で整い、体型はがっちりタイプでした。1曲目の<4つの伝説曲>より「トゥオネラの白鳥」ですが、イングリッシュホルン大活躍の曲ですが、弦楽器、木管楽器を初め、シベリウスの音色を満喫!!チェロのソロも良く、大満足の演奏でした。うーむ、この曲、マゼール@ピッツバーグ響でのCDは有しているのですが、CDでは分かりませんが、この曲、フルートがいなかったとは・・・。

グリーグのピアノ協奏曲も当方が1度生で聴いてみたいと思っておりました。ピアノのセッティングの後、児玉桃さんが鮮やかな青のドレスで登場です。オケもピアノもそれぞれ主張した強音部では、まさにオケとピアノの競争曲です。特に2楽章では、繊細なタッチで美しさはもう最高!!うっとりと聴いておりました。終了後、大拍手の後、休憩となりました。

休憩終了間際、児玉桃さんが私服で外人の方とともにホール内に・・。1F席の後方に座って、後半の演奏を聴いておられましたよ。さて、シベリウスの交響曲第1番ですが、まず冒頭のクラリネットがなかなか叙情的な演奏でこれは期待出来そう。全体的な解釈としては情熱的な若きシベリウスの作品らしく、重厚な音作りでの演奏でした。ただし、弱音部では、特に弦楽器の刻みが何とも寒々しくてうまい。文句なしの表現でした。しかし、重厚な強音を強調したものであったのですが、ここの副旋律が聴こえづらいところも多々見受けられ、やや雑な感じが印象を持ったのも事実。ハープや木管の音を浮き立たせてくれればなあと。当方の好みとしては、繊細なシベリウスを聴きたかったので、期待はずれの解釈となりました。次回は後半の交響曲が聴いてみたいですなあ。オッコ・カム氏がどのような解釈をするのか?

アンコールではヤルネフェルトのプレリュードと当方も初めて聴く曲でした。ヤルネフェルトは妹がシベリウスの妻であり、つまりシベリウスにとって義理の兄という存在です。小編成のこじんまりとしたほのぼのとした曲でした。そして、解散となりました。しかし、このコンサートですが、お客さんの年齢層が高い。なぜだ??そして、居眠り者多数でグリーグの3楽章では杖を倒し、大きな音をさせるし・・・。咳も多く、あまり集中して聞けなかったのが残念!!


2005.8.20

金子建志指揮 千葉フィル

曲目

ワーグナー:歌劇「タンホイザー」序曲とバッカナール(パリ版)

−休憩−

マーラー:交響曲第10番(全5楽章、クック版に準拠)

−アンコール−

ワーグナー:歌劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲

[感想記]

今回演奏会のオケはアマチュアオケの千葉フィルハーモニー管弦楽団である。この千葉フィルは主に県立千葉高、県立船橋高、千葉大オケのOBメンバーにより結成され、本演奏会は結成20周年記念演奏会である。音楽監督及び常任指揮者は金子建志氏である。この金子氏も県立千葉高OBということである。そして、本オケの歴代の演奏曲目を見ても、マーラーの演奏が多く、かなり意欲的なことが伺える。特に結成10周年記念演奏会では、マーラー9番を演奏しており、他にも6番「悲劇的」、7番「夜の歌」も演奏しており、今回は10番(クック版)であり、10番の補筆完成版については金子氏も自らの書籍にて詳しく執筆していることもあり、かなり期待できるのではと考えておりました。

JR津田沼駅を降り、歩いて5分程度のところに習志野文化ホールがあります(津田沼って習志野市だったのかあ)。ロビーの当日券売り場へ行こうとしたところ。男性の方から声をかけられ、チケットをお持ちで無ければ、1枚余っているので差し上げますとのこと。お言葉に甘え頂きました(本当にありがとうございました)。そして、会場内へ。1階席のみの定員1500名とのこと。パイプオルガンが完備されており、なかなかなホールである。会場の入りは7割でしょうか。アマオケでここまで入れば十分と思うのですが。客層としては、中高年の方と大学生と思しき年代が多く見られました。

楽員の入場ですが、楽員の年齢構成も当方と同年代(ちょっと上)から学生に近い方までバラバラと言った感じ。そして指揮者の金子建志氏の登場です。客席を見渡し、丁寧に挨拶をされています。そして、1曲目の歌劇「タンホイザー」序曲とバッカナール(パリ版)の演奏が始まります。「タンホイザー」序曲の演奏を聴いて、解釈としては丁寧にかつ雄大な音作りでした。初めて聴いたバッカナール(パリ版)ですが、序曲より切れ目無しで演奏されます。これは「タンホイザー」のパリ初演に際し、バレエ入りの版を作成する事になり、これがバッカナール(パリ版)と言われるものようです。「トリスタンとイゾルデ」の前奏曲を思わせる旋律も見られ、「タンホイザー」の序曲とは異なるイメージで大変興味深い演奏でした。演奏の技量と言う点で、ヴァイオリンパート、木管パート、トロンボーン、打楽器パートのレベルは高いなあと感じられました。(これは、マーラー10番の5楽章のフルートも期待できるぞ・・・)

休憩をはさみ、マーラー交響曲第10番(全5楽章、クック版に準拠)とのことでしたが、正確には「クック版金子建志プラスバージョン」とのこと。ビオラにより出だしですが、非常に神秘的なものですが、これは良い感じだと思っていたのですが、やや音程が怪しくなってきましたが、ヴァイオリンパートにより、かなり盛り返してきました。ただし、「タンホイザー」同様、低弦の音量が小さいこととホルンパートの不安定は気になるところ(やはりホルンは難しいのかねえ)。25−26分の演奏時間でした。2楽章から低弦が非常に元気になってきました。なかなか良い流れで奏でていきます。ほぼ完璧な演奏です。12分位のテンポです。 2楽章後、チューニングしておりました。

3楽章(演奏時間:4−5分)、4楽章(演奏時間:10−11分)も大変整った演奏で、強弱をきちんと強調したものとなっており、指揮者の指示に忠実に応えたものとなっています。4楽章後半の大太鼓の連打の時点で、会場内もどことなく落ち着かない雰囲気にでした(確かに、あの大太鼓の連打を初めて聴くと不安になると思いますわ)。しかし、5楽章のフルートのソロが始まったところで、会場内がその美しい旋律に陶酔しているようでした。案の定、当方もこのフルートのソロに感動し、涙が溢れてきました(やっぱり、この部分に来るとダメですなあ)。このマラ10の中で最も好きな部分ですからねえ。それに、大変繊細な音を奏でており、完璧な出来でした(アマオケの方とは思えない位)。この部分だけでこの演奏会に来た甲斐があったというものです(言い過ぎか?)。後半部分でのクック版のオリジナルに近い演奏では弦楽器を中心とした構成で、やや素朴な印象を与えるのですが、金子氏の追加もあり、金管や打楽器の音色が重ねられ、さながら色彩感を帯びたものに仕上がっており、大変、興味深く聴くことが出来ました。これぞ<金子建志プラスバージョン>!! 改めて生演奏を聴いて、この5楽章はマーラー9番の終楽章に匹敵する程の素晴らしさ・感動を有すると思いましたね。そして、分厚い音を形成し、演奏は終了しました。大拍手です。その後は各パートを立たせます。当方はフルートの首席の方には一番の大拍手ですよ。この5楽章の演奏時間は23分といったところでしょうか。

アンコールはワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲で雄大に終了です(金子氏としてはマーラー10番というマイナーな曲で終わらせるのは申し訳ないという感じで曲紹介をされておりました)。ここでもホルンの調子はイマイチでしたが・・・。当方としては、マーラー10番で大満足でしたが、他の観衆は、これが無ければといった感じでかねえ。

総じて、「千葉フィルの実力恐るべし」 難曲のマラ10を破綻させることなしに、熱い演奏を聴かせてくれました。マラ10の魅力を余すところなく伝えてくれたと思います。技術的に欲を言えば、言う事は多々ありますが、金子氏の解釈を体得し、音に表現するということでは、文句無し!!各人が一音一音に全力投球で音楽に対する情熱を感じられる演奏会も良いものですなあと感じました。

このマーラー10番(全曲版)、本当に本当に良い曲です。どんどんプロオケでもプログラムに取り上げて欲しいと思います。


2005.7.3

飯森範親指揮 東京交響楽団

ピアノ:小山実稚恵

曲目

J.S.バッハ:チェンバロ協奏曲第3番(ピアノ版)

−休憩−

マーラー:交響曲第9番

[感想記]

昨年暮れ、この東京交響楽団の定期公演プログラムを見て、「マーラー9番」でしかも土曜日となれば、何が何でも行かなければと思い、待ちに待ったコンサートです。「マーラー9番」の演奏会では、今年に入って、3月のインバル@ベルリン響、5月のエッシェンバッハ@フィラデルフィア管とコンサートがサントリーホールで行われましたが、ともに月曜日の演奏会と泣く泣く断念しました!!雨の中、サントリーホールへ、CD売り場では、ユベール・スダーン音楽監督就任記念「第九」のCDが売っていました(なぜ、先日のミューザ川崎でこのCDが販売されていないのだ??)。大谷康子さんのサイン入りCDも。さらに小山実稚恵の数々のCD、マーラー9番では、何故か?カラヤン@BPOのライブCDが・・・。東京響グッスも少々。そして、ホール内へ。へー、東京交響楽団も<SYMPHONY>なる雑誌があるではないか。N響や読響と比較すると内容的に寂しいものですが。

ステージ上では、ピアノと少ない弦楽器奏者用の椅子が。バッハのチェンバロ協奏曲第3番(ピアノ版)は少人数編成のようです。天井からは、マイクが10本近くぶら下がっていますが、いつもこのようなものですかねえ??開演の時間です。開場の入りは8割といったところでしょうか。もう少し入って欲しかったですなあ。弦楽器奏者の入場です・・・。ほー、ピアノと弦のみの協奏曲です。そして、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが左右に!両翼配置です(もしかして、マラ9でも・・)。コンマスは、グレブ・ニキティン氏で、かなり大柄な方です。そして、ピアニストの小山さんと颯爽と指揮者の飯森氏登場です。小山さんの衣装は、若草色のドレスです。演奏の方ですが、弦楽器の小編成にピアノということで、かなりピアノの音が勝っていたように思えます。やはり、チェンバロの方が適切な演奏に思われました。アインザッツときめ、音の強弱を的確にドライブされており、なかなか統制のとれた音楽を聴くことが出来ました。

さーて、休憩後は「マーラー9番」です。楽員が入場してきました。うーむ、やはり両翼配置です。左から、第1ヴァイオリン、チェロ、ビオラ、第2ヴァイオリン、そしてコントラバスはチェロ、ハープの後方です。拍手の中、指揮者飯森氏の登場、指揮台へ・・・あれっ?もう一度、舞台袖に引き返してしまいました??観衆も楽員も何故??その後、ホール職員が、指揮台の背もたれを持って、指揮台にセッティングしました。その後、再び飯森氏の登場、拍手もやや控えめに。そして、飯森氏は指揮台の<背もたれ>を叩いて、「これ、これっ!これがなければ・・」という感じ。そして、コンマスのニキティン氏も<背もたれ>を触り、「大丈夫、しっかり固定されてますよっ!」という仕草!ここで会場内に笑いが・・。そして、静寂の後、演奏が始まりました。チェロの音に続き、ホルン、ハープ、コントラバス・・・と進んでいきます。ここで、「ベルティーニ@都響」以来のマーラー9番ライブ演奏を再び聴くことが出来る喜びに浸っておりました。このマーラー演奏について、かなり気合が入ってる様子で、飯森氏は情熱的にダイナミックな指揮振りでオケを引っ張って行きます。解釈としては、指揮を見る限りでは、やや粘着系であると思います。ややオケの方の反応が疎くなっている気配を感じました。音色的にもマーラーらしさを十分に感じることは出来ませんでした。しかし、打楽器の存在感ある響きや弦楽器の粘りあるフレーズなど良い点も多く見られました。ただし、先日のコンサートでも感じましたが、やはりホルンの不調は残念な限り!第1楽章は27分程度でしょうか。

第2楽章では、冒頭に両翼配置の利点を堪能することが出来ました。左右の音のやり取り、なかなかでした。大変、リズム感を重視したリズミカルな指揮振りで、時折、指揮台の上で飛び跳ねていました。演奏時間は15−16分です。ここで、飯森氏が指揮台を下り、オケはチューニングを行いました。

そして、第3楽章。いやーー、やってくれました。出来る限りのアップテンポで引っ張っていきます。オケも必死でくらいつきます。完璧とはいいませんが、大きな破綻も無く、良くぞ!やってくれたーーという感じ(金管も調子が戻ってきました)。会場もこの辺から緊張感が漂ってきました。演奏時間は12分そこそこですよ。ソロトランペットですが、上手かった!ストレートに音が響いてきました。ハプニングとしては、チェロの方の弦が切れたようで、一旦退場し、その後、戻られてきました。

第4楽章ですが、かなり渾身の指揮振りです(時には、指揮台を鳴らしながら)。飯森氏の細かな指示に対応しきれず、やや平板な表情が見られた箇所もありましたが、総じて、なかなか高いパフォーマンスを見せてくれました。弦の音色としては、暖色系ではなく、ストレートに訴えかけてくるもので、音量も問題なしでした。特に前半は金管・弦楽器もバランスが良く、すばらしい響きとなっていました(後半、金管が主張し、ややバランスを欠く)。特にソロビオラの表情豊かな音は大変良かった。後半に入り、ぐっとペースを落とし、弦の弱音は会場に透き通る音で響き渡っていました。そして、飯森氏は手を徐々に下ろしながら、極弱音の中、曲を終えました(演奏時間は26分程度)。20秒程度でしょうか?長く感じた静寂が続き、完全に指揮棒を下に下ろした後、拍手とブラボーが・・。しかし、精魂使い果たしたのか、飯森氏はすぐには、喝采に応えることが出来ず、ワンテンポの後、大喝采を受けました。その後、飯森氏は、首席奏者を称え、何度もステージに!そして、解散となりました。

今回のマラ9についての印象ですが、飯森氏のやりたい演奏というのは、指揮振りから理解できました。フレーズをタップリ歌わせ、音の強弱をダイナミックに、粘着系の解釈だと自分ながらに予想したのですが、オケの方がテンポ的にはついてきてはいましたが、音の強弱、表情付けの点でついていけていない箇所が見受けられました。あと金管が頑張って欲しい。しかし、3楽章については拍手です。良くやった!東京交響楽団もマーラー演奏の歴史を築いて欲しいですね。うーむ、やはり、今考えて見るとベルティーニ@都響のマラ9は素晴らしかった!!


2005.7.3

齊藤一郎指揮 東京交響楽団

ピアノ:広瀬悦子

曲目

シベリウス:交響詩「フィンランディア」

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番

−休憩−

ブラームス:交響曲第1番

−アンコール−

ブラームス:セレナーデより「メヌエット」

[感想記]

川崎駅西口に見える一際高い新しいビル。駅から徒歩2,3分位で到着。 ビル入り口の横には、斜めになった赤レンガ??英語で関東大震災のメモリアルだとか。 ビルに入ると、光る通路(下からライトアップされている)を通り、エスカレーターでホール入り口へ。ホール入り口の向かいにはチケットセンターがあります。 ちょっと開場まで時間があったので、ビル内を散策。1Fには飲食店、2Fにはスポーツ店等がある。 さて、開場後、当方は3F席だったのでエスカレーターで上へ。2Fロビーはドリンクコーナーがあります。 そしてホール内へ、ほーほー、確かに螺旋構造をしたワインヤード形式でユニークな座席配列である。 さらに当方の座席は3Fと全体を見渡せ、一瞬、平衡感覚がおかしくなるような。とても広いステージで高さも低くなっています。 1F座席ではかなり近く感じるのでは。ちなみに座席が分からず、係員に聞く方多数見受けられました。 ホール内をぐるっと1周したのですが、まさに一筆書きのようでこりゃ、大変!オケは東京交響楽団で、 前日にサントリーホールで「こども定期演奏会」と忙しいスケジュールですねえ。連日のコンサートで曲目も異なっており、たとえ演奏経験が多い、 名曲であろうとも演奏の完成度という点では、不安視してしまうところです。どこまでリハーサル出来ているのやら。

楽員の登場とともに、コンミスの大谷康子さんも一緒に登場です。ありゃ?大谷さんいつからシュートヘヤーに?  おっ!名曲コンサートということでしょうか。楽員全員、概ね白い衣装です。そして指揮の齊藤氏の登場。 十分な静寂を確認した後、「フィンランディア」の演奏ですが、極めて安全運転。座席の関係か、ティンパニーとシンバルがよく響いた。音響的には悪い座席でしょうが、 思いのほか悪くないというのが印象です。次回は、1Fや2Fの中心で聴いて見たいものです。 ピアノのセッティング後、ピアニストの広瀬悦子さんがピンクというか赤紫に近い衣装で登場。 出だしの音がホール全体に存在感溢れた音で響きわたり、その後、弦が何とも言えない感傷的な演奏。 うーむ、やはり、この曲は生で聴くべき曲だと思いました。 その後もピアノとオケの互いの響きを尊重したバランスのある演奏で、「ラフマニノフの世界」に浸ってしまいました。 いやー、大変素晴らしい演奏で特に木管の響きが良かった。

休憩時間はロビーをうろうろしていたのですが、CD販売所が。 覗くと当然、ピアノの広瀬悦子さんのCDの販売はともかく、ブラームスの1番やラフマニノフのピアコン2番のCDとして、ナクソス盤が販売されていました。 もう少し、何か別のCDは無かったのかねえ?東京交響楽団は何枚かCDリリースしているでしょうに、、、、。 休憩後のブラームス交響曲第1番ですが、若き齊藤氏がどのような解釈を聴かせてくれるか?うーむ?ブラ1って、テューバ無しなんですねえ。知らなかった。  指揮者登場後、オケに振り向いた瞬間に出だしの音楽が・・・、おいおい、こちらの聴く体制を準備する暇無し。 さらにアップテンポでティンパニーの音がさらりと川のように流れていくーーー。重厚な演奏を期待していた当方としては全く期待を裏切られた形!! 2楽章、3楽章では木管を中心に叙情的な解釈で、持ち直してきた。さーて、注目の4楽章ですが、またまたアップテンポでアッサリと演奏される。 さらには、当方お気に入りの後半部でも、ホルンの音は唐突的で濁り、 ティンパニーも控えめに演奏と演奏者が悪い訳ではないでしょうが解釈が当方の好みと全く異なるもので、 このブラ1に関して指揮者の解釈と根本的に異なることを認識させられ、思わず大きなため息をついてしまった。 木管陣や大谷さんのヴァイオリン・ソロは良かったのになあーーー。 最後は盛大にまとめて終わりました−最後だけ熱く気迫溢れるものでした(ブラボーの声は飛び交っていたが)。  ちょっとね、当方にとっては、好みではない演奏解釈でしたが、これはこれで、最近のアッサリした傾向なのでしょうか? アンコールでは、室内楽風にブラームスのメヌエットでお開きとなりました。

まあ、今回の演奏で東京交響楽団のポテンシャルは分かりませんが、次回に期待ということで・・・。 齊藤氏の指揮によるブラームスはもう結構!協奏曲はまた聴いてみたいものです。 まあ、今回のコンサートはミューザ川崎に行くというのが、第1目的だったので、これには満足というとで・・・。


2005.4.29

鈴木雅明によるパイプオルガンレクチャー・コンサート<1:トッカータとフーガの謎>

曲目

第1部 「トッカータとフーガの謎」
おはなし&オルガン:鈴木雅明
ゲスト:小林義武(バッハ研究者)
オルガン:長谷川美保
ヴァイオリン:若松夏美

第2部 
ビーバー:ソナタ第1番ニ短調「受胎告知」
フレスコバルディ:トッカータ第10番
J.S.バッハ:プレリュード ハ長調 BWV549
ブクステフーデ:トッカータ ニ短調
レーガー:トッカータとフーガ「12の小品」より
長谷川美保:即興(トッカータ様式)
J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV505

[感想記]

 以前より、パイプオルガンの演奏会に行ってみたいと探しておりましたら、 この「鈴木雅明によるパイプオルガンレクチャー・コンサート」というのを見つけまして、 当日、いそいそとサントリーホールまで出かけました。とはいえ、レクチャーには関心が無かったのですが、、。チケット代は2000円とお手頃価格です。

当然ですが、Pブロックは全席開放せず、LA、RAブロックもオルガン寄りの半分は開放していませんでした。 それ以外のところで、客の入りは7〜8割といったところでしょうか?休日の午前中でここまで客が入るとはさすが、東京!  会場ステージ上に大きなスクリーンが、おそらくプロジェクターで映すのでしょうか。

さて、第1部ですが、パイプオルガンにて、例の「トッカータとフーガ」のフレーズが会場に響きました。 中央に座られた方はスクリーンに邪魔され、演奏者(長谷川さん)が見えなかったので、驚いたと思いますが! その後、鈴木雅明氏がステージに登場。<トッカータとフーガの謎>というお話??謎ってなんだろうか? そして、バッハ研究者、成城大学教授の小林義武氏の登場。この小林氏はバッハの楽譜研究の権威とのこと。 バッハ作品の作曲年代やバッハの楽譜記述方法の変遷など研究されている。 つまり、楽譜に使用された紙やバッハの音符記号の書き方のくせの変わりようによって、その作品がいつの時代に書かれたものなのか調査されているようだ。 例えば、バッハの最後の作品は「フーガの技法」と言われていたが、研究によって「ミサ曲ロ短調」ということが、分かったのも上記の研究の成果とのこと。

さて、今日のテーマ<トッカータとフーガの謎>ということですが、これは、この名曲「トッカータとフーガニ短調」がJ.S.バッハの作品か否かということのようです。 へーー、今の時代でも、この曲がバッハの作品である否かが正式に結論付けられていないとは、これも有名曲ならでのスキャンダルといったところでしょうか? つまり、バッハ直筆の楽譜が残っていないことが疑惑の発端のようです。バッハの楽譜は、バッハの死後、 長男:フリーデマン・バッハと次男:エマヌエル・バッハに分けられ、フリーデマン・バッハは相続された楽譜の多くを売り払ってしまったと言われ、 一方、エマヌエル・バッハに相続された楽譜は、多く現存され、ベルリンの博物館に残っているという。この貴重な直筆楽譜が研究素材となっているのだが。 さて、残念ながら、「トッカータとフーガニ短調」の現存する最古の楽譜は、バッハの弟子の書き写したもののようだ。 この当たりの説明は、プロジェクターにてスクリーンに映しながら、行っておりました(大変、分かりやすい)。 この「トッカータとフーガニ短調」についても、作曲技法がバッハらしくないところが多くみられるようだ。 とはいえ、小林氏曰く、バッハならではの手法も取り入れられており、最終的にはバッハの作品だろうとのことでした。 しかし、この曲は当初からオルガン曲として作られたものではなく、おそらく別のヴァイオリン作品(バッハの作品か他人の作品かは不明)をアレンジし、 オルガン作品となったのではと結論付けられていました。ということで、 第1部の最後に若松夏美さんによるヴァイオリンバージョンの「トッカータとフーガニ短調」の演奏がありました。なかなか興味深い演奏でした。 やはりヴァイオリンということで、バッハの無伴奏ヴァイオリンの曲に似ている印象を持ちました(シャコンヌのような)。

第2部の1曲目だけは、オルガン:鈴木雅明、ヴァイオリン:若松夏美の演奏で、2曲目以降は長谷川美保による演奏です。 オルガンの大迫力に圧倒されつつ、楽しむことが出来ました。「トッカータとフーガニ短調」ですが、 当方が好んで聴いているマリー=クレール・アランとは異なったダイナミックな印象で、やはりオルガンのよって異なりそうだと思います。 長谷川美保さんによる即興演奏ですが、「さくら」を主題としたもので、日本的なパイプオルガンの響きと言うのもなかなか乙なものですよ。


2005.3.20

大植英次指揮 大阪フィル

曲目

マーラー:交響曲第6番「悲劇的」

[感想記]

 当方にとって初の「サントリーホール」に聴きに行くこととなった。 1986年10月12日の開館以来、名立たる指揮者、オーケストラ、ソリストが舞台に立ち、数々の名演奏が行われたホール(日本クラシック界の殿堂)である。 日本のクラシックファンならば1度は訪れて、その響きに浸ってみたいと思う場所である。 このようなホールに対する感情を持ったのは、学生時代に訪れた「ザ・シンフォニーホール」以来ではないだろうか。 その初「サントリーホール」でのコンサートに当方が選んだのは、外国オケでも在京オケでも無く、大阪フィルであるというのが、 いかにも自分らしいと思っているのだが、、、。というより、値段と曲目で決めたというのが正直なところである。とはいえ、 以前より大植英次氏には期待しているとこが大きく、最近、マーラーを積極的に演奏会で採り上げており、大フィルの音楽監督に就任してからのコンサートにて、 かなり好評を得ているということを耳にしており、実際にこのコンビで聴いてみたいというのもあった。

地下鉄「国会議事堂」−「溜池山王」駅と延々と歩き、13番出口より「サントリーホール」を目指した。 分けも分からず全日空ホテルの脇の「桜坂」(あの福山雅治の歌の「桜坂」では無いとのこと)を上り、道沿いに曲がり、突き当たりで階段とエスカレーターで下り、 サントリーホール前の広場「アーク・カラヤン広場」へ到着。結局は「桜坂」を上ったことが全くの無駄であったことが判明。 当日チケット売り場には、30〜40名の方が並んでいました。当方は、前売りチケット売り場にて、7月のコンサートのチケットを購入し、開場時間を待っておりました。 すると、正面玄関の上のパイプ・オルゴールが演奏を始め、開場時間となりました。 エントランスでは、CDが販売されていましたが、大フィルのCDや大植@ミネソタ管のCDでした。そして、ホール内へ。 ステージ上では何名かの楽員が最後の練習をしておりました。当方は時間があったので、ホール内をぐるっとゆっくりと1周し、サントリーホールを堪能しておりました。

客の入りは9割ほどと言ったところでしょうか。開演5分前くらいから楽員が三々五々ステージに登場して来ます。 そして、首席コンサートマスターのロバート・ダヴィドヴィッチ氏が登場し、首席客演コンサートマスターの長原氏の横に立ち、音合わせを行います。 そして、拍手の中、指揮者の大植英次氏の登場です。 大植氏とは1998年のミネソタ管とのコンサート以来ですから、7年ぶりでしょうか。 7年前と変わらず、颯爽とハツラツとした登場です。指揮台が1段高くなっているようです。

指揮者登場とともに楽員も起立しますが、深呼吸している楽員もいて、東京公演ということで各自緊張しているように見受けられ、 さらに気合の入っているようにも見えました。<大フィルの実力を東京の観衆に見せようとする気概をも感じました。> 1楽章の出だしですが、なかなか低音が響いており、テンポは速めに刻んでいきます。そして、直接音だけ出なく、 反射音が頭上からも降ってくるこれがサントリーホールの音響なのかと思いました。大植氏の体全体を使ったダイナミックな指揮振り、 その動きに楽員が必死に献身的に従っています。この光景を見た時に、大植氏は完全に大フィルからの信頼を獲得しているなあと感じました。 テンポを揺らしながら、着実に音をつないでいきます。ソロのところでは基本的にはゆっくりめになっているように思われました。 音量も申し分無く迫力十分です。当方の予想としては、日本のオケということもあって、ベルティーニ@都響のCDのような音量は抑え、 自然体でかつ機能的な演奏になるのではと思っていたのですが、見事に予想が裏切られ、大植のパワーに押され、大フィルも持てる全パワーを出しているようでした。 特に弦楽器の全身を使った渾身の音には参りました。

およその演奏時間は、1楽章:22−23分、2楽章:12分、3楽章:14分、4楽章:30分といったところでしょうか。 ちなみに2楽章はスケルツォで3楽章がアンダンテの順で演奏されました。当方もこの方がしっくりくるので安心しました。 3楽章の美しさは、今まで聴いたことのない素晴らしい演奏でした(思わず後半でうるうるきてしまいました)。 弦楽器も丁寧に演奏していたこともさることながら、特に木管がなかなか感情こもった表現で良かった。 終楽章ですが、当方としてはここまでの気迫の演奏でかなりバテており、金管を始め、ヘロヘロになるのではという心配をしていたのですが、 何の何のトンデモナイ!終楽章になり、より一層の気迫で音が迫ってくるではありませんか。ここまでくると当方は冷静に音楽に浸っている状況ではありません。 大音塊に包まれ、極度の興奮状態となるほどでした。2度のハンマーも脳髄に響きわたりました。 やはり、この曲は生で聴かないと真の解釈は不可能なのかと思うほどの説得力のあるものでした。 曲の後半は、恥ずかしながら当方は、ほとんど放心状態で音楽を聴いていたような気がします(このような状況になったのは、コンサートで初めて)。 そして、最後の大音響の後、10秒ほどの静寂が包み、パラパラと拍手の音が、当方もその後、一瞬の後やっと放心状態から開放され、 ゆっくりながら拍手することが出来ました。本当の名演奏の場合は、このように曲の終了すぐに拍手出来る状態に無いのだなあと実感しました。

その後、大拍手の中、大植氏とコンマスのダヴィドヴィッチ氏が抱き合い、成功を確認しあったように見えました。 そして、観衆の方へ振り向き、達成感に浸った表情を見ることが出来ました。その後、各パートを労いました。続く大拍手の中、何度もステージに登場し、 花束を受け取り、花を女性楽員に配り、客席にも1輪の花を投げ入れていました。観衆の方へも大植氏自身が拍手をされました (おそらく真剣に演奏を見守っていた観衆への感謝を込めて)。そして、胸ポケットより朝比奈氏の写真を出し、高々と掲げていました。 なかなか感動的なシーンでした。楽員が引き上げた後も1人でステージに登場し、会場全体をゆっくり見回し、うなずきながら、礼をしつつステージから去り、 お開きとなりました。

今回の演奏の全体的な解釈でいうと、「テンシュテット」のような粘着・悲劇的なものではなく、 どちらかというと「レヴァイン」や「ショルティ」のような開放的・爆演的なものに近いといった印象を持ち、 首尾一貫した解釈で堂々とハツラツと自信に満ちた音楽を響かせていました。しかし凄いじゃありませんか! 日本人指揮で日本のオケでここまでのレベルの演奏が行えるのです!!当方の<マーラーの森>でも記述していますが、 「悲劇的」という曲は、かなりの難曲で技術だけでもパワーだけでもだめで、ともに兼ね備えたオケだけが、名演奏できると考えていたので、 日本のオケにはまだまだかなあという先入観があったので、、、、。とはいえ、常にこのコンビがこのレベルの演奏が出来るとは思えませんし、 奇跡的といえばそうかもしれませんが、東京定期公演という特別の舞台での<大植氏と大阪フィルの意地>というのを肌で感じました。 大植氏と大フィルの渾然一体となった音作りのポテンシャルの高さは十分に証明されました。今回の演奏を聴いた限りでは言い過ぎかもしれませんが、 <音楽監督とオケとの関係から生み出される全体のポテンシャルの高さ>は日本のオケの中ではナンバー1だと思いました。 大フィルも良い音楽監督を得たなあ!と、これからの大植@大フィルの活躍には目を離せませんね。


2005.1.8

チョン・ミョンフン指揮 東京フィル

メゾ・ソプラノ:寺谷千枝子

合唱:東京レディースコーラス、東京少年少女合唱隊

曲目

マーラー:交響曲第3番

[感想記]

 このマーラー交響曲第3番というのも、実際にコンサートにて聴いてみたいと思いながらチャンスが無かった曲の1つで、 特に1楽章と6楽章!この3番といえば100分を超える大作であり、休憩無しでしょうから、体調を整えるべく、数日前から禁酒し、 水分の取り過ぎに気をつけて当日に臨みましたよ。本コンサートは、東京フィルと文京区が事業提携し“響きの森クラシック・シリーズ”を開いているようで、 今回は第10回目ということのようです。曲目も定期演奏会と同じであることも多く、価格もお得感があります。 今回の演奏会については、翌日、オーチャードホールでの定期演奏会の最終調整の意味も感じなくはないですが。 会場の文京シビックホールは、後楽園、東京ドームの裏にあり、当方はJR水道橋から歩いていったのですが、 東京ドーム脇の観覧車やジェットコースターの絶叫を耳にしながら(あの柔道の講道館もすぐそば)、会場に到着しました(徒歩6,7分)。 このホールは平成6年に開館し、まあまあ新しいです。席数は1800で典型的なホールの作りです。音響も普通といった感じでしょうか。 さて、チョン・ミョンフン@東フィルのマーラーとなると、以前、TVにて放送されていた<巨人>のパワフルなグイグイ引っ張っていく演奏が記憶にあり、 この3番でのこのような解釈の演奏が聴かれるのではと予想しておりました。昨年、今年とチョン・ミョンフン氏はコンサートにて積極的ともいえるほど、 マーラー交響曲を曲目に加えており、マーラー指揮者としての地位を築き上げて欲しいものである。

開演時間となり、客の入りは7〜8割といったところでしょうか。 楽員、コンサートマスターの入場の後、指揮者のチョン・ミョンフンが颯爽と登場。そして1楽章の壮大なホルンの出だしがホールに響き渡りました。 その後の音が全体的に硬く、無難な演奏になっています。しかし、10分経ったところで音色が変わり、音に表情が出てきました。 チョン・ミョンフン氏の指揮振りですが、非常にメリハリをつけたもので、力強いところは体全体でオケを引っ張り、そして制御していきます。 一方、緩やかな部分では、オケの流れに任せた自然な音を引き出しているように見受けられました。この1楽章でも全体的に早いテンポで流れます。 そして、最後の5分間は、締めくくりとばかりに大迫力で迫ってくるものがありました。金管が大変素晴らしく、 このまま最後までもつのかと心配したくらいです(この心配は的中するのですが)。演奏時間は32分くらいでした。

2楽章は軽やかにチャーミングに流れていきます(演奏時間8分)。3楽章(演奏時間17分)で印象的なのは、やはり舞台裏で演奏されるポスト・ホルンでしょうか。 このポスト・ホルンが演奏されている間は、ステージ左後方の壁が開いておりました。本当に上手かったです (最後の最後のほんのちょっとのミスがありましたが、ここまでやれれば満点でしょう)。この演奏者がこのコンサートのMVPだと思いますがね。 2,3楽章とあまり真剣に聴いていない楽章ほど、演奏会での発見も多いものです。再認識されられた瞬間です。

4楽章を前に、合唱の東京レディースコーラス、東京少年少女合唱隊が入場してきました。 東京レディースコーラスはステージ後方へ2列に並び、東京少年少女合唱隊はステージの左袖に2列に並びます。それぞれ30〜40名です。そして、独唱者の寺谷さんの登場。 クリーム色のドレスです。4楽章(演奏時間10分)では、寺谷さんの声が会場全体を包み、頭の上から降ってくるようでした。 しかし、ここで遂にというか金管がヘロヘロになってしまった(全くダメ)。折角、声楽が良かっただけに残念! 続けて5楽章(演奏時間5分)へ入ると同時に一斉に合唱団が立ち上がります。おそらく、声(ビム・バム)を出しながらのタイミングと思う。 席の場所の関係か少年少女の声が聴きにくかったのは仕方ないかーー。そして、5楽章終了と同時に着席。そのまま6楽章へ。 5楽章あたりから会場の雰囲気も緊迫してきた気がします。

なぜか、なぜか、、5楽章の最後で目がうるうるしてきました。そして、6楽章の出だしで涙が、、、。この楽章だけで3回位うるうるきました。 いやー、この楽章はやはり生で聴くべきだなあと思います。この6楽章はマーラーの交響曲の中でもメロディーの美しさではナンバー1でしょうから。 さて、解釈ですが、弦楽器は粘っこくなく、さらっと透明感のあるの響きでした。金管もここにきて盛り返してきました。 強弱メリハリのあるもので最後の大音響はなかなか素晴らしいものでした。演奏時間は23分くらいでしょうか。演奏の余韻も楽しめました。 その後は、拍手とともにブラボーが飛び交っておりました。

その後は、ソリスト、合唱団、ポストホルン奏者を称え、大拍手の中、解散となりました。総じて、満足した演奏会でした。4楽章を除いては合格です。 このようなマーラーが聴けるとは、東京フィルに期待しても良いかなあ?チョン・ミョンフン氏のマーラー解釈もまだまだこれからといったところでしょうか (模索中といったところか)。やっぱ、マーラーの交響曲は生で聴かなあかん!!


2004年

2004.7.28

尾高忠明指揮 読売日本交響楽団

ピアノ:中野翔太

曲目

メンデルスゾーン:序曲「静かな海と楽しい航海」

リスト:ピアノ協奏曲第1番

−休憩−

ブラームス:交響曲第2番

−アンコール−

ブラームス:ハンガリー舞曲第1番

星と潮騒のまち

[感想記]

 本日のコンサートは<名曲シリーズX>ということで、毎年行われており、今年で10回目。 2年前のこのシリーズは聴きに行きました(参照:2002.5.18のブルゴス@読響演奏会評)。 読響の皆様には毎年毎年、こんな田舎までご苦労さんと言いたいです。 本日の指揮者の尾高忠明氏はBBCウェールズ響、東京フィル、紀尾井シンフォニエッタの桂冠指揮者、札幌響の音楽監督、 そして、この読響の名誉客演指揮者と幅広く活躍されてますねえ。1947年生まれで現在、56歳です。 広響の秋山和慶氏のところでも述べましたが、井上道義、コバケンなど、この世代の日本人の円熟指揮者陣に是非とも頑張ってもらいたいと思っています。

 ほぼ開場と同時に会場に入りました。「月刊オーケストラ」を受け取り、ロビーへ。  すると、何やらいろいろなグッズが販売されております。  本コンサートは2005年愛知県で行われる万博<愛・地球博>のPRコンサートとなっているようで、その一環で<愛・地球博>のグッズを販売しているようです。  ホール内に入り、座席に着くと、前から5列目だったのですが、ちょっと前過ぎたかなあと後悔が、、、、。  ステージが高く、木管、金管奏者が全く視界に入りそうにありません。弦楽器奏者はバッチリですが。会場の入りは8割くらいでしょうか。  開演時間となったところでアナウンスが。「本日のコンサートは、<愛・地球博>のPRコンサートとなっており、  <愛・地球博>の広報(PR)担当ディレクター?の<マリ・クリスチーヌ様>より挨拶」とのこと。  うーん、放送メッセージでもあるのかなあと思っていると、ステージにマリ・クリスチーヌさんご本人が登場。  <愛・地球博>についてのコンセプトやパビリオンについてお話されていました。  この万国博覧会というのは、日本では1970年の大阪万博以来とのことで、大変、大規模なものになっているようです。  (ということは、“つくば科学博”や“大阪花博”は万博とは異なる博覧会というカテゴリーになっていたのか)  当方、こういうイベント系は大好きなので、行って見たいですねえ<愛・地球博>!!

 その後、楽員の入場です。各トップはチェロの毛利氏、ホルンの山岸氏、トランペットの田島氏がされていました。  そして、コンマスの横の席には、読響の客員コンサートマスターである鈴木理恵子さんが座られました。  新日本フィルで副コンミスをされた後、ソロ活動され、CDもリリースされている鈴木理恵子さんですが、お綺麗な方ですなあ(またまたミーハーおやじ根性が、、、)。  CDジャケットとイメージがかなり違っていますねえ。まあ、ソロ活動時とこのようにオケの一員では、雰囲気を変えているということでしょう。  今日のコンマス:デヴィット・ノーラン氏の登場です。前回の読響コンサートの時は藤原さんだったので、今回はノーラン氏のソロも注目ということで。  そして、指揮者の尾高忠明氏の登場です。落ち着きがあり、気品を感じさせる方ですね(指揮振りもその通りです)。  最初は、メンデルスゾーンの序曲「静かな海と楽しい航海」です。弦楽器のやわらかな音色で始まりますが、前列で聴いた事もあって、読響の弦の繊細さ、  柔らかさをダイレクトに堪能することが出来ました。特に、チェロの前に座っていたため、毛利さんを始め、チェロの豊かな響きに感動しておりました。  解釈的には、丁寧で弱音部の美しさを際立たせたものとなっていました。ピアノのセッティングの後、ピアニストの中野翔太さんが登場してきました。  1984年生まれとのことですが、見た目では高校生位かと若く見えました。会場内でもあの若い方が、、という感じでした。  リストのピアノ協奏曲第1番ですが、冒頭の低弦の旋律が有名ですが、全体的にこの演奏ではピアノとオケと大変バランスの取れた良いものとなっていました。  尾高さんの指揮振りも流れるように悠然に腕を動かし、オケを引っ張っていました。曲全体の流れを大切にし、過度の表現はせず、やや抑え気味となっていました。  ただ、本演奏では、やはり当方の席が前過ぎたのか、ピアノの低音が頭上と通過していき、混濁した音が耳に届き(高音は良かったのですが)、  中野氏の低音時のピアノ迫力を感じることが出来なかったのは残念でした。ただし、中野氏のダイナミックかつ繊細なピアノの一端は垣間見えました。  今度はソロリサイタルでも!

 休憩時にロビーにて販売していたCDを見ておりました。  読響のアルブレヒト氏とのベートヴェンやブラームスの録音CDが販売されていると同時に尾高氏の東京フィルとのCDも販売されており、  尾高@東フィルのマラ5のCDを購入しました(アルブレヒト@読響のマラ5も販売されていたのですが)。  尾高さんのマーラーというのがどのような解釈で演奏されているのか興味がわきまして。  休憩後は、中後列の空席へ移動し、本日のメイン:ブラームス交響曲第2番を聴きました。  さて、全体的に感じたことは<音と音楽の流れに気品がある>ということです。ドイツ的な重厚なブラ2というのではなく、  まさに自然交響曲である2番をイメージした“ゆったりとよどみの無い流れ”で1音、1音丁寧に演奏しつつ、ブラームスならではの響きを読響から引出していました。  特に中間楽章では、まさに指揮者とオケのイメージは一致し、素晴らしいものとなっていました。  しかし、終楽章では一変して、小刻みな動きの激しい指揮振りで時には足で指揮台を踏み鳴らし、オケのテンションを上げ躍動感あふれる壮大なフィナーレとなりました。  観客も思わず、大拍手です。ここの尾高さんのギアチェンジには「流石だなあ!」と感心させられました。  この曲でのソロ・ホルンは重要で出番が多く(大体、ブラームスはホルン好きだと思うのだが)、山岸さん、ご苦労様でした。  唯一、難点を挙げれば、ソロ・フルートの主張が足りなかったかな。そして花束贈呈があり、尾高さんはオーボエの蠣崎さんへ花束をそのまま渡しておりました。  なにか御祝いでしょうか?そして、指揮台に駆け上がり、アンコール曲とてブラームスのハンガリー舞曲1番を演奏しました。  弦楽器の重厚な音に包まれ、ブラ2もこのように重厚な演奏がやろうと思えば出来たのでは?と思いました。尾高さんや読響の幅の広さを実感。  そして、このシリーズ恒例の市歌?を演奏しました。読響も毎年の演奏で叙情的で心に響くメロディーを演奏してくれました。  そして、何度か尾高さんの登場の後、尾高さんが時計を指差し、おちゃめにお休みのしぐさをして、解散となりました。

 尾高さんの“気品ある悠然とした指揮”と音楽というのは、尾高さんが本来、持っていたものなのか、  イギリスで磨きがかかったのかエルガーを始めイギリスものを聴いてみたいと思いました。  本当に日本にとって尾高さんのような指揮者は貴重だと思いますので、国内のみならず海外でもどんどん活躍して欲しいですね。  そしてどんどんCDへ録音してくれればなあと思っています。


2004.7.25

マーク・ストリンガー指揮 NHK交響楽団

〜おろしゃ国楽夢譚〜

曲目

グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミーラ」序曲

ムソルグスキー:交響詩「はげ山の一夜」

ボロディン:歌劇「イーゴリ公」からダッタン人の踊り

チャイコフスキー:スラブ行進曲

−休憩−

ボロディン:ノクターン

ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」

−アンコール−

チャイコフスキー:組曲第1番から小行進曲

[感想記]

 日曜日夕方(PM4:00から)のコンサートということでこのような時間帯のコンサートも悪くは有りませなあ。 会場はほぼ満員。といってもほとんどが「○○友の会」といったホールと提携している客だと思いますが。 聴衆の平均年齢が高く50歳前後ではないだろうか?(この前のマラ9とは大違い)  さて、N響ですが、2000年3月以来の4年ぶりということになります。本コンサートにはタイトル(〜おろしゃ国楽夢譚〜)がつけられており、 オール・ロシア・プログラムとなっております。有名曲が並び、クラシックに興味の無い方でも楽しめたのではないでしょうか。 これらの曲目をN響で聴くというのも一興かと(本当ならドイツものを聴きたいのですが)。

 指揮者のマーク・ストリンガー氏ですが、1964年生まれとのこと(当方よりやや上でしょうか)。 この方、当方全く存じ上げなかったのですが、いろいろ調べても詳細は分かりませんでした。 パンフレットを見ますとアメリカ生まれで北欧を中心に欧米で活躍しているようです。特にどのオケの首席指揮者ということは無いようです。 本日のコンサートマスターは堀氏です。ご苦労様です。やはり昔と比較しては何ですが、やや老けましたかねえ。 オーボエのトップが茂木氏でも北島氏でもなく、女性の方がされていました。フルート・トップは神田氏、チェロ・トップは藤森氏、ホルン・トップは松崎氏、 トランペット・トップは関山氏がされていました。

グリンカの歌劇「ルスランとリュドミーラ」序曲ですが、この曲でN響といえば、スヴェトラーノフの爆演が思い出され、 当方も期待していたのですが、抑え気味でダメでした。そして、このホールの音響の悪さも露呈し、この先が不安になってきました。 次にムソルグスキーの交響詩「はげ山の一夜」ですが、まあシェルヘンほどに不気味な演奏は無しにしても、ある程度は表現して欲しかった感じもしますが、 なんとも行儀の良い「はげ山の一夜」でしょうか。ボロディンの歌劇「イーゴリ公」からダッタン人の踊りも無難に演奏したというものでした。 前半最後の曲ですが、チャイコフスキーのスラブ行進曲です。ここでビックリ!オケの音色が一変しました。 今までは弦を中心に混濁したアンサンブル気味だったのですが、ここで曇りの無い音が会場に響き渡り始めました。 もちろんオケも調子がよくなってきたとは思いますが、はやりチャイコフスキーのオーケストレーションの素晴らしさに起因しているのではと思います。 これまでの曲の作曲者(グリンカ、ボロディン、ムソルグスキー)のオーケストレーションが劣っているというわけではないのでしょうが、 この音響の悪いホールでもチャイコフスキーの曲は綺麗に音を響かせることが出来ているということでしょう。このためかオケの威力も増してきました。 そして、休憩となりました。

 休憩後の曲は、ボロディンのノクターンです。この曲は当方知らなかったのですが、弦楽器のみで演奏されます。 N響メンバーの弦楽器のみの演奏ということで興味深いものです。やはりホームの影響か、一体となった音になっていなかったようです。 そして、今日のメイン、ムソルグスキー(ラベル編曲)の組曲「展覧会の絵」です。関山氏のトランペットにより高らかにプロムナードを奏でていきます。 その後も木管、金管ともに文句無い正確な演奏で、この点ではN響のレベルの高さはうかがい知れます。 そして、クライマックス、<キエフの大きな門>では、大音響とともに迫力のある演奏を披露し、 このために今まで、セーブしていたのかと思わせるほどの音圧(音の塊)でした。思わず、放心状態になってしまいましたねえ。 そして、聴衆の大拍手。ストリンガー氏の日本語による“有難う御座います”の挨拶の後、 “チャイコフスキー・マーチ?????・スイート・ナンバー1”と言ってたようでしたので「組曲第1番から小行進曲」だと思います。 ちょっと聴いたことがなかったので。第1、第2ヴァイオリンと木管楽器によるチャーミングな曲でした。その後は解散となりました。

 総じて、ホールの音響がイマイチだったのが悔やまれるのですが、これだけの名曲ですので、 指揮者のマーク・ストリンガー氏がどのような表現をしたかったのか長所、短所ともに見えてきにくかったのが残念です。 やはり、交響曲や協奏曲でないと指揮者の主張する余地が少ない気がします。次回は別の曲を聴いてみたいものです (チェリビダッケのような「展覧会の絵」までやれば話は別ですが)。 N響に関しては、地方公演ということもあるのか、最後には上手くまとめたコツを掴んだ演奏だなと思います。最初は抑えで最後で全力を出す。 N響クラスまでなると最初からとばしても、最後までバテないと思いますけどねえ。この点が残念でした。 しかし、木管奏者、金管奏者の安定感というのは素晴らしいものがありますねえ。“さすがはN響”と言っておきましょう。 この実力が常に全力で発揮されていないと感じられるところが歯がゆいところなんですがね。期待してますよ。 N響を本気にさせてくれる指揮者に登場をお願いしたいです。

2004.5.30

ガリー・ベルティーニ指揮 東京都交響楽団

曲目

マーラー:交響曲第9番

[感想記]

 当方にとって特別過ぎるこの曲、この曲と出合って16、17年が経つであろうか。 CDにてこの曲を聴くこと1000回以上(1500回位かも)だと思う(3日から4日に1度は聴いているはず)。 都響のサイトにて5月30日にマーラー9番のコンサートが催されると知り、日曜日、午後2時からということで日帰りでなんとかなると思い、 2月の東京出張時に上野の文化会館内の都響事務所でチケットを購入したわけです。ついにやっと長年の夢が適い、生演奏でこの曲を聴くことが出来る。 それもマーラー・スペシャリストの<マエストロ:ガリー・ベルティーニ> (ケルン放送響とのサントリーホールライブでのマラ9演奏の模様をTVで見て感動した覚えがあります)、 そして、若杉、インバル、そしてベルティーニと日本でのマーラーブームの先鞭をつけ、その後の数々の名演奏を行ってきた<東京都交響楽団>、 現時点で国内で望みうる最高のコンビではないだろうか。そして、このコンビには長年培ってきたマーラー解釈が根付いている。 これだけでも一定レベルの演奏は聴かせてくれると思っておりました。さらに、2年前(2002.6/16:詳細は下記に)、 このコンビのコンサートに行ってからというもの、このコンビでマーラーを是非聴いてみたいという思いが益々強くなっていました。 約1週間前より、本コンサートのことを考えただけでも興奮してしまうような状態で、冗談のようですが、 「コンサート最中に興奮のあまり卒倒してしまうのでは」と心配してしまったくらい本当に気合が入っておりました。

 JR桜木町駅から徒歩で会場まで行ったのですが(しかし、暑かった)、当方は1997年まで川崎市中原区(東急東横線沿線)に住んでおり、 ランドマークタワーを始め、みなとみらい地区はある程度は知っているつもりだったのですが、なにせ7年ぶりで、 会場の“みなとみらいホール”は開館年は1998年ということで、場所も知らず、みなとみらい地区の変貌振りに驚きながら歩いて行きました。

 会場に着くと、いきなり目に飛び込んできたのが、「チケット譲って下さい」のカードを持った人達数人、 その横には「当日券の販売は御座いません」の貼り紙。「さすが首都圏のコンサート、この曲目で満席とは」と感心しておりました。 地方でこの曲を採り上げてもどれだけ客席が埋まることやら。そして、会場へ入りました。いきなり、分厚いクラシックコンサートの案内チラシを手渡され、 これだけの数多くのコンサートに恵まれているとは羨ましい限りです。 それから入場し、簡素な小さなプログラムをもらい(こんなものですか?)、階段を上ると、CD販売が行われていましたねえ。 演奏時刻が午後2時5分から午後3時35分までとの貼り紙が。「おい、勝手に演奏のテンポを決めつけるな」と思いましたが、 この曲が90分もの大曲で休憩無しというのを告知することは重要だと納得しました。そして、ホール内へ。確かに客席とステージが近い! (みなとみらいホールのサイトで客席のイメージを掴んでいたのですが) パイプオルガンを始め、綺麗なホールです。 ステージ上では何名かの楽員の方が最終練習の真っ最中です。そこから聞えてくる音はマラ9のフレーズばかり(当たり前ですが)。 ここで、ついにこの時が来たんだなとじわじわと実感が沸いてきました。

 席(1階中央の後方S席)に座り、プログラムのベルティーニの英語で書かれたコメントと奥田佳道氏の文章を読んで、 “そうか、このコンサートはマーラー・シリーズの最終回でもあり、音楽監督としてベルティーニと都響との最後のコンサートなんだ!”と、 確かに情報として、このコンサートがベルティーニ、都響とのラストコンサートになるとは知っていましたが、当方にとっては恥ずかしながら、 単にこのコンビでマラ9を聴きたいという思いで来たコンサートで、本コンサートにまつわる事の重大性、特別性、メモリアル性を認識させられ、 満席及び熱心なファンの姿を目の当たりにしては、ただならぬ雰囲気になることが予想されました。

 午後2時を回り、入場者も落ち着きました。僅かに空席もあります。チケットを入手しながら、来れなかったのでしょう。 当方の右隣も空席でした。おそらく、CD用に録音していると思うのですが、はっきりとしたアナウンスはありませんでした。 楽員の皆様が入場してきました(ずっと座って練習中の方もいました)。拍手の中、コンサートマスターの山本氏。 そして、指揮者ベルティーニ氏の登場。巨匠の風格ですが、77歳とは思えない颯爽と若々しく見えました (C・デイヴィス、ブロムシュテット、マズアと同期、ハイティンクより2歳、マゼールより3歳、小澤より8歳、ゲルギエフとは26歳上なんだねえ)。

 登場の拍手が終わり、ベルティーニが振り出す前、異常なまでの静寂がホールを包みました (コンサートでこれほどまでの静寂を体験したのは始めてです)。今日の聴衆のこのコンサートに対する気迫を体感させられた瞬間でした。 そしてついに、第1楽章、チェロの音が静かに拡がり、ホルン、ハープ、コントラバス、ビオラ、第2ヴァイオリン、、、と徐々に音が紡がれていきます。 耳に届く音はマーラーの音楽そのものでした。今、まさにライブでマラ9を体験している長年の夢が実現した瞬間でもあります。 第1楽章の演奏時間は午後2時7分〜35分位でしたから、28分でテンポ的にも普通なのですが、印象としてはテンポが速く感じられましたが、 おそらく強音部でアップテンポで弱音部でスローテンポにしていたからと思われます。 全体的解釈としては、都響とのコンビでCD販売されている6番、7番と同様に、爆演系ではなく、個々の響きを重要視した丁寧な抑え気味で繊細な演奏となっていました。 しかし、強音箇所では、説得力のある十分の響きが得られ、本当にメリハリの利いた好演でした。 当方も真剣に大変集中して聞き入っており、音楽にのめり込むことが出来ました。 まあソロパートでの表現については、もう少し感情を込めて欲しかった部分もありますが、これも好き好きでしょう。、 ティンパニーの響きも当方も席では、かなり唐突に聞こえくる箇所もありました。 1楽章演奏中、視界に入ってきたのですが、すでにこの時点で目頭を押さえている方、ハンカチで目を押さえている方も、ちらほら見受けられました。 1楽章終了後の指揮棒を下ろすまでの沈黙がまた素晴らしいものでした。

 第2楽章では軽快なテンポで進み、過度に力まない演奏で好感が持てました。オケもペース配分を考慮に入れた風に見受けられました。 そんな当方も1楽章からの集中力では終楽章まで持たないと思い気楽な気持ちで音楽に浸っておりました。 第2楽章の演奏時間は午後2時36分〜52分位でしたから、約16分といったところでしょうか。

 この曲中、最も難関な第3楽章でも、2楽章同様、理性の利いた統制のとれた演奏で、木管、金管セクションの集中力、技術力の高さに感心しきりでした。 特に中盤の重要なトランペットのソロでは明快な音出しでした(欲を言うなら、マゼール@バイエルンのトランペットの渋い音が好みですが)。 この後の一気怒涛のたたみかけには、我慢してきた当方もついに白旗です。ここで不意に視界が霞んで参りました (そういえば、ベルティーニ@ケルンの演奏でもこの3楽章で涙しました。通常、4楽章でしか泣かない当方が初めて3楽章でも泣いてしまった演奏です)。 ベルティーニの3楽章の構成力には脱帽です。そして、演奏を全うした都響に拍手です。この楽章のライブ演奏としては文句のつけようのない出来だったと考えます。 第3楽章の演奏時間は午後2時52、3分〜3時5分位でしたから、約13分といったところでしょうか。

 さて、第4楽章です。弦楽器が中心となるこの楽章こそ、生演奏で聴かなければ、作曲者マーラーの伝えたいことが理解出来ないと常々思っておりました。 ついにその時が、、、。当方の緊張感も一段と高まり、全神経をステージへと向けました。第1、第2ヴァイオリンによる2小節の序奏 の後、全弦楽器パートによる主部の演奏。当方が好む低音部を響かせ、体を共鳴させる音ではありせんでしたが、この状況では、このような固定概念は無意味なもの。 ゆったりとしたテンポで弦楽器の柔らかな響きに包まれ、<優しさ>に満ちた音が体を透過していくようでした。40小節目のソロヴァイオリンのもの悲しい旋律、 もう少し感情が欲しかった気もします。そして、56小節から72小節への前半のクライマックス、とくに金管パートが素晴らしく(特にホルンは大絶賛します)、 あまりにも感動的な場面で、当方の目には涙が溢れ、、、。もう感動の域を超えてしまいました(クラシックのコンサートで若干うるうるきたことはあっても、 涙が目からこぼれたことは初めてで)。 これ以降は、通常CDを聴いている時は惰性で流れてしまうのですが、この4楽章の真骨頂は後半部にあることが、大変恥ずかしながらこの演奏で分かりました。 ホールに微かに響く透き通り弦の音、、、、。指揮者、オケ、聴衆、ホールが一体とならねば、得られない響きがここにありました。 これ以上は言葉で表すことも愚行のようです。153小節目のチェロのソロでは、音が震えておりました。 そして最後は第2ヴァイオリン、ビオラ、チェロの音が静かにホールから消えていきます。ベルティーニは両手を挙げ音の終着を見届けているようでした。 徐々にゆっくりと手を下げ、15秒くらい沈黙がホールを包み、まさにこの静寂も音楽の大切な一部となっていました。 ベルティーニの手が下がったところで拍手がおこり、拍手の音が大音響となり、ブラボーの声。第4楽章の演奏時間は午後3時6分〜35分位でしたから、 約28-29分といったところでしょうか。

 ベルティーニは観衆に礼をした後、最前列の楽員と握手。その楽員の目にも涙が、、、。当方、楽員の方の涙を初めて見ました。 本当に全ての人にとって特別なコンサートだったようです。何度がステージに登場し、 ソロ奏者、首席奏者を始め、全ての楽員にベルティーニは感謝の念を示し、聴衆も割れんばかりの拍手を贈ります。当方も必死で拍手しておりました。 花束贈呈もあり、ベルティーニは花1本1本を楽員に配るしぐさも見受けられました。楽員からも指揮者を称える拍手。 楽員解散後も一向に拍手は収まらず、何度もベルティーニはステージに呼ばれます。このときは会場全体がスタンディング・オベーションで称えます。 当方も思わず、立ち上がっていました。そして、ステージ前方に集まる聴衆と握手、会場の聴衆を抱擁するしぐさも見られました。 そして、コンサートは終了しました。

 指揮者:ベルティーニ、オケ:東京都交響楽団に感謝は当然として、ここに集まった聴衆の皆様にも感謝したいですね。 皆がマーラー交響曲第9番を愛し、一緒に音楽(芸術)を作り上げようという気概を感じました。 首都圏でのコンサートだったから、これほどの聴衆が集まった分けで、本当に羨ましい限りです。 当方も可能であれば、また強行軍になりますが、また東京でもコンサートに出かけたいと思いました。

2004.1.18

「新春グランドコンサート」

金 洪才 指揮 広島交響楽団

曲目

J.シュトラウスII:ワルツ「美しき青きドナウ」

<フルート:萩原 貴子>

モーツァルト:フルート協奏曲第2番

−休憩−

<ヴァイオリン:奥村 愛>

クライスラー:愛の喜び

サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン

<ピアノ:近藤 嘉宏>

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 

[感想記]

 前回に引き続き広響の演奏を聴くことになりました。曲目から新春?名曲だらけでオメデタイ雰囲気です。結構、観衆も埋まっているぞ。 さらに着物姿のご婦人も多数!この広響ですが、演奏会の一昨日に定期公演を行なっており、 特にコンミスの伊藤さんは、ソリストとしてメンコンを演奏し、大変ご苦労様です。ほとんど練習できなかったのでは?

 ソリストを見ての通り、Jクラシックでもビジュアル系で頑張っておられる方々が揃いました。よくもまあこんな田舎までご苦労様です。 ビジュアル系と言えども、まあ所詮、写真写りどうにでもなりますので、まあ実物とのご対面と、さらに音楽の実力もお楽しみということで! 当方としても、よくないことですが、完全に気の抜けた状態で演奏会に来ておりました。ですので、 今回はコンサート批評と言う点では、誠に不十分になっておりますが、ご勘弁を。

 まず、「美しき青きドナウ」ですが、とても安全運転な演奏でして、ワルツということで軽快に弾むようにお願いしたいものです。 次にモーツァルトのフルート協奏曲ですが、モーツァルトの作品と言うのは、いつも思うのですが、演奏会ではよい曲だなあと思って、家でCDを聴くと物足りない。 さて、萩原貴子さんですが、実力派ですな。表現力、技量も確かかと。やはりフルートというのは、肺活量が必要な楽器ですなあ。 萩原さんは、ぽっちゃり系で、やや日焼けしておりました。

 休憩をはさみ、奥村愛さんの登場です。当方、TV「題名の無い音楽会」で見ましたよ。綺麗な方で、演奏も素晴らしかったと記憶しております。 さて、実物の登場です。わおー、何と綺麗なお方!!写真より間違いなく実物の方がいい。 ステージの上が一気に輝いております。腕も細く、指も細くしなやか!(完全にオヤジしております)肝心な演奏の方ですが、 ここで感想を述べるのは、憚らせて頂きとう存じます。調子が悪かったのでしょうか?とにかく、演奏よりも奥村愛さんに会えただけでも十二分ということで。 さて、次に近藤嘉宏さんの登場ですが、男だからなあ、、、。と思っていると、何ともまあ、爽やか系の若々しい美男子。何歳だと思っていると、なんだあーー。 当方とほとんど一緒(ちょっと当方の方が上だが)。この差はなに?当方は完全な中年オヤジ(腹も出てきたし)。颯爽とピアノに座ると眼鏡をかけ、演奏開始です。 テクニックは申し分有りません。とても力強い演奏です。きっちりと緩急、強弱はあったのですが、 ただ表現力を磨けばもっと良くなると思いますが、素晴らしい演奏でした。 (そうなんだよな、どの世界でもそうだが、男は外見だけでは生き残れ無いよなあと思いました。)

以上、別の意味で大変満足した演奏会でした。


2003年

2003.10.11

秋山和慶 指揮 広島交響楽団

和太鼓:林 英哲

第233回定期演奏会 <広響 ロシア・サンクトペテルブルグ公演壮行コンサート>

曲目 

細川俊夫:オーケストラのための遠景V 〜福山の海の風景〜

松下功:和太鼓協奏曲「飛天遊」

−休憩−

ラフマニノフ:交響曲第2番

−アンコール−

ラフマニノフ:ヴォカリース

外山雄三:管弦楽のためのラプソディーより抜粋

[感想記]

 考えて見れば、約1年ぶりのプロオーケストラの演奏会です。当方にとって初めての広島交響楽団演奏会です。 中国地方に7年近くも住んでおきながら、1度も演奏を聴いたことが無かったというのもふざけた話かもしれませんが。 本公演は広島交響楽団のサンクトペテルブルグ公演の壮行コンサートということで、さらに演奏曲目も同一ということで、 一種の予行演習も兼ねていると思われます。ですので演奏曲目を見てもらえば分かりますが、かなり日本とロシアを意識したものとなっております。 会場はほぼ満員で楽員の皆さんも気合が入っていたのではないでしょうか?(普段の定期公演の客入りはどの程度か知りませんが) そして、TVカメラがあちらこちらに。会場舞台の中心奥には大きな大きな和太鼓が置かれています。

 楽員そしてコンサートミストレルが入場、そして指揮者の秋山氏が登場。なかなか若々しく溌剌した方でした。 1曲目は細川俊夫氏の作品で、現代音楽のジャンルでしょう。とはいえ、不協和音ばんばんというものではなく、 弦楽器を中心とした非常に繊細な不思議な響きの曲で、これらの音が楽譜にはどう記述されているのだろうか?と思わず興味を持ってしまいました。 時間的には10分足らずでアッサリと終了。

 少しの楽器の配置変えの時間のあと、和太鼓奏者の林英哲氏の登場です。白い羽織袴姿でした。 この曲は、ベルリンフィルの野外コンサートでケント・ナガノ指揮で演奏していたのをTVで見たことがあります。 曲の出だしですが、「ゴーゴーーー」とどこからともなく地を振るわせる音が響いてきます。 どのパーカッションの音かな?と思っていたら、なんと林氏が大和太鼓の端を僅かに叩いているではありませんか、それから激しく大きなバチで太鼓を叩き続けます。 この大音響(音の塊)には驚愕!!ボレロの最後の音量を凌駕するものがあります。当方の頭は既に興奮状態です。 オケが幾度と太鼓と絡みながら、テンポ良く流れ、後半では、大迫力の和太鼓奏ソロが続きます。この部分は圧巻で言葉では表現出来ません。 林英哲氏の全身全霊を尽くした渾身の(まさに真剣勝負の)演奏にはただ感動するばかり、和太鼓奏ソロ終了後の林氏は顔を初め全身が(真赤に) 高揚しているのが分かりました。そして、オケとの大合奏で曲を終えます。当方も思わず渾身の拍手をしていました。秋山氏が会場のある席を指差しました。 そこには、作曲者の松下功氏がいるではありませんか!そして舞台に昇り、3人で再度、大喝采となりました。 その後、休憩時間に入ったのですが、当方、10分間は放心状態で席から動けませんでした。 本当に林氏の真剣な全力を出し尽くす演奏を目の当たりにすると、日本人でなくと必ず心を動かされるのが分かります。 TVにて以前のベルリンやマンハッタンでの演奏会でも見ましたが、人種問わず大喝采であることも頷けます。 しかし、当方、林氏の演奏会を2時間続けて聴けるほど強靭な精神力はありませんので(途中で過度の興奮で失神してしまいそう)、 今回の20分程度で十分だと思いました。

 休憩後、これまたこの演奏会の当方の目的曲であるラフ2です。この曲、1度でいいから生で聴いて見たかったのです。 前半の曲だけでは広響の実力が判断つきませんで、この曲でお手並み拝見といったところでしょうか。 秋山氏の登場で曲の開始ですが、会場は林氏の余韻が残っており、幾分ざわついた様子。 そういう当方も興奮状態が冷めぬままラフ2に突入してしましました。

 1楽章に限らず曲全体を通しての印象ですが、弦、木管、金管、打楽器と非常にバランスのとれた音作りをしているなあということです。 細部も十分に聞えましたし、フレーズを丁寧に処理しており、本当に好印象を持った演奏でした。 テンポ的には1楽章17−18分、2楽章9分、3楽章12−13分、4楽章13分程度の計51−52分といったところでしょうか。 通常60分前後の曲ですが、まさか55分を切るハイテンポの演奏になろうとは。不満な点と言えば、この点といったところでしょうか。 もう少しゆったりと音に浸りたかった! 特に3楽章、有名なクラリネットのソロですが、音も豊潤な響きで技術的には何の不満もなく合格点ですが、ゆったりと切なく演奏して欲しかったなあ。 とはいっても3楽章を聴いている時に、当方、「こんなに幸せな雰囲気に浸って良いのか?」と思ってしまいましたよ。 大満足な演奏でした。これならロシアの聴衆も満足させられると思います。

 アンコールもロシア公演用だと思いますが、ラフマニノフのヴォカリースでは弦楽器の美しさを十分にアピールしていました。 そして、もう1曲、外山雄三の管弦楽のためのラプソディーですが、これは日本のオケが海外公演では定番中の定番のアンコール曲ですね。 冒頭の鈴が出た段階でやられた!と思いました。しかし、この曲のフルートの旋律が非常に心に響きますね。本当に良い曲だ。 会場もノリノリでした。会場全体が大満足の雰囲気で演奏会は終了しました。 今回の演奏会は、ロシア公演の壮行コンサートという特別な演奏会でしたが、曲目、演奏内容、どれをとっても大満足でした。 いやー久々に良い演奏会に恵まれました。


2002年

2002.10.01

ユーリ・テミルカーノフ指揮 ボルティモア交響楽団

ヴァイオリン:ステファン・ジャッキウ

曲目

ベートーヴェン:交響曲7番

−休憩−

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲1番

R.シュトラウス:歌劇「薔薇の騎士」ワルツ第1番

−アンコール−

滝廉太郎:荒城の月

ワーグナー:歌劇「ローエングリーン」第3幕への序曲 

[感想記]

 このコンサートを聴きに行けるか分からず前売り券を買わずにいたのですが、何とか行けそうになり、会社を早々に引き上げ会場に! そして、当日券売り場へ。すると、1600名収容の会場で残り枚数は数十席。なかなか盛況だなあと思いながら、適当なS席を購入し、会場へ。 しかし、開始の午後7時で周りを見るも、75%の入りといったところでしょうか?おいおい、チケットを買って来ない人がこれほどいるのか? コンマスそして指揮者テミルカーノフ登場(サンクトペテルブルグ・フィルでは素晴らしい演奏‐春の祭典を聴かせてくれました)! そして、あれっ?テミルカーノフって何歳だっけ?現在63歳。思ったより年に見えました(ベルティーニの方が若々しく見えたなあ)。

 指揮台上の挨拶は、まさに紳士的!早速、ベートヴェン交響曲7番です。この曲を前半に持ってくるとは?真意はわかりません。 出だしの音からして、迫力足りず、抑え気味。当方の親しんでいる重厚なベートーヴェンとは異なる解釈で、今風のアッサリ、細部重視の解釈だと思います。 2楽章ではじっくりと聴かせてくれました。しかし、終楽章での盛り上がりはイマイチで、当方としては消化不良の7番でした (以前、聴いたラトル@バーミンガム市響の方が良かったと思います)。

 休憩後はブルッフのヴァイオリン協奏曲1番です。予定ではパメラ・フランクでしたが、 指の神経病の回復が思わしくないとのことで、ステファン・ジャッキウへの変更となりました。この変更はテミルカーノフの推薦とのことです。 さて、このステファン・ジャッキウですが、当方全く知りませんでしたが、16歳の若きヴァイオリニストのようです。顔を見るにアジア系?と思います。 舞台へ、さっそうと登場し、何と顔は小さく、背は高く、まさに8等身!16歳には見えない落ちつき! このブルッフのヴァイオリン協奏曲1番、当方が好きな3大ヴァイコンなのです(チャイコ、シベリウス、そしてこの曲)。 さて、演奏の方ですが、ソリストとオケのバランスが上手くマッチしていました。ソリストのバックでは抑え気味に、オケのみでは堂々と。 「テミルカーノフは協奏曲系で良い指揮者かも?」と思ってしまいました。この曲が好きだったということもありましたが、なかなかの名演だったと思います。 ステファン・ジャッキウもテクニックの素晴らしさを実感できましたし。今後、期待のヴァイオリニストと思います(憶えとこ)。

 次に金管奏者が補強され、「薔薇の騎士」ワルツ第1番です。 音楽が始まるとともに、今までの曲とは打って変って、色彩に溢れる音!テミルカーノフ独特のゆったりとした指揮にのって、 ワルツを堪能することが出来ました。

 アンコールでは、「荒城の月」と日本公演ならではアンコール曲でしたが、フルートの上手さと弦楽器の透明さには驚きました。 今まで手抜いていたのか?そして、ワーグナー「ローエングリーン」第3幕前奏曲で、豪快なサウンドで締めくくりました。

 以上ですが、このボルティモア響は、音色的にアメリカ的オケのサウンドとも違い、どちらかというと日本のオケのような音色だったと思います。 実力的にも素晴らしいとは思えませんでした。テミルカーノフの指揮棒を持たないゆったりとしたリズム重視の指揮振り。 フォルテやピアノの音の強弱でも、ほとんど動きを変えず、大音響のところで手をほとんど動かさなかったりと言った感じです。 本当に常識とは異なるタイプの指揮者と思いました。最後に、苦言を1つ!おい、テミルカーノフ!登場の拍手が鳴り止まない前に音を出すんじゃねー。 この点にはブーイングだ!

2002.06.16

ガリー・ベルティーニ指揮 東京都交響楽団

ヴァイオリン:二村 英仁

曲目

モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲

−休憩−

ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲

ドビュッシー:夜想曲から<雲><祭>

ラヴェル:ボレロ

−アンコール−

ビゼー:「カルメン」前奏曲

[感想記]

今日のコンサートホールですが、当方が訪れるのは、2000年11月の「マタイ受難曲」以来の2回目でして、当方が思うに、 このホールは山口県の中でもナンバー1のクラシックに適したホールだと思っております。 とにかく残響が充分にあり(2〜3秒位はあるね)、歌謡コンサートをやろうものなら、風呂の中で歌っているような感じだと思います。

さて、会場に入り、パンフレット?をもらう。しかし、この紙1枚のパンフはなんだ。曲紹介と都響のメンバー一覧だけ。 ガリー・ベルティーニ氏や二村英仁氏の紹介すらない。超手抜きだ。会場内で有料パンフも無く、これだけ。 CD販売コーナーに行ったが、例のごとく、二村英仁氏のみのCDだけ。

当方の席は、前から5列目の中央だったのだか、何とビックリ、前4列誰も座っていない。 1階席の後ろも少し空いていたので、客の入りは8割程度かな?しかし、前4列が完全に空席とは驚いた!もう少し宣伝しなよ。 そのお蔭で、当方は視界良好で、ベルティーニの指揮振りを十二分にばっちり見ることが出来ました。

楽員の入場、当然、コンマスは矢部達哉さんです。あれっ、首席チェロの古川さんはいませんでしたねえ。 そして、指揮のガリー・ベルティーニ氏の登場。本当に元気そうで75歳と思えないほど颯爽と登場されてました。 1曲目のモーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」序曲ですが、当方、改めて、このホールの響きの良さにビックリしました。 そして、東京都交響楽団が丁寧な音を出しているなあというのが第1印象です。この印象はこのコンサート中、変わりませんでした。

次に、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲です。二村英仁がニコニコしながら登場してきました。背も高いし、顔も小さい。 格好いいねえ。そして、なんともまあ超・好青年という感じです。ちょっと、視線が合ったのですが、当方、男ながらドキドキしてしまいました (当方がもっとも近いところに座っていたし)。ありゃ、女性にとってはクラクラものかも? さて、音楽の方ですが、二村氏のヴァイオリンの音は「優しさに満ちた音」でしたね。感情を過度に込めず、押さえ気味でじっくり表現していました。 曲がメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ということで、ガンガンに弾く曲でもないので、このような表現なのかなとも思います。 しかし、曲が進むにつれ、あまりにも感情を押さえ、オケとの調和を重視した演奏なので、 もしかして、「激しいダイナミックな演奏は出来ない人なのか」と思っていましたが、 さすがに曲の最後で熱演してくれました。うーむ、この次はダイナミックな曲で聴いてみたいと思いました。ベルティーニと都響のサポートも素晴らしかった。 本当に丁寧で繊細な音作りで、旋律美を堪能することが出来ました。

これで前半は終わったのですが、都響のあまりにも丁寧な繊細な響きの連続に、このオケのレベルの高さを感じるもの、 このようなおとなしい表現でマーラーのような大曲を演奏できるのか? (ベルティーニとマーラー・シリーズをやっているが)と不安も少々感じておりました。

さて、後半のドビュッシーの牧神の午後への前奏曲です。 おっと、2つのハープがあるのですが、その演奏者の1人が男性ではありませんか。当方、初めて男性ハープ奏者を見ました。 さて、演奏の方ですが、何ともまあ美しい幻想的な響き(ホールの響きの良さも手伝って)、当方、夢の世界に誘って頂きました (決して、居眠りした訳ではありません)。 これほど、美しい「牧神」が聴けるとは、最高!!

次にドビュッシーの夜想曲から<雲><祭>でしたが、今までの曲と違い、ややリズミカルでダイナミックな曲です。 ベルティーニ氏の指揮をじっくり見ていたのですが、オケとの息がピッタリだなあと感心してしまいました。 指揮の手の動きとともに音も動いている感じです。そして、この曲で都響の音の最強部の実力を見せてもらいましたよ。 なんと音の迫力があること!今までどこに隠していたんだ。これならマーラーもいけるわ。

さて、ラヴェルのボレロですが、オケのメンバー1人1人が例のごとく丁寧に表現しており、 音的には途中までは押さえ気味で、ここまま終わると消化不良のボレロだなあと思っていると、何と何と、最後の数小節で大爆発!! 当方、頭の上から音の塊がドカーンと降ってきたような感じがしました。余談ですが、ボレロの演奏中、ヴァイオリンの方、何名か非常に眠たそうでしたねえ。 昨晩、飲み過ぎですか?

アンコールはビゼーのカルメン前奏曲で、元気良く演奏して、幕を閉じました。

総じて、東京都交響楽団の皆様の技術の高さと、アンサンブルの素晴らしさに驚きました。 丁寧かつ繊細な表現、しかし、ここぞと言う時は、非常にダイナミックな演奏と、なんとポテンシャルの高いオケなのでしょう! ここ数年、日本のオケでは、N響、大フィル、読響と聴いてきましたが、この都響が最も素晴らしいと思いました。 当方の感性に合ったオケですね。もしかしたら、音楽監督ガリー・ベルティーニとの組み合わせで素晴らしかったのかもしれませんが。 あーあー、この組み合わせでマーラーを聴いてみたくなったぞ。いつか機会に恵まれますように。

2002.05.24

ジャナンドレア・ノセダ指揮 キーロフ歌劇場フィルハーモニー管弦楽団(マリインスキー・ヤング・フィル)

ピアノ:清水 和音

曲目

グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番

−休憩−

チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」

[感想記]

会場に入り、500円のパンフレットと購入。本日が来日公演のかわきりだそうだ。 CD販売コーナーでは清水和音さんのCDとゲルギエフのCDが販売されていたが、国内盤で1枚3000円とやっぱり高いわー。

ホール内はほぼ満員。楽員の入場前にアナウンスで曲目の説明が、なんだ−?初めて聞いたよ。そして、「悲愴」では3楽章後に拍手は控えてくださいだって。 楽員の入場、ヤング・フィルだけに20代、30代が大半と思われる。しかし、キーロフ歌劇場管弦楽団の首席奏者も合流しているようで、中には年配らしき人もいた。 コンマスのにいちゃんはえらいデカイ人やった。さて、ジャナンドレア・ノセダ氏が登場。ノセダも大柄である。 さて、グリンカの歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲であるが、演奏会の開始の曲としては良い選択だと思う。 このオケの第1印象、弦楽器が素晴らしいが管楽器が弱いなあと。爆発しない繊細な「ルスランとリュドミラ」でした。そして、ノセダ氏、この指揮者は唸り系でした。 「ふっー、はあー。すー。」と良く声がしてました。最初、何の音と思いましたが。 そして、飛び跳ねる!ダイナミックなメリハリのある指揮振り(思わず、準・メルクル氏に似てる?)、豊かな顔の表情、 そして気合が入ると真赤な顔に、ノセダ氏を見ているだけで、どのように音楽を表現したいのか分かるくらいです。 本当に素晴らしい指揮者だと思います。観客でも分かるのですから、楽員はもっと分かっているはず。そういえば、いま注目の指揮者15人に入っていましたね。 今秋からBBCフィルの首席指揮者に就任するとのこと。

次にラフマニノフのピアノ協奏曲3番です。清水和音さんの登場。この曲、超難曲です。 ピアニスト泣かせの曲ではないでしょうか。技術はもちろんのこと、こりゃ体力も要りまっせ。 弾きこなした清水さんには感服します。ほんと、すげ−よ!!力強いタッチで、ロシアの大地を思わせる厚い音でした。 オケは1楽章では抒情的な繊細な表情で、清水さんの音色と若干、ニュアンスの違いが一部に見られましたが、2楽章、3楽章では、お互いの意志疎通が出来てきたのか、 ピアノとオケが一体となって曲を奏でていました。本当に感動しましたよ。良かったですよ。ウルウルきました。演奏後、清水さんは汗びっしょりでした。そりゃそうだ。 唯一、残念だったのがフルートが弱かった。弱過ぎ!よく聞えんぞ。

さて、休憩後、チャイコの「悲愴」です。おいおい、いきなりファゴットがへなる!クラリネットもふらつく。 ここで管セクションの弱さが露呈してしまった。1楽章はこんな感じで曲に集中できなかった。ちなみにフルート奏者は代わっていて、ベテランの方で上手かった。 2楽章も無難にこなしていたが、如何せん、この楽章で重要なティンパニーの音がおとなし過ぎ。3楽章は始め静かだなあと思っていたら、後半爆発し、うーむ、 ロシア的金管の爆演で満足、満足。終了後、会場から拍手が!最初のアナウンスで拍手は控えるようにって言ってたじゃないか。 しかし、これほどの迫力の演奏されたら拍手するでーー。さて、終楽章ですが、このオケの長所である弦楽器のパワー炸裂!これほど、気合の入った厚い演奏は珍しい。 まさにノセダの指揮に合わせ、音が会場を舞っているようだった(ノセダも顔を赤くし、唸りまくり)。まさに壮絶でした。 あまりの響きに頭がボーっとし、あまり記憶がありません。このまま、普通に終わってくれれば、名演を聴けて良かったということになるのですが。 曲が終わり、ノセダが指揮棒を上げたままであるのに拍手した輩がおり、気まずく拍手は止み、ノセダが指揮棒を降ろし、大拍手が起こりました。 ノセダも残念そうに、少し怒っていたなあ。あーあーフライング拍手はいけません。折角の壮絶な終楽章が台無しです。 その後、アンコールも無しに解散となりました。

以上、最後の最後に残念な結果となりましたが、ノセダの指揮者としての才能の高さと評判を実感しました。 これから大活躍することは間違い無いと思います。オケのキーロフ歌劇場フィルについては、弦楽器の素晴らしさは良く分かりました。 管楽器の精度を高めれば良いオケになると思います。ダイナミックな大雑把なロシアオケとは異なり、繊細な表情豊かなオケであるのには感心しました。

2002.05.18

ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス指揮 読売日本交響楽団

ピアノ:小山 実稚恵

曲目

ビゼー:付随音楽<アルルの女>第2組曲

ファリャ:交響的印象<スペインの庭の夜>

−休憩−

リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲

ラヴェル:ボレロ

−アンコール−

グレナドス:ゴエスカエ間奏曲

ヒメネス:アロンリの結婚

星と潮騒のまち

[感想記]

会場に入り、読売日響の月刊「オーケストラ」を貰う。へー、N響の「フィルハーモニー」と同じようなものを読売日響でも出していたんですねえ。 例のごとく会場内でCD販売をしていましたが、小山実稚恵さんのCDばかりで、読響関連のCDは1枚も無し。 アルブレヒト氏とのブラームスくらいは販売していると思ったのだが。

ホールに入ると超満員でした。楽員入場後、ソロ・コンサートマスターの藤原浜雄さんが登場、その後、指揮のブルゴス氏が登場。 ブルゴス氏は写真でみると、かなり恐そうな方かなと思っていたのですが、どうして、どうして、紳士的な精悍な方でビックリしました。 ビゼーの<アルルの女>第2組曲ですが、第2曲「間奏曲」でのサクソフォーン、第3曲「メヌエット」でのフルートと丁寧な美しい響きを聴かせてくれました。 第4曲「ファランドール」は大迫力の演奏で圧倒されました。

ピアノのセッティング後、小山実稚恵さんの登場です。 さて、ファリャの交響的印象<スペインの庭の夜>ですが、協奏曲とは異なり、ピアノを1楽器として使用しているため、ピアノの音が浮き出た感じではなかった。 このため、小山さんの魅力、主張を発揮しにくい曲であったようだ。だが、オケとの息もぴったりで安心して音楽に浸ることが出来ました。 ブルゴス氏も小山さんを信頼していることを感じることが出来た。曲の中では、ピアノ、ヴァイオリン、チェロのピアノ三重奏的な箇所が聞かせ所であった。 次はピアノ協奏曲にて小山さんのピアニストとしての真髄をふれてみたいと思いました。

休憩後のリムスキー=コルサコフのスペイン奇想曲ですが、リムスキー=コルサコフらしく、ソロヴァイオリンを多用していました。 その分、藤原さんの演奏を堪能できて良かったのですが、当方の席が悪く、藤原さんの音が小さく感じたのは残念でした。 さらに、読響でたまに見られる金管のそっけない音があったかな?

さて、ラヴェルのボレロですが、この曲程、ライブで聴かないと意味がないと思う曲はありません。 CDだとつまんないからね。「読響のボレロ」点数を付けるとほぼ満点と言って良いでしょう。 会場全体も曲終盤は興奮のルツボ!!クラシックに興味のなさそうな人々も身を乗り出すわ、そわそわしだすわ。 当方、最後の数小節ではクラクラきて「めまい」がしてしまいました。なんか会場も揺れたような?爆演ですよ。 唯一、おやっと思ったのは、トランペットでリズムを刻む音が不安定でしたね。首席の方は完璧でしたが。

アンコールでは、ブルゴス氏からの曲紹介もあり、スペイン風の軽快な美しい曲を堪能することが出来ました。 ただし、3曲目は会場ある市の曲(市歌?)の演奏(恒例なのかな?)で、会場からもどよめきと拍手がおこっていました。 読響の方もこのホールに来るのは8回目で、その都度、演奏しているのか慣れた演奏で上手かった。 今までずっと暗譜で指揮していたブルゴス氏もこの曲の時は楽譜を見ながら的確に指揮されていました。

以上、コンサート感想ですが、総じて、ブルゴス氏の安定感と自信に満ちた指揮で、読響も気合の入った演奏を聴かせてくれました。


2001年

2001.12.12

ヘルムート・ブラニー指揮 ドレスデン国立歌劇場室内管弦楽団

ピアノ:梯 剛之

曲目

ヴィヴァルディ:弦楽と通奏低音のための協奏曲 イ長調

コレルリ:合奏協奏曲<クリスマス協奏曲>

ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲<四季>より「冬」

−休憩−

モーツァルト:ピアノ協奏曲12番 イ長調

ピアノアンコール リスト:ペトラルカのソネット

バッハ:「主よ、人の望みの喜びよ」

ハイドン:交響曲第45番「告別」

アンコール モーツァルト:交響曲29番 4楽章

[感想記]

 <クリスマス・コンサート>と題されたコンサートであるが、クリスマスらしいようなそうでないような曲目である。 さて、ドレスデン国立歌劇場室内管弦楽団は当然であるが、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団のメンバーによって構成されている室内オケである。 総勢20名である。

 ドレスデン国立歌劇場管弦楽団といえば、当方は、98年1月にシノーポリ指揮で聴きに行っています。 そこで、今回のメンバー表と98年来日のメンバー表を比べてみました。確かに、以前聴いたメンバーが多くいました。 指揮のヘルムート・ブラニー氏はコントラバスで、コンマスのスザンネ・ブラニーは当然、ヴァイオリンにいます。 今回の7割程度が以前の来日時に聴いたことになります。

 配置は両翼配置でした。そして、楽譜台にライトが取り付けてある(オペラのオーケストラビット内の演奏で使用するものです)。 一瞬、あれっと思いましたが、曲目を見て納得!!種明かしは後程。 バロックやこの時代の曲は、第1ヴァイリンと第2ヴァイオリンの掛け合いが多く、効果的でした。チェンバロの音を生まれて初めて生で聴きましたが、 これほど音が小さいとは思ってなかった。本当に合奏の1楽器として聞こえます(確かにピアノは主張し過ぎかも)。

 <四季>の「冬」ですが、テンポは軽快、弾むような演奏で、イマイチ冬らしさを感じることが出来なかった。 弦楽器も金属音っぽい響きだったし。

 さて、梯氏のモーツァルトのピアコン12番ですが、この曲、梯氏がここ最近、重点的に演奏しているようです。 会場の客も梯氏が登場すると、今までの倍の拍手がしていました。やはり有名人ですね。全盲であるため、ピアノリサイタルと異なり、 オケとの掛け合いが大変だと思うのですが、体全体で、音を感じながら、何の問題もなく、素晴らしい演奏を聴かせてくれました。 会場には梯氏の<丸みを帯びた心に響き渡るピアノの響き>が全体に拡がっていました 。以前、TVで聴いたラベルのピアコンでは、色彩感溢れる演奏で感心した覚えがあったのですが、このモーツァルトでは、暖色系の音を感じました。

 演奏後、大きな拍手が続き何度もステージに、梯氏の口から「リストのペトラルカのソネットを演奏させて頂きます」との言葉、 演奏に入ると、モーツァルトとは大きく変わり、色彩のある、そして力強くしかも繊細なリストを聴くことが出来ました。本当に素晴らしいの一言です。 是非、また演奏を聴きたいものです。

 さて、バッハの後は、ハイドンの<告別>です。 弦楽器の音色も前半の「単調な響き」から、「柔らかい心地良い音色」になっており、十分楽しむことが出来ました。 2楽章後に楽譜台に灯りがつきました。そして、3楽章、4楽章と進み、会場のライトが暗くなり、 ホルン、オーボエ、ビオラ、チェロと楽譜台の灯りを消しながら、次々に舞台から去って行き、最後は、指揮者、第1、第2ヴァイオリンの3人に、 やがて指揮者が去り(一瞬、会場がざわめく)、最後に2人で演奏終了し、会場は真っ暗になり、舞台には1人も居なくなり、 そして大きな拍手(誰もいない舞台に拍手するもの面白いものです)。一度、TVにて<告別>の演奏で、各楽団員が演奏終了後、 ロウソクの火を消しながら去って行くというのも見たことがありますが、今回もなかなか面白いものでした。

 アンコールでは、モーツァルト交響曲29番4楽章を演奏し、閉演となりました。 今回の演奏家は、ドレスデンの方には申し訳ないが、梯氏のピアノに大満足した演奏会でした。ドレスデン国立歌劇場管弦楽団の皆様には、 次回は、ハイティンク氏と来日して欲しいなあと個人的は思っております。

2001.6.16

円光寺雅彦指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団

ヴァイオリン:加藤知子

曲目 

J.シュトラウス:喜歌劇<こうもり>序曲

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲

ドボルザーク:交響曲8番

[感想記]

 以前、大阪に住んでいた(1993年以前)こともあったが、何故か大フィルを聴く機会に恵まれず、 今となっては惜しいことをしたと後悔している。しかし、今回、念願の大フィルを聴くことが出来た。

 指揮の円光寺さんは、名前は聞いたことはあったが、演奏に触れるのは初めて。オーソドックスな解釈で好感がもてた。 頑張って欲しい指揮者である。

 メンデルスゾーンのヴァイコンであるが、いつもCD(ハイフェッツ)しか聴いていないのだが、 この曲、1楽章から3楽章まで続けて演奏することをすっかり忘れていた。地方の演奏会では、楽章の間でも拍手する人がいるので、 このような休み無しの曲はピッタリである。ソリストは加藤知子さんである。まさか半年の間に2度も聴けるとは思っていなかった。 前回はオケと合っていなく(オケが悪い)、消化不良であったが、今回は大フィルと合って、満足のいく演奏であった。

 ドボルザークの交響曲8番であるが、この曲はチャイコ4番とともに高校の時にハマッタ曲である。 ノイマン@チェコフィルのCDを買ったが、キンキンの音で即、中古屋に売った記憶がある。 今では、クーベリックとケルテスで満足している。さて演奏の方であるが、久々にシンフォニーというものを実感させてもらった。 「大フィルは上手いではないか」弦、金管ともにのっていたなあ。各楽章とも最高だった。

(以前、NHKでドボ8をヤンソンス@BPOで演奏していたが、演奏の完成度では大フィルも負けていないと感じた)


2000年

2000.11.28

アレクサンドル・ドミトリエフ指揮 サンクトペテルブルク交響楽団

ヴァイオリン:加藤知子

曲目

グリンカ:オペラ<ルスランとリュドミラ>序曲

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲

ショスタコーヴィッチ:交響曲5番<革命>

[感想記]

 初のロシアオケの体験である。サンクトペテルブルクといえば以前のレニングラードであるが、 サンクトペテルブルク(前レニングラード)交響楽団は、あのムラヴィンスキーのレニングラードフィルとは異なるが、 「ショスタコーヴィッチの交響曲7番」は、このオケによって初演されたとのこと。

 チャイコのヴァイコンは、ヴァイコンの中でも最も好きな曲である。 ソリストの加藤知子さんについては繊細な演奏である。一方、オケは大雑把でいまいちであった。 恐らくリハーサルもあまり出来ていないのであろう。時折、縦のラインのずれが見られた。 (幸いにも半年後に加藤知子さんと大フィルとのメンコンを聴くことが出来、加藤さんの上手さを再確認できて良かった)。

 ショスタコーヴィッチの交響曲5番であるが、有名な4楽章であるが、 これは高校の吹奏楽部が演奏しているのを聴いて感動したことが今でも思い出される。 しかし、この演奏はただ音が大きいだけの残念な演奏であった。金管のうるさいこと他の音が聞こえない。演奏会で初めて拍手をしなかったぞ!!

 アンコールの<チャイコのくるみ割り人形>は非常に良かった。このオケには、このような曲の方が合っている。

2000.11.3

茂木大輔指揮 バッハ・メモリアル・アンサンブル

合唱:東京オラトリオ研究会

ソリスト:川瀬幹比虎、河野克典、田島茂代、押見朋子

曲目 

J.S.バッハ:マタイ受難曲抜粋

[感想記]

 NHK交響楽団オーボエ奏者茂木さんが「マタイ受難曲」を分かりやすく解説しながら演奏を進めてくれる企画物である。 茂木さん自身もヘルムート・リリンクの元で<バッハの真髄>を実感されており、バッハの良さを我々にも理解してもらいたいという意志が伝わり、 非常に良い演奏会であった。満足度120%の演奏会であった。

私にとって初めての声楽付きのコンサートであった(第九も聴いてこと無し)。 改めて、この世の最高の楽器は、人の声であることを実感させてもらった。さらに、バッハにハマルきっかけとなったコンサートでもある。 小編成のマタイであるが、これで十分、細かい部分もきちんと聴くことが出来た。ソリストのレベルも高く、満足のいくものであった。

 やはり「マタイ受難曲」は西洋音楽の最高峰、人類の至宝と言われるだけの曲である。 まだ聴いたことの無い方は是非、聴いてほしいものである。

2000.3.12

ハインツ・ワルベルク指揮 NHK交響楽団

ピアノ:園田高弘

曲目

ベートベン:<献堂式>序曲

ベートベン:交響曲1番

ベートベン:ピアノ協奏曲5番<皇帝>

[感想記]

 ホール内での席が悪く、十分に堪能することが出来なかった。 しかし、ピアノの園田高弘さんだけは、一度、拝聴したいと思っていたピアニストであるため、実際に演奏に触れ、満足である。 <皇帝>であるが、質実剛健といったピアノの音であり、ベートベンやブラームスにはピッタリの音と思われる。 これからも精力的に頑張って欲しいものである。


1999年

1999.10.9

オスモ・ヴァンスカ指揮 ラハティ交響楽団

ヴァイオリン:ペッカ・クーシスト

曲目 

シベリウス:交響詩<フィンランディア>

シベリウス:ヴァイオリン協奏曲

シベリウス:交響曲2番

[感想記]

 シベリウス好きの私としては、オスモ・ヴァンスカ@ラハティ交響楽団の来日の情報を得てから、 演奏会までの半年を待ち待って、ついにやってきた演奏会である。

 <フィンランディア>であるが、何十回、何百回演奏しているであろうこの曲、さすが本場である<上手い>。 しかし、編成の影響であろうか、若干迫力が欠けていたのは仕方の無いところである。ヴァイオリン協奏曲、交響曲2番ともに大満足の演奏であった。 オスモ・ヴァンスカの解釈の特徴としては、音の強弱の幅が広く特に弱音部では耳を澄まさないと聞こえない位に小さい。 音のバランスを重視し、何気無いサブメロディーも聞こえるようにしている。おそらく新しいシベリウス解釈として成功していると思われる。 ソリストはペッカ・クーシストであるが、ヘルシンキフィルとの同曲のCDも出している。本当に感動してしまった(特に2楽章)。 会場にはクーシストの追っかけのOLもいた(余談)。交響曲2番では、4楽章の出だし部分で不覚にも涙が出てしまった。 <この年のコンサートベスト3にヴァンスカ@ラハティ響が選ばれたもの納得である>。 東京では全交響曲を演奏したが、是非聴きに行きたかったものであった。

1999.6.30

マルク・ドレヴノフスキ&ショパン・ソロイスツ

曲目

ショパン:ドン=ジョバンニの<お手にどうぞ>変奏曲

ショパン:ピアノ協奏曲1番<室内楽版>

シューベルト:ピアノ五重奏曲<ます>

[感想記]

 私は日頃から室内楽はあまり聴かないが、ショパンのピアノ協奏曲1番<室内楽版>ということで、興味を持った。 やはりピアノが前面に出た演奏であり、ショパンを堪能することが出来た。


1998年

1998.9.19

大植英次指揮 ミネソタ管弦楽団

曲目

ストラヴィンスキー:組曲<火の鳥>

マーラー:交響曲5番

[感想記]

 ストラヴィンスキーとマーラーの演奏であったが、<火の鳥>の方が、このオケの特徴が発揮されていて良かった。 <春の祭典>のCDを会場で購入したが、春祭については、このCDが一番のお気に入りである(ブーレーズものよりも)。 マーラーに関しては、頑張ってはいるのだが、心に訴えるものが少ない演奏であった。ただし、4楽章はCDよりも生演奏を聴くべきと実感!! マーラーについては、もっと大植@ミネソタ管弦楽団との意志疎通が必要であると思われる。 しかし、大植英次さんについては、これから活躍を期待したい指揮者の1人として、今後も世界で頑張って欲しいものである。

1998.1.29

ジュゼッペ・シノーポリ指揮 ドレスデン国立歌劇場管弦楽団

曲目

ウェーバー:歌劇<オベロン>序曲

ワーグナー:歌劇<トリスタンとイゾルデ>より前奏曲と愛の死

ブラームス:交響曲2番

[感想記]

 オペラ等について縁の無い私にとって、シノーポリというのもなかなか聴かない指揮者なのだが、 ドレスデン国立歌劇場管弦楽団とのコンサートは最高の出来であった。そのままCDになっても良いのではないかと思われる程、どの部分をとっても完璧な演奏であった。 「おそるべし!!シノーポリ@ドレスデン国立歌劇場管弦楽団」

 しかし、今となっては無理であるが、ジュゼッペ・シノーポリ指揮でもう一度聴きたいものであった。 非常に残念である。おそらく10年後、20年後には巨匠と呼ばれていたに違いないのに。


1997以前は、かなりいい加減です。

1988.10.24 フェスティバルホール

テンシュテット指揮 ロンドンフィル

曲目 ベートーベン エグモント序曲、交響曲3番<英雄>

R.シュトラウス 交響詩<ドンファン>

[感想記]

 今となっては、テンシュテットの生演奏会を体験できたというのが、私の自慢になるかもしれない。 未だにマーラーのCDを聴いても、ゾクゾクさせられる。もっともっと長生きしてもらいたかった。 しかし、この頃のクラシックコンサートはバブルの最中で、クラシックに興味の無い客も多数きており、真剣に音楽を聴く雰囲気ではなかったなあー。

1991.2.11 神戸国際会館

ラトル指揮 バーミンガム市響 ピアノ:ピーター・ドノホー

曲目 ベートーベン ピアノ協奏曲3番、交響曲7番

[感想記]

 ベルリンフィルの常任指揮者となるラトルだが、この頃は新進若手指揮者の期待の星であったことが思い出される。 しかし、今も昔もラトルを聴いて、感動したことが無いのね。今後の活躍に期待します。

1990.7.21 いずみホール

小泉ひろし指揮 大阪シンフォニカー

曲目 ドビュッシー 牧神の午後への前奏曲

ショパン ピアノ協奏曲2番

サン=サーンス 交響曲3番<オルガン付き>

[感想記]

 <オルガン付き>という曲を知ってから、死ぬまで一度でいいから生で聴きたいと思っていたが、本当に生で聴けて良かった。 この曲だけは、是非とも生で聴いてください。さらに演奏家の皆様には、この曲を多くプログラムで取り上げてください。

1990.6.23 NHKホール

ジャン・フルネ指揮 NHK交響楽団

曲目 ラロ 歌劇「イスの王様」序曲

サン=サーンス ピアノ協奏曲5番 ピアノ海老彰子

ファリャ バレエ組曲「三角帽子」第2番

ラヴェル ボレロ

[感想記]

 当方が学生時代に東京へ会社見学に行ったついでに、NHKホールに立ち寄った所、たまたまN響定期公演を聴いたのである。 当日券でとても席が悪かったが、サン=サーンスのピアノ協奏曲5番「エジプト風」とラヴェルのボレロには感動したのを覚えている。 特にボレロはCDでは直ぐに飽きてしまう。やはり生で聴く為の音楽であろう。

1988〜90ぐらい京都会館大ホール

井上道義 指揮 京都市交響楽団

曲目 モーツァルト ヴァイオリン協奏曲5番

ブラームス 交響曲3番

[感想記]

 アンコールで演奏したベートーヴェンの「田園」1楽章が、とても良かったことを記憶している。

その他 

大阪センチュリー交響楽団(ザ・シンフォニーホール)

等(思い出し次第記入)

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