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ki 吉松隆 ki

交響曲第1番
交響曲第2番
交響曲第3番
交響曲第4番
交響曲第5番
交響曲第6番




交響曲第1番

交響曲1番 <カムイ・チカプ交響曲>(1990)
藤岡幸夫指揮 BBCフィル

正直、初期の作品ということでかなり現代音楽に毒されているのでは・・・と心配しましたが、 大丈夫でした。当方も拒絶反応無しに聴けました。

1楽章 GROUND
不気味な低弦と風きり音で始まる。このような不気味感の冒頭はシベリウス4番以来の衝撃。
この不気味な低弦、初めて聴いたとき荒野を得体の知れない生き物が這っているイメージを持ちましたね。
(この得体の知れない生き物、もう少し具体的に書けば、楳図かずお「漂流教室」の未来人類のような生き物ですわ(笑))
風きり音はどうのように出しているのか? ホースを回した時に出る音です。
またこの不気味な低弦がこの楽章中鳴っている・・・。強弱はありますが。
この低弦の上に様々な音が重ねられる。時には明るく、鳥のさえずりも、時にはアップなリズムが・・・。
登場するトロンボーンがまさにシベ7っぽい。最終盤はホルストっぽい響き。
正直、この楽章にはメロディーが無い。

しかし、この楽章、マジで病みつきになりそうです。

2楽章.WATER
一転して美しい(吉松らしい)響き。ピアノがまた良い。弦のソロが印象的。
弦合奏の響きがシェーンベルク「浄夜」。チェレスタは効果的に使われております。

第3楽章.FIRE
出だしのバスドラムがマーラー10番の終楽章っぽい。
聴いていくとのりのりのリズムと音楽。
打楽器大活躍のこの楽章。まさに「火祭り」という感じですか。
あれっ?ストラヴィンスキー「春の祭典」になってきて、終わり。

第4楽章.AIR
また静かな美しい楽章。
正直、美しいシベリウスですな、この楽章は。

第5楽章.RAINBOW
チェレスタとピアノで始まる。優しい印象。
ピアノの音が上へ下へと空を回っている・・・・。
鳥のさえずりも聴こえてくる。
最後は美しく盛り上がり(バックにはシベリウスっぽいトロンボーン)
ピアノとチェレスタ(1楽章の低弦の不気味な音階が・・)にて静かに終わる。




交響曲第2番

交響曲第2番 <地球にて>(1991)
藤岡幸夫指揮 BBCフィル

正直、吉松氏の交響曲で1番印象の薄いであろう曲。 おそらく1番聴かない曲と思います。

第1楽章
これまた低弦の不気味な出だし。基本的には低弦が根底に響いている。
チェロのソロが大活躍。
全体的に暗い雰囲気ですが、途中からピアノとともにやや明るめの日本民謡的な旋律が流れます。
そして弦の激しい刻み。その後、混沌した音楽へ。しかし、どことなくシベリウス風です。
尺八っぽいフルート?の音色とチェロは印象的です。
そして、後半、急にリズムを持った曲(ガムランっぽい)へ展開し、終わる。

第2楽章
弦楽器を中心とした美しい曲。しかし、吉松氏お得意の透明感は薄らいでいる。
つかみどころが無い感じです。

第3楽章
この曲ではこの楽章がお気に入りです。
この楽章をだけを聴いて、交響曲の中の1つの楽章ですと聞かされたら、「嘘でしょ?」と答えそうですが。

まずマリンバとヴィブラフォンの細かいリズムがいいですねえ(シンセサイザーの喜多郎が多用しそうな)。
一瞬、混沌とした感じになりかけますが、その後、「盛り上げていくぞ」という旋律が徐々に奏でられていきます。
アフリカ的な壮大な音楽へ(ディズニーパレードや劇団四季のライオンキングなどでも使用されてもおかしくない!)。

正直のこの楽章を聴くためにこの曲のCDを買っても損?は無いかも。




交響曲第3番

交響曲第3番 (1998年)
藤岡幸夫指揮 BBCフィル

このCD、サキソフォン協奏曲が先に収録され、後ろにこの交響曲がカップリングされている。
確かにサキソフォン協奏曲は良いと思うが、当方にとっては断然、この交響曲3番の方が好み。
特に1楽章、4楽章はいいです。

第1楽章

またまた低弦から、そして風きり音、威圧感はあるが不気味感が無いのは救い。
どことなく懐かしい旋律(日本の童謡風)、そして、弦の刻みによるこの高揚感、たまりません。
木管の鳥のさえずりからゆったりと安らぎとともに前述のオーボエによる懐かしい旋律。
再び、弦の刻みとうねり、この盛り上がり好きですね。
基本的には「弦のきざみ(動)」−「懐かしい旋律(静)」の繰り返しですが、
良い音楽になっていると思います。

第2楽章

マリンバが印象的な軽快な楽章。いかにも中間楽章っぽい音作りです。
途中からジャズのテーストが・・・・。

第3楽章

低弦に続き、チェロが主張しますが、正直、美しくありません。
その後、高弦とチェレスタによる「断片的な旋律」に続き、
力強いのですが、どことなく物悲しい音楽となります。
最後に再びチェロと打楽器が炸裂するのですが、
一転、盛大な音楽模様になりかけたと思ったら・・・・。
美しい旋律とともに終わっていきます。

第4楽章

いかにも大団円の音楽。当方は大好きです。

1楽章の「弦のきざみ」とともに大盛り上がり大会!
(正直、スターウォーズでも使っても大丈夫では)
そして、3楽章の「断片的な旋律」も出てきます。

途中のフルート以降は一気に盛り上がり、
あとはアップテンポに大いに踊りまくる!

聴き終わった後の充実感は最高!




交響曲第4番

交響曲第4番 (2000年)
藤岡幸夫指揮 BBCフィル

今、どうしても吉松氏の交響曲で1曲選べと言われば、
3、4、5番で迷うが、この4番を選ぶと思う。

それほど、チャーミングな美しい交響曲で、シベリウス交響曲6番を聴いた時と同じ衝撃がありました。
本当に思わず微笑んでしまう程の曲です。

第1楽章

冒頭から明るく軽やかな音色で、すぐに引き込まれてしまいます。
鳥のさえずりとともに愛おしい旋律。

突然、金管、打楽器の響きとともに様子が一変するが、しかし、どことなくお茶目。
ややストラヴィンスキーっぽい感じも・・・。

最初の明るく軽やかな音色、愛おしい旋律に戻り、気持ちよく終わります。

第2楽章

ここでワルツです。お茶目な感じは前楽章と同じです。
様々な作曲家のフレーズが散りばめられております。

ベルリオーズ「幻想」、マーラー、ベートーヴェン・・・・と
音遊びが楽しい楽章です(皆さんも探してみては)。

第3楽章

アダージョ楽章です。

この楽章はもう秀逸です。褒めずにはいられません。
<この楽章だけでも吉松さんを尊敬出来ますね>

美しく可憐な感じなのですが、イメージとして当方は「夜」を感じますね。
(ドラクエの夜の音楽に使えそう)

ピアノの軽やかなチャーミングな旋律も心に残ります。

絶対に・絶対に皆様に聴いて頂きたいです。

第4楽章

マリンバと打楽器による微笑ましい音色。
子供たちが飛び跳ねている様子が浮かびますね。

この曲、全楽章がお気に入りです。
普通、交響曲のCDでこの楽章は飛ばしたいなとあるものですが、
この曲は最初から最後まで聴き入ってしまいます。
(まあ肩肘張らずに聴ける曲というのもあるかもしれませんが)




交響曲第5番

交響曲第5番 (2001年)
藤岡幸夫指揮 BBCフィル

吉松さんも相当、気合を入れて作曲したなあと分かる力作です。
ベートーヴェン交響曲第5話「運命」に影響を受け過ぎという感もありますが、
これはこれで良しでしょう。

第1楽章

吉松さんの交響曲で1曲選べと言われれば上記にも書きましたが、4番ですが、
1番お気に入りの楽章と言われれば、躊躇無く、この<5番の1楽章>を選びます。

「ジャジャジャジャーーン」で始まるというやってくれましたというより期待通りという・・。
吉松さん、惜しげもなく「やるなあ」という思いと「すげーーよ」と逆に感心!。

しかし、この1楽章は「やや重い」ということと「本当に深い!」
(説明しづらい程、純音楽。まさに交響曲)

吉松さん、「ジャジャジャジャーーン」だけでなく、相当気合を入れて作曲したのではないか。
無駄な音が本当に無いのでは?

重たいのだが、途中でチェレスタをバックにオーボエ、フルートの旋律が心のオアシスとして響く。
しかし、ところどころで滑稽な箇所も(マーラーでも良くあるが)

正直、聴き終わると疲れがどっと出る楽章です(笑)。

第2楽章

雰囲気は暗めですが、音としては軽さがあります。
ベルリオーズ「幻想」に似たフレーズも。

急にピアノとともにアップテンポへ。
ミステリーな曲調。
ショスタコーヴィチのような支離滅裂っぽい箇所も。

第3楽章

お約束?のアダージョですが、吉松氏の真骨頂です。

「悲しみに支配された響き」でこれでは「やすらぎ」は感じません。

しかし、鳥の鳴き声とともに「やすらぎ」の旋律へ。
まるで「悲しみ」が浄化されたようであるが、やはり完全では無いよう。

この構成は素晴らしいの一言。

第4楽章

来たーーー!来ました!
交響曲第3番の終楽章と同じで「フィナーレはこうでなければ!」という感じ。
壮大感が半端無い。
そして、これでもか、これでもかのコーダ部。完全に「運命」意識していますね。

満足感満載のこの楽章です。

何も言うことは御座いません。




交響曲第6番

交響曲第6番<鳥と天使たち> (2013年)
飯森範親指揮 いずみシンフォニエッタ大阪

5番発表後、12年経過、どのような作風の変化が・・・と思いましたが、
変わりはありませんでしたな。

この6番、基本的には4番と同様、軽めの小交響曲で3楽章形式
全体的に音が軽い感じがします!

4番の方を評価しますね。

第1楽章

吉松節の幻想的な美しさで始まります。
耳に心地の良い旋律が並びます。
時よりコミカルな箇所も。
唐突な感じもしますが、終盤、ジャズテイストになります。

第2楽章

この楽章も美しさ満載ですが、どこか神秘的というのもありますが、
雅楽らしい一面も感じる音楽です。

ところどころ子供っぽさが見え隠れします。

そして、浮き上がってくる形でシベリウス6番が・・。キターーーー!!という感じ。
ここは当方は感動ものでした。
チャイコフスキー「悲愴」も・・聴こえます。
(当然、ベートーヴェン「田園」やマーラー「悲劇的」などは?と思いますよね)

第3楽章

小鳥が空を翔び回るような軽快な旋律で始まります。
小鳥がいろいろな風景を移動しながら飛んでいるように音も変化します。
(途中、耳にしたような旋律が出てくるのですが、すぐには思い出せません)

ベートーヴェン「田園」が出ましたよ!

最後はリズミカルに盛り上がりに終わります。

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